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呂北伝~真紅の旗に集う者~ 第029話

どうも皆さんこんにち"は"。
最近はずっとポケモンアルファサファイアに熱中していたザイガスです。
久々にやると、やっぱり止まりませんね。個人的好きなポケモンは、初期ポケ(151)で新種にグレードアップするものが好きです。ゴルバットとかキレイハナとか。そこから御三家ポケモンと、エスパーorあくタイプを選んで、後は流れで選定していく感じです。

さぁ、私のポケモン話はこの辺にして。

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2019-03-28 19:51:14 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:799   閲覧ユーザー数:724

呂北伝~真紅の旗に集う者~ 第029話「臣としての覚悟」

 一刀達が敵を釣っている間、本陣では白華(ぱいふぁ)達が悠々と本陣を防衛していた。

「そうなの。劉備ちゃん達は義姉妹だったのね。なんで姓が違うのに張飛ちゃんが、劉備ちゃんをお姉さんと呼んでいたか不思議だったのよ」

白華は軍を郷里に任せ、劉備達と談笑していた。夢音は護衛である。

「そうなんです奥方様。鈴々ちゃんも愛紗ちゃんも私の自慢の妹なんです」

白華に合わせて笑顔を咲かせる劉備に対し、張飛は少し離れつつ、劉備を守れるぐらいの傍で護衛をしていた。先刻の一刀との一件以来、白華に近づいて口を滑らせないようにする為だ。というのも、義姉である関羽に、自身の空気の読まなさについて説教もされ、張飛もあの痛みと恐怖を味わない様、出来るだけ白華と距離を取っている。そんな彼女とは逆に、劉備は失礼があった罪悪感故か、出来る限り白華の近くにいては、彼女が退屈しないように話し相手になっている。

白華は人妻として劉備に淑女?としての手解きを教えていき、そんな彼女の話に興味を持ったのか、劉備は熱心に話を聞き逃すまいとしていた。そんな中、ある珍客が来訪することになる。

「奥方様、何進様が参られていますがどうなさいますか?」

夢音(むおん)がそう言うと、白華は首を捻る。

「あら、これから軍がぶつかり合う時に何の用かしら?とりあえず失礼の無いようにこちらにお通しして」

白華の言葉に夢音が了承する。やがて彼女が何進を連れてくると、白華は劉備を張飛の所まで下げて何進に頭を下げる。

「初めまして大将軍何進様。本日はいったいどの様なご用件でこちらに参られたのでしょうか?」

恭しく礼を尽くす白華に対し、何進は尊大な態度で腕を組んでいるが、その目は憎悪と嫌悪の炎に塗れており、次の瞬間白華は何進に頬を叩かれ、頬を少し腫らして口の中を切った。二人の間には夢音が白華を守るように立ち塞がる。

「ちょっと待つのだ。奥様に何をするのだおb――」

張飛が抗議の声を挙げようとした瞬間、彼女の体と口元は誰かに防がれる。いつの間に来ていたのか、郷里が張飛の体を抱き留めながら、張飛の視線に対して首を振って応える。

「.........何故だ?何故お前なんかが一刀の傍にいる。余の方が若く権威も力も財力もある。それにも関わらず、何故お前の様な女が......一刀の傍にいる‼‼」

そういうと何進は鞭を取り出して白華に攻撃を加えるが、その攻撃は夢音によって掴まれ、無効化される。

「一体何をなさるのですか?奥方様が貴女様に何をなさっというのです?」

「簡単なことよ。そやつは余の一刀を勾引(かどわ)かした」

何進はしならせた鞭を引っ張り、夢音もそれを逃がすまいと握力を強める。

「余は一刀を手に入れる為にあらゆることに手を染めた。そして今の地位を手に入れた。全ては一刀の為。一刀を手に入れる為に大将軍にまで昇りつめたのじゃ。何度も官位を譲与しようとした。だがその度に断れ続けた。「今は扶風を離れることは出来ない。その代わりにウチの義父である丁原に官位をあげてくれ」と言われたわ。一刀の頼みじゃ。余はそれをのんだ」

そうやって分不相応ながらも、宮中にて地位を高めていったある日、久方ぶりに一刀より竹簡が届いてきた。筆跡は祐筆の物であり、本人の物ではないが、基本的にこちらから出すことはあっても、相手から出してくれることはなかったので、何進は心を弾ませて文を読むと、そこに書かれた文を読むと驚愕し、小鹿の様に足を震わせて崩れ落ちた。

日頃の自己鍛錬による記録や、王朝への忠節、大陸の行く末に始まる形式文など書かれて、自身も身を固めることを決意する報告。内容としてさっくりまとめると「結婚しましたー♪」ということだ。この文は洛陽に住まう一刀と関わりの持つ有力貴族・豪族にはあらかた手紙にて送られている。時の皇帝である霊帝には質の良い紙で直筆にての正書(せいしょ)書きを(したた)めて送っている。また十常侍の宦官などの宮中と根が深い有力者にも直筆の手紙で送っている。結局の所、一刀自身が何進に対して評価はそこにあった。何進の権力を行使するときにおいては、背後に霊帝の寵愛を受けている妹の何太后がいる。なので大抵のことはその環境下にて上手い事出来る。ようはその権力を如何にして利用するかに権力の使い道が試される。

