Pock Art Revolution
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解説と参項画像を表示します「SUPER FLAT」なる〜

アメリカの現代美術のリアリティ

村上隆

前回はHIROPON FACTORYの成り立ちと、若手アーティスト育成のことをさらりと流してみましたが、今回は私の個人的なアメリカ体験に基づくN.Y.リアルアートワールドサヴァイヴァルについての現状認識ということを語りたいと思います。

ただし、ある種の観察不足による勘違い又は自分勝手な解釈大爆発をも含んでいるであろうことは了解して頂くとして?

さて、現在コンテンポラリーアートはN.Y.を中心に回っていると言っても過言ではありません。いくらロンドンとかベルリンとかヴェニスが声高に叫んでも、未だN.Y.は中心なのです。では東京はどうか?という可能性は全く別の話としていつかお話ししましょう。そのファインアートもしくはコンテンポラリーアートシーンにはシッカリとしたルールがあります。

まずあちらでの「アート」とはオリジナリティの創出こそが最重要項目であり、日本のサブカルチャーのりで人真似したヴィジュアル重視のテクニック主義とは全く違うのです。オリジナルこそがコンセプト、これ西洋的哲学の極み!とでも言いましょうか。その創出者と創出物が「アートの冠」を与えられる大前提となります。人種、国籍、性別、階級など人間が生きるエリアによるバックグラウンドの違いによる独創性がテーマとなったり、サイコロジカルな変異や歴史との対峙等のパラダイムを主題にして行くなどの違いはあれ、やはりオリジナリティの創出なしには参加できないシーンなのです。オリジナルを携えたものがまずアートピースでありアーティストとして認定されるのです。サブジェクトとしては誕生、青春、恋愛、SEX、老い、死、テクノロジー、宗教等をミクスチャーし、「美」=「Beauty」を基軸に、延々と続いて来たアートヒストリーとの関わり方の順列組み合わせと言っても良いでしょう。その中より前人未到の新しいオリジナルをあみ出すこと。この「オリジナル」ってことに対して結構しつこいんですが、ここが日本の人、よくわかってくんない。これが唯一のルールと言っても過言ではないのですが、日本で人気のサブカル系アーティスト達のほとんどは海外の真似なんですよ。

そしてそこにギャラリー、キュレーター、ミュージアム、アートジャーナリスト興業師等のアートを運営する側の人間達とコレクター、ファウンダー等の金銭面で支える人々がいます。アーティストだけではなく、アートを取り巻く人々がある種のチームを作り、ムーブメントを作ったり、マーケットを動かしたりしています。日本では、戦後からいざなぎ景気を経て、80年代のバブル時までの日本の洋画日本画のメディアミックス型商いのシステムに類似しているとも言えますが、本質的に長い歴史的な視点で状況を見ているか否かが大きな違いなのです。

