TINAMIX REVIEW
TINAMIX
【刺青●TATTOO】
樋口ヒロユキ

■アニメを彫る、自由を彫る■

久しぶり、樋口ヒロユキっス! 元気してたかな? 前回俺さ、「TINAMIX REPORT 『ネタTと萎えカルの店、少年ジェッター』」でもって、「オタカルチャーの『可能性の周縁』を追っかけるぜ!」みたいなことを宣言しちゃったじゃん? んで、約束通り追っかけました。まぁ四の五の言わずに、まずはこの写真を見てくれ。

FIG01
FIG02

うはははは(笑)。そうゆうことなんスよ。いるんですよねぇ、刺青でアニメ彫っちゃう人が(笑)。普通「オタク」つったらコミケ行ってフィギュア集めてコスプレして……みたいなパターンを思い浮かべると思うんだけど、いるんですよ、こういう痛いことやっちゃう人が。

これを彫ったのは広島在住のヒデロウ君って彫師さんで、既に『広告(7+8号)』そのほかでも紹介してるんだけど、改めてここでも振り返っておこうね。ヒデロウ君は俺と同年輩の彫師さん。ドラゴンボールをはじめ、日本のアニメやマンガが大好きで、お客さんともそういう話で盛り上がるうちに、こういうアニメを彫り込むお客さんが増えちゃった、っていう人なんだ。スタジオに行くとフィギュアがドバ〜っと並んでて、ルパンIII世のポスターが貼ってあって、BGMはアニソン。俺が遊びに行ったときは確か「うる星やつら」がかかってたな(笑)。まぁそういう愉快な彫師さんなんだわ。

タトゥー・スタジオでは普通「コンポジット」っていって、自分が彫った刺青の作品集が置いてあるわけなんだけど、それ覗いてみたら、まぁ出てくるわ出てくるわ。ラムちゃんだのO次郎だの、鉄男にキャプテン・ハーロックにアマゾンライダーと、まぁ何でもありなんだ。


なんだけどね、彼は別にアニメ専門の彫師さんってわけじゃない。下の写真見てもらえば判ると思うんだけど、いわゆる「いかにもタトゥーですねぇ〜」って感じの髑髏のモチーフとか、オリジナルのクリーチャーとかも彫るの。つまり、「好きなモチーフを、自由なタッチで、自由な色使いで彫る」。それがヒデロウ君やその仲間たちの目指すタトゥーなわけね。

FIG03
FIG04

俺はこのヒデロウ君に惚れ込んじゃってて、二回くらい広島にも行ったし、彼がこっちに来たときも一緒にご飯食べに行ったり、犬神商会のTシャツをプレゼントしたりしたんだけど、なんでそんなに彼が好きなのかっていうと、彼がすごく自由な人だからなんだ。彼はオタクでもあるし彫師でもあるし、同時にバイカーでもあるしバンドマンでもある。で、どれかのワクに閉じ込められるのをすごい嫌うんだよね。いわば、「出口主義者・ワイルド版」って感じの人なんだ。

これは彼のところに来てるお客さんもそうで、「人を威かしてやろう」とか「これ彫ってたら強そうに見えるんじゃねぇか」みたいな幼稚な理由でタトゥー彫ってるわけじゃないんだよ。アニメを彫りました、何とかを彫りました、ってのが重要なんじゃくて、その時々の自分の気持ちに正直に、自分が一番大切にしてるものを彫る、ってことを大事にしてるんだね。ちょっとカッコつけちゃうと、彼らはアニメとか髑髏とかを彫ってるんじゃなくて、自由な心を彫ってるんだ。

で、ほかの雑誌に書いたときはここまでで紙幅が尽きちゃったわけだけど、実は、彼みたいな「好きなものを好きなように自由に彫る」っていうスタイルは、決して孤立したものじゃないわけ。今のタトゥーシーンにはものすごくたくさんのスタイルがあって、あまりにもたくさんあるんで総称して「ニュースクール」って呼ばれてるんだ。次のセクションでは、そのあたりをちょっと紹介してみよう。 >>次頁

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