何進は自らがのし上がることに重点を置き過ぎていた為、権力はあっても宮中に根強い繋がりは無い。いざという時に彼女の為にと命を捨ててくれるものはいないだろう。一刀はその点も含めて彼女を評価した結果、祐筆頼りによる竹簡の形式的な文にしたのだ。

だがそんな査定評価は露知らず、何進はただ思い人が他の誰かの物になったことだけに思考を奪われて放心してしまった。

そのことを妹に相談しても、「あら、目出度いことね。早速お手紙返さないと」と言ってどこ吹く風。宮中に挙がって以来あの日程何進は、悔しさ溢れ地団駄踏んだ。ことは無かった。

「しかし余が洛陽にて王宮の凡俗や宦官を相手にしているうちに、あろうことか一刀は妻を取ったという。相手はどこぞの豪族の未亡人であろうとか。何故そのような年増に一刀を渡さねばならぬのか!?あれ程の怒りに打ち震えたことはない。一刀は余の者じゃ。一刀の隣は余こそ相応しいのじゃ‼‼」

更に鞭を引く力を強める何進に、夢音も負けじと奮闘する。

「成簾、やめなさい」

しかしそんな彼女の奮闘を押し留めたのは被害者である白華であった。夢音は鞭を掴む手の握力を弱めると、何進は鞭をしならせて一つ地面に叩きつける。

「お言葉の通り、呂戯郷は私にとっても過ぎた夫にございます。この身が気に入らないと申されるなら、どうぞ心行くまでその鞭でお打ち下さいませ。しかし顔に攻撃するのはおやめください。夫に気付かれたくはありませんので」

そう答えて地面に正座をする白華に、何進は更なる憎悪に顔を歪めて黒い微笑を浮かべる。

「.........ふふふ、いい度胸じゃ。そこまで言うなら存分に打ってやろう」

何進の鞭が白華の体に当たる。太腿に、腰に、脇に、背中に。それでも白華は動じずに正座を続ける。体中が赤くなるであろう鞭による攻撃を受けていながらも気丈に振る舞い、その痛々しさに夢音が腰の剣に手をかけようとした瞬間――。

「成簾‼手出し無用‼黙して護衛に勤めなさい‼」

その言葉に何進は初めて夢音が自らに斬りかかろうとした準備に気付き、夢音は再び直立して、握る拳から血が滲み出て血が滴る。

「ほう。主は五胡の者か。五胡の者でも血が赤いのだな。成簾とかいったな。お主の事は丁原から聞いておる。自らの子を失いながらも自分に忠義を尽くす自慢の部下だとな。しかし一刀の親である扶風にその人ありと言われた丁原も耄碌(もうろく)したものよ。このような下賤な輩を抱えているとは。漢王朝では所詮五胡の民は奴隷。下賤な民は所詮下賤。親も親なら子も子じゃ。その髪の色と同じ”穢れた血”が混じっているのだからな」

その言葉に夢音の刻が止まる。やがて伸ばした背筋の力を抜いて、腕を遊ばせ怒気を解放させる。その気に何進は冷や汗を掻き始めてたじろぎ、夢音が腰の剣に手を欠けようとした時、後方より一つの物音が鳴り響くと、夢音は冷静さを取り戻す。

視線の先には白華が地面に木の棒を突き刺し、その圧で地面にめり込んでいた。

「......子は関係ないでしょ、子は――」

白華の武器は仕込み刀である為に、突き刺された木の棒から、スラリと刀身が露わとなる。打たれた鞭の痛みの影響か、白華は若干ふらつきながら立ち上がる。

「不浄の子は不浄であると一体誰が決めたの?子は誰しも無垢な存在として生まれてくるもの。その子の存在を決める権利が誰にあるっていうの?」

「き、貴様、一体何を」

「子供の文句は私に言え‼‼」

「お、奥方様いけm――」

夢音の静止の声が終える前に、目を見開いた白華が何進に一閃を繰り出す。何進もそれに応じて鞭をしならせて迎撃の一撃を与えようとするが、二人の間に一つの影が入り込む。

 

二人に割り込んだ影の正体は郷里であり、白華の一閃を押し留めることに集中するあまり、何進の鞭は防ぎきれず、顔面に鞭の攻撃がめり込んでしまう。めり込まれた鞭を引き剥がすと、何進に対し自らの持ち入れる限りの眼光を飛ばし、何進をたじろがせる。

