No.108715

G×S!夕陽が紡ぐ世界~四・五話~

さん

本編とはちょっと違った日常のお話。

本作はArcadiaとにじファンにも投稿しています。

2009-11-24 15:24:53 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:7175   閲覧ユーザー数:6257

 

『集まったか?』

『ああ』

 

黒いカーテンで窓が覆われた教室の前面にはある少女の大きな写真が飾られていた。

 

『美しい、我等の女神よ』

『しかし、またしても邪魔者がいるな』

『KKK・PPPは軽くあしらわれているらしい』

『役立たず共が』

『だが何としても』

『うむ、我らが女神を……』

『『タマモタンを我らが御前に!!』』

 

 

 

 

そう、彼等の眼前に飾られている写真には………

 

隠し撮りされたタマモの笑顔が写っていた。

 

 

 

 

第四・五話「さらばTTT!漢(おとこ)達の涙は一度だけ!!」

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

「ふう、やっとメシか。腹減ったー。」

「今日も今日とて愛妻弁当なのですか?」

「いえ、今日は……」

 

楓は申し訳なさそうに俯いてしまった。

 

「今日は珍しく楓も寝坊してな、弁当までは手が回らなかったらしい」

「すみません……」

「いや、いいんだよ。今日寝坊したのだって疲れがたまってたんだろうし、少しは手を抜くぐらいの方が…」

「それはダメです!タダくんのお世話で手を抜くなんて考えられません!」

 

そう言って楓はすごい勢いでまくしたてた。

 

「本当に好きなんですね、横島さまのお世話が」

「は、はい。私の生きがいですから///」

 

それを見て男共から何やら黒いモノが噴き出してきた。

 

「な、何で楓ちゃんはあんな奴の為に…」

「奴を葬れるなら俺は悪魔にだって魂を売るぞ!」

「……アレにか?」

 

男共の脳裏には何処にでも居そうな長髪の男が再生される。

 

「二束三文で買い叩かれた上にクーリングオフで突き返されるのがオチだな」

「神は死んだ…」

「……アレがか?」

 

男共の脳裏には和服を着こんだ恰幅のいい親父が再生される。

 

「………」

 

 

そして、昼休み。

 

 

「ヨコシマー、食堂に行きましょ」

 

タマモがプリムラと一緒にやって来た。

 

「今日は私もお弁当はないから一緒に行ってもいい?」

「私もー」

「では、私もお願いしますね」

「当然でしょ、皆で行こう」

 

シアと桜とネリネがそう言うとタマモは当然と笑いながらそう言った。

 

「じゃあ行くか、麻弓はどうする?」

「当然お付き合いしますのですよ」

「ならこれで全員だな」

 

 

「さらりと俺様を除外した稟には地獄への片道切符をプレゼント、フォーユー」

「……自分で使え」

 

 

 

 

 

そして忠夫達は生徒たちで賑わう食堂にやって来た。

 

ガヤガヤ

 

「初めて来たけど結構広いのね」

 

其処に、亜沙とカレハが連れだってやって来た。

 

「あっ稟ちゃーん、皆も今日は食堂組なの?」

「ええ、亜沙先輩達もですか」

「うん、今日は日直だったのをうっかり忘れていてお弁当作る暇がなくて」

 

えへへと笑いながら頭を掻く亜沙であった。

タマモはメニューを眺めながら“ある食べ物”を捜していたが、どうやら無事に見つか多様で目を輝かせながら注文する。

 

「私はきつねうどん♪」

「じゃあ、俺も」

 

それぞれが自分の食事を注文していった。

 

 

 

モグモグ

 

「ここのお揚げは美味しいわね、気に入ったわ」

「タマモちゃんはやっぱりお揚げが好きなんだ」

「もちろん、あ…もう無くなっちゃった」

「ほれ」

 

忠夫はごく自然に自分の揚げをタマモの器に移した。

 

「うふ、ありがとヨコシマ♪」

 

「でもそれじゃあ忠夫くんの分は素うどんになっちゃうよ」

 

シアの疑問に横島は溜息を付きながら答える。

 

