No.907100

マイ「艦これ」「みほ2ん」第22話<潜伏と青空>

しろっこさん

撤収部隊が来るまでの間、路地で潜伏する司令たち。そこで日向は、ある提案をした。

2017-05-24 21:12:12 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:385   閲覧ユーザー数:385

「せめて……瑞雲でもあれば」

 

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マイ「艦これ」「みほ2ん」

 第22話 <潜伏と青空>(改2)

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 路地で待機する私たち。さすがに、ちょっと暑苦しい。

 

周りを警戒しながら日向が言う。

「ここで戦車が破壊されたことは敵も直ぐに分かるだろう。我々の撤収部隊が来るまで、およそ30分。恐らく敵は現在、旧市街に展開している可能性が高いから最悪、撤収部隊よりも先に我々が敵に発見される可能性は高い」

「そうだな……お前の電探では敵の状況は索敵出来ないのか?」

 

私の言葉に彼女は浮かない表情で振り返った。

「ここは路地で周りは倉庫です。おまけに目の前は戦車で……」

 

「そうか」

 遮蔽物がない海上とは違って、今私たちがいる路地や旧市街は複雑に入り組んだ地上構造物だらけだ。日向の電探では、ほとんど役に立たないわけだ。

 

「せめて……瑞雲でもあれば」

日向は悔しそうに言った。瑞雲は彼女の索敵機だ。

 

しかし今日は墓参前提だったので当然、連れて来ていない。

「寛代も夕立も居るからと妖精を休ませてしまった……私の失態だ」

 

悔しそうな彼女に私は声をかけた。

「まさか、こうなるとは誰も思っていなかったからな。仕方ないことだ」

 

何かを言いかけた彼女はハッとしたように言った。

「あの軍用車も早く隠しましょう」

「そうだな」

 

彼女は続ける。

「車は撤収作戦には貴重な足です。攻撃されたら身も蓋もない」

 

日向は直ぐにでも車の移動のために路地から出て行きそうな勢いだったので私は慌てて言った。

「さっきも言ったが、埠頭に車を隠せるような場所はないぞ」

 

「大丈夫ぅ? 日向」

夕立も心配そうに声をかける。

 

日向は応える。

「いずれ敵が来るとしても少しでも早いほうが良い。それに……」

 

彼女は続けて岸壁を見渡した。

「多少でも路地を出たほうが電探での索敵が容易になるしな」 

 

 日向は改めて私の方に向き直ると直立不動の姿勢をとって敬礼した。

「司令、このまま座しては待てません。どうか斥候と車両の安全確保の任を、お命じ下さい」

 

寛代を抱きながら私は言った。

「分かった、行け」

 

「了解!」

敬礼して路地を出ようとする彼女を夕立が止めた。

 

「日向、これ」

夕立は使える片手でホルスターから拳銃を取り出すと日向に差し出した。

 

「ありがとう」

日向は拳銃を受け取ると安全装置を確認してから懐に入れた。

 

「さすがに刀では飛び道具(戦車)相手に太刀(たち)打ち出来ないな」

冗談めいたことを呟きながら彼女は外へ出た。

 

「日向……頑張って」

夕立は、まだ痛むであろう腕を押さえながら見送った。

 

しばらくすると軍用車のエンジンが起動する音、そして、ゆっくりと移動して行く車の走行音が聞こえてきた。

 

夕立は直ぐに寛代の傍に戻ってきた。

「司令、寛代ちゃんの様子は?」

 

声をかけられて思った。そういえば駆逐艦というか艦娘そのものを抱っこするのは初めての経験だな。最初から寛代の体温は低かった。

 

「私の直感では……」

人間ならヤバい状況だが不思議とそういう感覚はなかった。寛代は、かすかに息をしているし、まだ大丈夫そうな印象だった。

 

「多分、大丈夫だと思うぞ」

「うん、司令が言うなら、それでOKっぽい」

夕立は微笑む。

 

「そんなものか?」

「そうっぽい」

 そもそも艦娘が負傷って、いったい、どういう状況なのか? 実は、まったく分からない。

いつも艦娘の戦闘は無線機越しに聞くばかりだからな。

 

艦娘のダメージレベルとか、そういう知識も兵学校では教えてくれなかった。いや、人類には、そういう情報が無いのだろう。

だが目の前で艦娘が撃たれる状況は海軍でも滅多に無いことだろう。

 

夕立もまた寛代の手を握る。

「うーん……確かに、大丈夫っぽい」

 

いきなり、前向きな分析だ。

「それは直観か?」

「うん」

 

 微笑む夕立を見て私は日向や夕立には「生きて帰れ」と命令したことを思い出した。だが寛代には何も言わなかったな。

 

この子とは、いろいろ縁があるのだが身近過ぎてだろう。ろくに励ますことも無かった……それは反省すべきかも知れない。

 

 だが、このまま待っていても私たちが不利な状況は変わらない。

恐らく敵の地上部隊は私たちの撤収部隊よりも先に、この付近に殺到する可能性は高い。

 

 しかし負傷者がいては下手に動けない……あの、捕虜もいるし。

 

私は向こうにに倒れている深海棲艦を見た。

「そういえば『彼女』は、ずっと動かないな」

 

日向のことだから、まあ、大丈夫だろうが。ちょっと、心配だ。

 

「うーん……ちょっと触れないっぽい」

私に何か言われると思ったのか夕立は予防線を張る。

 

私は苦笑した。

「良いよ、お前が無理に確認しなくても……相手は敵だ。返り討ちにあう危険もある」

 

そんなことを言いながら私は上を見た。路地から見上げる青空が無性に青く、美しかった。

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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サイトも遅々と整備中~(^_^;)

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PS:「みほ2ん」とは

「美保鎮守府:第二部」の略称です。

 


 
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