No.980091

左利きの魔剣士37

リュートさん

昔、知り合いが某少年漫画に持ち込みして、編集の人にこき下ろされまくった作者の原作の小説。復刻版の第37話です。

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2019-01-10 20:06:36 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:239   閲覧ユーザー数:239

ジンは風呂屋に行って汗を流した後にふと見ると、ルリの指輪が脱衣所に置いてありました。どうやら妖精のルリも入浴中のようです。指輪を手に取ってジンは呟きました。

 

「この指輪、売ったら少しは金になるかな?」

 

安物のガラス玉の指輪だとわかってはいましたが、風呂屋の帰り道に質屋に寄って指輪を鑑定してもらいます。

 

「これは…!エルフの涙と呼ばれている宝石だね。不思議な魔力が宿っている」

 

「えっ?そうなんだ…。いくらで買ってくれんの」

 

「これなら十万は出す」

 

「十万?マジか…。やっぱり売るのやめる!」

 

ジンが帰ろうとすると、慌てて鑑定士が呼び止めます。

 

「すまなかった…。五十万でどうかな?」

 

「なんで急に値上がりしてんだよ?なんだか怪しいな」

 

「いくらなら売ると言うんだ」

 

「帰って仲間と相談してから決めるんだよ?」

 

「そうか、売る時は他の店には行かないでここに来てくれ」

 

「なんでだよ?そこまで価値が高い物なのか」

 

野宿しているテントのそばに帰るとルリが泣いていて、イノンドが慰めていました。

 

「また買って差し上げますから泣き止んでください…」

 

「あの指輪が一番お気に入りだったの。あれじゃなきゃやだ!」

 

「ルリ、俺が買ってやるから今から露店に見に行こうぜ?」

 

「ジンが買ってくれるなんて…。どう言う風の吹き回しだよ?明日は空からヒョウでも降りそうだね」

 

露店の前に来るとジンはニコニコしながら言いました。

 

「好きな物を選んで良いぞ。全部買ってやるよ?」

 

「えっ…気前が良すぎて怖いんだけど?それじゃ、これとこれとこれにする!」

 

「それだけで良いのか?もっと好きなだけ選んで良いんだぜ」

 

…つづく


 
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