No.946668

ゆりキャン△の3

初音軍さん

あきとイヌ子もいいな~と思いながら浮かんだことをだらっと書いてみました。
少しでも楽しんでもらえれば幸いです。個人的には大満足♪

買ってない単行本も残り1~4巻。アニメ見てからこれほど原作買いたくなったのは久しぶり。
しかも今期二作品。ちなみにもう一つはハクミコです♪

2018-03-27 14:59:17 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:595   閲覧ユーザー数:595

ゆりキャン△の3

 

【千明】

 

「久しぶりの二人キャンプやなぁ。それにええ天気やぁ~」

 

 二人で設営をしながらイヌ子が空を見ながら嬉しそうに呟いた。

 

「そうだな」

 

 そんなに寒くなく、めちゃ晴れていて風も弱い。まったり過ごすにはぴったりな

条件が揃っていた。

 

 ここのところなでしこ含めての3人キャンプが多かったからイヌ子と二人きりは

本当に久しぶりな感じがする。実は二人きりになるために水面下で綿密に計画を

練っていたのは私しか知られていない…ふっふっふ。

 

 夜、快適に過ごすための準備を終わらせてから、景色のいい場所に二人で移動して

この前買ったイスを設置して寛ぐ。私はハンモック代わりにイスを二つ使用して

横になれるようにした。これが案外気持ちよくてな。気温などの快適さによっては

意識が落ちてしまいそうになるほどだ。

 

「あぁ、ええね~。気持ちいい天気で眠気が~…」

「寝るな、イヌ子!死んでしまうぞ!」

 

「雪山やないで~」

 

 昼間はそれぞれまったりのんびりしながら過ごす。贅沢な時間の過ごし方だ。

最近バイトが忙しくてきつかったこともあり、私も体が溶けていくような感覚に

包まれながらその静かな時間を楽しんだ。

 

 ボーッとしながら隣にいるイヌ子が気になりチラッと見ると完全に寝落ちしていた。

静かに寝ているイヌ子の顔が可愛くてつい見入ってしまう。

 

「いい顔してやがる」

 

 思わずニヤけてしまうほどいい顔して寝ている。本音で言うとすごく可愛い。

軽く頬を突くと柔らかくて癖になりそうだ。

 

「ふわぁ…私も少し寝るか…」

 

 しばらくイヌ子を眺めていると心地良い気温と風に私の意識も徐々に薄まっていく。

自分のイスに戻って少し目を瞑ると、次の瞬間イヌ子に起こされていた。

周りも少しだけ暗くなっていて、時間を確認したら数時間経っていた。

いつの間にかガッツリ寝ていたようだった。

 

「あきの寝顔可愛かったで~」

「よせやい、照れるぜ~」

 

 イヌ子も可愛かったぜ。と言いそうになったのをグッと堪える。

別に変なことじゃないだろうけど、私が変に意識しそうだったから。

ちょっと早めにテントに戻って食事や焚火の準備を始める。

 

 どんなに暖かくても暗くなってきたら少しずつ寒くなってきて冬だと改めて

思わせてくれる。前にしまりんから着火剤代わりになる薪の裂き方、フェザースティック

というのを真似してみる。

 

「なにやってるん?」

「んー? ちょっとなー」

 

 ナイフで削り毛羽立たせた後、着火剤の位置に敷いて残ったものは火をつけて薪の中に

いれる。するといい感じに火が回ってすぐ全体的に火がついた。確かにこれは便利だ。

 

「へぇ、すごいもん知っとるな~」

「実はしまりんから教わったんだよ」

 

「そうやろな~。あきが思いつくとはおもわんしな~」

「どういう意味だ、このヤロウ~」

 

 いつものおどけた言い回しをすると楽しそうに笑うイヌ子。

こうやって他愛もないことで笑いながらイヌ子と過ごす時間が好きなんだなぁと思う。

 

「あぁ、いい出汁出てるな~」

「さすが鍋しこ直伝なだけあるな」

 

「またなでしこちゃんか~。今日のあき良いとこ見せてないやん」

「うっさいよ?」

 

