No.1056406

鬼滅の刃 清めの音(ね)を持つ鬼 第1話

この話は竈門炭治郎とその師匠となる鬼の話である。

2021-03-09 14:44:14 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:434   閲覧ユーザー数:428

 

 

時は大正時代。

 

 

季節は冬。

 

 

とある雪山を1人の男性が歩いていた。

 

 

赤紫色の服と同色の羽織を身に纏い、左の腰には鋼色の円盤を3つ、右の腰には「鬼の顔の様な装飾を施した」物を下げていた。

 

 

彼は立ち止まると徐に左腰の円盤を1つ取ると、右腰に下げている物を取り出して振り、音叉(ピアノ等の調律に使われる二股の道具)の形に変えると円盤を持っている左手首を軽く叩いた。

 

 

すると音叉の先から波紋が広がり、そのまま円盤に近づけると鋼色の円盤が瞬く間に茜色に染まり、彼はその円盤を上に投げた。すると色が着いた円盤は鷲の様な姿に変形し、上空へと飛び去った。

 

 

少し経つと、先程の鷲「ディスクアニマル『茜鷲』」が戻ってくると元の円盤に戻り彼の手に収まった。彼は先程の茜鷲を音叉の握り手と先で挟み込むと、円盤を回し始めた。少し経って彼は音叉から茜鷲を外し左腰の元の所に戻すと、また歩き始めた。

 

 

しばらく歩き続けると、1軒の炭焼き小屋を見つけた。中を見ると、襖は破れており、辺りに血が飛び散っていた。そして小屋の側を見ると、一部分が盛り上がっており、傍らには花が添えられていた。

 

 

彼はそこが小屋に住んでいた者達の墓場と知り、その場にしゃがみ手を合わせ黙祷をした。数分にも満たない黙祷の後、立ち上がりとある方向に顔を向けると、その方向に向けて歩き始めた。まるで何かに引き寄せられるかの様に………。

 

 

歩きだしてから数日後、途中で休憩や野宿をしながら彼は目的地へと辿り着いた。そこは年中霧が発生している山「狭霧山」であった。その麓にポツンと一軒の小屋があり、その手前で必死に真剣を振り回している少年を見つけた。

 

 

彼は少年に近づき、声を掛けた。

 

 

「失礼。此方に鱗滝左近次という方はご在宅かな」

 

 

少年は肩で息をしながらも、数回首を縦に振った。彼は少年に礼を言うと、戸を軽く叩き小屋の中に足を踏み入れた。小屋の中には竹を口に咥えた少女が布団で寝ており、その横には天狗の面を被った男性が座っていた。

 

 

「お前さんが来るのは薄々わかっていた。お前さんの匂いは独特だからな」

 

 

彼は苦笑を溢しながら左近次の隣に座り

 

 

「ご無沙汰しております鱗滝左近次殿。御壮健で何よりです」

 

 

礼をした。

 

 

「よい。お前さんも息災で何よりだ。で、態々こんな偏狭な所迄来て何を求める❓言っておくが儂は」

 

 

 

「存じております。『猛士には入らない。』それは重々承知しております。本日は貴方では無く、外にいる少年に用があり足を運びました」

 

 

「炭治郎を…か❓」

 

 

彼は佇まいを直すと左近次にこう言った。

 

 

「彼…、炭治郎をこの俺『響鬼』の弟子にさせて頂きたい」

 

 

 

 

 
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