No.153346

幻・恋姫†無双 第2話 『変化の兆し』

奏斗さん

幻・恋姫†無双の第2話です!
まだ、序章が終わんない……

2010-06-26 04:18:52 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:1512   閲覧ユーザー数:1377

《前書き》

 

 

 

 

 

はい、一週間以上ぶりです!

ね、遅筆でしょう?

 

まだ、文章力も未熟なんで、下手ですが、頑張って書いてます。

お楽しみくださいな!

では、始めます。

歴史資料館に向かう並木道には、同じような目的を持った学生たちがのんびりと歩いている。

「そういやさ。今日は誰とデートなんだ、及川?」

一刀は、ふと思い出したように尋ねる。

「ムフッ? な?い?しょ?」

「内緒にする必要ないだろ。……あー、あの芹沢ってコか? それとも織戸ってコに紹介してもらった、水泳部の女の子か?」

「一刀、それ以上言うな……佑が死んでる」

真っ白になった及川を見た、命が止めに入る。

「あ……」

「シクシク……んなもん、とっくの昔にフラレとるわーっ!」

「だな」

「何で命は、及川がフラレたこと知ってんだ?」

不思議に思った一刀に対して、命は、さも当たり前のように答える。

「お前、何を言ってる? 芹沢結衣佳も織戸莉流も俺と同じ2年V組《ソレイユ》だぞ?」

「なるほど、それでか……」

「ちなみに、芹沢には『友達でいましょう』と言われて、水泳部の有瀬悠季には、水泳部部長の『松原麗架お姉様が好き』と言われたそうだ」

淡々と真相を語られていく。

「それ以上、言わんといてや、みこト~~ン」

「なるほどな……しかし、フラレたにしては、次の恋が早いじゃねーか」

及川の変わり身の早さを褒めるべきか、一瞬にして街頭演説を行う政治家のように、声高らかに語り出す。

「当たり前やないか。青春時代はたったの三年しかないねんで! 一に恋あり! 二に友情あり! 三四と五にはセックスありや!」

「猿だねぇ」

「おうさ! 猿さ! 猿だともっ!」

「良いなぁ。……俺も猿になりてぇ!」

「おう、なれなれ! やっぱ若い頃は猿やないと男やないからなっ!」

「いや、それはどうかと思うが……」

「ふふーん? ま、かずピーは独り身やしぃ?そう思うのも仕方ないなぁ」

「……(畜生ちょっと自分に彼女が居るからって、いい気になりやがって)」

少しの空白を見て、命が口を挟む。

「まぁ、そこまでにしておこうな、二人とも……ここは、どういった学校だ?」

「「ここ?」」

「そうだ」

「「男女共学になって間もないため、生徒の男女比率が1:40という元お嬢様校、聖フランチェスカ学園だよな?」」

「よし、そこまで理解出来ているなら話は早い。周りを見てみようか……」

及川と一刀に、周りを促す。

すると、どうだろう。三人の周りにポッカリと空白が出来ている。近くにいる女子生徒たちは、青ざめながら、『汚らわしいですわ』とか、『両儀様もお逃げになって』など口々に零している。

「「ああっ……」」

二人の悲痛な叫びが木霊したのは、言うまでもない。

「あーっ、くそ。俺も彼女が欲しいなぁ……」

「あんじょう気張りや、人生の落伍者、北郷くん」

「うっせ! 偉そうに言うなっ!」

励ますように肩を叩く及川の手から逃れようと、一刀が勢いよく身体を捻ったとき、後ろから追い抜こうとしていた男子学生にぶつかった。

「あ、わりぃ!」

「………チッ」

男子生徒は、怒りを剥き出しに去っていく。

「……なんやあれ。感じ悪いのぉ」

「………」

「なんや? かずピー、どないかしたん?」

「えっ?」

「さっきの奴の背中ジーッと見つめて。……ぬっ!?もしやっ!? かずピーってば、ウホッ! なんかっ!?」

「ちげーよっ! 俺はただ……」

「??」

「……いや、やっぱ良い」

(あいつの身体、同い年とは思えないぐらいがっちりとした筋肉がついていた──。なんて言ったら、休みが明けてから及川にどんなネタを流されるか分かったもんじゃない)

