No.811262

とあるギルドの死神様?

piguzam]さん

EP4~ユーキ・ヤスダの奇妙な日常?

2015-11-01 12:11:56 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:4828   閲覧ユーザー数:4447

 

 

前書き

 

 

  待 た せ た な (蛇)

 

 

いや、ホントお待たせしました。

題名の通りにMGS5に嵌ってまして、帰還するのが遅くなり申した。

 

そして今月にはスターウォーズ・バトルフロント……。

 

頑張って更新していきたい所存ですww

 

まぁ、このとあるギルドの死神様?

 

これは元々超・不定期更新ですので、あしからずお願いします。

 

 

 

 

 

――健全なる魂は――。

 

「しゅうぅ……ッ!!」

 

――健全なる精神と――。

 

「……はあぁぁ……ッ!!」

 

――健全なる肉体に宿る――。

 

「ほぉ~あちゃぁぁ……ッ!!ふっ!!……ふぅ」

 

最後の残心の型で動きを止め、全身の筋肉を休める。

長い型の修練を終えた俺の体を汗が滑り、テカテカとした光を反射していた。

 

「すぅ……あー……やぁっぱ朝はこれやんなきゃねー」

 

眠気覚ましの体操を終えた俺は、汗だくの体をタオルで拭きながら、爽やかな朝の光を笑顔で浴びる。

自分の大きめに作った寝室のカーテンを全て開き、窓を全開にしているので、爽やかな風と小鳥の声が心地良い。

更に冷蔵庫からオレンジジュースをグビグビと煽り、乾いた喉に潤いを齎す。

 

 

 

 

 

いやー。こーやって天気の良い日の修練は、やっぱコレに限るね――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――”スチュアート大佐ごっこ”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?それ何よって?まぁ所謂”全裸で拳法っぽい動きをする事”かな☆

 

 

 

 

 

いや、これやるとなーんか身が引き締まるのよ、マジで。

裸での清々しさってゆーの?なんちゅーか、そんな感じのさぁ。

魂が自然と一体化するよーな感覚が気持ちよくて止めらん無いんだよね~。

 

「ゴクゴク……ぷふぅ~。さ~て、と。シャワーでも浴びますか」

 

体が冷える前に汗を流しておかないと、せぇっかくの体操が意味なくなっちゃうし。

オレンジジュースの瓶を冷蔵庫に戻して、クローゼットから服を取り出す。

 

おっとっとっと、そういえば最後の〆に180度ターンが残ってたっけ。

 

かっこよくターンを決めて、やる事はテレビを消すというくだらなさ。

で~もこの世界って魔水晶を使ったライブ中継とかはあるのにテレビっていう概念は無いのよ。

だから俺は何も持たず、とりあえずテレビを消す様なモーションだけやってたり。

 

まぁとりあえずー、毎日の日課って事でぇ!!

 

 

 

ガチャ。

 

「ユーキ♪もう朝だぞ。早くご飯食えー♪」

 

「しゅびどぅ――ば?」

 

 

 

スタイリッシュに振り返ってポージングした俺の視線の先に、ニコニコ顔のお出迎え。

フライパンとフライ返しを持ってエプロンを着たミラちゃんとご対面してしまってますねー。

 

「……」

 

「……」

 

真夏だってのにカッチカチに凍った空気の中、俺とミラちゃんは目をポカンとさせて見つめ合ってしまう。

まぁ俺の方は冷や汗ダラッダラなんだけど(諦め)

ちなみにミラちゃんの視線は未だに体の動きの余波でブ~ラブラリと揺れる俺の”盾と矛”に注がれちゃってたり。

 

 

 

「――★□※☆▲※☆▲$¥#”$%&ッ!!?」

 

あ、バグった。

 

「★、★#□※■■■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーッ!!?」

 

 

 

顔を林檎もかくやって感じに真っ赤に染めて目をグルグルさせながら、彼女はフライパンを振り上げ――。

 

 

 

――シュビドゥバァアアアアアアアッ!?

