No.987412

真・恋姫外史 がんばれ一刀お笑い道中~僕が外史に降りた理由~ 第二十五話

アキナスさん

戦を終えて・・・・・・

2019-03-17 04:55:52 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:3953   閲覧ユーザー数:3256

反董卓連合軍の降伏によって戦いは終わった。

 

董卓軍と袁術、孫策軍は合流し、事後処理を進めて洛陽へ向かおうとしていた。

 

そんな中、孫策軍に戻ってきた雪蓮達。

 

出迎えたのは冥琳だった。

 

「お互い無事で何よりだな」

 

「ええ。ところで、ここに来る前に袁術が泣きべそかいてた所見たんだけど、何かあったの?」

 

「まあな」

 

話は少し遡り、反董卓連合軍降伏のすぐ後、袁術は捕縛された袁紹と対面を行っていた。

 

袁紹は枷をはめられ、憎悪の表情で袁術を睨んでいた。

 

「無様じゃのう。麗羽姉様?」

 

「黙りなさい!この裏切者!」

 

「ひっ!?」

 

袁紹の怒声に体をびくつかせる袁術。

 

それを見た張勲が、袁術をかばうように前に出た。

 

「袁紹様。確かにあなたから見れば私たちは裏切者でしょうけど、袁紹様に言われる筋合いは無いと思いますよ?」

 

「どういう意味ですの!?」

 

「それは洛陽にいけばはっきりすると思いますよ?もっとも、はっきりしようとしまいと、袁紹様はもう終わりでしょうけど・・・・・・美羽様。もう袁紹様を連れて行ってもいいですよね?」

 

「う、うむ・・・・・・」

 

兵士に引っ張られ、その場を後にする事になった袁紹。

 

だが、その前に袁紹は袁術を睨みつけ、叫んだ。

 

「覚えていなさい美羽さん!この怨み、死んでも忘れませんわ!!」

 

「ぴぃっ!」

 

怨嗟のこもった叫びをぶつけ、袁紹は去って行った・・・・・・

 

 

 

 

 

「・・・・・・と言う訳だ」

 

「なるほどね」

 

「そうだ。一刀」

 

「ん?」

 

「その・・・・・・お前の親衛隊の事なのだが・・・・・・」

 

言い淀む冥琳。

 

その態度で、一刀は全てを察した。

 

「・・・・・・逝っちまったか」

 

「・・・・・・ああ。我が軍の殿を務めて、全員な」

 

「・・・・・・」

 

無言になる一刀。

 

そんな時、祭が口を開いた。

 

「おや?あれは袁紹では?」

 

見ると、枷をはめられた袁紹が、袁術軍の兵士に連れていかれていた。

 

その表情は怒りに歪み、周りを睨みつけながら歩いていた。

 

あまりの迫力に、視線があった兵士たちは縮こまるばかり。

 

そんな事を繰り返す袁紹が呉の面々を見つけ、同じように睨みつけた時・・・・・・

 

「!?」

 

袁紹は動揺した。

 

自分以上の憤怒を感じたからだ。

 

その憤怒をぶつけてきた相手とは、

 

「・・・・・・」

 

一刀だった。

 

殺気と怒気を孕んだ鬼気迫る表情に、袁紹は目をそらし、萎縮した様子で去って行った。

 

「・・・・・・ふぅ」

 

一息ついて元の表情に戻った一刀に対し、雪蓮は意外そうな顔で言った。

 

「珍しいわね。一刀がそこまで怒るなんて・・・・・・」

 

「いや、一刀の怒りはもっともじゃろう。部下たちの生涯最後の大舞台に、最後の最後で泥を塗られたんじゃからな」

 

「・・・・・・さすが祭さん。よく分かってらっしゃる」

 

「一刀。気持ちは分かるけど、怒りも悲しみも、今はしまっておきなさい。戦は終わったけど、まだやる事はあるんだから」

 

「ああ。分かってる」

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

事後処理を一通り終え、董卓、袁術、孫策軍一行は反董卓連合軍を引き連れ洛陽へと向かった。

 

汜水関を通る際、捕虜にされた関羽、張飛、文醜、顔良も合流し、それぞれの主と再会する事となった。

 

「あなた達!聞いたところによると一撃でのされたそうじゃありませんか!恥ずかしくないんですの!?」

 

「いやいや、麗羽様。あれは呂布が強すぎたんすよ」

 

