No.902774

マイ「艦これ」「みほちん」第59話<北上中破>

しろっこさん

敵の奇襲により大混乱に陥る美保鎮守府埠頭。至近弾でダメージを受けた北上は果たして?

2017-04-25 21:51:34 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:473   閲覧ユーザー数:471

「すまんな、恩に着るよ」

「礼は後だな」

 

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マイ「艦これ」「みほちん」

:第59話<北上中破>(改)

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 ドカンという大きな音と共に水しぶきが舞い上がり地面が激しく揺れた。至近距離での魚雷の爆発……一瞬、鼓膜が破れるかと思った。

 

 さすがに弓ヶ浜の用水路よりはマシだけど大の男が二人で抱き合って草むらへダイブすれば十分に痛い。

「痛てて」

「うぅ……」

 

 激しい爆風で吹き飛ばされた私たちの周りに大粒の海水と無数のコンクリート片が降り注ぐ。

「大丈夫か?」

 

「何とかね……」

 この期に及んでも口数の少ない舞鶴だが……まだ私たちには意識があった。何とか生き延びたようだ。

 

 しばらくはジッとしていたが、やがてお互いに顔を上げると適当に身体を離して周りの様子を伺った。

 

 草むらに伏した私たちの辺りにも鈍い音が断続的に響く。

魚雷の衝撃波で鎮守府の施設にも一部、影響が出たらしい。時間差で、あちこちの物が倒れたり、落下する音がしていた。艦娘の叫び声も聞こえる。皆、大丈夫だろうか?

 

 ただ幸いだったのは埠頭のコンクリートは頑丈らしく、あまり大きな塊は飛ばなかった。ある程度、小さい破片が飛び散っただけ済んだ。

 

 舞鶴が冷静さを取り戻して言った。

「チッ、深海棲艦が使うタイプの魚雷だな」

 

「ああ、恐らくな」

しかし港湾内での雷撃とは、まるで特攻だ。

 

「無茶しやがる」

「……」

私はふと舞鶴を見ると彼と目が合った。つい冗談を言いたくなった。

 

「まるで兵学校時代の訓練の繰り返しだな」

「ははは」

 私の言葉に乾燥した笑いだったが舞鶴が始めて笑った。

 

 ……そういえば学生の頃から私は退避訓練は苦手な科目だった。

ただ学校の訓練も、こういう現場では何十年経っても役に立つものだな。

 

 しかし新しい制服が風呂で濡れて、次のピンク作業服まで、またビショビショか。いくら海軍とはいえ私は毎回水難の相だな、やれやれ……。

 

 それでも気を取り直して周りの様子を確認した。

警戒中の艦娘たちが銃を抱えて慌てたように走ってくる。一部の艦娘は探照灯を持って夜の湾内へと展開しようと検討し始めているようだ。

 チラッと海へ向かう大淀さんの姿が見えたが、さすがに躊躇している様子だな。

 

 ただ、これなら直ぐに第二次攻撃はないか? 私が立ち上がろうとしたら舞鶴が私の腕をつかんで言った。

「すまんな、恩に着るよ」

 

「礼は後だな」

私は彼にそう応えると二次攻撃に警戒して身を屈めながら海に叫んだ。

 

「北上ぃ!」

 返事は無い。私の声が空しくエコーするだけだ。

 

 だが目が慣れてくると大きな裂け目の出来た埠頭の向こう側……白濁した海面上に北上が蹲(うづくま)っているのが見えた。

 

「北上?」

大丈夫だろうか?

 

 海面はシュワシュワと泡の弾ける音を立てている。何しろ至近距離での魚雷の爆発だ。しかもコンクリートの埠頭で直接、炸裂しているから反射される衝撃波は想像以上に大きくなる。おまけに不意打ちだ。彼女は、かなりダメージを受けただろう。

 

 爆破による霧や埃が薄くなって来て北上の様子もハッキリ視認することが出来た。

「北上……」

 

 あまりに彼女の悲惨な様子に私は思わず絶句した。その軍服はボロボロで腕が半分露出している。腕や顔もススで黒くなり髪の毛も少々、焦げているようだ。可哀相に口元からは少し出血もしているようだ。

 

 私は念を入れるように、もう少し上体を起こして声をかけた。

「おい、大丈夫か?」

 

 彼女は片手で腕を押さえながら弱々しく顔を上げて返事をした。

「あ、司令……だ、大丈夫だからさ」

 

「いや……」

 絶対に大丈夫じゃないだろう……彼女は口元の血をぬぐいながら健気(けなげ)に微笑む。無理するな、その表情が痛々しい。

 

 突然、私たちの後方から軽い声で呼ぶ声がした。

「司令ぇ!」

 

 パタパタと軽い足音を響かせながら高速接近して来る比叡、相変わらず地上でも脚は速い。そこは褒めてやろう。

 

 私と舞鶴の状況を見た彼女は驚いて目を丸くした。

「司令! お怪我は?」

 

 私は振り返って応えた。

「多少、打撲しているが大丈夫だ」

 

それから私は一気に、まくし立てた。

「比叡! 直ぐに無線で全チャンネルに状況報告。敵の雷撃により埠頭が大破。現場の北上が中破。司令と舞鶴は打撲したが、かすり傷だ。必要以上に他の艦娘を埠頭に近づけさせるな!」

 

「は?」

 私の指示に対して呆けた比叡……拍子抜けした。

 ダメだ! こいつの記憶容量じゃ覚えきれないのか?

 

「参ったな」

 思わず頭を抱えた。

北上も早く救出したいが混乱して支援体制がバラバラだ。

 

 そうしているうちに艦娘たちが徐々に集まって来た。

「おい、不用意に集まったら敵の思う壺だぞ!」

 

 艦娘たちも聞く耳を持たないな……せめて祥高さんか大淀さんに艦娘たちが下手に動かないようパーティ会場で指示をしてくれていたら……私は焦ったが既に手遅れか。

 

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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サイトも遅々と整備中~(^_^;)

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PS:「みほちん」とは「美保鎮守府」の略称です。


 
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