No.899233

とある傭兵と戦闘機  第18話  祈りと願いと想い

作戦が始まると同時に、彼女は何を受け入れるのか
そしてその作戦で彼女は何を手に入れるのか
それを無視して、争いへの道は続いていく

2017-03-30 01:11:03 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2184   閲覧ユーザー数:2105

 

 

 お久しぶりです・・・作者です

 

 いや、もう、言葉が無いですが・・・執筆再開です

 

 永らくお待たせいたしました事をここにお詫びします

 

 短く、駄文は変わりないですが

 

 どうぞ宜しくお願いします

 

 

 

 

 

 

 

 

頭の中で、私はその名を呼んだ

 

すると、呼応するかのように声が頭に響く

 

そして、意識があの対話の世界へと切り替わっていく

 

目を閉じて、もう一度目を開くと

 

輸送機の機内の薄暗い光景から、静かな自然の情景が目に飛び込んでくる

 

そしてその中ーーー静かに佇む一人の”私”

 

その私の姿は、恐らく本来”私”があるべき姿とも言えるだろう

 

 「始めまして、かしらね・・・フィリア・フェイリールド」

 

 「私にとっては始めましてだね・・・フィレイア・V・リーファフロイス」

 

私は、意識の世界でもう一人の私と出合った

 

 「ごめんね・・・居るのは判ってたけど・・・会う勇気がなくて」

 

 「いいえ、いいです事よ。そんな余裕もありませんでしたし」

 

テーブルに座る彼女は、静かに紅茶の入ったティーカップを傾ける

 

私も座り、握っていた拳銃を机の上に置いた

 

少しの沈黙の後、彼女は口を開いた

 

 「・・・貴女は私をどうしたいのかしら?」

 

 「どうしたいって?」

 

質問の意図をなんとなく察し、恐らくその為の道具ーーー拳銃を手に取る

 

 「もう、貴女を否定しないよ。貴女も私で、私も貴女だもん」

 

そう、現実そうなのだ。

 

この人が別人格として存在するのは

 

あの戦火の中、私が壊れてしまわぬように意識的に分離してしまったからだと思う

 

 「そう・・・やっとね・・・」

 

その言葉を聞いて、私は銃を湖に向けて放り投げる

 

放物線を描き、銃はポチャンと湖の底に消えていった

 

 「だから、これからは一緒に”生きよう”」

 

こちらの意思を簡潔に、力強く伝える

 

それと同時に手を机の上に差し出す

 

 「ええ、生きましょう」 

 

その手を、”私”は優しく握る

 

 「この手で、この綺麗な手をーーー」

 

 「この手で、この優しい手をーーー」

 

同時に目を瞑り、誓う

 

心で、その心の赴くままにーーー

 

 ”赴くままにーーー飛んでゆきなさい”

 

お母さんの言葉をーーー護ると誓う

 

 「「ずっとーーー未来永劫のその先までーーー」」

 

輝きに包まれる世界

 

それは、私が

 

フィレイアを受け入れ、フィリアを受け入れてもらった瞬間だった

 

 

 

 

 

 「さて、行きましょうか」

 

 「ですね」

 

 「・・・・・うん」

 

 「フィリアさん?」

 

ヘイトは反応の薄いフィリアを疑問に思いながらハッチに向かって走る

 

そしてーーーー空中に身を投げる

 

浮遊感が自分の体を纏うのを体感しながら

 

風と重力に身を任せる

 

同じように空に身を投げた二人も

 

速度をあわせるように舞いながら降下する

 

くるりと背を向けて、空を見上げると

 

輸送機が小さくなっていくのがわかった

 

 「・・・・ACS(アタック・コンフォーマル・システム)起動

 

  最終到達地点を表示、到達まで残り二分」

 

 「地表に障害物及び熱源多数

 

  保有熱量から推測される障害物は恐らくSAM及びアンチエアシステム」

 

ああ、荒っぽい任務になりそうだ

 

