No.908550

九番目の熾天使・外伝 ポケモン短編

竜神丸さん

七夜の願い星 その13

2017-06-03 20:41:39 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2838   閲覧ユーザー数:596

「ドクロッグ、『どくどく』から『どくづき』」

 

「クロロロロォッ!!」

 

「エ…エルゥ!?」

 

「ッ…イシュタル!!」

 

ドクロッグが吐き出した『どくどく』の毒液をまともに浴びた挙句、『どくづき』を連続で喰らい空中に打ち上げられるエルフーン。交代する隙すらも与えられないまま、高く跳び上がったドクロッグが空中のエルフーンを掴んでから地面目掛けて投げつけ、地面に叩きつけられたエルフーンは瞬く間に戦闘不能にされてしまった。

 

「エルフーン、戦闘不能。ドクロッグの勝ち!」

 

「まぁ、あなたの戦闘力なら当然の結果です」

 

「…ケッ」

 

竜神丸なりの賞賛を受けても、特に興味も無さそうな表情で舌打ちだけするドクロッグ。一方で朱雀は、戦闘不能となったエルフーンに駆け寄り優しく抱き抱える。

 

「ごめんイシュタル、僕の判断ミスだ……ゆっくり休んでくれ」

 

エルフーンがモンスターボールに戻される中、竜神丸もドクロッグをモンスターボールに戻し、別のモンスターボールを取り出す。

 

「頼みますよコハクさん? あまり弱いポケモンが相手では、こちらも効率良く実験が出来ませんから」

 

「ッ……イナンナ、頼む!」

 

「ラァイ!!」

 

「! ほぉ、リライブし終えて早速バトルですか……イーブイ、実験開始」

 

「ブイッ!」

 

次に朱雀が繰り出したのは、元ダークポケモンだったライボルトだった。ニックネームで呼ばれてやる気になっているライボルトを見た竜神丸は興味深そうに呟きながら、四足歩行の可愛らしい哺乳類型ポケモン―――イーブイを繰り出す。

 

「コハクはライボルト、アルファはイーブイか……アルファとイーブイの組み合わせとか違和感しかねぇな」

 

「「「「「確かに」」」」」

 

げんぶの発言にロキ逹が同意している事など露知らず、ライボルトとイーブイのバトルが開始される。

 

「イナンナ、『めざめるパワー』だ!!」

 

「イーブイ、『みがわり』から『あなをほる』」

 

ライボルトは自身の周囲に発生させたエネルギー『めざめるパワー』をイーブイ目掛けて放出するも、イーブイは『みがわり』で緑色の身代わり人形を召喚して防御。その間にイーブイは地面に穴を掘り、一瞬で地中の奥深くへと姿を消す。それでも朱雀は慌てない。

 

「イナンナ、走り回って!! それから身代わり人形に『かみなり』!!」

 

「! ふむ……イーブイ、『シャドーボール』です」

 

「反転して『めざめるパワー』!!」

 

地中に潜っているイーブイに狙いを定めさせない為、朱雀はライボルトに走り回らせ、そのついでに残っている身代わり人形を上空から落とした『かみなり』で完全に破壊。それを見た竜神丸は特に焦る事なく指示を出し、地中から飛び出したイーブイが『シャドーボール』でライボルトを背後から狙い撃ち、素早く後方に振り返ったライボルトが『めざめるパワー』を放つ。相殺されて爆発が起きた後、土煙が晴れるとライボルトの姿は何処にも見当たらなかった。

 

「イーブイの掘った穴に隠れましたか。ではこちらも……『でんこうせっか』で撹乱しなさい」

 

先程ライボルトが『あなをほる』対策で行った撹乱戦法をこちらもマネしようと考えたのか、イーブイに『でんこうせっか』で走り回らせ、ライボルトを撹乱させようとする。しかし、これは朱雀の読み通りだった。

 

「そこ、足元注意ですよ?」

 

「ッ……ブイ!?」

 

「!?」

 

その時、走り回っていたイーブイが突然その場に転倒し、その全身が一瞬だけ紫色に変色した。何事かと思った竜神丸がイーブイの足元を見ると、地面に残っていた少量の毒液がジュワジュワと煙を噴き出していた。

 

(毒液……まさか、先程ドクロッグが放った『どくどく』の効果がまだ残っていた…?)

