No.965551

スマブラ Abandon World 2「最後の希望」

Nobuさん

スマブラメンバーが今回の舞台となる世界に飛ばされます。

2018-08-31 17:11:41 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:595   閲覧ユーザー数:595

「……んっ」

 マリオが目を覚ますと、そこは廃墟だった。

「ここ、は……? 誰もいない……?」

 建物のほとんどは瓦礫に埋もれ、自分の周りを見渡したが人の気配はなかった。

 それでも、生存者や仲間を確認するためにマリオは歩く。

「リンク! カービィ! ピカチュウ!」

 マリオは特に仲の良い仲間、リンク、カービィ、ピカチュウを呼んだが、声はしなかった。

「一体どこにいるんだよ! どこに……!」

 マリオが仲間が見つからない事に焦っていると、

―こっち、こっちよ。

「……!?」

 自分の頭の中に、女性の声が聞こえてきた。

 テレパシーか、と思ったマリオはその声にとりあえず問いかけてみる。

「誰だ、お前は!?」

―ここから真っ直ぐ東に向かって。そこにあなたが探す仲間はいるわ。

「東……?」

 マリオは女性の言葉を信じられなかったが、考えていても仕方がないと思い、

 彼女の言葉に従って東に向かった。

 

 しばらく走っていると、マリオは小さな都市らしき場所に辿り着いた。

 そこにはリンク、カービィ、ピカチュウ、そして謎の女性がいた。

 マリオは大急ぎでその都市の中に入った。

「みんな、無事だったか!」

「ああ……あいつが保護してくれたからな」

 リンクが指差したのは、女性だった。

「僕はお腹ペコペコだったけど、お姉さんが食べ物を出してくれたから大丈夫だったよ!」

「やっぱりそれかよ」

 カービィの発言に突っ込むピカチュウ。

 とにかく合流できてよかった、とマリオ達は笑い合う。

「そういえば、あの女性は一体誰なんだ?」

「ちょっとこっちに来てくれ」

 マリオ、リンク、カービィ、ピカチュウはその女性のところに来た。

 

「初めまして。私はこの『ラストホープ』を治めるもの、アスティマといいます」

 金髪に緑の瞳を持つその女性はドレスの裾をたくし上げて四人に自己紹介をした。

「アスティマ! なんで勝手に俺達をこんなところに飛ばしたんだ!

 せっかく次の乱闘を観戦しようと思ったのに!」

 マリオはいきなりこの世界に飛ばされたためにアスティマをまくし立てた。

 だが、アスティマは表情を変えずにこう言った。

「あなた達をここに呼んだのには訳があります」

「訳なんてどうでもいい! 早く元の世界に……」

「最後まで私の話を聞いてください!」

「……」

 アスティマの必死な様子を見たマリオは、何とか落ち着きを取り戻した。

「この世界は今、滅びを迎えようとしています。

 私は、この荒廃した世界を救いたくて、あなた達を呼んだのです」

「お前じゃ何とかできないのか?」

「そうだぜ。リンクの言う通り、自分の事は自分でやるんだ」

 リンクとピカチュウの言葉を聞いたアスティマは首を横に振った。

「この事はあなた達にしかできないと思ったからです。

 何故なら、この世界の脅威は、私一人では対処できませんから……」

「……そうか」

「それに、皆様をここに呼んだ時点で、私は大半の力を失ってしまいました。

 なので、私に戦う力は残されておりません。

 お願いします、スマッシュブラザーズ! どうか、この世界を救ってください!」

 アスティマは必死で、スマブラ四天王にこの世界を救うように頼み込んだ。

 それを見たマリオ達は、彼女の頼みを断り切れない気持ちから、満面の笑顔でこう言った。

「分かったぜ。お前の望み、叶えてやるよ」

「こんなにいい奴の頼みを断るなんて、勇者としては失格だしな!」

「アス姉はとっても困ってるんでしょ? 困ってる人を放っておくなんて、僕にはできないよ!」

「そして、俺達はそんな奴らを助けるために動く。もちろん、お前も入っているぜ!」

 スマブラ四天王の曇りなき表情と態度を見たアスティマは、ほっと安心してこう言った。

「ありがとうございます。この世界を本当に救ってくださるのですね」

「ああ!」

「嘘は絶対につかないぜ」

「ねえねえアス姉、それより最初の仲間はどこにいるの?」

「聞くのが早すぎだっつーの」

 カービィはいい空気を読まず、仲間の居場所をアスティマに聞いた。

 当然ながらピカチュウに突っ込まれる。

「そこの鼠の言う通り、早すぎますわ」

「俺は鼠じゃねぇ、ピカチュウだ!」

「あら、そうでしたね。ピカチュウさま。……それでは、仲間を探します」

 アスティマは目を閉じる。

 じっと意識を集中させ、この世界にいる者の声を聴く。

 

―わぁぁ、パルテナ様! 魔物がたくさん!

―ピット、落ち着いて。私の後ろに……。

―僕だって、ちゃんと戦えますよ!

―そう。じゃあ一緒に行きましょう?

―パルテナ様も、僕と一緒に戦ってくださいね!

 

「……」

「聞こえたのか?」

 マリオが、ぼんやりとした様子のアスティマに尋ねる。

「ええ……聞こえたわ。ここの西から、ピットという少年とパルテナという女性が魔物と戦う声が……」

 アスティマによれば、西に行けばピットとパルテナが見つかるらしい。

 この二人は、魔物と戦っている様子だという。

「分かった、西に行けばいいんだな?」

「ええ。でも気を付けてね。あなた達だけでは、勝てないかもしれないから……」

「そんな後ろ向きな事は言うなよ、アスティマ」

「そうだよ! もっと前向きに、前向きに!」

「お前がそんな調子だと俺達の調子も狂うぜ」

「だから、アスティマ、俺達を信じてくれ」

「……そうね。ありがとう、みんな」

 スマブラ四天王の励ましの言葉に、アスティマは微笑むのだった。

 

「それじゃあ、いってらっしゃい!」

「ああ! 行ってくるぜ!」

 アスティマに見送られ、スマブラ四天王はピットとパルテナを探すために西に向かうのだった。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択