No.915274

ポケモンDPt 時空神風伝 07

フウイさん

ポケモンのプラチナも久しぶりに最初から遊びたいね。

2017-07-23 15:37:06 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:448   閲覧ユーザー数:448

第7話 発電所のピンチ

 

次のジムがあるハクタイシティを目指すためにクウヤはソノオタウンを旅立とうとしていた。

 

「・・・ぐすっ、ひっく・・・」

「ん?」

 

だがソノオタウンをでたところで、クウヤは泣いている女の子を発見した。 もとより困っている人を放っておけない性分であるクウヤは迷わずその女の子に話しかける。

 

「お前、どうしたんだ?」

「・・・パパが、かえってこないの・・・そのせいでママおこっちゃって・・・・わたしと、くちもきいてくれなくなったの」

「あちゃあ・・・お前のパパっていつも帰ってこないのか?」

「ううん、おそくなるときはね、ちゃんとでんわしてくれるよ。 それにね、いつもはかえってくるのはやいんだよ・・・。 でも、でも・・・きのうパパ、はやくかえるっていったのに・・・かえってこなかったの。 それでママね、パパが約束やぶったって・・・それで・・・」

「・・・そっか・・・」

 

泣きながらも必死に事情をはなす女の子をみて、クウヤはよっと立ち上がる。

 

「お前のパパ、どこで仕事しているんだ?」

「え・・・」

「もしかしたらよ、帰れなくなったのには理由があるんじゃねぇかって思うんだ。」

「・・・」

「それともお前のパパは、簡単に約束を破るようなひどい男なのか?」

「そんなことないよ、パパはとってもやさしいもん!」

「だろ、だったら今から会いに行ってみようぜ!」

 

クウヤは女の子に手を伸ばした。

 

「・・・うん・・・! パパはあそこのはつでんしょでおしごとしているの!」

「あの発電所だな・・・よしっ!」

 

女の子が自分の手を握り返したのを確認して、クウヤは女の子の指さす先にある発電所にむかった。

 

「・・・あ、あれって!」

 

そこで目撃したのは、見覚えのある姿だった。

 

「ギンガ団の仕業だったのかよ」

「?」

「・・・よし、ズーバ、この子のそばにいてやってくれ!」

 

クウヤはズーバを出し女の子の側に置き、さらにヒーコを自分の肩に乗せた。

 

 

ギンガ団と面と向かって中に入れろといったが当然のごとく断られ、逆にポケモン勝負をふっかけられたのでクウヤとヒーコはそれを返り討ちにし、ギンガ団はそこから逃げ去っていった。

 

「ヒーコ、かえんぐるま!」

 

ギンガ団がその場を離れていったのでクウヤは発電所に接近しヒーコの技で扉を突き破った。

 

「!」

「あぁら、人が入ってきたわね・・・見張りは何をやってるのかしらまったく」

「誰だお前は!」

 

クウヤの前に現れたのは赤い髪で、ギンガ団の制服を女性らしくアレンジした制服を着た女性だった。

 

「アタシはマーズ! 美しく可愛く、強くて優秀なギンガ団の幹部よ!」

「・・・」

 

自意識過剰じゃね、と思ったクウヤ。 だが、彼女のそばにいた男性に気がつき叫んだ。

 

「そのおっさんをはなせ!」

「あら、職員を解放しにきたのね?」

「ああ、そのおっさんを待っている子がいるんだ! そのためにもそのおっさんを離せよ!」

 

クウヤの怒声にたいしマーズはふふふ、と笑う。

 

「返してほしければそうねぇ・・・あたしの暇つぶしにつきあってくれない?」

「暇つぶし・・・ポケモンバトルか?」

「あーら、よくわかってるじゃないの、その通りよ。 アナタが勝ったらここから身を引いてあげるわ! ただし、勝ったらの話だけどね!」

 

マーズは笑うと、ボールを投げてそこからポケモンを出した。

 

「行ってらっしゃい、ブニャット!」

 

マーズが出してきたのは大型のネコ型のポケモン。 しっぽを腰に巻き付けて巨体に見せており目は不貞不貞しい・・・その姿を見たクウヤはつぶやいた。

 

「でぶ・・・」

「ブニャアアアアア!!!」

 

クウヤの言葉に対しブニャットは怒りだし、彼に向かって切り裂く攻撃を繰り出してきた。

 

「うぉぉぉーっ!!」

 

それをクウヤは間一髪で交わすがテーブルは切り刻まれていた。

 

「狂暴じゃねぇかそのポケモン! お前とんでもねぇ育て方してんだなおい!」

「・・・いや、流石にさっきのはアナタのが悪いと思うわよ」

 

 

そんなブニャットの先制攻撃を受けながらもクウヤは怯むことなく、肩に乗っていたヒーコを前に出した。

 

「負けるもんか、いけ、ヒーコ!」

 

ヒーコとブニャットが向き合い、戦いの火蓋は切って落とされた。

 

「ブニャット、みだれひっかき!」

「こっちもみだれひっかきだ!」

 

双方の連続攻撃がいきなる衝突し五分と五分の力を見せられる。

 

「さいみんじゅつよ」

「まずっ!」

 

ヒーコが催眠術にかからないよう呼びかけようとしたがすでに遅く、ヒーコはブニャットのさいみんじゅつにかかって眠ってしまった。

 