 

そうなると、先程ライボルトが『あなをほる』対策の為に周囲を走り回っていたのも、イーブイに同じ戦法をマネさせる為。そしてイーブイが掘った穴にライボルトを飛び込ませてしまえば、向こうも先程のイーブイと同じ戦法で向かって来るだろうと読ませ、強制的に同じ撹乱戦法をマネさせ、僅かに残っていた『どくどく』の毒液をイーブイに踏ませる事が出来る。流石の竜神丸も、まさか先程ドクロッグが放った『どくどく』を利用されるとまでは想定していなかったのか、少しだけ朱雀に対し感心の態度を見せる。

 

「なるほど、してやられましたねぇ……イーブイ、『シャドーボール』連打」

 

「イナンナ、『めざめるパワー』だ!!」

 

毒状態になってもなお『シャドーボール』を連続で繰り出すイーブイに対し、ライボルトも再度繰り出した『めざめるパワー』で対抗。技と技がぶつかり合う攻防は続くかと思われたが、毒状態によるダメージで僅かに怯んでしまったのか、最終的には『めざめるパワー』の方が打ち勝ち、イーブイに大ダメージを負わせ戦闘不能に追い込む事に成功した。

 

「ブ、ブイィ…」

 

「…イーブイ、戦闘不能。ライボルトの勝ち!」

 

「よし、よくやったイナンナ!!」

 

「ライッ!」

 

「…やれやれ」

 

ようやく1勝を掴み取った朱雀とライボルトが喜ぶ中、竜神丸は戦闘不能になったイーブイをモンスターボールに戻し、イーブイの入ったモンスターボールを冷たい目で見つめる。

 

「進化前とはいえ、元ダークポケモンなんぞに遅れを取るとは……まだまだ使えませんねぇ」

 

「…イーブイはあなたの為に頑張ったんですよ? 少しくらい褒めてあげても良いんじゃないんですか」

 

「私が思っている基準に届いていませんからねぇ。兵力として取り扱う以上、必要最低限のレベルにまで強くなって貰わなきゃ役に立ちませんからねぇ」

 

「…使えないとか役に立たないとか、ポケモンに対して言って良い言葉じゃないでしょう! あなたはポケモンを何だと思ってるんですか!!」

 

「言ったでしょう? 兵力だと。私にとってポケモンは兵力の一種に過ぎない」

 

「ッ……口で言っても無駄みたいですね」

 

「説得でもするつもりでしたか? ポケモンと接する内に情でも湧きましたか? 実に下らない……ヘルガー、実験開始」

 

「ヘルッ!!」

 

竜神丸の3番手として召喚されたのはヘルガーだった。ヘルガーはすぐ近くの地面にドクロッグの毒液が残っているのに気付き、口から吐いた炎で毒液を焼き払い、毒液を完全に消滅させる。

 

「(確か、ヘルガーの特性は『もらいび』か『きんちょうかん』のどっちかだったかな。そうなるとあの技は使えないし、『めざめるパワー』も氷タイプだからダメージは通り辛い……だったら)…イナンナ、『あまごい』!」

 

「無駄です、『にほんばれ』」

 

「ッ…やっぱり駄目か……戻ってイナンナ!! 行け、アプス!!」

 

「ラグゥ!!」

 

ライボルトが高く吠えると共に、空には黒い雨雲が出現し、そこから土砂降りの雨が地上に降り注ぐ……かと思われていたが、後出しでヘルガーが高く吠えた途端、雨雲はすぐに消滅し、代わりに日差しが強くなっていく。天候を変える戦法は通じないと判断した朱雀はライボルトを戻し、3番手のポケモンとしてラグラージを繰り出す。

 

「炎タイプ相手に水タイプ、セオリー通りという訳ですか……ヘルガー、『かえんほうしゃ』で囲みなさい」

 

「ヘェル!!」

 

「アプス、真下に『ハイドロポンプ』!! 続けて『みずのはどう』!!」

 

「ラァグッ!!」

 

日差しが強い影響で、強化されたヘルガーの『かえんほうしゃ』がラグラージの周囲を覆い、炎の壁を形成してラグラージをその中に閉じ込める。しかしラグラージも真下に高圧水流『ハイドロポンプ』を繰り出し、その勢いを利用して高く跳んだラグラージは炎の中から脱出、続けて放った『みずのはどう』が炎の壁を打ち消した後、そのままヘルガーに迫る。

