No.908659

【獣機特警K-9IIG】ゆがめられた自然(完結編)【戦闘】

古淵工機さん

いよいよ完結!なんか駆け足で書いたらこんなんなった。

■出演
クオン:http://www.tinami.com/view/551025
イシス:http://www.tinami.com/view/609970

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2017-06-04 15:13:22 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:930   閲覧ユーザー数:903

さて、ここは自然保護区からさらに山間部に入ったところにある小さな小屋。

その中で、ジャガー型ファンガーの男とカモシカ型ファンガーの女が話している。

 

「試験体1号が無力化されてしまったか…」

「しかも奴らが復元方法を知っていたなんてね。でもまあいいわ。あれはあくまで試験段階…『XR-101』はまだ手元にあるのよ」

「ふふふ、これを好きな動物に投与すれば悪魔の兵器に早変わり。その特殊薬品がここで作られていたとは」

「夢にも思わないだろう…か?」

 

二人はすぐさま、声のした方を見た。

「き、貴様らはK-9隊!!」

入ってきたのはK-9隊のクオンとイシスだ。

「なっ…なぜここがわかった!?」

「その道のプロが教えてくれたのよ」

「自然の摂理を捻じ曲げ、違法な改造生物を生み出すなんて、お前たちはいったい何を考えているんだ!」

 

二人は不気味にゆがんだ笑みを浮かべながら叫ぶ。

「何をですって?私たちは悪魔の存在を証明したいのよ」

「そして人類に恐怖を教えてやるのさ…それこそが俺たちの計画だ!」

「そうね…せっかくだから…証明してあげましょう!悪魔の力を!!」

「ああ…本来は市街地のカラスにでも投与するつもりだったが仕方がない」

二人は手元にあったXR-101の瓶を取り、そのまま口元へと持っていく。

「馬鹿な!?自ら薬を飲むつもりか!?やめろ!!」

クオンの制止も聞かずに、二人は薬を飲み干してしまう。

「「ぐ…ぅ…ぐあぁぁぁぁぁぁああ!!」」

直後に、二人の肉体に変化が現れた。

女性の方は背中が割れ、中から数本の触手が飛び出していく。

一方の男性は口の中から、やはりおびただしい量の触手を出し始める。

よく見ると男性の腕も少しずつほどけて触手となり、女性の脚へと絡みつき、やがて両者の肉は融合を始める。

 

続いて男性の顔が完全にほどけ切って無数の触手になると、女性の尾を包み込むように変化していく。

やがてその男性の尾の付け根から、女性のものと思しき長い尾が生えてくる。

女性の背中から生えてきた触手はやがて形を変え、禍々しい2対の翼へと変化していく。

「こ…これは…」

「XR-101と融合促進剤…それに沈着材も飲んだってのか!?」

 

すっかり男女は融合し、もとの男性は四つ足の下半身に変わり、その上から女性の上半身が生えている姿を見せつけていた。

さらに上半身は、腹筋がついていき、妖艶さと荒々しさを兼ね備えた、筋肉質の体に大きな乳房のついたものになっていく。

「グオォォォォォォォ!!!」

できあがったそれはまさに怪物だった。怪物は雄たけびを上げた!

「くそっ!まさか自分たちを怪物にするなんて!?」

「ソウダ…貴様らなンかに渡スくらいナら……!もうこの製造設備もいらヌ!」

怪物は口から炎を吐く。小屋はすさまじい大爆発によって吹き飛ばされる!

 

「きゃあっ!?」

「イシスさんっ!くそっ!なんて威力だ!!」

爆発の衝撃で、クオンとイシスはところどころの人工表皮が千切れ、内部メカが見え隠れする状態になりながらもどうにか持ち直した。

 

「最早動物を改造スるなど面倒…こウなレバ我が自ら悪魔トなっテ…恐怖ヲ味わわせてやル!!」

怪物はそう言って空へ舞い上がろうとした。だがその時だった!

「ぐあッ!?」

「あの精密射撃は…ナタリアか!?」

「ふーっ…大丈夫ですか隊長!イシスさん!」

あらかじめ待機していたナタリアが、怪物の胴体にビームを命中させたのだ!

 

「気をつけろ!こいつ、なかなか強いぞ!!」

クオンが叫ぶ。直撃をもろに喰らい、地上に落ちた怪物は、自らの足元にXR-101がまだ残っていたことに気が付いた。

 

「フン…さっき焼きそびレたサンプルか…、まァイイ!こレを全て身体に取り込メバ、我は更に強大ナ存在にナル…」

「やめろ!それ以上飲めばどうなると思ってるんだ!!」

「ええイ、五月蠅い!我は強くなルのダ!!」

怪物は更にその薬を飲む。

「フハハハハハ…こレで…コレで究極の力ヲ…うっ!?」

高笑いをしていた怪物が突如苦しむ。

「グガッ…なゼ…ダ…?身体が…苦し…イ…!」

 

急に苦しみ悶え、のたうち回る怪物。

力を求めるあまり急激にXR-101を大量摂取したため、ショック症状が起きたのだ!

「そン…ナ……我の野望…が…ココ…で……」

怪物は手を伸ばしたところで力尽き倒れ、物言わぬ屍となった…。

「…隊長」

「…何だい、ナタリア」

「…結局犯人は…何がしたかったんでしょうね…」

「…ヤツの言動から察するに、愉快犯の一種なんじゃないかな…あいつらの眼は好奇心に満ちたそれだったように見えた」

「でも、それを探求したいがあまりに、自然の摂理を捻じ曲げ、利用しようとした…」

「あげくに自らを改造して自滅とは…自業自得とはいえ、あまりにも悲惨すぎる最期だったな…」

クオンは怪物の亡骸を見つめると、そっとつぶやいた。

 

「さよなら…呆れかえるほど純粋で、それ故に信じられないほど邪悪で…そして悲しい怪物…」


 
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