梅雨と風邪
梅雨に入り、雨ばかり降っている。
空はどんよりと灰色の雲が広がっている。
「長山、また雨だね…」
「そうだな…これだと体がなまってしまうよ…」
ロングヘアでゆるふわ系の鳥海とショートボブでボーイッシュな長山が話していると、
「おはよう~」
「おはよう~って!生駒!すごい濡れてるんだけど!」
「おはよう、タオルで体拭いて、着替えて来いよ。」
雨で濡れた生駒が着替える。
「ていうか、なんで傘ささないの?」
「だって、家出たとき、降ってなかったし…」
「降ってる時に気付くでしょ。」
「うん…」
生駒は鳥海と長山と話しながら、椅子に座る。
「いや、まだささなくていい…まだささなくていい…って思ってたら、すごい降ってて…」
「濡れたと…」
「そうそう…」
「風邪ひくから、これあげる。」
長山は生駒にタオルを渡す。
「ありがとう…」
「あれ、この匂いは…」
鳥海が教室の匂いを嗅ぐ。
「くんかくんか…」
「匂いでわかるのか…?」
「あっ、熊野だぁ!」
「鳥海ちゃん、長山ちゃん、生駒ちゃん、ごきげんよう」
「鳥海。」
長山が肩をとんとんと叩く。
「なぁに、長山?」
「教室のいい匂いって…」
「熊野から出てるよね…?」
「えっ、私…そんなに匂うの…?」
「いい匂いだけどな。」
「そ、そうかしら…」
熊野が恥ずかしそうにスカートの丈を握る。
「うぅ…寒い…」
「大丈夫か?」
「風邪…ひいちゃったかも…」
「私のセーターを貸そうか?」
「ありがとう…優しいね、長山は…」
そう言われると、長山は顔を真っ赤にして、
「あ、あったりまえだろ!友達なんだからよぉ!」
「あれ~長山ってば、照れてる~」
「う、うっせぇ!」
長山は優しく鳥海の背中にチョップする。
「おはよう~外、すっごい雨だね…」
「あっ、おはよう~福田」
「福田ちゃん、ごきげんよう!」
「おはよう、鳥海ちゃん、長山ちゃん、熊野ちゃん、生駒ちゃん!」
「雪見だいふく…モフモフ布団…」
「えっ?」
「えいっ!」
「ひゃぁ!」
生駒は福田の脇腹を揉む。
「生駒ちゃん、くすぐったいよぉ…」
「雪見だいふく!」
「お腹揉まないでよぉぉ!」
翌日、生駒は風邪をひき、福田はお菓子の食べ過ぎでまた太ってしまった…
「へっくしょん!うぅ…寒気がするし、頭痛いよ…」
「体温、何度?」
「さ、37.6℃…」
「今日、学校お休みする?」
「う、うん…」
生駒は風邪薬を飲んだ後、眠ってしまった…
「うぅ…長山ぁ…それは強すぎるよ…」
「鳥海は…エッチだなぁ…」
zzz…
zzz…
雪見だいふく…
夜になると、すこし元気になった。
「体温計る?」
「うん。」
生駒は体温計を脇に挟む。
ピピピ…
ピピピ…
「何℃?」
「37.1℃」
「明日には学校行けそうね。」
「うん。」
その後、生駒は雨が降ったら、傘をさそうと心に誓った。
夏祭り
太鼓の音が広場に響き渡る。
「夏祭りだー!」
「久しぶりだな~」
鳥海と長山が広場に入ると…
「鳥海ちゃん、長山ちゃん。こんばんは~」
「あっ、福田ちゃん。来てたんだ~」
「うん!」
鳥海は福田が持っている、大盛り焼きそばに目を向ける。
「す、すごい量だね…」
「そうかな…」
「これ、全部食べるの?」
「うん、そうだけど…」
鳥海と話していると福田のお腹が鳴る。
(ぐぅぅぅぅ…)
「お腹なってるよ」
「…食べていい?」
「いいよ~」
福田は椅子に座ると、大盛りの焼きそばを食べる。
「どう、おいしい?」
「うん、美味しい!鳥海ちゃんと長山ちゃんも食べる?」
「うん!」
「いただこう。」
3人は大盛り焼きそばを食べる。
「もぐもぐ…もぐもぐ…」
「おいしいな。鳥海。」
「うん!そうだね。長山。」
大盛りだった焼きそばはすべてなくなり、福田は綿あめを売っている売店へ向かった。
「まだ食べるの?」
「うん、甘いものは別腹だからね!」
そう言うと、福田は綿あめを3つ購入した。
「鳥海ちゃんと長山ちゃんも食べる?」
「うん!長山も食べる?」
「うん、いただこう。」
3人は綿あめを頬張る。
「甘くておいしい…!」
「少しべとべとするなぁ…」
「ほぼ糖分だからね…」
その後、福田はフランクフルトとたこ焼き、りんご飴を食べた。
「あ!」
「盆踊りだな。」
「長山も一緒に踊ろうよ!」
「そうだな、食後の運動にぴったりだ。」
鳥海と長山は盆踊りに参加した。
「盆踊り楽しかったね…!」
「そうだな!」
「あれって、福田ちゃん?」
そこにはまんまるに膨らんだ福田がいた。
「うぅ…げっぷ…」
「すっごいお腹だね…大丈夫?」
「うん…ちょっと羽目を外しすぎちゃったかな…」
「立てるか?」
「うん、なんとか…」
福田は妊婦さんのように膨らんだお腹を抱えながら、ゆっくりと歩いた。
鳥海と長山は祭りが終わったあと、水着を買った。
鳥海は下着のような水着、長山はブラジャーにボクサーパンツのような水着を買った。
「今日は楽しかったね~」
「そうだなぁ…!」
「これも長山と一緒に行ったからかな…!」
「私も鳥海といっしょに行けて楽しかったぞ。」
2人は手をつないで一緒に帰っていった。
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梅雨のせいで雨が続く、倉城市。
傘嫌いの生駒は傘をささずに学校に行くが…
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