No.1036729

【サイバ】酒場の伝説、伝説の酒場【交流】

Dr.Nさん

2020-07-27 23:26:14 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:262   閲覧ユーザー数:262

ここは、“女神の酒場”。

龍神・泉水と虎神・白月の二柱(ふたり)で経営するこの酒場は、いつ、どこでオープンするか誰にも分からない幻の酒場と言われている。だが、ここで酒を飲んだ者には、必ず幸運が訪れるという──。

ある日の夜。

 

カランカランカラン。

 

泉水「いらっしゃいませ!」

あさぎ「こんばんは、Selia'sです」

リミィ「ご注文の品、お届けに上がりました」

白月「まあまあ、こんな遅い時間にご苦労様です」

あさぎ「あ、いえ。しかし、ここが“女神の酒場”だったんですね。あたし、初めて見ました」

リミィ「セリア社長から場所を教えてもらったのですが、いつもここで店を開いていらっしゃるのですか?」

泉水「いいえ、今日はたまたまここでやっているだけよ」

白月「そ。朝になったらこの店は消えてしまうわ」

あさぎ「そうだったんですか」

泉水「そうだわ。せっかく来たんですから、あなたたちも飲んでいかない?」

あさぎ「すいません、あたしたち、これからお店に帰らなくてはいけませんので」

リミィ「申し訳ありません」

泉水「そう?」

白月「あなたたち、今日は営業車じゃないんでしょ?」

あさぎ「はい。セリア社長から、今日は空を飛んで配達するようにと言われましたので」

リミィ「でも、どうしてそれを?」

 

ピリッ、ピリッ、ピリッ。ピリッ、ピリッ、ピリッ。

 

あさぎ「あ、社長から電話だわ。(ピッ)はい、あさぎです」

セリア『はーい、あさぎちゃん! そろそろ配達先に着いた頃かしら?』

あさぎ「はい、今商品をお渡ししたところです」

セリア『そう。じゃあ今日は直帰していいから、そこでゆっくり飲んで帰ったらいいわ』

あさぎ「えっ?」

セリア『せっかく幻の酒場に来たんですもの、そこで運気を付けるのも悪くないわよ。一週間後なんでしょ、「世界アーティスト音楽祭」の最終予選?』

あさぎ「はい」

セリア『じゃそういうことで! 今から店に帰ってきても、もう鍵は閉まってるからねw リミィちゃんにもそう伝えてちょうだい。じゃねーw』(ピッ)

あさぎ「あ、社長? 切れちゃった…」

泉水「うふふふふ、どうやら社長のお許しが出たようね」

白月「さ、二人とも座って座って! 今、ロックいれるわね」

あさぎ&リミィ「「はあ…」」

そして一週間後。

「世界アーティスト音楽祭」の日本最終予選会。

 

日本各地から厳しい予選を勝ち抜いて来た10組のアーティストが歌い終わり、いよいよ、世界大会進出をかけた審査結果発表の時。

 

MC「それでは発表します! 世界アーティスト音楽祭、世界大会へ駒を進める優勝者は!」

 

ドルルルルルルルルルルル…。

 

MCが手元の白い封筒にハサミを入れ、中の紙を取り出す。

 

チーン!

 

MC「Mount Pigsの皆さんでーす!」

 

♪パーパパパパ、パーパパパパ、パパパパ~!

 

・・・・・・

翌朝、Selia's。

 

楓「なあに、昨日の音楽祭! わたし、ぜーったいにCanhel(先輩方)の優勝だと思ってたのに!」

柳「私もそう思いました! 何でMount Pigsなんかが!」

あさぎ「まあ仕方ないわよ。Mount Pigsさんの方が実力が上だったってこと」

リミィ「ですね。Silver PigさんもPink Pig さんもJudaslly Pigさんも、みなさん素晴らしかったですから」

楓「そうでしょうか?」

柳「ねえ。私、納得いきません!」

あさぎ「まあまあ、あなたたちがそう言ってくれるのは嬉しいけど、このことはもう忘れましょ」

リミィ「その通りです。さあ、仕事ですよ仕事」

楓&柳「「はあ…」」

 

 

ところが。

半月後。

 

楓「大変大変大変!」

柳「大変です先輩方!」

あさぎ「どうしたの二人とも、そんなに慌てちゃって?」

楓「見て下さいこれを!」

あさぎ「これは…週刊誌?」

リミィ「週刊文秋ですね。これがどうかしたのですか?」

楓「ここを読んでみて下さい!」

柳「さ、早く早く!」

あさぎ「う、うん。えっと、『本誌スクープ! 汚された音楽祭』?」

楓「はい!」

あさぎ「『半世紀に亘る歴史と伝統を持つ世界的音楽イベント「世界アーティスト音楽祭」の日本最終予選で、とんでもない汚点が刻まれた。先日、豚型セリアンスロゥピィの男三人組「Mount Pigs」の優勝と世界大会進出決定で幕を閉じた第50回大会。だが、本誌では、その記念すべき節目の大会において、Mount Pigs側から、審査委員長の皮多乃酢プロデューサーに多額の現金が渡っていたことを突き止めた。』!?」

リミィ「えーっと、『本誌の取材、そして関係者の話を総合すると、20人いる審査員のうち19人がCanhelに投票したものの、審査委員長で音楽業界に強い影響力を持つ、豚型セリアンスロゥピィの皮多プロデューサーがMount Pigsの優勝で強引に押し切ったという。運営委員会では急遽対策会議を開き、Canhelの繰り上げ優勝の方向で調整しており、近々正式に発表される模様。このスキャンダルにより、皮多プロデューサーとMount Pigsの音楽業界からの永久追放は避けられない。』」

楓「おめでとうございます、あさぎ先輩、リミィ先輩!」

柳「遂に世界の舞台に立たたれるんですね!」

あさぎ「でも…。喜んでいいのかしらこれ…?」

リミィ「ですね…」

楓「何を言ってるんですか、先輩方の優勝なんですよ!」

柳「そうそう、Mount Pigsと違って、先輩方は実力で優勝を勝ち取ったのですから!」

あさぎ「そ、そうよね」

リミィ「そうですよね。喜んでいいんですよね」

四人「「「「やったあーーー!!!」」」」

 

 

やはり、女神の酒場の伝説は本物だったようである。

 

 

=END=

 

 

 


0
このエントリーをはてなブックマークに追加
0
0
1
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択