No.923050

Yurigame!07~はじめvゆん

初音軍さん

前から書きたかったものをまとめてみました。
この子らは付き合ってからは一番進展が遅そうなイメージ
(逆に意識するのは早そう

2017-09-19 21:37:59 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:260   閲覧ユーザー数:260

Yurigame07_hajime_yun

 

【はじめ】

 

 お昼休み。私はを恐る恐る財布の中を確かめると全身の力が抜けていった。

も、もう私はダメだ…。ガクッと力尽き机に突っ伏したところで

呆れたようなゆんの声が聞こえた。

 

「まーた金欠でごはん抜いとるんか。いつか体壊すで…」

「だってぇ、限定品がぁ…」

 

 私は体を起こさないまま声のする方へ視線を動かす。

フリフリ系の可愛い服を着こなして腰に手を当てながら呆れる仕草をしている。

 

「しゃあないな…今日は私の家来るか?」

「え、ごはん作ってくれるの!?」

 

「弟も妹もたまにははじめと遊びたいって言うし、親も今日はいないから

はじめでもいないよりはええやん?」

「な、何かひどい言われようだけど。ゆんがそう言ってくれるなら喜んで行くよ!」

 

 その言葉で単純な私は元気よく起き上がりゆんの手を握ってぶんぶん振ると

ゆんは少し顔を赤くしながら私のためじゃないんだからと言葉を追加した。

これが生ツンデレというやつだろうか。

 

 ゆんが相手だと何を言われても嬉しいなんて…私って実はMっ気があるのかもしれない。

それから私はゆんの仕事が一段落するまで気合入れて作業をしていた。

途中、青葉ちゃんやひふみ先輩に差し入れをもらったおかげで仕事中は何とかなった。

 

 そして仕事も一段落してゆんと一緒に会社から出る。エネルギーを使いすぎて

もうすっかり腹ペコである。

 

「ゆん~、おなかすいた~」

「はやっ、まだ家にも着いてへんやん!」

 

 空腹と疲れを紛らわすのにはゆんとのこうしたやりとりが心地良く感じる。

電車の中で仕事と趣味の話を交えながら時間を潰す。

揺られていると少し眠くなったけどその頃にはちょうど目的の駅に着いていた。

 

「ほら、いくで。はじめ」

「あ、うん」

 

「なんや眠そうやな」

「いつもより作業に気合入れたせいかな…」

 

 それはええことやなって笑いながら言うゆん。その笑顔につい見惚れていると。

 

「私の顔になんかついてる?」

「い、いやぁ!なにも!」

 

「? 変なはじめ」

 

 

***

 

 ゆんの家に着くと玄関かられんとみうが飛び出して私に飛びついてきた。

 

『わー、はじめおねえちゃんだ~!』

「お~、れん、みう。元気にしてたか~」

 

 元気な二人の姿を見ると私まで元気になれたような気がして二人に引っ張られながら

中へと入る。私が二人の相手をしている間にゆんが手早く料理を作っていく。

包丁の音が小気味よく鳴り、それを聞いてるとなぜだか私の胸が少し高鳴る。

 

 彼女の料理を心待ちにしている彼氏の気持ちってこんなんだろうかとか想像すると

少しこそばゆい。

 

「はじめおねえちゃんどないしたん~?」

「へ?」

 

「ずっと台所の方見てるから」

「あぁ、ええと…なんでもないよ。あ、それよりムーンレンジャーのさぁ~」

 

 みうの言葉にドキッとした私は慌ててムーンレンジャーの話を振ってごまかしていた。

ちょうど話したい部分があったからちょうどよかった。前より成長している二人だから

以前より濃い話ができて私自身も楽しくお喋りができた。

 

 ムーンレンジャーの動きを真似したりごっこ遊びをしている間にゆんが鍋を持って

鍋敷きの上に置きながら私達に注意をしてきた。

 

「こらっ、そんなドタバタしてたら埃舞うやろ~」

「あ、ごめん」

『ごめんなさ~い』

 

