No.1024756
【獣機特警K-9ⅡG】悪人の、善人顔【交流】![]() Dr.Nさん 2020-04-03 22:25:58 投稿 / 全13ページ 総閲覧数:268 閲覧ユーザー数:261 |
ドカッ!!
スレイ「この大バカ野郎、落としましたで済むか!!」
部下「ぎゃああっ!!」
ブラッドファミリーアジトの首領室で、スレイは部下の羊型ファンガーの男を力任せに蹴り飛ばした。
ドカッ! ドカッ! ドカッ!
部下「ぎゃあっ!! お許しを! スレイ様、どうかお許しを!!」
スレイ「ごめんで済めばギャングは要らねぇんだよ!!」
カチャ。
スレイ「誰だ!?」
部屋に入ってきたのは、スレイが最も信頼しているファミリーの幹部のモンド。
スレイ「何だモンドか。入る時はちゃんとノックぐらいしろ!」
モンド「まあまあ、そう硬いこと言うなって。それにしても今日はまた一段と荒れてるねえ。今度は何があったんだい?」
スレイ「ああ、この大間抜け野郎がな──」
モンド「ふーん、スーパーハイを隠したあのぬいぐるみを、落としちまったんだぁ?」
スレイ「ああ。最近は警察の目も厳しくなってきたからな。いいか、草の根をかき分けても探し出せ! もし見付からない時には、分かってるな!!」
ドカッ!!
部下「ぎゃあっ!!」
2日後。
スレイのスマホが鳴った。
ピリッ、ピリッ、ピリッ。
ピッ。
スレイ「俺だ。何、ぬいぐるみが見つかっただと!? で、場所は!? 分かった! よく聞け、すぐに奪還の準備だ。まずは──」
ピッ。
モンド「どうやら見つかったようだね」
スレイ「ああ。おい、すぐに車を出せ! お前も一緒に来るかモンド?」
モンド「ああ、何やら面白そうなことが起きる気がするから、お供するよw」
『豚龍ウメ子ちゃんとあそぼう!』と書かれたアーチのある、大きなイベント広場。
MCのお姉さん「さあー、会場のよい子のみんなも一緒に踊ってねー! 豚龍体操~、1、2、3ー!」
ステージでは、MCのお姉さんと豚のような龍の着ぐるみが、音楽に合わせて踊っている。
そのイベント会場から少し離れた道路脇に停まった、黒塗りの高級車の後部座席。
モンド「あの着ぐるみのキャラクター、スーパーハイを隠したぬいぐるみと同じじゃん」
スレイ「ああ。ステージの一番後ろを見てみろ」
モンド「後ろ? あっ、あれは!」
「ジャンケン大会優勝賞品」と書かれた札の貼られたテーブルに、豚龍のぬいぐるみが置いてある。
モンド「まさかこんなところに紛れてたなんてねえ。でも、同じぬいぐるみなんてゴマンとありそうだけど?」
スレイ「ぬいぐるみの胸を見てみろ」
モンド「胸? あ、目印に着けといたBの形をしたバッジが。どうやらあれで間違いないようだね。で、どうするんだい? 今から乗り込んで強奪するかい?」
スレイ「バカ、そんな目立つことが出来るか! ちゃんと手は打ってある」
MCのお姉さん「さあー、最後はお待ちかねのジャンケン大会だよー! 優勝者には、あの豚龍ちゃんのぬいぐるみをプレゼントしちゃいまーす! では一回戦、ジャーン、ケーン、ポンッ!!」
MCのお姉さん「おーっと、遂に勝ち残りが二人になったようです。お二人とも、ステージに上ってきて下さーい!」
モンド「おいおい、なんだよあれは。女の子の方はいいとして」
ステージに上がったのは、小学校1年生ぐらいの小さな猫型ファンガーの女の子、そして、どう見ても50歳を過ぎた、赤豚型ファンガーの極端に太った男。
モンド「あんなオッサンがぬいぐるみとか。この国はどうなっちまってるんだい?」
MCのお姉さん「えー、あのー。確かに決勝まで勝ち進んでこられたのは分かるんですけど、この子に譲ってあげるわけにはいかないでしょうか…?」
豚男「誰が! わしもぬいぐるみが欲しいんじゃ!!」
豚男の剣幕にたじろぐお姉さん。
MCのお姉さん「わ、分かりました…。では決勝戦いきまーす。ジャーン、ケーン、ポンッ!!」
豚男「やったで、わしの勝ちやー!!」
女の子「うわああああん!!」
MCのお姉さん「け…決着が付きました。優勝者はこの男性…です…」
スレイ「……フン」
ブーブーブー!!
大ブーイングに包まれる会場。
「おいオッサン、女の子がかわいそうだろー!」
「そうよそうよ、譲ってやりなさいよー!」
「大人げないぞー!」
豚男「やかましいわ!! 勝ったのはわしじゃ、貰う権利があるわ!!」
赤い顔を更に真っ赤にした人相の悪い豚男の剣幕に、会場は一瞬で静まり返った。
豚男「あばよ!」
バルンバルンバルーン!!
巨大なバイクに跨り、爆音を響かせて去っていく豚男。
スレイ「俺だ。今の見てたよな? そうだ、あの豚だ」
ぬいぐるみを小脇に抱え、ご機嫌で去っていく豚男。
が。
パパパアーッ。
豚男「チッ、邪魔くさいトレーラーやな! なにセンターライン超えとんねん!! この下手糞、普段運転してへんのやろ!! …えっ?」
バキャッ! グシャッ!!
豚男「ギャ!?」
グシャグシャグシャグシャグシャグシャッ!!!!
豚男「ギャアーッ!!」
豚男をバイクごと真正面から轢いた後、トレーラーはスピードを緩めることなく、そのまま走り去っていった。
モンド「あーあ、やっちまったねえw なるほど、そういうことか。でもこれからどうするのさ?」
スレイ「まあ見てろ」
バサッバサッバサッ。
事故現場に空から舞い降りる一匹の生命体。
モンド「あっ、あれはクロエ」
クロエ「あーあ、ぐっちゃぐちゃだねえw 豚男が本物の豚ミンチになるとか、ちょーウケるんですけどwwwww えーっと、ぬいぐるみぬいぐるみっと…。お、あったあった。豚の血で穢れちまったけど、中身は無事のようね。ほい、回収回収ーっとw」
バサッバサッバサッ。
血塗られたぬいぐるみを掴み、クロエは去っていった。
モンド「これで一安心だね」
スレイ「ああ」
モンド「なあ、ちょっと聞いてもいいかい?」
スレイ「何だ?」
モンド「あんた、もしジャンケン大会であの女の子が勝っていたら、同じことをしてたかい?」
スレイ「あ? モンド、お前何が言いたい?」
モンド「いや、女の子がジャンケンで負けた時、一瞬あんたがホッとした表情をしたように見えたからさ」
スレイ「…ケッ、くっだらねえ! 出せ。帰るぞ」
黒塗りの高級車は、サイレンを鳴らしながらやって来る救急車とすれ違い、去っていった。
=END=
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彼にも、ほんの一片の人間らしい感情が?
スレイ https://www.tinami.com/view/553585
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