No.975703

愛しいひとへ。物語編-連れて行って-

炎華さん

この話から、物語風になります。
今まで書いてきた『愛しいひとへ。』に少し肉をつけてみました。
なお、作中の『炎華』は語り手として、
またはその語り手の相手としての呼び名でありますので、
私自身のことではないです。

2018-12-05 09:57:23 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:363   閲覧ユーザー数:363

炎華。

俺、フラれたわ。

『重い』言われた。

俺の想いは、重すぎるって。

いつもいつもそうなんだ。

いつもいつも。

彼女はもっと気楽につきあいたかったらしい。

俺はいつも、『最後の女(ひと)』と思ってつきあうけど、

それが重いらしい。

なんだかもう、生きていくのも嫌になったわ。

いっそ樹海にでも行きたい気分だ。

そして、もう帰らない。

そうしたら、もう悩まなくてすむし、こんなに悲しまなくてもすむ。

・・今、なんて言った?

一緒に行くって、言わなかったか?

俺の聞き違いか?

 

 

 

なんで?

遊びに行くんじゃないんだよ?

いや、待て。

一緒に逝けるわけないだろう?

俺はそんなつもりじゃ・・

いや、お前と一緒には文句はないが。

お前を巻き込むわけにはいかないって。

俺は、Nに恨まれたくないぞ。

 

 

黙っていなくなれば、Nもあきらめるって?

いやいや、そんな簡単には・・

いったい何があったんだ?

喧嘩したのか?

なぜ黙る?

黙ってちゃわからんぞ?

ちゃんと、自分の言葉で言ってみろ。

   「・・もう・・

   疲れたんだ、お兄ちゃん。

   ずっと愛されてたと思ってたけど、そうじゃなかったんだ。

   それでも、私がいなくなるのが嫌なんだって。

   本命には愛されないけど、代わりには愛されてるから、

   それで我慢したいんだって。

   『代わり』だって。

   それをわかっているのに、なんだろう?この罪悪感。

   私がなんでこんな罪悪感を抱かなくちゃいけないんだろう?

   こんなつらい思いをするなら、Nの所へ真っ直ぐいけばいいのに、

   罪悪感が邪魔をして、いけないんだよ。

   ここにはいられないし、いたくない。

   でも、Nの所にもいけない。

   いっそ、私がいなくなってしまえば、両方があきらめるだろう。

   だから、逝くなら、一緒に連れていってよ。」

 

 

 

・・炎華

 

   「お兄ちゃんがどうしても逝くというのなら、私も一緒に逝く。

   まだ生きていくことを頑張るというなら、

   一緒に逝くことをあきらめるから。」

お前、言ってることが、滅茶苦茶だぞ?

だいたい誰が死にたいんだよ?俺じゃなかったのか?

 

俺は、生きていく意味がよくわからなくなったんだ。

今までも、明確な意味ってなかったけど。

目標もないし、生き甲斐もない。

一番好きだった女に、重い言われて、フラれて、

俺は生きていく気力もなくした。

この先生きていても、何もいいことはありそうもない。

だから、死にたいと思ってるんだよ。

 

お前はどうなんだ?違うだろう?

それに、

2人のことばかり、他人のことばかり考えてるけど、

本当に本当はどうしたいんだ?

他人のことなんて考えないで、

自分が思うようにすればいいんじゃないのか?

 

 

 

・・・わかった。

お前の答えがでるまで、樹海にはいかないことにする。

よく考えて、やっぱり俺と逝きたいと言うのなら、一緒に逝こう。

よく考えなくても、どうすればいいか、とっくにわかってるとは思うがね。

 

 

 

 


 
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