 一度暗くなり始めるとあっという間で今は焚火の方が明るくて二人で焚火を

囲みながらお椀に入れた鍋を食べていた。そして少しの間沈黙が続いた後。

 

「実はなー、私あきのこと好きなんやなぁって」

「なん・・・だと・・・」

 

 すっごい柔らかな笑顔を浮かべてちょっと顔が赤くなりながらイヌ子が照れ臭そうに

言ったように見えた。

 

「あきのこと意識し始めたらご飯もあんま喉通らななったしな」

「まじかよ…」

 

 もしかして私だけではなかった? イヌ子も私のことを好きだったのか?

色々頭の中で考えた後、この流れに乗って私もイヌ子に告げようとした瞬間。

 

「嘘や」

「は?」

 

「あはは、ごはん毎日美味しくいただいてるわ~」

「こいつめ…」

 

 びっくりしすぎて漫画で言う目が点になる状態でイヌ子のことを見てると

そんな私を見たイヌ子が吹き出しそうになって大きく笑っていた。

なんだよ、告白されて舞い上がっていた私がバカみたいじゃねーか。

 

「冗談でも言っていいことと悪いことがあるぞ」

「ごめんて、あき~」

 

 何か振られたのを想定した時くらいショックを受けている。

それほど私の中ではイヌ子のことをそれだけ想っていたのだろうか…。

今となってはその結果もわからず。まぁ、この関係を続けるのも悪くはないけどな。

そんな風に自分の気持ちを整えようとしてる中でイヌ子が再び口を開いた。

 

「好きなのはほんまやけどな~」

「え、鍋のこと?」

 

「あきのことやで」

 

 私の顔を覗き込むように見るイヌ子。パチパチと焚火の音以外は何も聞こえない。

シンッとした中でイヌ子の言葉が私の胸に染み入っていく。

 

「でもさっき嘘って」

「ご飯が喉通らんってとこだけな」

 

「いや…ほんとはそれも嘘なんだろ。私は騙されないぞ…!」

 

 私は強がるような言い方をするとイヌ子は視線を逸らしてやや俯きがちに…。

 

「ショックやわぁ。これはほんとにほんとなのになぁ」

「え…まじか」

 

「おおマジや」

 

 再び私に視線を向けた時のイヌ子は少し目が潤んでいて私の心をがっちり掴みに来た。

そしてちょっと苦笑しながらイヌ子が。

 

「こんなこと冗談で言うかいな」

「それもそうだよな…悪い…。私も好きだわ」

 

 ほぼ無意識で謝りついでにイヌ子に告白したような言い方をしてしまった。

一瞬何が起こったか気づかなかったイヌ子が少し遅れて顔真っ赤にしてびっくりしていた。

 

「はぁ…!?」

「あ、うん。私も好きだって」

 

 再度言い直してから少しずつ自分でも実感が湧いてきたのか顔が熱くなってくる。

 

「あはは、あきが。あきが顔真っ赤になっとるー!」

「おま!イヌ子も顔赤くしてるじゃねえか!」

 

 言い合いながら少しずつ近づいていって、くっつきそうになるくらい近くまで

行った後…。二人とも自然と声が小さくなって囁くように言葉を交わす。

 

「マジなん?」

「マジだって」

 

「あき、かわええな」

「照れるからやめろ」

 

 イヌ子に求められ二人の指がスルスルと滑りギュっと握る。

そして吐息も少しずつ荒くなっていく。

 

「なんか…暑いな…」

「鍋のせいか?」

 

「アホ、恋しとるからや」

「わかってるよ。恥ずかしいから敢えてそう言ったんだって」

 

 二人でちょっとふざけあってから自然と口づけをした。

柔らかくてあったかくて恥ずかしくて…癖になってしまいそうな味だ。

 

 チュッ

 

 何度か口づけをすると徐々に私の力が抜けていってそのままイヌ子の体に

倒れ込むような形になる。

 

「おっと、危ないなぁ。あき」

「悪い…」

 