 「アオハガネ、対地上攻撃モジュールをコール」

 

と、ヘイトがパッケージを呼び出した瞬間に、レーダー照射のアラートが鳴る

 

同時に射撃体勢に移る三機のISの腰部コンテナユニットのカバーが開いた

 

その中から顔を覗かせるのは、みっちりと並んだ小型ミサイル

 

それがブラストと共にコンテナから射出される

 

この武装コンテナは元々第二世代機用の汎用品で

 

民間供給のある世代を選ばないIS用の装備として改良されたものだ

 

内部に搭載する装備の種類は多種多様、それでいて外部接続なのでバススロット領域を圧迫しない

 

そしてコンテナ自体は簡易的尚且つ低コストで作戦任務に会わせて

 

装備をコンテナごと多数に用意できるという利点がある

 

そして今回、その装備の一つ・・・”対電子機器内部破壊装備”

 

そのミサイル一つ一つは相手システムに接触後炸裂、超強力な電子パルスを瞬間的に発生させ

 

対象電子機器の内部回路を電子的に破壊する装備だ

 

 「ミサイル、各ターゲット到達まで3、2、1ーーーインパクト・ナウ」

 

目標に到達したミサイルは接触と同時に炸裂

 

見下ろす地面の各所で小規模なEMPを発生させる

 

放電音と共に発生する電気の稲妻は容赦なく地対空ミサイルやレーダー

 

対空機銃付近で炸裂し、全てリモート

 

もしくはオートモードで制御された電子機器とセンサーの塊である敵対空システムを無力化させていく

 

ある程度EMP対策が施されている軍用装備としてのそれらでも、流石に指向性を持った

 

強力な電磁パルスをあてられては完璧には防護できない

 

現実、ISが発するターゲットアラートはピタリと鳴り止んでいる

 

 「ターゲットニュートラライズ(対象無力化)同時にスキャニングモードを展開」

 

そして対象座標の周囲をスキャンする

 

するとこの一帯の地下に構造物がある事が判明する

 

 「更に指定されたルートをオーバーレイ」

 

 「出ました。進入ルートと地下構造物の通路一致・・・情報は正しいみたいです」

 

 「了解。各機データをHMDにロード、リアルタイムオーバーレイモード起動

 

  進入後、最速で抜けるよ!!」

 

 「「ウィルコ!!」」

 

通路入り口である掩蔽防護されたハッチにガルデヴィス(SAAM)を通常弾頭モードで発射する

 

そして防護壁を破壊し、速度を維持したまま通路に進入する

 

 

 

 

そうして、恐ろしい程に抵抗もなく

 

その場所に辿り着いた

 

 「指定ポイント到達・・・各機センサー出力を警戒出力にして警戒待機」

 

その区画に辿り着いた私達を迎えたのは、ある程度歳を重ねた一人の科学者と思しき人物だった

 

 「ようこそお待ちしておりました」

 

その人物の横には、ぽつんと汎用IS用コンテナユニットがあった

 

 「貴女方に持ち帰っていただきたいのは、このコンテナになります

 

  そしてこのコンテナには、私達が創り出せし結果と・・・

 

  現王妃が望んだ歪な罪のカタチが収められています」

 

 「・・・・・・・・」

 

 「詮索されぬのならそれで結構、そして今回のこの件について

 

  受けていただきましてありがとうございます・・・」

 

そして、コンテナの横から離れる科学者

 

 「そしてここからは我々科学者の総意・・・これを持っていってくれ

 

  願わくば、あの王妃の手が届かぬほど遠くへと」

 

 「・・・それが望みですか?」

 

 「・・・ああ。それが、唯一つの望みだ」

 

 

 

 

 

それからコンテナを回収し、背面ラッチに固定する

 

 「・・・(爆弾ではないね・・・アクセスがロックされてる)」

 

まず危険物、罠等の爆発物である危険性はない

 

だが、イマイチ飲み込めない・・・何故、私になんだろう

 

