No.916350

 真・恋姫†無双 異伝「絡繰外史の騒動記」第二十一話


 お待たせしました!

 拠点第二弾という事で一刀率いる工兵部隊に

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2017-07-30 13:57:09 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:3615   閲覧ユーザー数:2841

「ねぇねぇ、次の絡繰興行って何時やるの?明日?明後日?何時もあれだけ人が来るんだから

 

 こっちも人手がいるよね?声をかけてくれれば、たんぽぽ何時でも手伝うから言ってね」

 

「…いや、興行は昨日やったばかりだし。しばらくは月様に頼まれた農機具造りにかかりきり

 

 になるから、少なくとも蒲公英の手伝いは必要無い。そっちはそっちの仕事をしてくれ」

 

「ぶぅ、一刀兄様ったら最近、蒲公英に対する態度が冷たい。初めて会ったあの日はあんなに

 

 燃え上がったっていうのに…もう、たんぽぽに飽きたんだね。そうやって涼しい顔で女を次

 

 から次へと捨てていくんだ…よよよ」

 

「……………………」

 

 トンカントンカントンカントンカン…。

 

「よよよよよ…………………………チラッ」

 

 ギーコギーコギーコ…トンカントンカントンカントンカントンカントンカン…。

 

「ねぇ…此処で美少女が一人泣き崩れているんだけど?」

 

「ふむ、備中鍬はこんな感じかな…おい、これと同じようにやってみてくれ。うまくいくよう

 

 だったら次はこっちの柄との接合をこういう風に…」

 

「うわぁーーーーーん!一刀兄様、完全に蒲公英の事無視してるぅーーーっ………チラッ」

 

「あの…北郷s『あれを真面目に相手にしてても仕方が無い事位、皆も理解しただろう?』…

 

 はぁ、まあ、そうですね。それでは完成したら、また…」

 

 工兵は一応蒲公英の事を気にする素振りを見せるものの、俺がそう言うとそれ以上何も言わ

 

 ずにそそくさと作業場に戻る。

 

「ちょっ!一刀兄様、何気にひどすぎなんだけど!!」

 

「とりあえず、そこで泣いていようが喚いていようが、何も手伝ってもらう事は無いから」

 

「ちぇっ、それじゃ今日は帰る」

 

 

 

「ああ、そういえば月様が『蒲公英さんがそろそろ普通に仕事をしてくれないとそれを葵様に

 

 言い付けてしまうかもしれません』とか昨日言ってたぞ」

 

「ええっ!?そういう事はもっと早く言ってよ!!」

 

 蒲公英はそれを聞いた瞬間、慌てたように出て行く。

 

「やれやれ、すっかりあいつもお前に懐いてしまっているようだな」

 

 入れ違いに入って来た公達が蒲公英の後ろ姿を見ながら俺にそう話しかけてくる。

 

「いや、懐かれたというのか、単に絡繰で何かまたいたずらを考えようとしているだけなのか

 

 よく分からんのだけど」

 

 俺は公達の言葉にため息雑じりにそう答える。

 

 ちなみに蒲公英…馬岱が何故洛陽にいて、此処に顔を出すようになったのかというと、話は

 

 連合との戦が終わった直後に遡るのだが…。

 

 ・・・・・・・

 

 ~回想~

 

「さあさあ、こちらの壇より出でましたるこの人形、一節見事に舞ってみせましたならば拍手

 

 ご喝采の程を~!!」

 

 戦が終わってしばらくして、馬騰軍や協力してくれた諸侯が各々の領地へ帰る少し前、俺は

 

 馬騰さんの要望で絡繰興行を行っていた。

 

(無論、今回は全部月様の払いという事で、見物客である諸侯からお金は取らないのだが)

 

 俺も戦でしばらく行えなかった興行が出来るとあって、張り切って色々な絡繰を用意して臨

 

 んだのであった。

 

 お茶汲み人形や弓曳童子はもちろんの事、この場所まで荷物を持ってくるのに木牛を使用し、

 

 それも多くの注目を浴びる事になったのだが。

 

 

 

 そして最後に登場したのが舞を舞う人形である。これは元の世界で見た『三番叟』とかいう

 

 舞を舞う人形を元に製作したものである。三番叟には五穀豊穣を願う意味があったと記憶し

 

 ていたので、最後に持ってきたのであった。

 

 此処までの絡繰人形の動きに諸侯も驚きの表情を見せていたが、この三番叟人形にはさらに

 