「夢音殿、大将軍様はお帰りです。外までお見送りを――」

白華の前に立ちふさがり、正面切っている郷里の威圧に何進は後退りすると、夢音が何進の肩に触れる。

「将軍様、入り口までお見送り致します」

片手に持つ剣と威圧にて臨戦態勢に入っている夢音を見て、何進は胸を張りながらも、逃げるようにして退散する。

「郷里ちゃん‼あぁ、私の為になんてことを‼劉備ちゃん、水を貰って来て下さい‼」

彼女の指示で即座に劉備は動き出す。白華は刀を投げ出し打たれた郷里の顔を撫でる。

「奥様、ご無事でしたでしょうか?」

「えぇ、えぇ大丈夫よ。それよりごめんなさい。私の為に郷里ちゃんの顔を傷つけてしまったわ。本当になんて言ったらいいか」

「い、いえ、これぐらいどうということでもなく」

郷里自身は日頃の訓練にて痛みに慣れている為に、何進の攻撃より強い痛みは何発ももらっている。だからそれほど苦には感じていなかった。

「どうということあるわけないでしょ‼‼」

郷里の何気ない一言に白華の怒号が響く。その間に冷水と布を持ってきた劉備の荷物を受け取ると、白華は自ら布を用いて郷里の顔に冷水を染み込ませた布を宛がう。

白華はひたひたと涙を流しながら郷里の顔を優しく撫でる。

「郷里ちゃん。貴女の一刀に対して忠義は嬉しいし、私に対しての謙虚な気持ちは忘れたこともないわ。でもね......貴女も女の子なのだから......もっと自分を大事にして――」

「......奥方様、それでも私は軍人です。ご主人様に忠誠を誓った時から女は捨てました」

「それを聞けば楊奉(ようほう)のお爺様がどう思うかしらね」

「.........」

楊奉の教えにて、「自らを建てることの出来ない者は、相手を建てることが出来ない」という教えがある。常日頃から他者に対し自らを犠牲にして、省みない郷里に対して送った言葉である。

「確かに師よりその様に教えを授かりました。私自身自らを軽視している性格も熟知しているつもりです。しかし私自身も譲れない物があります。ご主人様、奥方様、恋様だけは全てが犠牲にしても私が守ります。そう心に固く誓っています」

郷里の真っ直ぐな瞳は紛れもなく真実を語っていることだろう。だが真実を語っているだけである......。

 

 やがて一刀の釣りにかかった黄巾軍が、本陣近くまで接近してくるという伝令を聞くと、白華は素早く周りに指示を飛ばす。

「全軍魚鱗陣を引きなさい。戻ってきた先行軍と合流して、そのまま敵軍を叩く」

白華は再び濡れ布を水に付けて郷里の顔に巻く。

「おちおち休憩もさせてくれなくなったわね。どう?郷里ちゃん、いけそう?」

「愚問です奥方様。いつでもいけます」

その言葉に白華は頷くと、仕込み刀を拾い上げて鞘にしまう。

「吐いた唾は飲み込めないわよ。前方が見えないからと言って指揮が取れなくなるなんて言葉は言わないでね」

「所詮は鹿の攻撃です。師の鉄拳に比べれば可愛い物です。奥方様も膝が笑って落馬なんてことのないように」

売り言葉に買い言葉。郷里の反応にそっと笑い安心すると、懐をまさぐると取り出したものを彼女に付ける。

「これは?」

「一刀に貰った私のお守りよ。怪我を隠すのにちょうどいいわ」

「そ、そのような大事な物は流石に――」

「いいのよ。お守りなんて所詮は飾り。本当に大事だと思う物はいつも自身の胸の中にあるわ」

そういわれ、郷里の後頭部に細い紐の様なものが結ばれると、彼女の顔半分に何かをはめ込まれるような小さな圧がかかる。白華が付けた物は一刀に与えられた戦の時に付ける仮面である。用途としては普通に顔を防備する為であるが、敵や味方に畏怖を与える為か、一刀の様に赤色で小さい角が付いていた。付け終えると、恥ずかしがりながらも郷里は小さく頭を下げて、納得した白華は全軍が整列すると檄を飛ばす。

「いくわよ皆。敵は大陸の膿が作り出した害虫達。この戦は序章に過ぎない。無駄死になんか許さないわよ。隣の友が窮地ならば助けよ、さすれば自らの窮地には友が救ってくれる。最後隣に友が立っていれば我らの勝利だ。運は天にあり、鎧は胸にあり、手柄は足にあり、死なんと戦えば生き、生きんと戦えば必ず死するものなり、家を出ずるより帰らじと思えばまた帰る、帰ると思えば、ぜひ帰らぬものなり。天に祈ることは不要なり、死神であらされる我らが主の臣である汝らこそが、敵を屠る鬼兵なり‼‼」

白華の激励の後、兵は歓声を挙げ、片手を挙げて一体となる。乗馬をした白華が鞘から静かに刀を抜き去り、空を切らせて敵陣に切っ先を向ける。

「我に続け。全軍、突撃ぃ‼‼」

 


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