No.990426

聖ビーストテイマー・ナタ363

リュートさん

一応、新シリーズだけど本編の第3部・第363話。

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2019-04-18 06:28:19 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:201   閲覧ユーザー数:201

フラウとローラとおばあさんは馬車に乗って家に帰りました。フラウは普段、徒歩で帰りますが、おばあさんの為に馬車を用意したのです。玄関先でリリムが出迎えました。部屋は相変わらず散らかったままです。読み散らかした雑誌やら、クッキーをかじったカスなどが散乱しています。

 

「汚いところですけど、ごゆっくりどうぞ?」

 

「このくらいなら汚いとは思わないねぇ」

 

「お風呂、先に入られますか?」

 

「わしが先に入ると湯が汚れるじゃろ?あとでええよ」

 

「いえ、お客様をお先にするのが礼儀ですし」

 

「もう長い事風呂に入っとらんから、汚れが酷くてね」

 

「そんなに臭くないですけどね」

 

「湯を沸かして布を浸して体を拭いてはおったよ」

 

「おばあさん、一緒に入ろう?背中を流してあげるよ」

 

「本当に優しい娘じゃなぁ。わしの孫もこんな可愛い娘じゃったら良かったのに…」

 

「おばあさんのお孫さん可愛くなかったの?」

 

「嫁に似たのか暴言ばかり吐いてくるよ?臭いだとか汚いから触るなって」

 

「そんな事を言うなんて酷い…」

 

「マルヴェールに来て良かった。こんなに歓迎してもらえるとは思わなんだよ」

 

ローラがおばあさんと楽しく過ごしている頃、ルークは残業をしていました。ステイシーが紅茶を淹れています。懐から小瓶を取り出すと白い粉を入れました。それをルークのデスクに持って行きます。ルークは紅茶をチラッと見ると休まずタイプライターを打ち続けました。

 

「紅茶、冷めないうちにどうぞ」

 

「ありがとう。これが終わったら一服するよ」

 

ステイシーはドキドキしながら、じっとルークの背中を見つめています。オフィスには他に誰もいません。作業がひと段落してルークは手を止めました。

 

「ところで…この前のデートでアウローラとは上手くいったのですか」

 

「ん?友達には慣れたんじゃないかな。それ以上にはなれないと思う」

 

…つづく


 
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