そしてクルクの罪・・・王妃としての罪となると・・・

 

いや、今は離脱する事だけを考えよう

 

 「各機、トラップ警戒しながら離脱する・・・」

 

目標を確保した私達は、警戒をそのままに来た通路を戻ろうとすると

 

HMDに警告が表示される

 

その表示は・・・時間だった

 

5分・・・脱出するのにかかる時間を余裕で越すそれは恐らくーーー

 

この施設の自壊装置の作動する・・・カウントダウン

 

アラートが表示された瞬間、私達は反射的に武装を展開していた

 

ヴィアリスの銃口をを科学者に向ける

 

 「脱出経路は封鎖されず・・・罠では無さそうです」

 

 「逆算する離脱可能限界まで、残り1.5min」

 

 「行けッ!!早くこの施設から出ろ!!」

 

科学者の目を見ると・・・そこには強い意志の力がこもっていた

 

有無を云わせぬそれを見て・・・かける言葉が思い浮かばなかった

 

その科学者に銃口を向けたまま、私達はPICをアクティブにして部屋を出る

 

その時ーーーその科学者は私に微笑んだ

 

通路を抜けていくと同時に、通過した区画の隔壁が閉まっていく

 

そのまま通路を抜け、地下施設から飛び出して大空に舞い上がる

 

 

  私達は無事、受け取りを完了し施設から脱出した

 

 

 

 

 

 「これは俺達の・・・意地なんだ」

 

その科学者は一枚の写真を取り出す

 

そこに写るのは、まだ若き然り頃の自分と親友達ーーー

 

その裏には殴り書きでこう記されていた

 

 ”この繋がりが永遠に続きますように”

 

 「さて、俺は託したよ・・・お前達が俺に託したように

 

  クルクが向き合えなかったそれを、その本質をあの子は真直ぐ受け止めてくれるさ」

 

だからーーー心配するな

 

 「クルクの罪を・・・この国の未来を頼む・・・フレイスとリーディの愛娘」

 

そして施設に居る科学者が集まってくる

 

その顔は穏やかに・・・そして全員が手を繋ぎ、それは大きな円陣になる

 

 3

 

カウントが響くーーー

 

 2

 

全員が目を閉じるーーー

 

 1

 

目を閉じたまま天井を見るーーー

 

 ゼローーーー

 

 

 

その瞬間、科学者達の体が光に包まれる

 

そして科学者達が最後に網膜の裏に視たのはーーー

 

どこまでも高い、未来に広がる青い空の姿だったーーー

 

 

 

 

 「相手地下施設の自爆・・・及び崩壊を確認・・・」

 

 「内部に存在する生命反応消失・・・生存者は・・・いません」

 

空中で待機してその時を待った私達は、その地下施設の最後を見届けた

 

小さくない震度を検知したものの地上の変化はなく、スキャンすると地下の区画を隔てる隔壁が消え

 

十数人の生体反応は、その反応を全て消失させていた

 

最後・・・その点は先程私達がコンテナを受け取った区画に集まり

 

円形になり、そのままゼロカウントを迎え・・・消えた

 

 「こちらガルム1 ミッションコンプリート これより合流ポイントへ向かう」

 

私が言い聞かせるように報告する

 

そして私達は空域を離れて輸送機との合流ポイントへと向かおうとするーーーが

 

突然、警告音が鳴り響く

 

瞬間的にスラスターを吹かした私は反射的にカウンターをその方角に発射する

 

私が避けた位置を通り抜けたのはーーーー青いレーザーだった

 

 「敵からの”超遠距離狙撃”です!!」

 

 「出力から算出される射程距離 100000m」

 

それなら・・・

 

 「次弾発射までには時間がかかる・・・総員、最大速度で離脱するよ!!」

 

 「了解!!スモーク発射します!!」

 

 「敵照準用レーダー波感知・・・っ!!ガルム1を捕捉!!」

 

狙いは私かーーーこの荷物か・・・

 