 

「ヘルガー、『あくのはどう』で相殺」

 

「アプス、落ちる勢いを利用して『じしん』!!」

 

「ラァグ!!」

 

「ヘ、ヘル…!?」

 

「ちょ、うわわわわわ!?」

 

「ぬぉお!? めちゃくちゃ揺れる!?」

 

「…小賢しい」

 

『あくのはどう』で『みずのはどう』が相殺される中、落ちる勢いを利用したラグラージは地面に着地すると同時に強力な『じしん』を発動。地面が大きく揺れてロキやディアーリーズ逹、更には離れた位置にいる支配人やユイ逹まで突然の大きな揺れに慌てている中、竜神丸は忌々しげに舌打ちしながらも、冷静に次の指示を下す。

 

「薙ぎ払いなさい……ヘルガー、『ソーラービーム』」

 

「ヘェェェル……ガァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

「!? ラ、ラグゥゥゥゥゥゥッ!?」

 

「な…アプス!?」

 

ヘルガーの口元に収束されていく太陽エネルギーは、日差しが強い影響で瞬く間に収束。そこから繰り出された強力な一撃『ソーラービーム』は一直線にラグラージへと向かい、草タイプの技が効果抜群であるラグラージは大きく吹き飛ばされた後、目を回して瀕死になってしまった。まさか一撃で葬られるとは思っていなかったのか、朱雀は瀕死になったラグラージに駆け寄って行く。

 

「ラグラージ、戦闘不能。ヘルガーの勝ち!」

 

「ごめん、アプス。ゆっくり休んで……イナンナ、もう一度お願い!」

 

「ラァイ!」

 

ラグラージがボールに戻され、再度ライボルトがフィールドに召喚。これで残る手持ちは竜神丸が2体、朱雀が1体のみとなり、朱雀が不利な状態となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっひゃあ、強いなぁあのヘルガー…」

 

「効果抜群だったとはいえ、たった一撃とは凄まじいですね…」

 

2人のバトルを観戦していたこなたとディアーリーズは、ヘルガーがラグラージを一撃で倒した事に少なからず驚きを隠せないでいた。そんな中、ロキは特に驚くような様子は無い。

 

「そりゃまぁ、あのヘルガーだってアルファにとっては主戦力の1体だ。さっきのイーブイみたいなまだ育成中の個を除けば、アイツの手持ちにいるのは選りすぐりの精鋭達ばかりだからな。ウル、お前だってそれは理解してるだろう?」

 

「…確かに。プテラは『ステルスロック』や『ほえる』でこっちのバトルを掻き乱してきましたし、ドラピオンは『どくびし』で毒状態にしてきた挙句、コウヤさんのヨルノズクとの連携も絶妙。ギャラドスに至っては、もはや次元が違うレベルの実力を持っていました…」

 

「一体、どんな育成をしてるのか……興味がある」

 

「いやぁ、あんまり知らない方が良いと思うぜ? アイツの育成法は……普通とは言い難い」

 

「「?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イナンナ、もう一度『あまごい』!」

 

「ラァァァァァイ!!」

 

「(また『あまごい』ですか。しかし『にほんばれ』でいちいち張り合っても泥沼ですし)…怯むような理由もありませんね。ヘルガー、『かえんほうしゃ』で自身を覆いなさい」

 

「ヘルッ!!」

 

ライボルトの『あまごい』で再び雨雲が発生し、フィールド全体に雨が降り始める。いちいち『にほんばれ』で張り合っていてもキリが無い為、竜神丸は敢えて天候を変える戦法を捨て、ヘルガーに『かえんほうしゃ』を指示。雨の影響で勢いは多少下がっているものの、ヘルガーは吐いた炎を自身の周囲に纏わせ、その姿を見えなくさせていく。

 

「隠れていても居場所は分かる…イナンナ、『かみなり』だ!!」

 

「ラァイ!!」

 

雨が降っている事で必中技となった『かみなり』の一撃が、ヘルガーがいる炎の中に落下し大爆発が起こる。しかし爆炎の勢いが大きくなるかと思われた瞬間、爆炎は瞬く間に一ヵ所に収束されて消滅。収束した場所にはヘルガーが舌舐めずりをしながら唸り声を上げていた。ヘルガーの特性『もらいび』を利用し、『かみなり』で発生した爆炎を吸収して火力を強化したのだ。