 驚きの色を深めていた。

 

「何という動きだ…本当にあれは人形が舞っているのか?」

 

「あの中にあの位の大きさの人間がいると言われても信じてしまいそうだ」

 

 こうして久々の興行は大成功に終わったわけなのだが…。

 

 ・・・・・・・

 

 ~興行が終わった直後~

 

「や、や、やっぱり、ほ、ほ、北郷の、あ、あ、兄貴のこ、こ、興行は、す、す、す、凄いん

 

 だな!」

 

「本当にな…俺と胡車児は結構見慣れてる感じがあったけど、こういう風に初めて見た人間の

 

 反応を見てると俺達も最初はそうだったと思い出させてもらったよ」

 

 片付けをしていると、公達と胡車児がそう言ってくる。見ていた人達からも概ね同じような

 

 言葉をかけてもらい、まずは大成功といった所だ。

 

「おう、北郷。今日はありがとうよ」

 

 そこに馬騰さんが数名の娘を引き連れてやって来てそう声をかける。

 

「いえ、馬騰さんにそう言ってもらえて何より…『葵だ。戦では共に戦った仲間だし、真名で

 

 呼んでくれ』…は、はぁ…それでは、葵…さん、にそう言ってもらえて何よりです。それと、

 

 俺の事は一刀で」

 

 此処であの馬騰からも真名を預かるとは…戦の時には無かったから、もう無いと思っていた

 

 のだが。

 

 

 

「ところで、葵さん。一緒にいるのは妹さんですか?」

 

「ふふん、お前もなかなか面白い奴だ。この娘達はどう見ても月と同年代なのに、私の妹とか

 

 …私がそこまで若く見えるという意味なら少し位は喜んでやっても良いけどな」

 

 馬騰…葵さんはそう言って俺の言葉を冗談と受け取ってくれたようだが、後ろにいる娘達は

 

 若干ムッとした顔をしていたりする。

 

「一応、紹介しておくが、此処にいるのは私の娘と姪だ」

 

 娘と姪か…葵さんと一緒に来たのは三人…あれ?確か馬騰の子供といえば、馬超と馬休と馬

 

 鉄だったはず。それと三国志に出て来るのは馬超の親戚の馬岱…という事は、姪というのが

 

 馬岱の事だな。という事は…。

 

「…娘さんの内、一人は涼州で留守番って事か」

 

「おや、何故お前は私の娘が三人だと知っているんだ?そこまでの話をした事は無かったはず

 

 だが?」

 

「えっと…それはその…」

 

 葵さんが不思議そうな顔でそう聞いてくるが…どうしよう?『実は未来から来ました』とか

 

『三国志って物語の中で名前が出て来るんですよ』とか言うべきではないだろうし…もしそれ

 

 を信じてくれたとしても、今度は『その物語の中で馬家はどうなるんだ?』とか聞かれそう

 

 だしな…さすがに『曹操に滅ぼされて、馬超と馬岱だけが生き残ったんです』なんて言える

 

 わけないし。

 

「俺が北郷に少しあなたの事というか、馬家の事を話したんですよ。なあ、北郷」

 

「あ、ああ…そう、だったな。そういえば、虎牢関で聞いたな、うん」

 

 そこに公達がそう助け舟を出してくれたので、俺は若干…というか、大分ぎこちない感じで

 

 それに乗っかる。葵さんもとりあえずはそれで納得はしてくれたようだ…後で一杯奢りだな、

 

 これは。

 

 

 

「ねぇねぇ、それよりもさぁ、さっきの人形凄かったよね。あれってどう動いてるの?…あっ、

 

 たんぽぽはねぇ、馬岱っていうの。よろしくね」

 

 そこに場の空気を変えるかのように話しかけてきたのは馬岱さんだった…よし、この娘が馬

 

 岱だな。っていうか、今この娘、一人称が真名っぽいんだけど…良いのか、それ?

