タニグチリウイチの出没!
TINAMIX
タニグチリウイチの出没!
タニグチリウイチ

「21世紀はどこにある」

「夢の21世紀」が到来したというのに、元旦の朝に目覚めても執事ロボットが「オメザメデスカ?」なんて言ってくれることはないし、全自動調理器で作られたおせち料理が壁から出て来るなんてことにはならず、かといって黄色とか緑色したカプセルだけを飲めば健康でいられる訳でもない。衣服はと言えば相変わらずのデザインで、未来予想図に描かれていたような銀色の全身スーツなんて誰も着ておらず、外に出るとそこは月面のドームだった、なんてことも全然ない。

これのどこが21世紀? そう思った人もきっと大勢いただろうけれど、考えようによっては手のひらサイズの小さい箱を耳にあてれば、どこにいたって誰とだって会話できるようになっているし、小さな円盤から飛びだす迫力のある音と鮮明な画像で居ながらにして映画を楽しんでいる。100年前に20世紀を迎えた人にとっては、想像もつかなかった進歩が20世紀において確実に果たされていた訳で、まだ始まったばかりの21世紀の間には、月面どころか遠くガニメデから初日の出を眺める、なんてことも可能になっているかもしれない。そしてそれを遺伝子治療の結果大幅に寿命が延びた自分が経験しているということも。環境破壊で地球もろとも人類が滅亡している可能性だって低くはないけれど。

「20世紀はここにある」

さて、過ぎてしまった20世紀に一体どんなことが起こったのかを振り返ってみると、当然ながら100年分もの出来事が積み重なって振り返る人を圧倒する。20世紀のおよそ3分の1を生きた30代半ばの人間がその人生を振り返るだけでも、連合赤軍オイルショックロッキード事件受験戦争バブル景気にその後の未曽有の不景気と、20世紀の歴史を語る上で必ず出てくるだろう事件や社会風俗の数々がズラリと並ぶ。第2次世界大戦を経験している人ならさらに思い出は重なる。その全部を振り返っていたら正直言って100年あっても足りないだろう。そこで。

20世紀の最後の1カ月、東京近郊で思いつくままに訪れた場所で、「20世紀遺産」たり得るものを拾い上げては20世紀ってどんな世紀だったんだろうと自分なりに考え、そんな「20世紀遺産」といっしょに記念撮影を行って歴史に自分の姿を刻み込んでみることにした。恣意的というよりも行き当たりばったりな探訪で、人によってはどこが20世紀遺産だと怒る人がいるかもしれないけれど、そこは世界に冠たる大都会トウキョウ、案外とたくさんの「20世紀遺産」を拾い上げられたような気がする。まずはその一端をご覧あれ。たぶんものすごく恣意的に見えるだろうけどね。>>次頁

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