 さすが双子。同時に謝って大人しく席についた。大根おろしがいっぱい乗っている

野菜肉たっぷりのみぞれ鍋。他にも漬物やお浸しなどのさっぱりしたおかずもあった。

 

「人数おって量も食べるとなったらやっぱ鍋やなぁ」

「うん、美味しい!」

 

 ごはんもよそってもらい少し塩気の濃い味付けにごはんも進む。

濃いだけじゃなくてしっかり下味がついてるからコクの深みもしっかりしていた。

しばらくみんなでお喋りしながら鍋をつついている内に食事も終わり

みんなでお風呂に入った後、眠そうにしているれんとみうを寝かせてから

することがなくなった私は落ち着かなくなってうろうろしていると…。

 

「何してるん。今日泊まっていくんやろ。私の部屋、来たら?」

「え、いいの?」

 

「いいのも何も…他に使える部屋ないやん」

 

 私の態度を見て面白そうな表情でからかうような口調で言ってくるゆん。

そういえばこうやってゆんと夜に一緒になるのって仕事の時と社員旅行を除いたら

初めてではないだろうか。しかも二人きり。意識したら顔が熱くなってきた。

 

「何赤くなってんのや」

「だ、だって~」

 

 一度意識してしまったらもうどうしようもなくなる。でもこれ以上ゆんに

からかわれるのは嫌だからいつも通りを演じることにした。

 

「じゃあ、ゆんの部屋…いこ!」

「…じゃあこっちな」

 

 微妙な間が空いた後にゆんは私の前を歩いて案内をしてくれた。

中に入ると綺麗にしてある。ゲームが置いてある以外は普通の部屋っぽい。

 

「あんまきょろきょろ見んといてよ!」

「ゆんの匂いがする…」

 

「なにそれ臭いって言いたいん!?」

「そ、そうじゃないよ」

 

 顔真っ赤にしながら怒るゆんが何か可愛くてドキドキしてしまう。

あんまり見てると怪しまれそうだからほどほどに二人寝巻きに着替える。

とはいっても私はラフな格好が好きだからパジャマではないけど。

 

 ゆんのパジャマ姿はかわいい柄でやっぱりフリフリがついているものだった。

 

「ゆんはパジャマ姿も可愛いね~」

 

 素直に言うとゆんは顔を真っ赤にして怒ってきた。

 

「もうそういうことでからかうのはやめてって言うとるやろ!」

「そんな…私はいつだってゆんに対しては真剣に言ってるよ!」

 

 私の言葉を冗談と捕らえていたゆんに対してついカッとなって言い返すと

飛び出してきた自分の言葉にびっくりして私は口に手を当てて隠す。

 

「え…?」

「あ…」

 

 つい思っていたことが口に出てしまった。お互い少し顔を赤らめながら沈黙していた。

私は告白みたいなことを言ってしまったことに動揺しながらもそれまでずっと胸の内に

あった気持ちに気付いてしまった。

 

 あぁ、私はゆんのことが好きだったのか…。

 

「あぁ…あぁぁぁ」

「はじめ…?」

 

 気付いてしまったら何ともいえないムズムズした感じがたまらなくなって

私は頭を抱えながら謎のうめき声をあげた後にチラッとゆんのことを見る。

やっぱり可愛いなぁ…。

 

 そう思っていると私の様子を見たゆんが笑いながら言った。

 

「あはは、照れてるはじめも可愛いやん」

「ちょっ…!?」

 

 さっき言った仕返しか!? そう言おうとした途端に脳裏に過ぎるあの出来事。

 

 思えば以前にもこういうやりとりがあったっけ。お互いに昔の写真を見せあって

少し気恥ずかしくて、でも相手のことをもっと深く知れたことが嬉しくて…。

 

「あ、ありがとう…?」

「そ、そう素直に返されると言った私の方が恥ずかしく感じるやん」

 

「ねぇ、ゆん…」

「な、なに?」

 

「今日…一緒に寝てもいいかな?」

「は、はぁ…!?」

 

 今にも爆発しそうなほど真っ赤にしながら驚くゆんに私はまだちょっと

早かったかと思いごまかそうと考えていたら…。

 

