No.814474

九番目の熾天使・外伝 ~短編㉕~

竜神丸さん

闇のアーマードライダー その2

2015-11-19 16:33:11 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1152   閲覧ユーザー数:647

海鳴市、とある大通り。

 

「さて、ひとまずは海鳴市に到着だ」

 

ザクロロックシードによる自爆テロについて調査するべく、この場に到着した支配人と竜神丸。彼等はそのまま調査に出ようとしていたのだが…

 

「それは別に良いのですが、気になっている事が一つ……何故あなたまで付いて来てるんですかねぇ? ディアーリーズさん」

 

「あれ、いけませんでしたか?」

 

竜神丸の隣には、この場にはいない筈のディアーリーズまで一緒に立っていた。竜神丸はディアーリーズに対して横目で睨みつける。

 

「俺が呼んだんだよ。ディアも今回の件について何かあるみたいだしよ」

 

「えぇ。ここに来る前、ハルトさんから連絡があったんですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分前…

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、次は服を買いに行きましょうか」

 

「はい! ハルトさん、早く~!」

 

「おっとと。そんな急がなくても良いんだぜ? ルイちゃん」

 

「うへぇ、何で俺が荷物持ちなんだよ…!!」

 

(…そして、何で僕だけは単独で行動させてくれないんだろうか)

 

タカナシ姉妹はハルト、スノーズ、シグマの三人を連れて買い物をしている真っ最中だった。ルイはハルトの手を引っ張る形で走り、シグマはこれまで買ってきた品物の荷物持ちで、スノーズはユウナにガッチリ手を掴まれて単独行動が出来ないでいた(最も、スノーズは放っておくと一人で動き回ってしまう為、ユウナの考えはある意味で正解であるのだが)。

 

「お?」

 

しかし、服屋へ走って向かおうとしていたルイとハルトの前に…

 

「「「……」」」

 

眼鏡をかけたサラリーマンの男性、ギャルのような金髪の女子高生、ボロボロの服を着た浮浪者の男性の三人が立ち塞がる。三人共、下を俯いたまま何かをブツブツ呟いている。

 

「えぇっと……おたく等、何か俺達に用かい?」

 

((…!))

 

ハルトは不思議そうな表情で立ち塞がった三人に声をかけるが、その一方で、スノーズとシグマは何かに気付いたのか、眉がピクリと動く。そして俯いていた三人がゆっくり顔を上げる。その瞳は、赤く染まっていた。

 

「…終末の時は、来たれり」

 

「我等が慈悲深き神よ…」

 

「この者達に、親愛なる試練を…!」

 

≪≪≪ザクロ!≫≫≫

 

『『『ピッピッピッピッ』』』

 

「!?」

 

「な!? それ、ロックシードじゃ…」

 

「ッ…シグマ!!」

 

「おうよ!!」

 

ハルト、ルイ、ユウナが驚く中、素早く動いたのはスノーズとシグマだった。スノーズがハルトとルイを掴んで後ろに引っ張って下がらせ、シグマがサラリーマンの男性、金髪の女子高生、浮浪者の男性の順に次々と上方向に蹴り上げる。

 

『『『ピピピピピピピピ…』』』

 

「伏せろぉ!!」

 

「「「ッ!!」」」

 

 

 

 

-ボガァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!-

 

 

 

 

シグマの言葉でハルトがルイを、スノーズがユウナを庇う形で一斉にその場に伏せたのと、上方向に蹴り上げられた三人が一斉に爆発するのはほぼ同じタイミングだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――じゃあ、ハルト達も自爆テロに?」

 

「はい。ハルトさん達も一度、楽園(エデン)で待機する事になりましたけど……仲間が自爆テロに巻き込まれかけたのであれば、僕も黙ってる訳にはいきません」

 

「…相変わらずのお人好しですね。まぁ良いでしょう、お好きにどうぞ……あ、そうだ」

 

「! おっと……これは」

 

竜神丸は懐からレモンエナジーロックシードを取り出し、ディアーリーズに投げ渡す。

 