「とりあえず、行かないか?」

命が先を促す。

「あぁ、さっさと行こうぜ。及川だって時間が無いんだろ?」

一刀が先行して歩いていく。

「ついに、始まったな、佑よ?」

「せやな~」

一刀の後を追いながら、小声で呟いた。

「へぇ~~っ! また立派な資料館だな」

一刀が関心したように呟く。

「さすがフランチェスカと言うこっちゃな。どんだけ金かけとんねん」

「何億って掛かってるんじゃね?」

「やろうな。そのくせ俺らの授業料はそこまで高くないし。……裏で悪いことでもやってんとちゃうか」

「悪いことって……例えばどんなだよ?」

「そやな。例えば……地下室に設置された調教ルームで、フランチェスカの女子生徒たちが夜な夜な調教され、資産家や悪徳政治家たちの餌食に……とか」

「それなんてエロゲ? って言えば良いのか?」

「ええやん、ネタやねんしぃ~?」

「はぁ……ホントおまえって、頭の真ん中のめちゃくちゃ大切なパーツのネジが、一本だけ緩んでるって感じだよな」

「褒めても何もでーへんで~?」

「褒めてねぇよ。」

「お前等な……」

命が肩を震わす。

「「どうしたんだ(や)?」」

「さっきのことで懲りてないのか?」

命の声がだんだん震え始める。

「少し静かに見て回ろうな? 警備員さんが睨んでるぞ?」

「「了解です!」」

やっと静かになり、陳列されている古代の武具やら掛け軸なんかを見て回る。

「これっていつの時代のモノなんだろうな?」

疑問に思った一刀は、説明を見る。

すかさず、命はポケットからパンフレットを取り出す。

「パンフレットには後漢後期とかって書いてあるな」

「後漢後期っつーと……三国志の時代か。すげーな。1800年前ぐらいの遺物かよ」

「……すげーな、かずピー」

「は?」

「三国志とか1800年前とか。よーそんな知識もっとったなぁ、自分」

「なんで? こんなの常識じゃね?」

「そんなもんが常識でたまるかい! なっ、命?」

及川は、さも当たり前のように語る一刀に反論し、命に同意を求める。

「まぁ、普通は知らないな……」

「かずピーってもしかして歴史マニア?」

「マニア……かもなぁ。田舎の爺ちゃん家にその手の本がめちゃくちゃたくさんあってさ。ガキの頃は休みのたびに遊びに行って、修行の合間に読みあさってたんだ」

「かずピーって田舎どこやっけ?」

「鹿児島。……っても、俺自身は生まれも育ちもこっちだけどな」

「ほー。……ってか、修行って、剣術のやっけ?」

「そう、示現流だよ。俺の家系は昔から道場をやっててな。古い家系で、俺も強制的にやらされてたんだ。道場主の息子が弱いのは許せないって考えなんだよ。俺の爺ちゃんもオヤジも」

「……よーグレへんかったな、かずピー」

「ま、剣術は好きだったし。辛くはあったけどイヤでは無かったからなぁ」

「んで、フランチェスカに来て剣道部に入って……そんなに強なって何がしたいん?」

「今の目標は不動さんと命に勝つことかな。それよりも後のことはわかんね」

「ほーか。ま、がんばりんさい」

励ますように俺の肩をポンポンと叩いた及川が、

「おろっ? あいつ、さっきの奴ちゃうの?」

三人から少し離れた場所で展示物を見ている男子学生を指さす。

「理事長の強権発動で全校生徒の宿題になってるからな、いてもおかしくないだろ、佑?」

「あいつもここが目当てだったんだな。……けど、あんな奴、ウチの学校に居たか?」

( 一つのクラスに男子生徒が一人って割合だから、学年が違わない限り顔見知りなんだが…… )

「駄目だ、記憶にないな……一個下か?」

一刀は、同級に見覚えがなく、自分たちより背が低いことから推測する。

「あの威圧感で俺らより一個下? ……末恐ろしいガキすぎやで、それ」

「まぁな~。……それにしてもあいつ、すげーぞ?」

「サラッと流さんといてや……。んで、すげーって何がすげーん?」

「なんつーか……隙が無いっていうか。立ち姿からでも結構な使い手っていうのが分かる」

「……キミどこの剣豪? つか、なんでそんなん分かるねんっ! かずピーおかしいで!?」

「いや。武道をやってる人間なら、雰囲気とか立ち居振る舞いとかで、そういうことってある程度分かるもんなんだよ。なっ、命?」

同意を求められ、仕方なく答える。

「まあな。佑が感じた威圧感みたいなもんさ。それが大き過ぎるから、佑にも分かるんだよ、威圧感としてな」

「あれだけの使い手なら、絶対に知ってるはずなんだけどなぁ……。廊下ですれ違ったり、遠目に見たり。それだけでもある程度印象に残るものだし」

「あれぐらいイケメンやったら、俺も顔覚えてると思うねんけどなぁ。……呪うために」

ふふふっ、と気持ちの悪い笑みを浮かべる及川に苦笑しながら、一刀は男子生徒の方に注意を向ける。

「……ここから…………じまる……いかねぇ……」

男子生徒は、ショーケースに展示されているものを食い入るように見つめながら、なにやらブツブツと呟いているようだ。

(何か……気になるな)

