No.99828

連載小説16

水希さん

第16回

2009-10-09 09:07:59 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:396   閲覧ユーザー数:387

帰りの車内…

 

私達と帰れて嬉しそうな木谷さんと、特に気にしてない楓と、

微妙な顔をしてそうな私。

 

「んで、桜ヶ丘町で下りるんでしょ? その後は?」

「駅でさよなら。反対側に住んでるからねー」

「駅向こうも校区なのだよー」

 それは事実。そして、うちの駅は他の路線が通ってない。もちろん、

歩いて行ける範囲にも他の駅はない。

 バス停だって、あるにはあるけど住宅街といくらかのお店と駅を繋ぐ、

そんなモロにローカルな路線だ。

「だから、駅でさよならだね」

「そっかー。て、私引き返しルート?」

 引き返しかぁ…ふと、大まかな路線図を浮かべてみる…

「だったら、終点まで行っちゃって、そこから乗り換えるってルートもあるね」

「ふむふむ」

 ぱかり、と木谷さんはケータイを開いた。

「路線検索?」

「そ。便利な世の中になったもんよねー」

 と言いながら、もう携帯を閉じてる。

「終わったの?」

「うん。どうやら、このまま終点で乗り換えた方がいいみたい」

「ほうほう」

 にしても、検索早いなぁ。

「ねぇ、もしかして、下調べしてた?」

「え? まさか。だって急な思いつきだし。ただ、私方向音痴で、

普段から使ってるから」

「ほうほう」

 さっきから楓は納得するばかり。

「どのみち、降りるまでまだ時間あるでしょ? せっかくなんだから、

色々お話ししましょ」

「そ、そだねー」

 

こうして、怒濤のおしゃべりタイムは幕を開けたのだった…

 

 

~つづく~


 
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