No.866192

ネプFショートストーリー

ヒノさん

速足で終わったネプFシリーズの小話
外れ者シリーズ?モチベがもう上がらん

2016-08-29 22:06:43 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:804   閲覧ユーザー数:773

「私は…………間違っていたのかなぁ……?」

 

命削れて余命3年……幻聴が聞こえて来た今日この頃。

この声を聴くと、寝た時決まって夢を見る。

世の中がうねり出した時……あの頃の少女の夢。

そしてその夢の内容は、決まってその少女のトラウマの原因となった出来事だ。

これはインターセンターという異種混合国が出来る前の話であり……実はこれさえなければインターセンターが生まれなかったかもしれない物語。

 

その頃、最近の女神離れが問題視されていた……転換期に加え、何故か一部の人々が女神に頼らない生き方を模索しだした事が原因だ。

女神離れは市民団体の騒動で女神は必要である事を再確認した事から「それはない」とされていたのだが、声は止まずに微かに増えていった。

その為会議は焦りとか不安とかストレスとかで一杯な女神達の声が飛び交っていた……と言うか、途中から口げんかに発展して中止する事になるのが殆どだ。

そんな中、とある提案が採用され、それが実行された……それを提案したのが、夢の中の中心となっている一人の少女だ。

その少女の視点だからか顔も姿も良く分からないけど、白い服に紫の髪なのは分かった。

その提案と言うのは説得、つまりは話し合いで精神的に正すというものだった……武力による争いでは失うだけ、ならば話し合いで平和的に解決を……そういうコンセプトだった。

 

反逆者用の収容所にて、先ず相談に乗ることにした。

どういった経緯で歯向かったのかを聞くのは結構大事な事で、これからの国の方針を決めやすくするには持って来いな情報だ。

……とはいえそれらはあくまで参考程度、国を統べてる以上、大勢の意見を切り捨てるのも必然である。

それでも話し相手になれば心が楽になったりするもので、特に場を緩める事には右に出る者なしな少女の専売特許だった。

彼女が相談相手となった囚人は、最初は「ふざけてるのか!?」とキレていたが、話している内に脱力し出し、悩みとかがどうでも良くなってしまった。

溜め込むからこじれるのであって、吐き出してしまえばこじれる事はない……事実、彼女が相手をしていた人達は最終的に笑顔になっていた。

他にも黒髪少女のお叱りコースとか、茶髪少女の闘魂注入コースとか、金髪婦人の甘々コースとかがあるらしいけど……話を聞いてる限りだとみんな好評だったらしい。

…………皆このまま上手くいくと思っていた。見てる僕も不思議とそう思っていたけど、突然の急展開を迎える。

なんと収容されていた反逆者達が団結して集団脱走を行ったのだ。これには女神達も驚愕だった。

先回りを知て脱走者達を待ち伏せ、なぜこんなことをしたのかを問いかけた。すると……

 

「しらばっくれるな!俺たちを騙しやがって!」

「就寝時間にこっそりトイレに行ってた時に偶然見たんだ……役員が釈放予定の囚人に変な装置を使ってるのを!」

 

……これである。最初の被害者であった僕はそれが何なのか知っている……釈放される予定の囚人たちは、眠っている隙にマインドコントロールされていたのだ。

教会内での極秘事案の為、当時の女神たちは知らないことだった。

……知らないでいれば口論的にも権力的にも勿論物理的にも、女神なら力づくで圧倒出来るからだ。

「後で教会に聞いてみるから」と収容所に戻るよう促したが、脱走者たちは止まらなかった……寧ろ女神達をどかしてでも逃げ出そうとしていた。

あんなに笑っていた人たちが、打って変わって怒りに満ちた顔で襲ってきたからであろうか、それとも大勢の人間が死に物狂いな形相で突っ込んで来たからかは分からないが……少女は気圧されて武器を脱走者たちに【向けてしまった】

 

「あ゛…………」

「……え」

 

瞬間、少女は何が起きたのか分からなかった。

脱走者の一人が転び、偶然にも少女が向けた剣に突き刺さってしまった。

それによってある囚人はパニックになり、ある囚人は「やっぱり騙してたのか」と襲い掛かり、ある囚人は女神に恐れをなして一目散に逃げ出した。

後は簡単だ……看守が女神様の身が危ういという大義名分で脱走者を撃ち殺していき、逃げ出した脱走者も「下手に変な噂を流されても困る」と兵士達が殺していった。

偶然にも囚人を殺してしまったその少女は、錯乱して女神に手をかけようとした囚人に自ら手を下したと……【称賛された】

それからは茨道だった。普段は笑顔だが仇なす者に容赦しない女神として振舞わなければならなくなった。

引っ込みが付かなくなった事でやや暴走気味に突っ走るようになり、それに呼応してか他の女神もなりふり構わなくなった。

偶然とはいえ自分からやってしまった手前何か言う事も出来ず、普段通りに振舞う裏でして来た事に頭を抱えて苦しむ日々。

珍しく甘酸っぱい話を自分からし出すようになった妹に悪いと心の内を打ち明けることが出来ず、そのままどんどんどんどん沈んでいく……

どす黒い底なし沼に呑まれそうになって必死にもがいていると聞こえてくる。

「ねぇ……私は間違っていたのかな…………間違っていたのかなぁ…………?」

今にも泣きそうな声で囁く声を聞いた直後、僕は夢から覚めた。

ダラダラと冷や汗が出てきて、「とんでもない悪夢だ」と呟く……あの夢を見ると、決まってこんな感じだった。

 

…………あれからその夢を見せ続けられた僕はふと考え、呟くように答えを出す。

――――『想いで出来てるその存在自体は間違ってただろうけど、人と寄り添おうとするその姿勢と意思そのものは間違っていなかった』と


 
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