 

「むぅ…折角、北郷に三人の中で姪は誰か当ててもらおうかと思っていたのに、お前が真っ先

 

 に名乗ってしまったら意味が無いではないか」

 

「へ?何で?たんぽぽは名前を名乗っただけで『姪です』って言ってないよ?」

 

「いや、多分北郷は私の姪の名前は馬岱だと知っているから、お前が名乗った時点でそれが分

 

 かってしまったはずだ…なあ、北郷」

 

「まぁ、一応…そうですね。ちなみにもうお二方は馬超さん・馬休さん・馬鉄さんの内のお二

 

 人って事ですよね?」

 

 俺がそう言うと残りの二人の顔も驚きに包まれる。

 

「凄い…此処にいない姉様の名前はちょっと有名だから分かったかもしれないけど、私達の名

 

 前まで知ってるなんて」

 

「それも荀攸さんに聞いたんですかぁ~?」

 

「いや、それは…ははははは」

 

 あまり三国志由来の知識は言えないので、質問には笑ってごまかしてみたりするのだが…し

 

 かし、此処にいない姉はちょっと有名…という事は、馬超さんがお留守番ってわけか。

 

「はぁ、少しは遊びも入れてみようかと思ったんだが…という事で、娘の馬休と馬鉄、そして

 

 姪の馬岱だ」

 

「「「よろしくお願いします」」」

 

「ええっと…北郷一刀です。こちらこそよろしくお願いします」

 

 

 

「ねぇねぇ、一刀兄様。さっきの人形ってどうやって動いているのか教えてよ~」

 

 挨拶が終わるや否や、馬岱さんがそう言って腕を組んでくる…随分と積極的な…兄様って?

 

「あ、たんぽぽの事は蒲公英で良いからね。その代わり一刀兄様って呼んでも良いよね?」

 

「え…えっと、馬岱さ『た・ん・ぽ・ぽ!』…蒲公英?」

 

「なぁに?一刀兄様~」

 

 …ええっと、どうすれば良いんだこれは?今までの人生の中で女の子がこんなに密着してく

 

 る事なんて一度たりとも無かったのに、一体これはどういう事なんだ!?

 

「おぅおぅ、随分良い思いしてるじゃねぇか。かぁ~っ、羨ましいねぇ。俺もたまにはそんな

 

 状況になってみたいねぇ」

 

 …公達の奴、口ではさも悔しそうな風に言ってるけど、眼は完全に笑ってやがる。

 

「ど、ど、どうすれば、い、い、いいのかな?こ、こ、これは?」

 

 …胡車児は完全に狼狽しまくってるし。となれば此処は年長者たる葵さんが…。

 

「こらこら蒲公英、そんな風にしがみついていたら北郷が困っているじゃないか(棒読み)」

 

「えぇ~っ、一刀兄様は全然困ってないよねぇ?」

 

「そうか、ならば仕方ないか。だけど、嫁入り前の娘が何てはしたない事を(棒読み)」

 

 …何故、そこで面白そうな顔で棒読み台詞なんですか!?完全に止める気が無いって事じゃ

 

 ないですか!

 

「な、な、な…た、た、た、蒲公英!お母様の言う通りでしょ!!北郷様だって困ってるみた

 

 いだし、早く離れなさい!!」

 

「鶸姉様~、どう見ても北郷様は困っているようには見えませんけど~?こうなったら、私も

 

 一緒に…」

 

「蒼まで悪ふざけに乗っからないの!母様、あなたが止めないから皆が悪乗りするんじゃない

 

 ですか!!ああ、翠姉様が此処にいればまだ何とかなったのに…」

 

 

 

 鶸と呼ばれた娘は一人そう言って頭を抱える。ええっと…つまり、この鶸って娘が馬休さん

 

 で、蒼って呼ばれた娘が馬鉄さんって事か…って、そうじゃなくって!

 

「そうだよ、一刀兄様。こんな時に他の女の子の事なんか考えちゃダメだよ…たんぽぽだけを

 

 見・て♪」

 

 蒲公英はそう俺の耳元で囁くと、さらに身体を密着させてくる。

 

 まずい…これ以上はまずい。何がと言われると色々と返答に困るのだが、本当にこのままだ

 

 と色々な所がまずくなってくる。

 

「あ、あの…葵さん」

 

「うん?蒲公英が欲しいなら私は構わないぞ。どうやら本人はお前の事が気に入ったようだか

 

 らな」

 

 ちょっ!?突然何を言い出すの、この人!?

