出没!
TINAMIX
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生来の人見知りで出不精な割には見栄っぱりなところがあって、華やかさに惹かれてブンヤなんて職業を選んでしまったのが運の尽き。おまけに妙な自己顕示欲があって、過剰な自意識を発散させるためにホームページなんか開設してしまったから、取材だけでなくWeb日記のためにネタを拾いに歩かなくっちゃいけない。

平日は本業の発表会や記者会見、土日や祝日は本業半分日記向け半分のネタを集めに、幕張でイベントがひらかれていると聞けば出かけて海からの強風に煽られ、西に有名人のサイン会があると聞けば2時間以上前には開場に到着して行列に並び黙って順番が来るのを待つ。ライブハウスに展覧会にテーマパークに握手会。ネタになると思えば早朝だって深夜だって厭わず出かけるこのフットワークを、恋愛にでも使えば今頃は美しい妻と可愛い子供に囲まれて、優雅な暮らしが出来たのに……。

まあ愚痴はいい。それが使命と割り切って、ひっそりと、しかし確実にあちこちに「出没!」し続ける自称出没系ライターが贈る当コラム。明日のイベント開場で、あなたの後ろに立っている無口な男がタニグチリウイチかもしれないから気をつけろ!ってバレバレだったりすることもあるけれど。

以上、前口上もそこそこに第1回目ってことで、とりあえずは去年「出没!」したイベントから、浮かんで来た傾向みたいなものを振り返ってみよう。メモ、と言うにはちょっと量が多すぎてどこに何が書かれているか書いた本人さえも思い出せない「“裏”日本工業新聞」を99年1月からブンブンと読み返して、まず行き当たったのが2月に「東京ビッグサイト」で開催された「アイドル&アニメカードフェスティバル」だ。

一昨年あたりから急激にマーケットを拡大して来ている「トレーディングカード」の中でも、アイドルとか、アニメやゲームのキャラクターが描かれたカードを専門に扱うイベントで、これが確か第1回目の開催だったかな? 今年は開かれなかったようだから1回でポシャったことになるけれど、トレーディングカード自体はキャラクターショップのアイテムとして定着してきた感があるから、ビジネスとしてはまだまだ可能性のあるジャンルってことになるだろう。

もちろん「トレーディングカード」で先頭を走っているのが「ポケットモンスター」で、これに続いて「遊☆戯☆王」のカードがあることは知っているけど、対象が小学生で集めるというよりは遊ぶ方にウエートが置かれているって点で、いわゆる「大きいお友達」向けの製品とは分けて考えることにする。

気になったのは、このイベントがニッポン放送の主催だったってこと。ニッポン放送は夏に開催の「東京キャラクターショー」も主催していたから、「オタク」系のイベントを2つも仕切っていることになる。年末の「アニメ紅白歌合戦」も入れると3つか。ニッポン放送以外でも出版社だと角川書店、キャラクターショップでは「ゲーマーズ」を展開しているブロッコリーが、どちらのイベントにも協賛なり出展社として名前を連ねてて、そのあたりにビジネスとしてキャラクター市場に注目するメディアや会社が増えて来ているってことがうかがえる。

「オタク」の持つ購買ポテンシャルに注目している企業が多いと言いかえてもいい。だってどっちのイベントも、限定と銘打たれたグッズを買うために早朝から何千人もが長蛇の列を作るんだから、品物を売る側としちゃあこんなに"美味しい"商売はないよね。まあ買う側だってそんな企業の魂胆は先刻ご承知で、それでも踊らされてやろうじゃないかという気分から、必死な思いで早朝から並んでグッズを手に入れ喜んでいる「ふり」をしている節もある。最近のキャラ・ブーム自体にどこか「キャラクターにハマっている自分自身を楽しんでいる」傾向があるから、どっちもどっちということになるのかな。そう思っている「ふり」をしつつ、実は完璧にハマっている自分の照れを隠してるってこともあるけれど、自分の場合。

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