タイミングが完璧すぎるこの襲撃は、何とか初弾をかわすことにより事なきを得たが・・・

 

 「カウンターミサイル起爆 それと同時にスモーク散布しつつ離脱する!!」

 

射程距離と発射点の距離からすると、肉眼でも捕捉が難しいところからの狙撃だ

 

速度を緩めずにクリスタルセンサーで超遠距離を最大望遠で確認すると

 

 「敵機を視認・・・長距離狙撃パッケージを装備しているも次弾発射の恐れなし」

 

 「・・・なぜ?」

 

 「銃身が赤熱してる・・・冷却機構を備えぬ間に合わせの装備みたい

 

  各機、速度このまま。もうすぐ作戦領域からの離脱を最優先」

 

敵はイギリスの・・・クルクの私兵部隊

 

追撃を開始する敵IS

 

そして私のストラティアはコンテナを装備してから

 

機体のスラスター出力に制限が掛かってしまっていて速度が出ない

 

それだけデリケートなものが入ってるって事かな

 

このままでは追いつかれてしまう

 

そう思った時、リフィが体を反転させた

 

 「リフィ!?」

 

 「私が時間を稼ぎます。CTACsのベルベモットは・・・私が墜とします」

 

 「そんな・・・仲間なのでは・・・」

 

 「・・・・・・・」

 

そのリフィの沈黙は、リフィの迷いを意味していた

 

 「でも、私は貴女を守ります

 

  私はーーーお母様とは違う”道”を選びます」

 

その言葉と共に、リフィは追手に向かい合う

 

 

 

  misson update

 

 

  

黒いベルベモット・ライドと向き合った私は

 

かつての仲間・・・IS転換訓練を共にした友人に武器を向けていた

 

 「やっぱり・・・貴女が裏切るなんて思えなかったけど

 

  本当なのねリフィ」

 

相手の黒いベルベモットから飛んできた言葉は

 

若干の悲しみを含んだ・・・憎しみの声だった

 

 「・・・・・・」

 

 「あれは王妃様にとって大切な”モノ”よ

 

  おまけに今まで姿を消していた王族直系の血を引くね」

 

そう・・・

 

貴女は、何も知らずにおばさまを否定するのね・・・

 

 「・・・おばさまは”モノ”じゃないわ」

 

 「あら失礼・・・あまりに眉唾な上に想像できなかったからついね

 

  だってそうでしょう?」

 

 

   暗殺を恐れすぎた故に責務を棄てた ”愚かな王の末裔”なのだから

 

 

その言葉を聴いた瞬間だった

 

私は、対装甲ナイフを彼女に向かって投擲した

 

 ギィンッ

 

 「なっ・・・!?」

 

 「・・・IS学園の成績トップで卒業して入る若者の憧れたる王室直属部隊が

 

  こんな人間の集まりと思うとーーー反吐が出るわ」

 

溜息と、呆れ半分に怒りを身に纏う

 

私は、サブマシンガンとグレネードランチャーを展開した

 

 「それなら私はーーー王室の一人として、その腐り果てた心と力を振り回す”騎士”に

 

  今ここで・・・罰を与えます」

 

その瞬間、私は加速する

 

力の限り・・・私は引金を絞る

 

相手の装備を破壊し、蹂躙する

 

私は”ガルーダ”

 

龍を喰らう、エメリアの空を護る守護の鳥ーーー

 

 「くっ・・・!!一般採用機が、高性能型に勝てる訳がないわ!!」

 

 「そうよ・・・でもそれは貴女が機体を”扱えていれば”ね」

 

リフテリアが装備するベルベモッド・ライドは空軍配備の一般機としてのそのままの状態の為

 

皇族直属の部隊に配備される特別仕様機に比べ、他の一般機との性能的バラつきを抑えるべく

 

敢えて、”特別な”チューニングと出力設定ができなくなっているのだ

 

