恋姫†無双 真・北郷√04
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/一刀視点
ちび恋と愛紗の大活躍? により麗羽達と合流。愛紗、恋、麗羽、斗詩、の四人に策の下準備を伝えて、俺は文官の中から荀彧を探していた。
確かまだ南皮にいたはずだし、曹操に会う前なら男嫌いではないはずだ。
そして、ちび恋は今日もやっぱり俺の肩の上に座ってます!
ドドドドドドドドドドドドドド
「どぅふふ。ご主人様~」
凄まじい気の塊が俺に向かって突っ込んでくると、目の前で飛び上がり、
「愛~の~フゥラィング」
バキッ
「あん♪」
ドサッ
肩の上に乗っていたちび恋が、ロケット砲のような飛び蹴りで、貂蝉を叩き落した。
あはは……。恋はやっぱ凄いや……。
「呂布ちゃんの蹴りはきくわん、体が燃え出しそうよん」
地に伏したままクネクネくねる貂蝉。燃え出して、そのまま燃え尽きてくれ、頼むから。
「……ちょーせん、じちょー」
ちび恋が地面にスタンと降りて、立っている俺の体にまたのぼりだす。
よぢよぢ
「昨日、約束した呂布ちゃんの武器なんだけど? これでいいのかしらん?」
立ち直るの、はや! って昨日……。
……
/一刀回想(02話 参照)
「貂蝉、恋の武器なんだけど……。東海竜王が持っているかもしれない海の重りとか借りてこられないかな?」
貂蝉がとたんに笑顔になって答える。
「あらん。あたしも今それを考えていたのよん。やっぱりご主人様と気が合うわん」
回想 了
……
そう言って取り出したのは真赤な棍(こん)その両端には金の装飾が施されている。正史では黒色か銀色らしいけど、この外史では日本でお馴染みの赤だったのか。
そう。これが、かの有名な『如意棒』俺はドキドキしながら貂蝉の手から受け取ろうとするが、
「ご主人様。それすっごく重いから、多分無理だと思うわん」
見た目の太さは単二電池くらいで、長さは俺の背丈より少し長いくらいだろうか。
「気をつけるのよん?」
手に取ると重い! すごく重いよコレ。まあ持てなくはないけど……。でも、男ならこの武器で、一度はやりたいことってあるよね!
「伸び……。じゃなくて、縮め! 如意棒っ!」
危なかった……。今の長さでさえ重いのに、伸ばしたらつぶされちゃうっての。すると半分くらいの長さに縮んでいった。
「あら、すごいわね。私がやったときは伸縮しなかったわよん? 竜ちゃんに頼んで程良い大きさにしてもらったのだからん♪」
へー、使う人を選ぶのかな? おっちび恋の瞳がキラキラしてるぞ!
「恋もやってみる? 重いぞ?」
恋は俺から如意棒を受け取ると、頭の上で……クルクル、ブンブンッっと回し始めた。
ッギュオンギュォンギュギュオン
なんか、すっごい怖い音がします……。
オンギュオングゥッ ドズン!
ちび恋が如意棒を地面に突き立てると、激しい音の後、地面に大穴。更に城全体が大きく揺れた。見た目ただの棒なのに……。
「すごいな! 恋、伸ばしたりもできる?」
不思議そうに頭を横にコテンと倒し?(はてな)のポーズ。
「心で念じたり、言葉で言ったりするんだ。そうするとにゅーって伸びたり、にょーって縮んだりするはずだよ?」
「……れん、わかった」
ちび恋は再び如意棒を腰に当てて、地面と平行にすると。
「……にゅーーーーーぅ」
ぶっ無表情でにゅーっていう恋、可愛いすぎなんですけど! って伸びてる伸びて……伸びすぎ! 伸びすぎ! 城壁に当たるていうか、突き破る!?
「恋! ストップ! ストップ!」
「ぅーーーーー。すとっぷ?」
ほっ。何とか止まったみたいだ。
「ストップっていうのはね、やめるって意味なんだ」
恋は、にぱっと笑うと、
「……こん、……のびるのとめた。……れん、……えらい?」
なんか色々飛ばしてるけど……多分、如意棒伸ばしてたけど、俺のストップっていう言葉を聞き、その意味は知らないのに正確に意味を捉えてえらい? ってことかな。
「うんうん、えらいぞ~。恋はさすが俺の最強の武だね!」
「……(コク)……じー」
嬉しそうだけど、じーっと見られてる? 視線の先は……手? あ、そうか! なでなでなでなで。と、ちび恋の頭を優しく撫でながら、
「今度は縮められるかな? 恋」
コクンと可愛い返事が返ってきて、
「……にょーーーーーーーぉーーーーーーーーーー」
って、さっきの俺の説明、間違って理解してるよコレ(可愛いからいいか!) ぐんぐん縮む如意棒……。思ったけどこれ細くも太くもならないな?
やがて、単二乾電池を縦に二本つなげたぐらいの長さになる如意棒。
「……ん? ……にょーーーーー?」
これ以上は小さくならないらしい。ちび恋はトテトテと貂蝉にちかづくと、
「……ありがとう。……こん、……きにいった」
ペコリッと、ちゃんとお礼を言い頭を下げる。
「~~っ恋! なんていい子なんだ! ぐすんっ」
幼い娘の成長を喜ぶようなオヤバカズト。じゃない! 俺! あれ? そういえば記憶とか、恋の中身はかわってないのに違和感ないぞ?
