No.970803

スマブラ Abandon World 50「エピローグ」

Nobuさん

これにて、スマブラAWは最終回です。
全体的に暗めに書きましたが、私自身がハッピーエンド至上主義なのでこういう終わり方にしました。
これからも私の小説を、お楽しみください。

2018-10-18 17:31:17 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:735   閲覧ユーザー数:735

 ピュアカタストロフは、轟音と共に消えた。

 すると、マリオの背中から光が溢れ出し、

 彼と一体化したスマブラメンバーは元の場所、元の姿に戻っていった。

 もちろんウルフも、この世界に完全復活した。

 

「……純粋なる破滅が……消えました……」

 アスティマが、自らの使命を果たしたかのような、晴れやかな表情で空を見上げていた。

 彼女は杖で身体を支えながらも立っている。

「よかった……これで……」

「アスティマ?」

 リンク、カービィ、ピカチュウ、ソニック、クラウドがアスティマに駆け寄ると、

 彼女の身体から光の粒が漏れ出していた。

「アス姉!?」

「心配しないでください……カービィさま。言ったでしょう? 私は元々、マスターハンドだって。

 だから、これから元に戻るんです……」

「「「アスティマ!!!」」」

 ピカチュウ、ソニック、クラウドがアスティマに手を伸ばした瞬間、再びその場を眩い光が覆った。

 

 眩い光が消えると、六人の目の前に、見覚えのある巨大手袋が宙に浮いていた。

「お前は……アスティマ……いや、マスターハンドだな!」

「そう……これが、私の本来の姿だ。

 君達が過去の“破滅”の意思を食い止めた事で、私は本来の力と姿を取り戻したのだ」

 スマブラメンバーが過去を変えた事により、

 この世界で起きた異変も無かった事になるだろう、と説明するマスターハンド。

 無かった事になる、という事は……?

 それが気になったマリオは、マスターハンドにこう質問した。

「なあ、マスターハンド。これからこの世界はどうなるんだ?」

「じきに平和になるだろう」

「それで、この世界が平和になったんだから、俺達を元の世界に返してくれないか」

「もちろん、当初の約束通り、君達を元の世界に返してあげるよ。

 ただ、荷物はちゃんとまとめてくれないかな。みんなもここに呼んできてね」

「……あ、うん!」

 この世界に持ってきた荷物はほとんどなかったが、全くなかったわけではない。

 そのため、マリオは大急ぎでスマブラメンバーに呼びかけに行くのだった。

 

「みんな! そろそろ荷物をまとめた方がいいぞ!」

「え? なんでだ?」

 マリオがスマブラメンバーに今の事情を説明すると、すぐに荷物を片付けて帰る準備に入った。

 荷物を片付けている途中、ふとリュカが考え事をする。

「……そっか、この世界での生活はもう終わりなんだね」

「元の世界に帰りたかったんだろ?」

「ううん、帰れるのはよかったけど……この世界のマスターハンド、

 つまりアスティマとお別れするのは、ちょっと寂しいかな」

「リュカ」

 そんなリュカに声をかけたのは親友のネス。

「あ、ネス君」

「僕達はあくまでも元の時代に帰るだけ。マスターハンドに会えなくなるわけじゃない。

 いつか必ず……未来のマスターハンドに、会えるよ」

「そうだね。……うん」

 そう言ったリュカの目に、僅かだが涙が浮かんだ。

 リュカは慌てて涙を拭う。

「どうしたの、リュカ? まさか、泣いてるの?」

「ううん、何でもないよ! 泣いてなんかいない……泣いてないってば!」

「これで、いつものスローライフが戻ってくるね」

 荷物を片付けながらりょうが呟く。

「……でも、失われた命は二度と戻ってこない……」

 この世界で起きた異変は確かに無かった事になる。

 しかし、異変によって亡くなった者は、異変が無かった事になっても戻る事はない。

 それだけが、りょうには心残りだった。

「大丈夫だ、りょう。生き残ってる人達が、この世界を良くしてくれるだろ。

 俺達の活躍もあったし、前向きになると思うぜ!」

「……ピカチュウ……」

「それに、未来はいくらでも変わるって事、お前は知らないのかよ?

 俺は信じてる、未来は平和になるって!」

 ピカチュウの前向きな言葉に、りょうも自然と勇気づけられた。

「そうだね! 僕も、明るい未来を信じているよ」

 