その為作戦ごとに、ユニットアッセンブリ化された追加装備によって機能を付与する事で

 

作戦汎用性を高めているのだ

 

それに対し、皇族直属部隊のものは各部出力が搭乗者に合わせてセッティングされ

 

装備も高出力で破壊力の高いもの、精度の高い特別仕様のものが支給される

 

数値的に言えば各稼動部の出力が向上

 

一部スラスター追加とそれに応じてスラスター出力が10%向上

 

バイザーセンサーの照準精度、速度の30%高速化

 

装甲も追加装甲と一部特別仕様専用のものを使用し、耐衝撃性の向上

 

ベースの機体が同じでも、求められたものが違う為このような性能差が両者の間にはあった

 

 「一般機が・・・っ!!」

 

黒い機体がライフルを乱射してくるが、高速戦闘機動をしながら命中させるのは難しいのだ

 

逆に、シルバーの制空迷彩の施された機体は軽やかに、最低限の機動、ロールで弾をかわす

 

命中しそうで、紙一重でかわされる

 

動きを読まれ、冷静に対処されている証拠

 

そして制空迷彩の機体が軽く減速し、スピードに乗り射撃に意識を割かれていた黒い機体が

 

減速に間に合わず前を追いかける機体を追い越してしまう

 

戦闘機の格闘戦の技術の応用・・・クルビット

 

 「余裕が無いからオーバーシュートする・・・甘いわね」

 

その言葉と同時にサブマシンガンを黒い機体に叩き込む

 

戦闘機の機銃は本来機体に固定されており、射角が制限される

 

だが、ISは自由な方向に照準が向けられる為射角に自由度が高い

 

戦闘機に乗り、慣れていたリフィはなるべく”敵に照準を合わせる”のではなく

 

”照準に敵を合わせる”ようにしている

 

その方が射撃に入るまでがスムーズで早い

 

そして間髪入れずに接近する

 

 「くっ!!」

 

ライフルの近接ブレードでサブマシンガンの銃剣を受ける

 

だが、リフィは左腕を大きく振りかぶっていた

 

 

 

 それは同じ条件の下、それぞれを”同じ搭乗者”がテストを行った場合の限定条件

 

高性能な機体を60%扱える搭乗者と普遍な性能の機体を90%引き出せる搭乗者が戦った時

 

性能の差、数値で決まる優劣なんて簡単にひっくり返るのだ

 

ましてや、元になった機体が同じであれば尚の事

 

そのベースのポテンシャルは等しいのだ

 

 

 

 「高速戦闘向けの機体で接近戦に持ち込まれちゃ・・・ハナシにならないわね」

 

左腕の小型シールドの先端に搭載されるーーーECM電子パイルバンカーを打ち付ける

 

これはシャルルのラファールが搭載するシールドピアスとは違い

 

物理的にではなく、電子的に相手にダメージを与えるものだ

 

そしてこれを、リフィは黒の機体の頭に打ち付けたのだ

 

 「がっ!?」

 

頭部に瞬間的に電流が走り、衝撃で意識は揺らぎ

 

精密なセンサー類が集中する頭部の装備は

 

電子的に破壊されたのだ

 

 「そのまま頭を冷やしていなさい、哀れな騎士モドキ」

 

リフィはそう冷たく言い放ち、地面に向かって弾き飛ばした

 

 「ターゲット沈黙を確認、合流ポイントに向かいます」

 

 

そしてリフィは、気絶した搭乗者の息を確認して反転し、空域を去った

 

 

 

 

 

基地に戻った私達を待っていたのは、いつの間にか迷彩装備を身に付けたカロウトだった

 

 「この基地を放棄する」

 

そんな言葉に対し私達は

 

 「唐突すぎて意味不明なんですけど司令・・・」

 

 「何かの冗談ですか?」

 

 「ハロウィンには早いんじゃないのカロウト?」

 

と、こっちの発言を聞いたカロウトは

 

 「トリックオアトリートで済めば良かったよ・・・」

 

と返して、神妙な面持ちで言葉を口にする

 

 「今の作戦は、この国からすれば反逆行動になるだろ?

