この娘、手強い！ 心して掛からねば・・・(お蝶夫人「エースをねらえ」より)
梱包時の標準を含めて５種の多彩な表情の顔セット一式と、同じく６組／12個の交換用の手掌、同２種類のバンダナが用意された「タカヤノリコ」のアクションフィギュア。
現行商品唯一【イエローサブマリンの 1/6 アクションドール以来】の価値は希少ですが、ライトユーザーが開封後いきなり遊ぼうとすると間違いなく壊してしまう、下ごしらえの手間の掛かるフィギュアです。
私は事前に店頭で見本を触る機会を得たので万全の準備で臨みました。　購入個体は大腿の肌色と腰の白線ラインにレオタードのワインレッド塗料の付着があったので、肌の艶消し状態を維持する為、敢えて粗目の家庭用研磨剤「ジフ」を綿棒に浸けて軽めに擦る事で塗料跳ね下地ごと剥がさないように慎重に落としました。
以下に注意点を解説します。

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1: 注油または潤滑剤必須

開封後に標準の組み合わせから好みのオプションに変更する方が多いかと思いますが、戦闘レオタードから第１話でのみ着用した『沖縄女子宇宙高等学校』の体操服に脱着換装する際には細心の注意が必要です。

肩の球状関節(ボールジョイント)軸が細く強度不足なのと、袖のソフビ表皮の肌の二の腕との固着で、箱裏側の説明の通りに本体に腕を着けたまま袖を脱がそうとすると、肩のボール関節が間違いなく破損すると思います。
油を使うと塗料が劣化するので、ハセガワ コーティングポリマー(品番:TT24) を面相筆で流し込み、先ずは肩のボールジョイントを外して腕ごと分離した上で → 袖口にポリマー潤滑剤を流し込み肩口を少しずらし → 袖口引っ張りを交互に行い、慎重に袖を腕から外しました。

いきなり力任せに剥くと、間違いなく袖のソフビ外皮が裂けます。

上着交換は後頭部の髪の毛が干渉するので180度回転させると脱がせ易く、髪の毛の塗料剥げも防止出来ます。


2: 顔の表情＆バンダナ交換に注意！

多彩な顔の表情ですが、やはりここも塗料の厚みで前髪のダボが簡単には外れません。
カッターナイフの刃等でこじ開ければ、髪の毛の塗料が剥げてしまうでしょう。
ここでもポリマー潤滑剤を流し込み、０.３mmプラ板細切りを４箇所に挟みテコの原理で隙間を開け → 少し開いた時点で、ポリマーを塗ったタミヤ 調色スティック 2本セット (品番74017) でこじ開けて差替え部品を交換しました。
前額の／バンダナ前部の鉢巻き部分のダボ、長くたなびくリボン状部品も梱包時点の青から「黄色」へ交換する際は潤滑処理が必須です。


3: 手首交換
手の表情は開き手、握り拳、指差し手、サムズアップ（親指立て）、手刀／突き手／腕組み兼用ガイナ立ち用、Ｖサイン／チョキ と豊富ですが、造形精度は特に「開き手」系統は力尽きたのか指先がやや雑な印象。
梱包時の手首から他の手首に交換しようとすると軸に対しての直径が小さく入りませんし、無理に押し込むなら手首の関節のΩ部が破損する可能性があります。
軸をヤスリ掛けして細くする対策も考えましたが、更に強度不足になるのでデザインナイフの刃先でバリを取り、幸い爪楊枝の頭側と直径が同じですので、突端側で削りカスを掻き出し、綿棒の頭を切り飛ばし、研磨剤を塗って内部をヤスリ掛けして気持ち程度、孔を拡げます。
同じ作業を梱包時点の標準拳を含めた12個／６組全ての手首に行います。
平手系統は場合によってはピンバイスの0.8mmドリル刃で直径を拡げる必要があるかもしれません。
拡げ過ぎて緩くならないよう慎重な作業が必要です。


4: 膝と腰の注意
膝の可動屈伸部は二重関節になっていますが、此処もやはり固めなので、腰の関節や大腿部外周と同様に潤滑剤塗布や注油が必要です。
膝を曲げる時は足首や向こう脛等の関節から遠い支点ではなく、膝関節に一番近い根元部分を持ちながら曲げましょう。


5: 台座
アーム部分にはラチェット機構があり、クリックで確実に角度が決まります。
フィギュア保持のＣ状部品は廉価な附属飾り台によくある樹脂の弾性で嵌め込む形式ではなく、ピン留めで開閉可能で、フィギュアのウエスト直径に無段階で対応できます。
艶ありの樹脂は前記のポリマー塗布で漆塗りのような質感が得られます。
アーム部基部が三角台座の溝にスライド嵌め込みで三本の溝の何れかに差し込み、中央位置に持ってこれないのは残念ですが、展示姿勢の自由度が高く、これだけ別売りして欲しい一品です。