「せっかくスカリエッティからゲネシスコアを貰ったんですから、それで実戦調整を行って下さい。当然、後でゲネシスコアの実戦データは頂きますがね」

 

「そちらこそ相変わらず実験好きですね……でもまぁ、ありがたく頂いておきます」

 

「にしてもフレイアどころか、ハルトにユウナちゃん達まで巻き込まれかけるとは……旅団に関係している奴ばかりが狙われるのも謎だな。犯人は俺達の事を知っている可能性もあるのか」

 

「犯人の目的が何であろうと、我々はさっさと犯人を見つけ出すまでです。OTAKU旅団に牙を剥いて来るような身の程知らずは駆除するに限ります」

 

「ま、そりゃもちろんだがな……取り敢えず、それぞれ分かれて調査するとしようか」

 

「じゃあ、合流地点は海鳴図書館前という事で」

 

「了解。では私はお先に」

 

支配人、ディアーリーズ、竜神丸は三手に分かれ、早速調査任務を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――しかし、どうしたもんかねぇ」

 

その後、支配人は竜神丸のパソコンからコピーしたザクロロックシードの写真を手に、海鳴市のあちこちで民間人から目撃情報を集めて回ろうとしていた。しかし、どの民間人からもザクロロックシードを見たという情報はまるで得られず、手詰まりに近いのが現状だった。

 

「ザクロロックシードの特性を考えると、最初のチンピラ二人も無関係者だって可能性もあるしなぁ……何か分かりやすい手がかりがあれば良いんだが…」

 

ハァと溜め息をつく支配人。そんな彼は小さなトンネルの中を移動しようとしたが……一度、その歩みを止めた。

 

(…人の気配……七、八人か…)

 

振り返る支配人、その視線の先には……複数の民間人が立ち尽くしていた。主婦と思われる女性、パトロール中だった筈の警察官の男性、OLの女性、不良らしき風貌をした青年など、やはり全員の瞳が赤く染まっていた。

 

(コイツ等、何処に隠れてやがった? 最初にトンネルに入る時は気配も無かったが…)

 

支配人は立ち塞がった八人から逃げようと後方へと振り向いたが、その振り向いた後方にも既に同じくらいの人数の民間人が現れており、支配人の退路を塞いでしまっていた。これには支配人も思わず冷や汗を掻く。

 

「…全く、穏やかじゃねぇな」

 

「「「終末の時は、すぐそこに来たれり…」」」

 

「「「慈悲深き神よ…」」」

 

「「「この者に試練を…」」」

 

「「「「「この者に、親愛なる救済を」」」」」

 

≪≪≪≪≪ザクロ!≫≫≫≫≫

 

「ッ…!!」

 

≪メロン!≫

 

民間人達は一斉にザクロロックシードを開錠。支配人がメロンロックシードを構えると同時に、民間人達が支配人を取り囲むかのように駆け出して行き…

 

 

 

 

-ドガガガガガガガガァァァァァァァァァァァンッ!!!-

 

 

 

 

彼等のいたトンネルから、巨大な爆発音が連鎖する形で響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その話、本当ですか!?」

 

「あ、あぁ、そうだけど…」

 

その爆発音が聞こえて来る数分前。聞き込み調査をしていたディアーリーズは一人の男子高校生から、ある目撃情報を仕入れていた。

 

「何かよく知んないけどさ。その変な錠前を持った女の人が、少し前に街中を歩いてるの見たんだ」

 

「その女の人、何か特徴は分かりますか?」

 

「メイド服を着た、長い青髪の女だよ。俺が見た時は、歩きながら何かを小声でブツブツ呟いててさ。よく聞こえなかったけど、凄い気味の悪い雰囲気だったのはよく覚えてるよ」

 

「メイド服を着た、長い青髪の女……分かりました。情報ありがとうございます!」

 

ディアーリーズは男子高校生に礼を言って別れた後、メモ用紙に手に入れた情報を纏めていく。

 