 

  どこから漏れたか知らんが

 

  先程他の基地からこの基地を制圧する為の部隊が飛び立ったらしい」

 

それは穏やかじゃないね

 

それにしてもスムーズすぎる

 

この基地が関わったという情報が回るのがあまりにも早すぎる

 

まるで、最初からこうする為に

 

全てが罠だったようにーーー

 

 「既にお前達が作戦に出た時点で戦闘員と管制官数名を残して全員が基地を離脱している

 

  元々この基地の隊員達はエストバキアとの戦争で出たエストバキアの亡命兵士だ

 

  ここは身寄りのない捕虜を、雇用という形で保護する為に設立された基地だ

 

  俺みたいに、PMCの整備兵上がりのロクデナシがこうやって幹部を任される位だ

 

  いくらでも・・・代用がきくんだ。そう

 

      あの頃の、ヴァレー基地で連合正規兵から囮として使われた俺達のように」

 

その言葉で、”あの頃”を思い出す

 

 「もうそんな扱いされる事はねぇだろうと思っていたのにこれだと?

 

  ふざけるなっつうハナシだよな?

 

  なら俺は”マシな職場”に転職させる

 

  俺がこの基地を預かり、帰る場所を無くした兵士達の帰るべき場所を作る為にな」

 

そのカロウトは、強い意志を持ってこの決断をしていた

 

基地を放棄するのが、どれだけの事なのかを理解しているだけに

 

・・・私達は、ただその言葉を心に刻む事しかできなかった

 

 「現時刻を以て、この基地を放棄するーーー

 

  総員、直ちに輸送機に乗り込め

 

  用意出来次第離陸し、”IS学園”を目指す」

 

 

 

 

そうして、私とヘイトは

 

予定を大幅に上回る面倒事と共に学園へと帰る羽目になってしまった

 

恐らく・・・これから状況はガラリと変わる

 

間違いなくーーー私達は

 

 

     戦わなければならなくなる

 

 

 

 

 

 

 

 一方ーーーーIS学園敷地内沿岸整備公園

 

 

 

 

 

 

 「ああ・・・これからどうなるんでしょうか・・・」

 

沿岸の砂浜をさくさくと小さな音を立てて歩いている教員・・・山田麻耶は

 

特殊作戦指揮官室を出て、一人気分転換がてら散歩に繰り出していた

 

 「本当に綺麗な場所ですよね・・・流れ着くゴミは週一回の清掃で取り除かれますし

 

  あまり人が来ないのに凄いお金の使い方ですよね・・・」

 

その資金を防衛機材維持費に当てて欲しいというのは叶わぬ願いなのでしょう

 

今現在、世界情勢はISを取り巻く環境は各国の軍事力の増強を主とした条約のすり抜け道の模索という

 

軍需産業の発展へと少しずつ道を進みつつある

 

確かにISという存在は戦争の形態の維新を迫るだけの力をもってはいたものの

 

通常軍事力としての発展は実質的にアラスカ条約に縛られ思うように発展しないというのが現実

 

それはISという機体が、”競技用機体”としての発展のみしか発展先が認められていないからである

 

通常兵器としての一応の完成を見た”第二世代正式採用機”の発展は既に民間に委託されている位なのだ

 

既にISを保有する国家は、”次世代の装備、武装の発展用プラットフォーム”として

 

”第三世代試験機”を計画し、実行している

 

そして、その開発予算というものは通常兵器の開発予算を遥かに上回る

 

その上、ISのコアは各国に割り振られた数しか存在しない為

 

開発スピードに限界が生じてくるのだ

 

そして今現在、国家の軍事費の大半はISの研究開発に費やされている

 

それはIS学園然り

 

そして建前上学園は”一国家”として条約で制定されている

 

幾ら国立とはいえ、学園に対し防衛費をあてる余裕もこの国は持ち合わせてはいないのだ

 