例えばN.Y.で新人アーティストのデビュー時におけるギャラリーベースの作品の売却価格設定は、その時代の景気や社会的状況の背景が敏感に反映し、基本的には安価に設定されています。時としてプロダクションコスト割れもしたりしますが、その辺の決定はそれぞれのアーティストと関係者の話し合いによります。日本国内のアーティスト志望者やギャラリスト感覚だと安すぎる程の価格帯が新人への相場となります。逆に評価が上昇すると、あっと言う間に値段は上がって行きますが、この時に各作家や関係者がとる道によってアーティストの未来のスタンディングポジションが決定してゆきます。すなわちマーケット内での金もうけをしたいのか?それともアンビシャスなプロジェクトを進めてゆくアーティストになるか?そのチョイスが重要な選択の基準となります。改めてこんなことを言うのも「何」なぐらい当たり前な事ではあるのですが、この「適正価格」という感覚が日本のアートシーンには無いのです。では第1関門を突破したアーティストの価値はどのようにつくられてゆくのでしょうか。コレクターやファウンダー、ジャーナリスト、キュレーター等との距離感覚をどうとらえてゆくか? ある種のゲームルールの中でいかに自由を獲得してゆくのか。レーシングスポーツ、F-1グランプリにおけるドライバーとチーム、スポンサー、メディアの複雑な関係や、ミュージックインダストリー内におけるミュージシャンの立ち回り、レコード会社マネージメント会社・出版社、そしてマフィアの人達?それらのからみ合った世界としてアートシーンも存在しています。ルールの中でいかに自分をクリエイトしてゆくか、又はルールからはみ出すクリエイションが出て来た時にはどのようにルールを改変させてゆけばいいのか。その闘争そのものがアートすなわちオリジナルの創出となるのです。そしてそれらを支えてゆく大きな大きな業界がアメリカには存在し、日本ではバブルとともに無くなってしまいました。業界としての未来を造ってゆこうという考え方は日本の現代美術業界では全く無く、まずシステムは変わらずにアーティストは作品の内容のみの差別化に腐心していれば良いと思っています。そして業界が未来的展望をつくる歴史観が乏しく、その場しのぎで運営されていたためコレクションや方向性がバラバラになってしまっています。そのようになった今の日本のアートマーケットは全方位で行き場を見失っていると思うのです。価値の基準点をリーダーシップをとって制作することに全く無頓着だったいざなぎ景気以降、そしてバブルエフェクト時。無責任マーケット形成の30年間のつけが回って来ていると言えるのです。アメリカの現代美術シーンはその旺盛なフロンティアスピリッツのもと、デジタルレボリューションマネーによって今また、ロイヤルロードを作るべく莫大な金を投下して爆走しています。日本は今、身の程を知り、独自の環境造りを目指すべきです。かつてイタリアのムーブメントで同名のものがあったように(「アルテ、ポーヴェラ」)すなわち貧しい「アート」を造り出すディズニーを目指したけれど、現実的には予算の部分屈した結果、出て来たリミテッドアニメのような手弁当でも、工夫しだいで何とかやってゆける足場を見つけるべきだと思うのです。でも「アート」もしくは「美術」という世界観自体、日本固有のものではないのですから、ルールを知らないと敵を知らずに戦いを挑むようなもんです。

最後に、日本国内そして海外において私が今進めているプロジェクトを紹介します。

「SUPER FLAT」というプロジェクトです。

本の出版(マドラ出版『広告批評』)と同時に展覧会のツアー(渋谷PARCOスタートです)が行われるのですが、西洋化されてしまった日本人のリアルな表現の場所ということと、画面上を走査する目の動きそのものの必然性として「SUPER FLAT」なる「アート」を集めたのですが、中々にわかりづらい。百聞は一見にしかず。ぜひ展覧会にお越し下さり、本も覗いてみて下さい。

東浩紀さんの入魂のテキストも入っています。ぜひ私達のホームページ(→http://www.hiropon-factory.com)ものぞいてみて下さい。詳しい情報が載っています。

HIROPON FACTORYアーティスト最新情報です。

○村上隆
たけしの誰でもピカソテレビ東京系「誰でもピカソ」にゲスト出演中(毎週金曜日 21:00〜21:54放送中)。 「BRUTUS」(マガジンハウス) 4/15号のアート特集にてインタビューが掲載。4/28からの渋谷PARCOギャラリーでの「SUPER FLAT」展準備、および画集制作で多忙の日々。
○ミスター
フジテレビ系新番組「稲垣芸術館」にゲスト出演決定! 稲垣君も絶句のパフォーマンスは見逃せない!(詳しい放送日時は未定)
「SUPER FLAT」展にも参加いたします。
○青島千穂
季刊誌「文藝」夏号(河出書房)より初のイラスト/文章の連載が開始されます。「SUPER FLAT」展にも参加。
○藤本昌
女の子のインディーヴィジュアルマガジン「ヒヨコア」のメジャー版「ヒヨコアスタイル」(河出書房新社)にて、表紙、巻頭写真 を撮りおろしました。 近日発売!
○森岡友樹
この春、大阪芸術大学を卒業し東京に上京、下宿も明大前に決定し、いよいよ新しい生活がスタート。新作をお楽しみに!

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