 そして、こちらはスネーク、ソニック、ロックマン、パックマン、リュウ、ベヨネッタの異世界組。

「や~っとこんな陰気臭い場所からはおさらばだぜ」

 ようやく帰れると知ったソニックは、荷物を片付けながらそう呟いた。

「ソニック、マリオから話を聞いたんだけど、キミ、結構頑張ってたんだよね」

「ん? ああ、俺は普通に戦っただけだぜ? ……でも、懐かしい戦いだったからな」

 かつて、ソニックは滅びの未来を仲間と共に阻止した事がある。

 なので、ピュアカタストロフとの戦いを「懐かしい」と感じていたのだ。

「まぁ、ハッピーエンドでよかったネ」

「やり方や展開は複雑だったけど、最後は綺麗に終わったからね」

 戦いを振り返りながら、パックマンとベヨネッタは荷物をしまっていた。

「俺達の行動次第で、未来は最善にも最悪にもなる。……このような未来もまたあり得たわけ、か」

「どうしたのー、リュウ?」

「なんでもない、ただの独り言だ」

「おーい、みんな荷物の整理は終わったかー?」

 そんな会話をしているうちにマリオがやって来た。

「あ、もうちょっとで整理が終わるから、待ってて」

「ああ、分かってるって」

 

「そろそろ帰る準備はできたか?」

「ああ!」

 マリオが頷くと、マスターハンドはマリオ達の前に出た。

 そして、マスターハンドが空間を引き裂くと、白い光が現れた。

「これは?」

「元の世界に帰れるゲートだよ」

 このゲートを通れば、当初の望み通り、元の世界に帰る事ができる。

 それは、この世界のマスターハンドとの別れを意味する事でもあった。

 ちょっぴり寂しい思いもするが、これもまた、一つの冒険のゴールでもある。

「さあ、行ってきなさい。君達の世界へ」

「ああ!」

「それじゃあ、いい未来を願うよ! さようなら!」

『さようなら!!』

 マスターハンドに見送られながら、スマブラメンバーはゲートの中に入っていった。

 全員がゲートの中に入ると、そのゲートは光の粒になって消えた。

 

 スマブラメンバーを見送った後、マスターハンドの様子がおかしくなった。

「……何故だ? 悲しくないはずなのに……涙が出ないはずなのに……涙が出そうになる……」

 そして、現代の争いの世界――

 

「ただいまー!」

「お帰り!」

 無事、元の世界に帰ったスマブラメンバー。

 彼らを最初に待っていたのは、両手袋ことマスターハンドとクレイジーハンドだった。

「よく、無事に帰って来たな」

「うん……暗くて怖かったけど、アス姉とか、ハオスとかがいて、楽しかったよ」

「アス姉?」

「ハオス?」

「知らないの? アスティマっていう女の子と、ハオスっていう女の子なんだよ!」

「さあ……」

「私達は知らないな」

 どうやら、この世界のマスターハンドとクレイジーハンドは、

 アスティマとハオスの名前を知らないようだ。

 そんな二人に対しカービィはこう質問した。

「……ねぇ、マスター、クレイジー」

「なんだ?」

「君達が、未来で女の子になってるって言ったら……信じる?」

「さぁね」

「未来はその時にならないと分からないよ」

 カービィの質問に対し、マスターハンドとクレイジーハンドはさらりとそう答えた。

 カービィはぶーぶーと言うような顔をしながら、どこかに去っていった。

 

「なぁシュルク、お前の未来視で、これからの未来を見る事ができるか?

 どんな未来でもいい、見せてくれ」

「……それは断るよ」

 リンクの頼みをシュルクは断った。

「なんでだ」

「だって、先に答えが分かったら、面白くないんだもの。

 それにもし、悪い未来になったとしても、また立ち向かえばいいじゃないか!」

「ま、そりゃそうだな! 俺達はそのためにいるんだもんな!」

 

「ようやく、元の世界に帰れたな」

「ああ……」

 マリオとピカチュウは、スマブラ屋敷の窓から空を見た。

 空は青く澄んでいて、まるでスマブラメンバーを祝福しているかのようだった。

「綺麗な空だな……」

「これを見ていると、やっぱり、ここは平和な世界って感じるな」

「そして、この空を守るのも、俺達スマブラメンバー……というわけか」

「ああ……」

 

「マリオ」

「リン兄」

「カービィ」

「ピカチュウ」

 そして、スマブラ四天王が集まり、手を合わせた。

 彼らはあの崩壊した世界での冒険を経て、改めて未来を守っていこうと誓った。

 もちろん、スマブラ四天王だけではない。

 ここにいる、スマブラメンバーと共に……。

 

「んじゃ、せっかく帰って来た事だし、最初の大乱闘でもしようぜ!」

「OK!」

 

 過去は、たとえ悲劇の事であっても、決して元に戻る事はない。

 しかし、未来は現在の行動次第で、変える事ができる。

 滅びの未来に導いた元創造神は、それを変えるために「現在」の戦士を呼び出した。

 そして、戦士達の活躍により滅びの未来は変わり、元創造神は罪を償う事ができた。

 

 人々が堕落すれば、再び破滅は訪れるだろう。

 だが、この異変を経て、人々の心は強く、前向きになった……のかもしれない。

 

 今日も、スマブラメンバーは大乱闘をし、楽しく生活する。

 その時の未来が訪れるまで――

 

 大乱闘スマッシュブラザーズ Abandon World

 おしまい


 
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