「扉」

扉はいろいろなところにある

家、町、学校

それぞれが入り口であって出口である

表であって裏でもある

開き方にもいろいろある

横に開くもの、内側外側に開くもの

扉を開けば

今までいた場所とは異なる世界が広がっている

楽しい世界…悲しい世界…

嬉しい世界…寂しい世界…

日常には必ずある扉

いつも何気なく通っている扉

もし、その扉が無かったら

どういう世界になるだろう

いろいろな世界がひとつに混ざり合い

互いが互いを侵食し侵食され

彼方と此方の区別がなくなる時

どんな世界が目の前に広がるだろう

楽しい世界悲しい世界嬉しい世界寂しい世界…

世界のどこかには戦争が起きている

銃弾、砲弾、爆雷、地雷

様々なものが飛び交っている

叫び、悲鳴、断末魔、泣き声

戦場という扉の向こう

その世界は赤く染まっていく

戦場という扉の向こうは地獄という世界だった

地獄では生命は誕生しない

ただ命が消えていく

そこは何も無い

希望も未来も奇跡も無い世界

そこにあるのは絶望だけ

そこにある扉の名前は

『地獄逝き』