「俺のお揚げはタマモの腹に入るように宇宙意思に定められてるんだ」

「そういう事♪」

 

「う、宇宙意思っスか…」

「宇宙意思っス」

 

「まままあ♪宇宙意思に定められた二人、そして二人はあーなって、こーなって、まままあ♪」

 

もう、突っ込む者はいないらしい。

 

 

そんな彼等を食堂の入口から見つめる集団が居た。

 

『おのれ横島め、なんと羨ましいシチュエーションを……まあいい、今日こそ目に物見せてやる』

 

 

 

 

そして放課後。

 

 

「今日の追撃戦は結構楽だったな」

「そういえば何だか人数が少なかったような」

「……まさかな…」

 

稟はそっと呟いた。

 

「何か心当たりでもあるの?」

 

タマモは横島に肩車をさせていて、彼の頭の上から聞いた。

 

「いや、プリムラが学園に通いだした時にもこうやって親衛隊の数が減った事があって」

「……ちょっと待て……それって、まさか…」

 

横島が嫌な予感に顔を青くしていると。

 

「じーーーー」

 

プリムラは羨ましそうに横島に肩車されているタマモを見つめている。

 

「なによ、プリムラ。ここはダメよ、私の指定席なんだから」

 

そう言ってタマモは横島の頭にしがみ付き居場所を主張する。

 

「ちぇ」

 

そしてその目線を稟に変えて。

 

「じーーーー」

「な、何かなプリムラ」

「お兄ちゃん、私も肩車」

 

稟がプリムラの視線にうろたえていると、数十人の集団が道を塞ぐように広がって行く。

 

『横島忠夫!今日こそ決着をつけさせてもらうぞ!』

 

横島達が目を向けるとそこにはバーベナの制服を着た一団が居た。

 

「……やはりか」

「何よあいつら?」

 

タマモがそう呟くと集団の中から一人の男が歩み出て来た。

 

「我々ですか?タマモちゃん。我々は……」

 

男がそう言いながら右手を高々と上げると、後ろに居る集団はその合図で声を上げて叫び出す。

 

『我々は麗しきタマモちゃんを悪しき横島から解放するために結束を固めた同志達、その名も『とっても、とっても、タマモタン』通称「TTT」であります!』

 

 

ひゅ~~~…

 

シアや楓達女性陣を含め、全員は残念そうな目でその集団を見つめていて、タマモはというと、全身に鳥肌を立てそのナインテールも逆立っていた。

 

『さあ、我らが女神よ!今こそ我々にお言葉を!』

 

 

期待に満ちあふれていた彼らにタマモが下した言葉は。

 

 

「……死ねば?」

 

 

パキインッ

 

そして、彼らは期待に満ちていた笑顔を崩すことなく一瞬で石化した。

 

稟と横島はその石像を通行の邪魔にならない様に道の端へと転がしてて行く。

 

「…さて、帰るか」

「そっスね」

「ねえねえ楓、今日はこのまま楓の家に遊びに行ってもいい?」

「構いませんよ、シアさん達も良かったらどうぞ」

「わーい、行く行く」

「遠慮なくお邪魔させていただきます」

「じゃあ、早く帰ろう」

 

稟はすたすたと足早に進むが、

 

「じーーーー」

 

プリムラは稟の肩を見つめながら後を追いかけていた。

 

「ねえ、お兄ちゃん。肩車…」

 

「微笑ましいねー」

「そうですね」

 

微笑みながらプリムラを見つめるシアとネリネだが、楓はタマモを肩車している横島を見つめていた。

 

「じーーーー」

「な、何を見ているんじゃ」

「い、いえ何でも///」

「ふふん♪」

「む~~」

 

暖かな雰囲気の中忠夫達は帰って行った。

そして、残されたTTTの面々は数日後、自力で復活するまで放置されていたという。

 

そんな日常。

 

 

続く?

 

 

 《次回予告》

 

 

何時もそこに笑顔があった。

 

何時もそこで笑い声が聞こえていた。

 

何時もそこに貴方がいた。

 

でも今は……

 

次回・第五話「広くて狭い世界」

 

横島さぁん……会いたいよぉ…

 

 

 

 


 
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