No.973732

愛しいひとへ。-お星様になったあなたへー

炎華さん

自身の経験からだけでなく、近しい方々からうかがったエピソードから、炎華が勝手に想像した『想い』です。

2018-11-14 18:24:13 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:439   閲覧ユーザー数:438

ずっと、私のお腹にあなたが宿るのを待っていました。

何度も何度も遠い病院へ行って、

何度も何度もつらい思いをして、痛い思いをして。

それでも、きっとあなたがくると信じてました。

 

あなたが宿ったとわかったとき、

とってもとっても嬉しかった。

言葉で表せないほど嬉しかった。

パパなんて、ほんとうにほんとうに喜んで、

ママに「ありがとう!」って大きな声で言ってくれて、

ぎゅっと抱きしめてくれました。

「頑張るよ!」

って、

「バンザイ!」

って。

 

ママも、「ありがとう」って、パパとあなたに言いました。

「よく来てくれたね。」って、あなたに言いました。

 

あなたのいるお腹は、ほんわり温かいような気さえしてました。

まだ、形もないのに、どくんどくんと聞こえるような気さえしてました。

 

 

それから少し経った頃、

なんだかいつもと違って、あなたのいる辺りが冷たく硬く感じました。

怖くなって、とても怖くなって病院へ行くと、

先生が、あなたはもうママのお腹にはいないのだと、言いました。

形ができる前に、逝ってしまったのだ、と。

その言葉が何を意味するのか、最初はわかりませんでした。

先生のつらそうな顔を見ているうちに、

あなたがいなくなってしまったことがわかってきました。

 

あなたは、もうここにはいないってこと?

この世には生まれてこないということ?

パパとママは、あなたのパパとママになれないってこと?

 

何も考えられませんでした。

処置が終わって、

パパの運転する車でおうちに戻ってきて、

どれくらいの間、ここに座っていたのかわからない。

気がついたら、もう辺りは真っ暗でした。

ふと、ずっと止めていた煙草が吸いたくなって、ベランダに出ました。

あなたのパパになれなかったパパは、私を心配して、一緒について来てくれました。

2人で黙って煙草を吸いました。

久しぶりの煙草は、とてもきつかった。

自分のはきだした煙を見上げると、その煙の向こうに白い星が一つ光ってました。

私を慰めてくれるかのように、光ってました。

「あの子、あれ、あの子だよね。」

私が指さす方を見ると、

「うん。きっとそうだよ。」

と、パパも言いました。

「あの子、お星様になったんだね。」

と言うと、

「うん、そうだよ。ママのこと、ずっとあそこで見ててくれるよ。」

と、パパが言いました。

「悲しまないでって、言ってくれてるよね。」

「うん、そう言ってくれてる。」

言ってるうちに、涙が出てきて、声をあげて泣きました。

パパは私を抱きしめて、ママに負けないくらいの声で泣きました。

 

「今度は、生まれてきてくれるよね。」

「・・うん。きっと。」

2人であなたをしばらく見上げてました。

まだ風が冷たく感じる夜でした。

 

 

あなたの写真、一枚だけあるんだよ。

まだ卵のだけど。

大事にするよ。

一枚しかないから。

 

 

・・・生まれて来て欲しかった。

パパ、ママって呼んで欲しかった。

もっともっと沢山、あなたの写真が欲しかった。

もっともっと沢山、色んなことを一緒に見たかった。

もっともっと一緒にいたかった。

今度命として生まれ変わってくるときは、ちゃんとママの子供で生まれてきて。

待ってるからね。

 


 
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