 

「貴重な爆炎をありがとうございます……ヘルガー、『かえんほうしゃ』です」

 

「ヘルッガァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

「!? しまった、避けてイナンナ!!」

 

「ラァイ…ッ!?」

 

『もらいび』で火力が上昇した事により、雨が降る前と同じ火力の『かえんほうしゃ』がライボルトに迫る。ライボルトも何とか回避しようとするがギリギリ間に合わず、『かえんほうしゃ』が掠った事でライボルトにいくらかダメージが入ってしまう。

 

「(向こうは『もらいび』で火力を強化してきた……試すしかないな)…イナンナ、自分に『かみなり』だ!!」

 

「ラァァァァァァァイッ!!」

 

雨雲から落ちて来た『かみなり』が、ヘルガーではなくライボルトに直撃。特性『ひらいしん』の効果で電撃を体内に吸収し、火力を上昇させる作戦のようだ。

 

「今度はそちらがマネをしてきましたか……無駄な足掻きです、『あくのはどう』!」

 

「イナンナ、『めざめるパワー』だ!!」

 

「ラァイ!!」

 

「ヘェル…ッ!? ヘ、ヘル!?」

 

「!?」

 

『あくのはどう』と『めざめるパワー』がぶつかり、相殺されたエネルギーが周囲の地面に次々と着弾。その影響で泥水が舞い、ヘルガーの目元にかかってしまい、ヘルガーは目が見えずに周囲をキョロキョロし始めた。

 

「なるほど、今度は目潰しですか…」

 

「今だイナンナ、最大威力の『かみなり』だ!!」

 

「ラァァァァァァァァイ…」

 

「左85度、『かえんほうしゃ』!」

 

「!! ヘェェェェェェェェェル…」

 

ライボルトは電撃を収束し、ヘルガーは竜神丸の指示で左85度に狙いを定め…

 

「ラァイッ!!!」

 

「ガアァッ!!!」

 

『かみなり』と『かえんほうしゃ』が同時に発動。『かみなり』がヘルガーに、『かえんほうしゃ』がライボルトに直撃して大爆発が起こり、再び爆炎が発生しフィールドが見えなくなった。

 

「どっちも命中!?」

 

「どっちだ、どっちが勝ったの!?」

 

「…! 見ろ、あれを」

 

爆風が収まる前に気付いたげんぶが指差した方向。その先には爆風の中、倒れ伏したまま戦闘不能になっているヘルガー、そして全身傷だらけながらも何とか持ち応えているライボルトの姿があった。その光景を見据えた刃は判定を下す。

 

「ヘルガー、戦闘不能。ライボルトの勝ち!」

 

「おぉ~凄いじゃんあのライボルト!! アルファのポケモンを2体も倒すなんて!!」

 

「…まぁ、たぶんここまでだけどな」

 

「え…?」

 

「アルファの野郎、こうなる事を予測してやがったんだ。そうでなきゃ、ヘルガーよりも実力の低いドクロッグをわざわざ最後まで残しておく筈が無い」

 

「「「…あ!?」」」

 

「…ドクロッグ、実験再開」

 

ロキの推測通り、竜神丸はヘルガーをボールに戻してから再度ドクロッグを召喚。ドクロッグは未だノーダメージである一方、ライボルトの方はヘルガーとの戦闘で既に満身創痍。もはや勝負は見えていた。

 

「イナンナ、もう少しだけ頑張って……『かみなり』だ!!」

 

「ラ、ラァ……ラァァァァァァァイ!!」

 

「!? クロォ…!!」

 

ライボルトはフラフラながらも『かみなり』を発動し、その一撃がドクロッグに命中。しかしドクロッグが埋けたダメージは、時間の経過と共にすぐに回復していく。

 

「あ、あれ!? ドクロッグがどんどん回復していくよ!?」

 

「確か、ドクロッグの特性『かんそうはだ』だったか? 聞いた話じゃ、雨が降っている時は受けたダメージが時間の経過と共に回復していくらしい」

 

「じゃあ、ライボルトはもう…」

 