 

「ふふ~ん、伯母様もそう言ってるし…ねぇ、一刀兄様♪」

 

 ダメだ…このまま流されるわけには…となれば。

 

 俺は空いてる手をポケットに入れ、その中から取り出した物を地面に叩きつける。

 

「ぷわっ!?何、これ?急に煙が…」

 

 それは以前に造った煙玉であり、初めて見るそれに驚いた蒲公英が腕の力を緩めた瞬間に一

 

 気に逃げ出す。

 

「今日はお疲れさまでした~、何時かまた~!」

 

「へっ!?ああ、逃げるなぁ!!」

 

 俺に逃げられた蒲公英は一瞬後を追おうとするも、さすがに距離が少し離れてしまったので

 

 諦める。

 

(ちなみに公達と胡車児は俺が蒲公英に捕まっている間に何時の間にやら後片付けを終わらせ

 

 て早々に退散している)

 

 

 

「ぶぅ…何さ、こんな美少女が迫っているのに…意気地なし」

 

「意気地なしって…さすがに急にあんな迫られ方をしたら北郷様だって困るでしょうに」

 

「ふ~ん、それじゃ鶸だったらどうするのさ?」

 

「どうって…まずは絡繰を造っている工房とか見学させてもらって、そのお礼とか言って食事

 

 に誘って、徐々にその頻度を増やして、その内に部屋に…って、何言わせるのよ!?」

 

「うわ~っ、鶸姉様がそんな事を考えていたなんて…さすがですねぇ」

 

「何時も真面目ぶってるくせに、意外に鶸って内心でそういう事考えてるよねぇ~」

 

「うわぁぁぁーーーん」

 

 蒲公英と馬鉄にからかわれた馬休は顔を赤くしてしゃがみこんでしまう。

 

「ところで、蒲公英…お前、北郷の事は本気なのか?」

 

「え?えっと…そう改めて聞かれるとちょっと恥ずかしくなってくるんだけど…その、一目見

 

 た時から、かな」

 

「「…そうなの?」」

 

 蒲公英は葵に改めて真面目に一刀について聞かれると、急にモジモジしながら一目惚れであ

 

 る事を告白する。それには馬休と馬鉄も驚きを隠せなかった。

 

「そうか、そうか…北郷か。悪くはないな…よし」

 

 そして葵は何事かを考えつくと『月に相談事がある』と言ってその場を離れたのであった。

 

 ・・・・・・・

 

 次の日。

 

 月様の執務室に行くと、そこには葵さんと蒲公英の姿があった。

 

「あれ?二人とも何故此処に?そちらの軍は今朝早くに涼州へ発ったって聞きましけど…」

 

「ああ、軍は娘二人に任せた。私もすぐに後を追うがな。二人とも、また機会があれば興行を

 

 見せてくれと言ってたぞ」

 

 うん?『私も後を追う』?『私達』じゃなくて?

 

 

 

「此処に葵様と蒲公英さんがいらっしゃるのには訳がありまして…昨日、葵様から『今後とも

 

 協力体制を継続させていく為に、洛陽にこちらの関係者を連絡役として常駐させたい』との

 

 ご申し出がありまして、私も詠ちゃんもそれについては異存はありませんでしたので、了承

 

 させていただきました。そして、そのお役目は蒲公英さんが務められますので、一刀さんも

 

 よろしくお願いしますね」

 

 マジですか…まあ、月様が了承した以上は俺がどうこう言う話でもないか。連絡役としての

 

 仕事があるのなら、そんなに関わるわけでもないだろうし…。

 

 ・・・・・・・

 

「…はぁ、そう思っていた時もありました」

 

 数日後、俺は工房で諦め混じりのため息をついていた。

 

「どうしたの、一刀兄様?何か悩みがあるんだったら、たんぽぽにお任せだよ!」

 

「…ほぅ、基本的に悩みというのはお前関連の事なんだが」

 

「えっ!?…いやだな~、たんぽぽ何もしてないよ?」

 

「…ほぅ?あえてもう一回言うが…ほぅ?この数日でお前が此処から持ち出した物で起こした

 

 騒動については自分は何も悪くないと…そう言い切るわけだね、蒲公英くん?」

 

「ええっと、それはその…可愛いいたずらって事で…『それを詠達の前で言えるんだな?』…

 

 あはははは…」

 

 連絡役として洛陽に常駐する事になった蒲公英なのであったが、そもそもそんなに涼州へ連

 

 絡する事など無いせいなのか、ほぼ毎日俺の所に来ては絡繰を見ていたり、勝手に造りかけ

 

 の物をいじりだしたりしていたのであった。挙句の果てには、置いてあった水鉄砲やクラッ

 

 カーやビックリ箱を勝手に持ち出して兵や侍女、詠達にいたずらじみた行為を繰り返し(さ

 

 すがに月様にはしなかったようだが)その度に文句が俺の所に来ていたのであった。そりゃ、

 

 蒲公英本人は巧妙に逃げおおせて捕まらない以上、道具を造った俺の所に文句を言いに来る

 

 気持ちも分からないでは無いのだが…。

 

 

「これ以上、勝手に此処から物を持ち出して騒動を起こすようなら、月様と葵さんに言うから

 

 な。おそらく二人の事だから、もう全てを把握はしているだろうけどな」

 

「はぁ~い…それはともかくさ」

 

 一応、神妙に返事をしたからちょっとは反省したのかと思いきや、何かを企むかのような眼

 

 で話を変えようとしてくる…今度は一体何を?