「ヒーコ、ヒーコ、ヒーコォォォ!!! 寝るなぁ、起きるんだぁ!!」

「無駄よ! このスキにブニャット、みだれひっかきで攻撃して倒しちゃいなさい」

 

ブニャットはふてぶてしく笑うとヒーコにみだれひっかきで攻撃する。 連続で攻撃を受けているにもかかわらずヒーコは眠り続け、どうすればいいんだと戸惑ったクウヤの脳裏をある技がよぎる。 ヒーコが覚えていると図鑑に載っていたあの技が。

 

「こうなったら・・・やってみるっきゃねぇ!」

 

クウヤはヒーコに呼びかけた。

 

「ヒーコ、いびきだ!」

「いびきぃ?」

 

いびきは、眠っている間にも攻撃ができるという技だ。 確かにこの状況ではその技を使わせるのは得策ではあるが今眠っているヒーコにその声が届くわけがないと、このときマーズは思っていた。

 

「ブニャアッ!」

「な、なんですって!」

 

だが、ヒーコはいびきをくりだしブニャットを攻撃した。 その拍子か否かは定かではないがヒーコは起き上がる。

 

「ヒーコ! よっし、ひのこだ!」

「ヒッココゥ!」

 

ひのこで反撃されブニャットは驚く。 炎を吐き続けるヒーコだったが、やがてその炎はヒーコの身体を包み始めた。 最初は自滅なのかと思った一同だが、クウヤだけは違った。

 

「これはもしかして!」

 

炎はヒーコを丸呑みにした後で強く光を放つ。 光が止んで炎が散ったあとで別のポケモンが姿を現した。

 

「な、なによこれ! まさか、進化したっていうの!?」

「やったぜ!」

 

クウヤは進化した相棒に図鑑を向けた。 そこにはやんちゃポケモン、モウカザルと書かれていた。

 

「モウカザル・・・すっげぇ!」

 

一度ヒーコに視線を向け図鑑を確認すると、そのパワーアップが解った。 まず、ヒコザルからモウカザルになったことで炎の他に格闘タイプが新たについたこと。 そしてその影響か、新しい技を覚えたこと。

 

「早速新しい技、行っちゃおうぜー!」

「モウッ!」

 

クウヤの声にこたえるようにヒーコも調子を整える。

 

「ブニャット、きりさく攻撃よっ!!」

 

こうなったらさっさと倒すしかないと判断したマーズはブニャットに攻撃を指示した。

 

「いっけぇ、マッハパンチ!」

 

だが、それより早くヒーコの新しい技がヒットし、ブニャットは戦闘不能になった。

 

 

「ブニャット・・・!」

「さぁ、まだやる気なら相手してやるぜ!」

「くっ!」

 

進化したポケモンを使うとはいえ、この少年は只者ではない、強い。 この勝負を通してマーズはそれを感じ、不利だと察した。

 

「まぁいいじゃろ、今後の作戦に必要なエネルギーは集まったことじゃ、ここにはもう用はない。」

「!?」

 

そんな二人の間に割って入ったのは老人だった。 白衣の下にギンガ団の制服に似たものを着ているのとマーズ側に立っていたことから、この老人もまたギンガ団のメンバーであることが分かった。

 

「さぁさぁマーズや、今日はもう引き上げるとしようじゃないか」

「う、うるさいわね!! ワタシもそうしようとしていたのよ、いちいち口に出さないでくれる!?」

 

怒声を浴びせるマーズ。 その光景を見たクウヤは老人を怪しんだ。

 

「なんだこのヘンなじいさん」

「誰がじいさんじゃ、誰が!」

「いやどーみてもあんただろ」

 

クウヤの言葉に対して老人はわなわなと震えた。

 

「直球に物を言いおって・・・これだから最近の若いもんは・・・これ以上何か言われたらたまったもんじゃないわい、わしらはおとなしく退散するぞ」

「・・・ほらとっとといくわよジジィ。」

「ジジィではない、儂はプルート・・・天才科学者プルートじゃ!」

「はいはい、それじゃあまた勝負しましょ、ぼうや」

 

マーズはプルートと名乗る老人を引きずりながらその場を去っていきヘリコプターとともに姿を消した。

 

「・・・やっぱヘンなのしかねぇ・・・」

「パパァ!」

「え・・・あ!」

 

ギンガ団を呆れた目で見ていたクウヤはそこで父娘のことを思い出し彼らに駆け寄り、女の子に事情を説明する。 話を聞いた女の子は父親に抱き付いて泣き出した。

 

「やっぱりパパはやくそくをやぶるひとじゃなかったんだね・・・!」

「ああ」

「それでね、わたしね、パパがぶじなのがいちばんうれしいっ・・・!」

「はは、ママにも事情を説明しなきゃね」

「うん!」

 

そんな親子の姿を見てクウヤは2匹をモンスターボールに戻し、親子をソノオタウンまで送りポケモンセンターでポケモンを回復させてそこを出ていく。

 

「おにいちゃんありがとー! これからもがんばってねぇー!」

「ああ!」

 

と、クウヤは家族に手を振って別れを告げ、ハクタイシティを目指して再び歩き出した。

 

後日もらった手紙によれば、今回のことを知った母親はあの不機嫌さが嘘のように機嫌を直し明るくなって家族仲良くなったとか。

 

 


 
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