「どぅふふ。呂布ちゃんも気に入ってくれたようねん♪」
貂蝉も笑顔で満足気だ。
「貂蝉、これって太くなったり、細くなったりはしないのか?」
と、俺が問いかければ。
「どうなのかしらん? 悟空ちゃんの使ってるやつとは、すこーし違うみたいねん?」
まあいいか。恋も気に入って、名前付けてるみたいだし……。
「コン?」
「……れんのこん。……このこ、……いきてる」
そう言いつつ、腰のベルトに最小状態の如意棒を押し込む。
レンコン? いやいや、突っ込んじゃ駄目だ! それにしても軽くなってるのかな?
「恋、少し持たせてくれる?」
そう言って持たせてもらうと。あれー? すっごく軽い。ナニコレ……。
「……れん、……こんに、おねがいした。……かるくなった」
さすが呂布! 武器を選ばず使いこなすのか! 鬼に金棒じゃなくて呂布に如意棒? オラスゴクワクワクシテキタゾ!
はっ!
「じゃあ、ご主人様。そろそろ行くわねん」
少し寂しそうな貂蝉に、
「ああ、色々助かったよ。また会えるかは、わからないけど、元気で!」
笑顔で声をかけた。徐々に透けて、消えていく貂蝉。
「ご主人様、役者は大体同じみたいよ? がんばって……」
貂蝉が消えるてしまうと、すぐ近くから、
「ななななによ、今の化け物! あああなたが退治したの? お手柄ね!」
聞き覚えのある声が響く。荀彧文若。曹操の智謀となる予定の軍師。南皮で冷遇されて、曹操の下にいったんだったっけ? ぎりぎり間に合ったようだ。
ちび恋が如意棒を試したいのか、うずうずしているようなので。
「恋、いっておいで。城は壊さないようにね?」
一応、釘を刺しておく。
「……(コク)……あぶなくなったら、あいしゃか、……れん、よぶ」
ダダダーッと、調練所へ? 恋はともかく、愛紗も? まあいいか。と切り替えて、
「君が荀彧だね? 初めまして、北郷一刀って言えば、わかりやすいかな?」
俺は、荀彧に話しかけるが、
「へー。貴方が袁紹を丸め込んで、君主になった天の御遣い様? 袁紹みたいな馬鹿は騙せても、私は騙せないわよ? それとも無礼な私を処罰します?」
(初めて会ったのに、確認する事も無く、私の名を!? しかも、ここに着いたのは確か昨日のはず……)
既に、相当鬱憤が溜まっている様だ。まずはガス抜きかな?
「いや、罰するつもりはないし騙すつもりもないよ? ただ訂正はしてもらおうかな?」
「はっ? なにを」
「俺のことはどうでもいいが、麗羽はけして馬鹿じゃない! 民を想い、全てを俺に託して自らも全力を尽くそうとしてる! 自らの力不足に悩み、あがき続けていた君主に、お前は何をぶつけた? 自らの策が採用されないのに下策が採用される不平か? 待遇が悪いという不満か? それらを麗羽にぶつけているだけで、自分こそが民を救えるとでも思っているのか? なぜ俺に今のような態度がとれるのなら、自分が正しいと思うこと。それを実行しない? お前の策はその程度なのか? 十分な資金と役職が無いとなにもできないと諦めるのか? 違うだろう、荀彧」
「……」
荀彧は茫然と俺の目を見つめている。しかし、その目はまだ輝きを失っていない。
「民の為に文官になったのだろう? 民の敵になぜその力を振るわない? 麗羽は今、民達の為に尽力している。お前にそれが笑えるのか? 無能で馬鹿な君主だと。答えろ! 荀彧っ!」
ガバッと荀彧はひれ伏して、
「申し訳ありません! 御遣い様、私の目が……曇っておりました。自分の不徳を他人のせいにして八つ当たりするなんてっ。 不才の身なれど、この荀文若。まだ挽回の機会は頂けるのでしょうか……」
少しの静寂。荀彧は顔を伏せたまま、俺の返事を待っている。
スッと近づくと荀彧の体が震えるが、顔は伏せたまま。その手を、そっと両手で包み、起き上がらせる。
「荀彧、俺はこの大陸を統一し、民達が笑顔で暮らせる世をつくる為に戦いたい。 そのための犠牲は覚悟しなければならないが、あなたの智謀があれば、その犠牲はきっとより少なくなるはずだ。今のあなたの目は濁ってはいない。俺に力を貸してくれ! 民達の為にその智謀を!」
両の目を見据えて心の底から訴える。俺の覚悟、皆との誓い、全てを込めて。
「御遣い様……私の真名は桂花と申します。私を正しい道に引き戻してくださった御恩。この桂花、全ての智謀をかけてお返しします。大陸を、御遣い様が統一する為に」
(天の御遣い様……澄み切った目をしているのに全く底が見えなくて、私はこの出会いを感謝します。あぁ、御遣い様)
「桂花。早速だけど、頼みたいことがあるんだ。いいかな?」
桂花は、嬉しそうに微笑むと。
「何なりとお申し付けくださいませ。御遣い様!」
「では、我が軍の筆頭軍師として、細作や間者等、情報収集の総括をお願いするよ」
「採用されたばかりの私にそんな大役を? ……いえ、御遣い様は、私だから出来ると。そう仰りたいのですね?」
「ああ、さすが俺の桂花だ。陳留の刺史の動向に、特に注意を払っておいてくれるかな? あと孫呉にも……。この二つの地は、特に優秀な者を向かわせてくれ! 予算も、任せた額以内なら、
恋姫†無双は、BaseSonの作品です。
自己解釈、崩壊作品です。
2009・10・30修正。