 

 

 

かくして朝っぱらから、マグノリアに俺の悲鳴と爽やかな快音が響き渡ったのでした、まる

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「……」

 

「あむ、もっきゅもっきゅ……」

 

「「……」」

 

は~い。あ~の激痛を伴う出会いイベントを終えて、今は朝食の最中……なんですけどねぇ。

 

「……」

 

「んむ、んむ、んむ……(チラッ)」

 

「ッ!?」

 

何時もよりか~なり静かな食事を堪能しつつ、俺を盗み見てきてるミラちゃんに視線を向けると、ソッコーで逸らされちゃいます。

耳まで真っ赤になってるミラちゃんの行動に首をすくめて再び食事に勤しむ。

しかーし直ぐにその視線が復活するのでチラ見、逸らされ、以下エンドレス。

まぁ、朝からとんでもないもの(自覚あり)を見せられちゃったからねぇ。

こうなっちゃうのもまあ分かるって言えば分かるんだけどさー。

 

(な、なぁリサーナ。姉ちゃんなんか、変じゃねぇか?)

 

(ホントだね。どうしたんだろ?)

 

リサーナちゃんとエルフマン君も様子のおかしいお姉ちゃんに首を傾げながら視線を向けてる。

まっ、何時もは楽しくお喋りしながら食べてるのに、今日に限って静かなんだもんねー。

そりゃ不審がるのも無理は無いか。

ミラちゃんが作ってくれたオムレツを咀嚼しつつ、そんな事を考える俺であった。

え?もうダメージ回復したのか、だって?思い出させないでよ。

 

「……あ、あ、アタシッ、もうギルドに行くから!!」

 

「あっ、姉ちゃん!?」

 

「ま、待ってよぉミラ姉ぇ!!」

 

と、遂にこの沈黙に耐え切れなくなったのか、ミラちゃんはそそくさと朝食を食べてリビングを出て行く。

それに2人も続き、ドタバタガチャン!!という音を鳴らしながら家を出て行ったのだった。

 

「……ありゃ?これ俺が片付けんのー?」

 

目の前の皿を見つめながらそんな事を呟くも、返ってくるのは静寂のみ。

まぁ、朝のトラブルは俺の責任なので、これぐらいは甘んじて受けようジャマイカー。

とりあえずゆっくりと新聞を読みながら朝食を堪能し、皿を洗って片付けて、俺もバイクでギルドへと向かうのであった。

 

 

 

それと途中のゴミ捨て場に今朝のフライパンを捨てる事も忘れない。もう使えないしねー。

 

 

 

さて、ミラちゃん達3人がフェアリーテイルの扉を叩いて早3ヶ月が経ちました。

イヤー時間が経つってぇーのは早いもんだねー。

え?KING・クリムゾン?はてなんの事やら。

 

前のエルザちゃんの時と同じで、彼女達は資金が貯まるまで俺の家に住んでる。

まぁ、連れてきた義務ってのがあるし、俺も楽しいから良いんだけどねー。

ちなみにエルザちゃんの時よりお金が貯まるのが遅いのは、3人とも一から魔法を学んでいたからっていう理由で。

 

あっ、そうそう。エルフマン君とリサーナちゃんの魔法も、ミラちゃんと同じ接収だったよん。

 

ただ属性は違って、リサーナちゃんとエルフマン君は獣の接収を特性としてる。

 

リサーナちゃんは全身接収出来るんだけど、エルフマン君はまだ手だけしか出来てない。

 

ミラちゃんはもう十二分に自分の魔法、接収を使いこなしてるんだけど、リサーナちゃんとエルフマン君はもう少しって所かな。

まぁミラちゃんの才能が飛び抜けてるっていうのと、2人はナツ君達と同い年だから、歳相応、いや才能に溢れたペースで進んでるんだけどさ。

如何せんミラちゃんの才能は、エルザちゃんと比べても甲乙付け難いレベルなーのよ。

 

しかもエルザちゃんとミラちゃんの仲は……うーん、なんていうか、アレなのよねぇ。

 

シンプルに言えばぁ~、ナ~ツ君とグレイ君と同レベル?

やーっぱ同い年で女の子同士で強さが同じくらいなのが原因なーのか、良く衝突しちゃってたり。

特にミラちゃんは自身の性格もあって結構好戦的だ~しぃ、エルザちゃんも真っ向からぶつかりに行くし。

まっ、べーつにお互いを嫌悪してる訳じゃないから、見てて微笑ましいんだけどさ。

何故か俺の家にミラちゃん達が住むってなった時に、ミラちゃんはエルザちゃんに向かってドヤァ、な顔してたけど。

そしてそのドヤった顔を向けられたエルザちゃんはぐぬぬって感じ。何でだろうねー?