 バランスを崩した拍子にイヌ子の体を抱きしめる形になった私。

ちょうど顔の位置にほどよく実ったイヌ子の胸があり、顔に当たっている。

上着越しからでも感じられる柔らかさ。

 

「カリブーくんより気持ちいいもふもふ感」

「カリブーくん!?」

 

 驚いた後、苦笑するイヌ子。

 

「それは嬉しいやら悲しいやら」

「可愛さはイヌ子の方が上だけどな!」

 

「不意打ちはやめといて!」

 

 視線を上にあげると顔を赤くして照れるイヌ子の姿が。やはり可愛いな。

それから一度離れてそれぞれのイスに座って沸かしたポットのお湯でコーヒーを淹れて

イヌ子に渡してから自分のも淹れて二人で飲んだ。

 

 白い息が空へ昇っていくのを見届けるまで二人で沈黙を守っていると。

 

「あのなぁ、ほんとは言うかどうか迷ってたんやで」

「告白のことか?」

 

「うん」

「まぁ、私も言おうかどうか迷ったしなぁ。わかるぞ~」

 

 空にはきらきらと星が輝いている。雲一つなく空気が澄んでいるから

すごく綺麗に見える。

 

「あき相手だからかるーく言ってかるーく受けてくれると思ったんやけど。

意外と緊張するもんやな」

「何で受けること前提なんだよ」

 

「だって、あき。私のこと好きなのわかってたもん」

「マジか…」

 

 気づかれないように接したつもりだったのに…。

 

「みんなとキャンプ行っていてもけっこう視線合うしな。私のことよく見とるし」

「ばれてたか」

 

 その後、少し気まずそうに続けるイヌ子。

 

「その…私も…あきのことよく見とったし」

「それは気づかなかったぞ…」

 

 二人で照れながら再び黙ってると私は試すような感じで切り出した。

 

「こ、これで全部嘘でしたーとかだと私死ぬぞ」

「嘘なわけないやん。ちょっと、あき。私のことどう思ってんの!?」

 

「ホラ吹きイヌ子」

 

 なでしことかよくからかうからそんなあだ名がついた。というか私がつけた。

 

「あ、あれはなでしこちゃんの反応が面白くてな…!」

「ぷふっ…」

 

「…!もう、あきー!」

 

 必死に言い訳を探すイヌ子が可愛くて思わず吹き出してしまう私。

付き合っても付き合ってなくてもこういうやりとりができれば嬉しいし。

今はお互い好きなことがわかって幸せな気分に浸っていた。

 

 そうか、同じ気持ちだったか…。告白を頭の中で繰り返して少しずつ実感が出てくる。

そうやって浸っていると、すっかり無防備になった私の上に覆いかぶさるように

イヌ子が迫ってきた。私は慌てるとイスから転げ落ちて完全にイヌ子が上に被さった。

 

「あきばっかり攻めててずるいで。私からも攻めさせてな」

「ちょっ、何をす…んんんん!」

 

 普段のイヌ子とは思えない大胆な行動をされ、コーヒーの味とイヌ子の匂いに包まれた

私は幸せを通り過ぎてそのまま逝ってしまうのではないかと思った。

 

 その時のことは翌日になったらほとんど覚えていなかった。

 

 

***

 

「おはよー、あおいちゃん。あきちゃん」

「おはよーなでしこちゃ~ん」

 

 学校に行くと嬉しそうに手を合わせるなでしことイヌ子。

その微笑ましい二人を見て癒される中、イヌ子がなでしこにこそこそ話をした後

なでしこが私を見て目をキラキラさせながら。

 

「おめでとー!あきちゃん!」

「ちょっ、イヌ子。おま、なでしこに何を言った!?」

 

「え、私たち付き合うことになったんよって」

「口軽すぎだろおおおおおおお!」

 

 いつもみたいに…。いや、いつも以上に賑やかな日になってその日はずっと

周りからからかわれる私なのだった。とほほ。

 

お終い…?

 

 

「せや、あき」

「何だよ」

 

「私と付き合ったら、もれなく妹もついてくるで」

「チビ犬子はいらん!!」

 

 

お終い。

 


 
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