「あのライボルトも、自分を救ってくれたコハクの為に頑張ろうとしてるのは分かるが……もう勝負は見えてる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この勝負、アルファの勝ちだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドクロッグ、『クロスチョップ』」

 

-ズガァンッ!!-

 

「ラ、ァ……イ…」

 

無慈悲にも、ドクロッグが両腕で繰り出した『クロスチョップ』がライボルトの顔面に命中。力尽きたライボルトは地面に倒れ伏すと共に雨も止み、雨雲が消えて再び太陽がその顔を見せた。

 

「…ライボルト、戦闘不能。ドクロッグの勝ち! よってこの勝負、アルファさんの勝ちとなります!」

 

「ドクロッグ、戻りなさい」

 

「…ケッ」

 

瀕死となったライボルトに目も暮れないまま、ドクロッグは舌打ちだけしてボールに戻されていく。そして戦闘不能になったライボルトに朱雀が歩み寄り、優しく抱き起こす。

 

「僕の為にごめんね、イナンナ。それから……ありがとう」

 

「…ラァイ」

 

朱雀の言葉にライボルトが涙を流しながら頭を摺り寄せ、朱雀はそんなライボルトの頭を優しく撫でてからボールへと戻す。その一方で、竜神丸は不服そうな表情でタブレットを操作していた。

 

「あまり納得のいく結果ではありませんでしたね。今後も能力を調整し、兵力として鍛えなければ…」

 

そんな竜神丸の言葉は聞こえているのか聞こえていないのか、朱雀はその場に膝を突いたまま拳を地面に向けて叩きつける。

 

(届かなかった……勝てなかった……もっと強くならなきゃ…!!)

 

「…やれやれ、世話が焼けるなこりゃ」

 

そんな朱雀の様子を見ていたロキが小さく溜め息をつくも、その事に気付いている者はいない。

 

かくして竜神丸と朱雀のバトルは、戦略で一歩上にいた竜神丸に軍配が上がる結果となったのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、彼等ナンバーズ一行が目指している目的地であるファウンスでは…

 

 

 

 

 

「ぐはぁ!? き、貴様…!!」

 

「はいはーい、ポケモンハンターJの手下さん? それともボルカノとやらの手下さん? まぁ別にどっちでも良いや……ちょっとばかし、お話を聞かせて頂こうか?」

 

ファウンスの森林地帯。そこでは1人の黒服の男性が手持ちのポケモンを全滅させられ、大岩を背に追い詰められているところだった。黒服の男性の前に立ち塞がるは、色違いのボーマンダを従えるガルムだった。和服姿の彼は黒服の男性の目の前まで歩み寄り、履いている下駄で黒服の男性の腹部を容赦なく踏みつける。

 

「御宅等の上司さん達、今何処にいるのかな? 情報を吐いて貰えると助かるんだけど」

 

「だ、誰が、貴様なんぞに…「あ、良いよ別に? 情報は吐かなくても」…は?」

 

「いや実を言うとさぁ。ここに来る前、どっかのメイドさんが連れていたポケモンにいきなり『ふぶき』を浴びせられて俺もボーマンダもご機嫌斜めな訳よ。だから何らかの形でこの鬱憤をカズキの馬鹿を使って晴らしたかったんだけどさぁ……ぶっちゃけ、もうお前でも良い気がしてきたんだ」

 

「ひっ!? な、何を…」

 

「今から数時間ほど、俺のストレス発散に付き合ってくれよ……なぁに、死にはしないさ。しばらく地獄を見て貰うだけだ」

 

「や、やめ…」

 

「さぁ、楽しい時間の始まりだ♪」

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!??」

 

それから数時間ほど、ファウンスでは謎の断末魔が響き渡り、それに驚いた野生のポケモン達が慌てて逃げ出したのは言うまでも無い話であろう。

 

なお、そんなガルム逹の様子を…

 

「フリャ?」

 

「……シャウ」

 

トンボのような特徴を持った緑色のドラゴンポケモン、白い体毛と頭部の黒い鎌が特徴的な四足歩行型のポケモンが見ていたのだが、その事にガルムは気付いてはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ハァックシュン!!」

 

「あらカズキさん、風邪かしら?」

 

「…いや、たぶん誰かが俺の噂をしてやがるな」

 

「ゲコッ」

 

そんな会話があったのもここだけの話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『七夜の願い星 その14』に続く…

 


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