「え、ええよ…」

「え?」

 

「一緒に寝たるわ」

 

 

***

 

 自分から言ったこととは言え、すぐ傍にゆんがいると思うと胸の高鳴りが収まらないで

いた。ベッドの中に私とゆん二人きり。相手の吐息も聞き取れるほどの距離…。

考えれば考えるようとするほど何も考えられなくなる。

目の前の好きな子から目が離せなくなる。

 

「寝ないんか…?」

「ドキドキして眠れないんだよ…!」

 

「そっか、私といてドキドキしてるんか…」

「わ、悪い!?」

 

 二人で小さく音を下げて話し合っているとゆんがちょっと切なそうに笑いながら。

 

「この気持ち…私だけやなかったんやなって」

「え…もしかしてゆんも?」

 

「じゃなかったらここまではじめの世話なんかせんわ」

 

 口を尖らせながら言うのがまた可愛らしい。そこまで言われると悪い気はしない。

というより…嬉しい!

 

「私だってゆんのこと…好きだよ?」

「そっか~…」

 

 二人で気持ちを確認しあう。同じ気持ちだとわかって少し気持ちは楽になったけれど

わかったところで何か変化がある感じはしなかった。

 

「お互いに想いが伝わった時って何かするんかな~」

「え!?何かって何を!?」

 

「え、キスとか?」

 

 想像したら恥ずかしすぎて悶えてしまう。ゆんも私と同じように顔を手で隠しながら

言葉にならない声をあげていた。

 

「ないな…」

「うん、ない」

 

 少し落ち着いた後に二人で目をあわせてから同じ言葉をほぼ同時に答えた。

 

「私達は私達なりに関係を作っていけばええんちゃうかなって思うわ」

 

 ゆんの言葉を聞いた私は勢いよく頷いて一息吐く。

 

「そうだね。ゆんと私が好き同士ってわかっただけでも嬉しいし」

「言葉で言わんといてよ。恥ずかしいわ」

 

「えぇ~…でもそうなんでしょ?」

「そうだけど…!」

 

 照れてるゆんを見てると私までまた照れてしまう。でも嫌な気分じゃない。

むしろずっとこのままでいられたら、とも思う。なにせ明日になったら

いつも通りになるだろうから。そしたら何だか勿体無いという気がするのだ。

 

 でもそれは私のワガママで時が止まることなんてなく、このままでは仕事にも

影響しかねない時間帯にもなってきた。

 

「寝よか」

「そうだね…」

 

 私もゆんから視線を外して仰向けになって目を瞑ると、ゆんの柔らかくて暖かい手が

私の手を握ってきた。一瞬びっくりしたけど私も何も言わずに手を握り返した。

今はこれだけでいい。心の底からそう思えたんだ。

 

 

***

 

「おはようございます!あれ、ゆんさんとはじめさん何かありました?」

 

 会社に来て早々青葉ちゃんが私とゆんに聞いてきた。

 

「ど、どうして?」

 

 私が聞くとこの時間帯に二人が一緒にいるのが珍しいとか。

 

「たまにはそういうことだってあるよ」

「それもそうですよね!すみません!でも…他にも雰囲気とか変わったような」

 

「あ、あのな青葉ちゃん。今日コンビニで新しい飴ちゃん買ってん!

よかったらもらってくれん?」

「わぁ、いいんですか?ありがとうございます!」

 

 飴につられた青葉ちゃんのおかげでこれ以上突っ込まれなくて済んでホッとした。

別に隠すようなことでもないのだけど、それをネタにされるのは恥ずかしかったから。

私がそっとゆんの方へ視線を向けると青葉ちゃんが飴に夢中になってるのを確認した

ゆんが私の方を振り向くと笑顔で親指を力強く立てていた。

 

 どうやら私と同じことを考えていたようだ。前よりも近くなって、でもいつも通りで。

今はこの心地良い関係をもう少し続けていきたい。

 

 それ以上の関係を求める時が来たらその時はお互いに受け入れられるように

なっているだろうから。

 

お終い。

 


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