(目撃されたのは今から数日前で、特徴はメイド服を着た長い青髪の女。目撃者によると、その女は街中を歩きながら何かをブツブツ呟いて、気味の悪い雰囲気を醸し出していた……まずはこんなところでしょうか)

 

「さて、ひとまず図書館まで向かうとしましょ―――」

 

 

 

-ドガガガガガガガガァァァァァァァァァァァンッ!!!-

 

 

 

「―――ッ!?」

 

その時、巨大な爆発音が連鎖する形でディアーリーズの耳まで聞こえて来た。驚いたディアーリーズは、爆発音が聞こえて来た方向を見据える。

 

「爆発音、自爆テロがまた……しかもあの方向は、支配人さんが向かった方向…!!」

 

ディアーリーズは支配人の事を心配し、すぐさまテレポートリングを使って爆発音が聞こえて来た現場まで転移しようとする。しかし…

 

「!」

 

そんなディアーリーズの前にも、黒スーツを着た屈強そうな男性が二人も立ち塞がった。ディアーリーズが現れた二人の男性を睨みつける。

 

「慈悲深き神よ……この者に、試練を…」

 

「この者に、親愛なる救済を…」

 

「…どうやら、あなた達も自爆テロの件に関係していそうですね」

 

ディアーリーズはテレポートリングをしまい、目の前に立っている二人の男性と対峙する。しかし二人の男性は懐からある物を取り出し、ディアーリーズはそれを見て驚愕する。

 

「戦極ドライバー!? どうしてあなた達がそれを…」

 

「「この者に、親愛なる試練を」」

 

≪≪マツボックリ!≫≫

 

ディアーリーズの疑問に答える事なく、二人の男性は懐から取り出した物―――戦極ドライバーを腰に装着。更に取り出したマツボックリロックシードを開錠した後、戦極ドライバーに装填してカッティングブレードを倒す。

 

≪≪ソイヤッ! マツボックリアームズ! 一撃・インザシャドウ!≫≫

 

「ッ…!!」

 

≪スターフルーツ!≫

 

クラックから出現したマツボックリアームズを装着し、二人の男性は同時に黒影トルーパーに変身。彼等は構えた影松をディアーリーズに向かって突き立て、ディアーリーズはそれらを回避してから戦極ドライバーを装着し、スターフルーツロックシードを開錠して装填する。

 

「変身!!」

 

≪ソイヤッ! スターアームズ! セイバースター・オンステージ!≫

 

黒影トルーパーの腹を蹴りつけて後退させた後、ディアーリーズも同じようにスターアームズを装着。アーマードライダー龍星への変身を完了するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今の爆発音……支配人さんが向かった方向ですか」

 

そして竜神丸も同じく、支配人がいるトンネルで起こった大爆発を察知していた。とある陸橋の真下に立っていた竜神丸は、マスカットロックシードを指でクルクル回す。

 

「さて、まずは現場に向かうとしま…」

 

言いかけたところで、竜神丸の台詞が途切れた。

 

何故なら…

 

 

 

 

 

 

「フフフフフ…♪」

 

 

 

 

 

 

竜神丸の前に、メイド服を着た青髪の女性が現れたからだ。ニコニコ微笑んでいるメイド服の女性を見て、竜神丸は珍しくその目が大きく見開いた。

 

「…なるほど。あなたでしたか……リーゼ・ガルバンディア」

 

「えぇ、お久しぶりですね……アルファ・リバインズ♪」

 

竜神丸に名前を呼ばれたのが嬉しかったのか、メイド服の女性―――リーゼ・ガルバンディアは更に嬉しそうな表情を浮かべる。逆に竜神丸は物珍しそうな表情を浮かべていた。

 

「あなたに出会えて嬉しいです……何せ、私達はあの時に別れて以来、これまで一度も出会う機会が無かったのですから」

 

「…でしょうねぇ。正直、あなたとこんな形で出会うとは想定していませんでしたよ。リーゼさん……いや」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「実験体型サイキッカー、No.13」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued…

 


 
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