ま!!そんなどーでも良い事は忘れちゃって。

 

とりあえず何だかんだ言って、ミラちゃん達はフェアリーテイルに馴染んできてます。

 

最近は楽しそうに他のメンバーとも話してるしねぇ。

 

リサーナちゃんとエルフマン君はナツ君やグレイ君、カナちゃん達とも仲良くしてるしぃ~。

 

皆打ち解けられてお兄さんは嬉しいです。

 

まぁそんなこんなで、何時もはギルドでも暇さえあればエルザちゃんと戦ってるミラちゃんな訳でーすーがー。

さーすがに今朝一番であんな事があったから、ミラちゃんも本調子じゃないらしい。

何時もならエルザちゃんに喧嘩売ってそうな頃合いなのに、ギルドにミラちゃんの姿は無かった。

どうやらササッと仕事に行っちゃったらしい。さもありなん。

 

「ユーキ。ミラに何かしたのか?ミラにユーキの事を聞いたら、顔を真っ赤にして飛び出して行ってしまったんだが?んん?」

 

「いや~ね~?朝からちょぉ~っとしたハプニングがあっちゃってさ~」

 

「ほ~ぉ?そのハプニングとやら、是非聞きたいものだな?」

 

さ~て、目の前でジト目なエルザちゃんをどう回避したものか?

っていうか皆して避難しなくても良いじゃない。肉盾が近くに無いと不安なんだよ?

 

『な、なんかエルザ、機嫌悪そうじゃない?』

 

『おいグレイ。お前今日はエルザに挑まねえのか?』

 

『あ、あんなエルザに挑むのはゴメンだっての』

 

と、離れた所でヒソヒソ話してるグレイ君にカナちゃん、そしてワカバ&マカオ達。

え?ナツ君はどうしたって?

俺が来る前にエルザちゃんに粉かけたそーで、現在壺の中でございます。

 

「まっ、そ~んなに気にする事じゃないよん」

 

「……ふん」

 

まーた不機嫌そーというか、面白くなさそーですなー。

腰に手を当ててちょろっと頬を膨らましてるエルザちゃんに苦笑いしながら、手に持った依頼書をピラピラさせる。

 

「じゃ、俺これから仕事に行ってくるけど~、エルザちゃんも行く~?」

 

「ッ!?い、良いのか!?」

 

さっきまで面白く無さそうな顔してたけど、仕事に誘ったら目をキラキラさせるエルザちゃん。

いやー、チョロげふんげふんっ。何も言ってないよん?

実は今まで、エルザちゃんと仕事に行った事ってそうなかったんだよねー。

基本的に俺は雑用の依頼を中心にしてたし、エルザちゃんにはもっと色んなギルドの仲間と和を広げてもらいたかったからさ。

その試みの結果は上々~。今じゃギルドの皆に一目置かれる存在になってるのだ。

 

「えっとね~ぇ。依頼内容なんだけど、さ。近くの村で作物を食~べ散らかしてるぅ、モンゴリアンハムスターの討伐だよーん」

 

「うむ、行こう!!わ、私も二年前とは違うという所を見せてやる!!」

 

「ほっほ。じゃあ、期待させてもらっちゃおっかなー」

 

「ッ!!?ま、まま、任せておけ!!じ、じゃあ、私は準備をしてくるとしよう!!」

 

「おkおk。お昼前に駅に集合だよー」

 

「分かった!!そ、それでは!!」

 

と、俺の言葉を聞いたエルザちゃんは顔を赤くしながら叫ぶ様に返答して、ギルドを後にする。

その速度、ボルトも真っ青ですなー。

 

『ちょ、まっ、エルギャーーー!?』

 

『ごはぁあああああ!?』

 

『ワ、ワカバとマカオが轢かれた!?』

 

『うわー……やっぱ挑んでなくて良かったぜ』

 

その途中、マカオ&ワカバを轢き飛ばしていっちゃったけど、そんなのは些細な事。

床に倒れてピクピクしてる2人と騒いでるキッズ達を放置して、俺はマスターに依頼書を出す。

 

「って事でぇ~、この依頼に行ってくるよ~」

 

「うむ。エルザも二年前から修行を欠かしておらんし、最近はミラと戦って経験も積んどる。元より素質のある子じゃ。その成長をしっかり見届けてやるんじゃぞ」

 

「あいさ~。まっ、気ぃ~楽にやってくるよぉ~ん。あっ、それとキッチン借りるね~」

 

まるで孫の成長を楽しむ様なマスターの言葉に返事して、俺はギルドのカウンターのキッチンに入る。

さーて、列車の発車時刻までに、お弁当でも作っておこうかね。

ここからならバイクで駅に行けば時間には十分に間に合うし。

え?何でバイクで直接村に行かないのかって?