 

「この間さ、ちょっと雰囲気の良い茶店を見つけたんだ。これから一緒に行こうよ♪」

 

 蒲公英はそう言うなり俺の腕を取ってそのまま引っ張るように連れて行く。

 

「茶店?…本当にただそこに行くだけか?」

 

「当然でしょ♪」

 

「そうか…まあ、その位なら」

 

 これはちょっとしたデートっぽいなと思わないでもなかったが、変にいたずらに付き合わさ

 

 れるよりはと蒲公英の誘いに乗ったのだった。しかし…。

 

 ・・・・・・・

 

 数日後。

 

「ねぇ、一刀。あんた、蒲公英と婚約したって本当なの?」

 

 詠に突然とんでもない事を聞かれ、俺の思考は真っ白になる。

 

「………一体、何処からそんな話が?」

 

「もう色々な所で噂になってるわよ?何でも二人で個室形式の茶屋に行って一晩出て来なかっ

 

 たとか…既に二人で武威に行って葵様に挨拶済だとか」

 

 何の話だそれ!?確かに蒲公英と茶店には行ったけど、普通に店に行っただけだし!そもそ

 

 も月様からの用事で立て込んでいる状況でどうやって武威まで行けるっていうんだ!?

 

「本当にただの噂のようね…でも、もう此処までまことしやかな感じになってると、武威に伝

 

 わる頃には本当の話になってたりしてね。訂正するなら早い内にね…もう遅いかもしれない

 

 けど」

 

 詠はそれだけ言うと、足早に去って行く…でも、顔は完全に笑っていたから、絶対に面白が

 

 ってるな、あれ。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、改めて色々な所に聞くと、皆の中では俺と蒲公英の話はもう既定路線扱いになって

 

 いたのである。俺は慌ててそれを否定して回るも、肝心の蒲公英がそれを否定するようなし

 

 ないような感じの曖昧な発言をするので、完全にそれを消す事は出来なかったのであった。

 

「…蒲公英~っ、お前って奴は!」

 

「そう言いながら、たんぽぽが此処に来るのを拒絶しない時点で兄様も満更じゃないって皆が

 

 思っちゃうって事じゃん♪」

 

 …だって、一応葵さんとの連絡役としている以上、無下に扱えないに決まってるじゃないか

 

 …ううっ、何だか段々外堀を埋められているような気がするのは気のせいだろうか?

 

 俺はどうすれば良いは思案しつつも、心の底では可愛い娘に懐かれてて悪い気はしていなか

 

 ったりするのであった。

 

 ・・・・・・・

 

 ~武威にて~

 

「ふっふっふ…蒲公英の奴、うまくやってるようだな。まあ、婚約なんていうのは尾ひれの付

 

 いた噂だろうが、こんな遠くにまでそういう噂が来るって事はまずは嫌われていないようだ

 

 し、上々といった所だな」

 

 行商人から一刀と蒲公英の噂を聞いた葵は一人そう言ってほくそ笑んでいたのであった。

 

 

                         

                                       続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あとがき的なもの

 

 mokiti1976-2010です。

 

 今回は投稿が大幅に遅れてしまい、申し訳ございませんでした。

 

 しかも、何とか書けはしたものの、出来が…まあ、出来の悪さは

 

 元からですが(オイ。

 

 とりあえず言っておくと、あくまでも一刀と蒲公英の間の事は噂

 

 レベルでしかありませんので。蒲公英はこのままなし崩し的に進

 

 んでいけば良いなぁとは思っているようですが。

 

 とりあえず次回も拠点です。誰が登場するかはお楽しみに。

 

 

 それでは次回、第二十二話にてお会いいたしましょう。

 

 

 

 

 追伸 ちなみに今回、馬家の中で唯一出番の無かった翠さん

 

    ですが…もうしばらく出番はありませんので。

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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