「文ちゃんが考え無しに突っ込んでいったのも原因だと思うけど・・・・・・」

 

「斗詩も一緒にやられただろ?」

 

「文ちゃん一人じゃ無理だと思ったから仕方なく・・・・・・」

 

「だいたい、あなた達がもっと粘ってくれていればこちらにも勝ち目が・・・・・・」

 

自分の失態を棚に上げ、部下を叱り飛ばす袁紹。

 

「面目ありません桃香様。私と鈴々の力が足りぬばかりに・・・・・・」

 

「鈴々、自分が情けないのだ」

 

「愛紗ちゃん達のせいじゃないよ。それよりも、二人が生きててくれて本当に良かった・・・・・・」

 

嬉しさのあまり、目に涙を浮かべる劉備。

 

この戦が始まって以来絶望の連続だったのだから、嬉しさもひとしおだろう。

 

「私達も死を覚悟したのですが、呂布にとどめを刺される直前、北郷一刀が止めに入りまして」

 

「北郷さんが?」

 

「考えがあるから生かしておくみたいな事を言ってたのだ」

 

「ん~~、何だろ?」

 

「分かりません。しかし、裏切り者の考える事などろくでもない事に決まっています!」

 

「朱里ちゃんはどう思う?」

 

「私達を自分たちの陣営に引き込むつもりではないのでしょうか?正直、それ以外にお二人を生かしておいて得する事は無いと思うんですが・・・・・・」

 

「う~ん・・・・・・そうなのかな?」

 

「馬鹿な事を。私達は桃香様以外の人についていくつもりなど無いというのに」

 

「なのだ!」

 

 

 

 

ところ変わって、馬超、趙雲、公孫瓚は口々に不満を漏らしていた。

 

「それにしても、不本意な幕切れだったなあ・・・・・・」

 

「うむ。戦いで敗れるなら納得もいくというものだが、大将の悪事による内部崩壊とはな」

 

「麗羽もろくでもない事しでかすんじゃないかとは思ってたけど、ここまでやるとは・・・・・・」

 

大きなため息をつく公孫瓚。

 

そんな三人の後ろから、声が聞こえた。

 

「本当にろくでもない事しでかしてくれたよ。死力を尽くして戦ってくれた兵士達に申し訳ないと思わなかったのかねえ」

 

「同感ですな。ところで・・・・・・どちらさまでしたかな?」

 

三人が振り向くと、そこには一刀がいた。

 

「これは失礼。俺の名は北郷一刀と言う」

 

「北郷・・・・・・もしかして桃香が言ってた天の御使いか?」

 

「ああ」

 

「天の御使いって・・・・・・何だか胡散臭い話だな」

 

「よく言われる」

 

馬超の台詞に苦笑いを浮かべる一刀。

 

「それで、その天の御使い様が、我らに何の用で?」

 

「少し聞きたいことがあってな」

 

「何でしょう?」

 

「孫策軍が後退する際、殿を務めた部隊がいただろう?あそこにいた老兵達は、俺の親衛隊だったんだ」

 

「何と・・・・・・」

 

「戦ったのがあんた達だと聞いてな。どうだった?孫策軍最強の兵士達は?」

 

「・・・・・・見事な戦いぶりでした」

 

「ああ。この錦馬超と、趙雲子龍が全力を出しても抜けなかったんだからな」

 

「・・・・・・そうか」

 

ふと、一刀は空を仰いだ。

 

「皆、満足して逝ったのかなあ・・・・・・」

 

「僭越ながら、それは間違いないかと」

 

趙雲の声に、視線を戻す一刀。

 

「彼らは皆、満足げな笑みを浮かべて死んでいきました。あの死に様には正直、羨望すら感じましたよ」

 

「・・・・・・そうか。教えてくれてありがとう」

 

趙雲の言葉に、一刀は微笑んで言った。

 

「どういたしまして」

 

「それじゃあ用も済んだことだし、失礼」

 

そう言って、一刀はその場を後にした。

 

 

 

 

「天の御使いかどうかは分からないけど、なかなかの人物みたいだな」

 

 

 

 

「ああ。さすがあの兵士たちの将というべきか・・・・・・」

 

 

 

 

「ふむ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも、アキナスです。

 

次回はいよいよ洛陽です。

 

反董卓連合軍の沙汰はいかに?

 

では、また・・・・・・

 

 

 

 

 


 
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