No.967285

スマブラ Abandon World 17「ポケモントレーナー・ロート」

Nobuさん

ポケモントレーナー初登場、なお話。彼の「ロート」という名前は非公式なのでご注意を。

2018-09-15 18:13:04 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:514   閲覧ユーザー数:514

 クッパ親子と別れたスマブラ四天王は、バラバラになった仲間を探すためにこの世界を歩いていた。

「なんとなく、飢え死にしてないか心配だぜ」

「ここはな~んにもないからね」

「ああ、本当に、な……」

 この世界は、瓦礫などを除いて本当に何もない。

 探す仲間が飢え死にしてしまうのは、スマブラ四天王にとって悪い結果になってしまうため、

 早めに探さなければならない。

「お腹ペコペコなのホントにやだからね!」

「頼むから死ぬなよ、絶対にな!」

「死んだらただでさえ少ない希望がどんどん消えていってしまうからな」

「この世界での敵は、魔物でも人間でもない。過酷で、危険な環境だ」

 

 その頃……。

 

「……っはぁ」

 一人の少年が、息を切らしながら歩いていた。

 少年の名はロート、ゼニガメのトルトゥ、フシギソウのフィオーレ、

 リザードンのブレイズを連れているポケモントレーナーだ。

 ロートはそれぞれが消耗しないように順番に戦わせているのだが、

 あまりに敵が多いためポケモンも疲れているようだ。

「無理はさせないって決めたんだが……こんなにも敵が多いと……」

 逃げるという選択肢もあったが、いくら逃げても辺りは敵ばかりで安全地帯など見つかるはずがなく。

 彼はただ、襲ってくるゾンビを自分のポケモンに倒させていた。

「本当に、この世界に希望なんて無いのか? 絶望だけしかこの世界にはないのか?

 どうすれば、いいんだ……」

 この過酷な環境にポケモン以外に仲間がいない今の状況が重なり、

 普通の少年であるロートの精神力は耐えられず、挫けかける。

「トルトゥ、フィオーレ、ブレイズ……」

「ゼニィ……」

「フシィ……」

「リザァ……」

 せめて傍にポケモンだけはいてほしいと、

 ロートはボールからトルトゥ、フィオーレ、ブレイズを出した。

「みんな、何があっても俺の味方でいてくれ。俺を、支えてくれないか……」

「ゼニゼニ!」

「フッシー!」

「リザー!」

「みんな、ありがとう。本当に……」

 三匹のポケモンは、ロートに元気出せよ、とでも言うかのように鳴いていた。

 彼らの姿を見たロートの心に、僅かだが明かりが灯った。

 

「じゃあ、俺と一緒に、希望を探そうな!」

「ゼッニー!」

「フシフシー!」

「リザァー!」

 ロートはそう言ってボールにポケモンを全て戻し、希望を探すために歩くのであった。

 スマブラ四天王がある程度歩いたところで、突然マリオが立ち止まった。

「どうしたの、マリおじちゃん?」

「これは……アスティマのテレパシーか!」

―はい、そうです。

 マリオがそう言うと、彼の頭の中にアスティマの声が聞こえてきた。

―近いですよ、マリオさま。

 アスティマのテレパシーを聞いたマリオは、もうすぐ仲間が見つかるという事が分かった。

「何人だ?」

―そこまでは分かりません。でも、見つかります。

「ああ、もう分かってるからテレパシーはそこまでにしておけ」

―はい。

 その言葉を最後に、アスティマのテレパシーはぷつりと途切れた。

 

「マリオ、一体誰と話をしてたんだ?」

「アスティマとテレパシーで、な。後ちょっとで仲間が見つかるらしい」

「「おおー!!」」

 散らばっていた仲間が見つかる。

 それだけで、スマブラ四天王の顔が希望の光に照らされてぱっと明るくなる。

「もう少しだ、頑張るぞ!」

「うん!」

 マリオを先頭に、リンク、カービィ、ピカチュウは前へ進み出した。

 まるで、怖いものなど存在しないかのように。

 

 そして四人がしばらく歩いていると、赤い帽子を被り、赤い服を着た少年とすれ違った。

「ん? あれは?」

 マリオは、その少年の方に向かって走り出した。

 すると、ポケモントレーナーのロートと出会った。

「ロート!」

「お、お前はマリオじゃないか!」

「俺も」

「僕も」

「いるぜ」

 ロートと再会したスマブラ四天王が口々にそれを喜ぶ。

「こうやって仲間に会えるだけで、俺達は嬉しいよ」

「それは俺だって同じさ、こうなるまではポケモンしか周りにいなかったからな」

 仲間が増えるという事は、信頼できるものも増えるという事になる。

 何かに縋らなければ生き残れないこの世界、仲間を探すのは重要な事なのだ。

「で、なんでお前らはここに来たんだ?」

「アスティマって奴に頼まれて、この世界に散らばった仲間を探してるんだ」

「こうしなきゃ、次のステップに進めないってマリおじちゃんが言ってたんだよ」

 スマブラ四天王は、自分を探しに来たロートに事情を話した。

 それを聞いたロートは頷いてこう言った。

「じゃあ、俺もそれ、手伝っていいか?」

「もちろん! ……といっても、この辺にもう仲間はいなさそうだけど」

「ま、とりあえずラストホープに戻ろうか」

 そう言って、ロート達はラストホープに戻る道を歩いていった。

 

「しっかし、ここは本当に何もないなぁ」

「ああ……灰色の空と、赤茶けた大地以外は、な」

 前述の通り、ここはラストホープや瓦礫以外に何もかもが無い世界。

 現在、スマブラ四天王はラストホープを治める女性・アスティマに「この世界を救え」と

 頼まれたのだが、手掛かりがほとんどない以上まずは仲間を探す事から始めたのだ。

「どうしてこの世界がこうなっているのか、俺達にはまだ分からねぇ」

「だけど、みんながラストホープに集まれば、きっと、この世界がどうなったのか分かると思うよ」

「そして、この世界を救うための手掛かりが見つかる、か。……う~ん……」

「ロー兄、あれこれ考えたらまた迷っちゃうよ! まずは、ラストホープに帰ろ!」

「ま、それもそうだな。魔物がいる中でそれを考えるのは自殺行為らしいしな」

 カービィの言う通り、スマブラ四天王とロートは一度、ラストホープに戻る事にしたのだった。

 途中、ゾンビやブロブに襲われたが、それぞれの技を使って次々に撃破していく。

「あれ、ロートは戦わないの?」

「連戦でポケモン達が疲れてるのに無理に出すトレーナーはいないだろ。それに俺、一応普通の人間だし」

「争いの世界に住んでる以上、『普通』じゃないと思うんだけどねぇ……」

「ん? 何か言ったか?」

「何も言ってないよ?」

 

 果たして、この世界を救うための手掛かりは、本当に見つかるのだろうか……。


 
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