近況からするこの学園の重要性は高くなりつつある

 

それと同時に、安全性が脅かされつつある状況なのだ

 

そんな中、通常兵器を用いる戦略の要となるのは

 

ある日にこの学園に舞い降りた一機の戦闘機だった

 

単機にて鬼神のような戦闘を行う傭兵戦闘機乗り

 

三十年前のとある戦争で

 

戦争の情勢をことごとく塗り潰し、書き換え、

 

あのB7R空域、通称”円卓”の空を制した鬼神

 

その後日、また一人

 

この海岸に流れ着いたのは

 

大陸戦争の英雄

 

その戦力は一個航空師団並み

 

それも戦闘が一番激しかった頃の歴戦のパイロットを集めた師団並み

 

あの難攻不落の有名な”ストーンヘッジ”を攻略した英雄

 

このエースと呼ばれる二人は、恐らく全世界中トップクラスの腕を持つのだ

 

 「”円卓の鬼神”と”リボン付きの死神”・・・・

 

  あの二人が、そんな暴力的な強さを持っているとは普通は誰も考えませんよね・・・」

 

一人暗い顔をしながらあの二人の顔を思い出してみる

 

屈託のない、たったふたりの”少女”は

 

この学園の生徒として、戦争とは無縁の生活に身を落としていたのだ

 

その二人は今、異国の空を飛んでいる事だろう

 

 「・・・今の戦力では・・・」

 

 ”有事、学園の防衛はできない”

 

それは世界からの信頼を失う事を意味する

 

各国の国家最重要機密の集うこの場所は

 

たった一回でもそれらの攻撃を防げぬだけで

 

世界への影響を及ぼす場所なのだ

 

それらを防ぐ為の戦力は

 

今の学園には到底存在し得ないのだ

 

 「はぁ・・・」

 

と、ふと溜息を付いて真直ぐ前を見ると

 

何か、大きなものが砂浜に流れ着いてるのに気が付いた

 

 「何でしょうか・・・あれだけ大きな廃棄物なんてこの辺りでは無いはずなんですが・・・」

 

歩みを進めていくと、無数に散らばった金属の破片が辺りに散らばっていた

 

そして大きな塊に辿り着くと、その正体が判った

 

 「Su-37・・・なんで東側の機体が・・・・」

 

流れ着いたそれは、旧式の戦闘機だった

 

主翼は砕け、機銃を受けたような穴が多数見られる事から

 

なんらかに撃墜されたものと麻耶は判断する

 

そして、その戦闘機は一機では無かった

 

同じように、もう一機その機体の向こうに流れ着いていた

 

その塗装パターンも同じ事から、同部隊の物と確認する

 

そして、残った主翼に描かれた国籍は、麻耶にとって驚愕の一言に尽きた

 

 「この国籍・・・まさか、エルジア共和国・・・」

 

そう、22年前の大陸戦争のおりに・・・消滅した亡国のものだった

 

そしてその機体の横で寝ている二人の搭乗員も

 

かの国の空を守っていた人達だ

 

 「・・・神様は何を考えているんでしょうか・・・」

 

またお腹痛くなりますよね?

 

また潰瘍ですか・・・そうですか

 

 

 

 

 

その機体の塗装は、グレイの迷彩を主として主翼端を黄色に染められ

 

片方の機体の機首キャノピーには”04”

 

もう片方の機体の同じ部分にはーーーー”13”の番号が振られていた

 

 

 

 

 

 ついでに報告です

 

 自衛隊、やめました!!(爆

 

 ラリー「やっぱり作者にはムリだったか・・・」

 

 作者 「流石に趣味充実しないのはなぁ・・・」 

 

 ラリー「得られたものは?」

 

 作者 「ネタが少々」

 

 ラリー「お か え り(暗黒微笑」

 

 意見感想募集中★

 

 これからもどうか宜しくお願いします

 

 

 


 
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