まるで親の敵にでも出会ったように、殺気だった視線を展示物に注いでいる。それがあからさまに怪しい。今にもガラスを蹴破って、展示されているものをわし掴もうとするような──。

「かずピー?」

「おっ? あ、ああ。なんだ?」

「ボケーッとしてるけど、どしたん? あいつに何か用でもあんの?」

「いや……そういうワケじゃないんだけどな」

「そういや、後漢時代とかの中国って、字があったんやよな!?」

ふと思い立ったように、及川が言い出す。

「まあな……」

勢いに押された一刀。

「自分たちに字でも付けんか!?」

「そりゃ、いいが……字ってのは、今でいうミドルネームみたいなもんだぞ?」

冷静に突っ込む命。

「なら、真の名前はどうや? 気を許した仲間のみで呼び合える名前や!?」

「いいね、面白そうじゃん」

一刀は、乗り気になってくる。

「じゃあ、付け合おうやん! ワテは、みこトンに! みこトンは、かずピーに! かずピーは、ワテに!」

「強引だな……まぁ、いいか」

呆れながらも同意を示す命。

「俺は、一刀に付けるんだったよな? ……そうだな、天斗(タカト)なんて、どうだ?」

「どういう意味や?」

「そのままだが、頂点に立つ」

「格好いいけど、恐れ多いな」

少し興奮したように、一刀は言う。

「まあ、ありがとうな、命。次は俺か……。及川は、そこにいても当たり前って感じがするから……縁(エニシ)」

「なるほどな……お前、そのものじゃないか、祐」

命が含みのある笑いを見せる。

「せやな~。流石、かずピーやなっと。さて、みこトンのは、もう決まってるし」

「早いな、及川は……で、なんだ?」

驚いたように一刀は聞く。

「んと、慎(しん)や! 尊(そん)でも良かったけどな~」

「尊は、止めろ。俺には似合わないよ……」

「なんでだ? 尊も悪くないだろ?」

一刀は、及川と命のやり取りに疑問を持った。

「まあ、いろいろあるんだよ」

少し困ったように、命は言う。

「決まったし、さっさと見て回ろうや。もう時間もないねんし」

「そりゃおまえの都合だろ」

「もちっ! 一人で待ってるあの子のためにも、俺は早くあの子に会いに行かねばならんのやーっ!」

「へいへい。……わぁーったよ」

恋愛に熱中する縁の熱気にあてられ、一刀は肩を竦めながら少年から意識を逸らした。

その後、歴史資料館を隅々まで見て回った。

《後書き》

 

 

 

 

 

どうだったでしょうか?

なんというか、序章なのに長いですな……。

恋姫って、こんなに長かったんだなと実感してます。

前回、三話から本編なんて言ってましたが、無理でした……すいません。

まあ、次で終わればいいな、なんて思ってます。

 

 

 

本編は、命が主人公なんで、創作になるかな?

まあ、お楽しみあれ。

 

 

 

それと、閲覧ユーザーが600を超えてました!

また、支援ユーザーが8も!

いや、拙い文章を読んでくださって、ありがとうございました!

それでは、また次回。

《解説》

 

 

 

 

 

☆一刀の剣術について

鹿児島出身で、十文字。

家紋が十文字なのは、島津氏。

島津氏は、示現流。

ということで、一刀は、示現流を学んでいたのではないかと思いました。

 

 

 

☆本編で出てくる女性の名前

『春恋*乙女』に出てくる女性たちです。

有瀬悠季に関しては、及川の言葉から、この人ではないかということで書いています。

 

 

 

☆真名を現世で出したわけ

及川の妄想が、外史に影響を与えていることから、真名もなんだかの影響があったのではないだろうか、と考えました。

まあ、簡単に言うと、その理由付けのためにも出しました。

 

 

 

☆それぞれの真名について

・北郷一刀の場合

外史では、“天の御遣い”と呼ばれていたので、“天”を入れることに決めました。

また、北郷の“北”と、一刀の“刀”を組み合わせて、読むと“ホクト”、つまり、“北斗”と読めました。

その二つより、“天斗”と付けました。

・及川祐の場合

“祐”というのは、『神仏の助け』という意味がありますが、読みの“タスク”を基準にして考えています。“襷”というのがありまして、着物など和服の袖やたもとが邪魔にならないように、背中の部分に斜め十文字(×のような形)に交わさせて肩に結ぶ紐のことです。

ここから、束ねるということを重視してます。

人を束ねるということ、神仏の助け(運命的な何か)の二つから、“縁”としました。

・両儀命の場合

まあ、ネタバレになってしまうので、ヒントだけ。

命という名前。尊でも真名は良かった。慎で“シン”と読ました。

上の三つがキーワードになります。

特に、“命”と“尊”には、深い関係があります。


 
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