漫画的男子しばたの生涯一読者
TINAMIX
漫画的男子しばたの生涯一読者
しばたたかひろ
第11回「帰ってきたウルトラマンガたち」

■2000年最後の雑誌チェーック

なんかもうかなり遅いような気もするけど、TINAMIX読者の皆様、アケマシテオメデトウゴザイマース。コトシモヨロシクオネガイシマース。

2001年初っぱなってことで「2000年を振り返る」「1990年代を振り返る」「21世紀を振り返る」……ってな具合にいろいろと「振り返り系」のネタで書きようはあるかな〜という気はしていたんだけど、正直なところ2000年末までバタバタしてたんで、ロングスパンの話となるとまだあんまり考えがまとまっていない。まあこのあたりはTINAMIXの企画など、ほかにもいろいろ振り返る場所はあるような気がするんで、そちらに話を譲っちゃってもいいかな〜とか思っている。

まあちょっとだけ2000年の漫画界を振り返るとするならば、しばた的には「アクション」(双葉社)のリニューアルが最も強く印象に残った事件だった。駅売りもあり、あれだけの実績、それからガチンコな編集方針を持った週刊漫画雑誌が、エロ漫画雑誌に路線変更せざるを得なかったというのは、これまでのようなやり方では生き残っていけなくなってきた漫画界の状態を象徴するかのような事件だった。これからの21世紀、いやこれからの10年、漫画がどのような方向で進んでいくのか、2001年はそれを決定づける重要な1年となるかもしれない。

そんなことを考えつつ、まずは短期的なお話、2000年12月の漫画チェックをいつもどおり始めてみる。連載開始してから、今回のでちょうど1年分の漫画チェック完了ということになるので、この機会にいっぺんまとめて振り返ってみていただくのもよろしいかもしれない。こういうふうにバックナンバーを当たりやすいのはWebのいいところですな〜。

・すべてがFになる?

マンガエフ
「マンガエフ」表紙
太田出版
マンガ・エロティクス
「マンガ・エロティクス」表紙
太田出版
「山田1号」表紙
小学館

12月の雑誌だが、年末ということもあってさほど大きな動きを見せたものはなかった。その中で一つ目立ったのが、太田出版の「マンガエフ」。2000年6月末に創刊されたばかりだが、12月発売号で最終号となった。といってもただ消えたわけではない。同社のもう一つの漫画雑誌「マンガ・エロティクス」も道連れになったのだ……。いや、人聞きの悪い書き方をしてごめんなさい。どうもこの2誌が合併して「マンガ・エロティクスF」という雑誌に生まれ変わるらしい。第1号の発売は2001年1月末予定で、今度からは雑誌コードではなく単行本コードでの販売形態となる。マンガエフ、エロティクス共にサブカル方面からのアプローチで個性的な誌面を作り上げていたが、両誌の差別化があまりできておらず、それぞれの存在意義があいまいになっていたのも事実。この2ラインを統合するというのは自然な流れという気もするが、やっぱり新興雑誌がやっていくのは難しいもんだなあと思わせる出来事だった。なお予告によれば、マンガ・エロティクスF 2001年VOL.1には山本直樹、南Q太、安田弘之、安彦麻理絵、やまだないと、駕籠真太郎、松本次郎、福山庸治、田村マリオ、畑中純、町野変丸、卯月妙子、雁須磨子、山口綾子、砂ほかが執筆予定とのこと。

・その名は「山田」

前回お伝えしたように、小学館は2000年11月末にビッグコミックスピリッツの新増刊として、極厚な強力雑誌「IKKI」を創刊したばかり。これに伴って従来の増刊枠であった「Manpuku!」はなくなるのだとばかり思っていたらあにはからんや。「Manpuku!」という名前自体は消えたのだが、今度は「山田1号」という増刊が発売されたのだ。こちらは従来のManpuku!の流れを引き継いだ、おなじみな感じのある誌面となっている。執筆陣は、山口かつみ、柴田亜美、桐島いつみ、榎本ナリコ、吉田戦車、石原まこちん、とんだばやし、星里もちる、石川優吾、藤波俊彦、松本ななこ、中川いさみ、水穂しゅうし、高野聖ーナ、安永航一郎、池部ハナ子、仲津里美、ほりのぶゆき、窪之内英エロ策、真木ヒロチ、西原理恵子。筆者としては、単行本「他人様の口唇に悪戯して楽し」「ラヂヲ屋の電波使い」(ともに東京三世社。現在は絶版……だと思う)で良質なファンタジー系作品を描いていた池部ハナ子が登用されていたのがちょっとうれしかった。なお、雑誌のタイトルにもなっている「山田」は、吉田戦車連載の「山田シリーズ」からとられたもののようだ。山田とは「伝染るんです。」に出ていた「かわうそ」と思われるキャラのことである。>>次頁

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