……エルザちゃんの荷物が多すぎて、列車以外の移動方法が無いからさ。

一応馬車もあるけど、列車の方が速くて快適だからねぇ。

フライパンを振って一個の卵に十個の黄身が入った十黄卵でスクランブルエッグを拵えながら鼻歌を歌う。

 

天気も良いし、サァ~ンドウィッチでーもしよーっと。

 

「それで、結局何があったの?ミラ姉があんな風になったの、ミラ姉がユーキを起こしに行った時からでしょ?」

 

「おっとっと。ま~た随分唐突に現れちゃってくれますねーえ、リサーナちゃん」

 

んで、せこせこと食材自体が冷えてて低温保存に適した麦、冷え麦で作ったパンの耳を切ってたら、カウンターにリサーナちゃんが陣取った。

そのストレートっぷりに惚れ惚れしながらも調理の手は休めない。

ついでにウェイトレスのお姉ちゃんにリサーナちゃんの分のオレンジジュースを出してもらった。

リサーナちゃんはそれを「わーい、ありがとー」と笑顔で受け取って一口飲むと、また俺に笑顔で視線を向けてくる。

目~は口ほどにぃ、って言うけどさー、リサーナちゃんはオーラで語ってきます。

曰く、『話さないと怒っちゃうゾ☆』だそうで。

ふ~む、話題逸らしは失敗ですかー。

 

「ん~?まぁ~、色々あったりしちゃったんだけどぉ、ちょぉ~っとしたハプニングでさぁ。びぃっくりしちゃったミラちゃんがご乱心しちゃったというかなんというかぁ~」

 

「ユーキ。肝心の内容誤魔化してるよね?」

 

ぎくぅ。

 

「ま、まぁ兎に角ぅ、ちこっとだけ、クールダウンが必要な訳ですよん。俺からも今日中に謝ってお~くからさぁ~。そんなに心配しないでちょ」

 

「むー。だからそのハプニングって何なのさー。聞かれたくなかったら……私欲しい物があるんだけどなー♪」

 

「はーい。パンの耳」

 

「私ってこれでダマされるような女じゃないんだけどー!?」

 

女って(笑)まーだよぅじょでしょーに。

完成したサンドイッチを箱に詰めてから、騒ぐリサーナちゃんの口と鼻に余ったパンの耳(INポン酢)を突っ込んでサヨナラ~。

何やらギルドから出て少ししたら、悲痛な悲鳴が聞こえた気がするけど、気の所為でしょ。

そこから駅に向かって合流したエルザちゃんと汽車に揺られてお仕事をサクッと終了。

いや~、横綱みたいな体格のモンゴリアンハムスターがエルザちゃんにバァ~ッタバッタと吹っ飛ばされる光景は壮観でしたな~。

んで、お仕事完了して時間が余ったので、景色の良い所でサンドイッチで昼食を済ませた。

いやはや、晴天の下で食べるサンドウィッチはさぁ~いこうでしたねぇ。

 

でもエルザちゃん?洒落でいれた苦瓜ゴーヤサンドを食べちゃったからって八ぁつ当たりは無いでしょ~?

 

そりゃ~苦くて涙目で悶えるエルザちゃんは可愛かったけどねぇ?

 

だからってそんな固くて太い棒で俺のナイスヒップを狙いにくるのはちょっと……あ、何でもないでぇ~す、はい。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

と、まぁそんな感じでー、エルザちゃんに追っかけ回された次の日。

朝の清々しい空気の中、俺はバイクを飛ばしてフェアリーテイルへと向かってます。

 

しっかしまー、昨日は大変でしたのことよ。

 

前世のバラエティの如くケツをしばかれそうになったのはいいおもひで。

あ~の目はカンッペキに殺る気の目だったね。慈悲、必要なし、って感じで。

昨日の出来事を思い出しながら走ってるんだけど、昨日とはちょぉ~っと違う所があったり。

 

「……へへ♪」

 

それは、俺のバイクの後ろで上機嫌そうな声を出してるミィ~ラちゃんの存在ですかなー。

いやー、仕事帰りにミラちゃんの好きそーなブレスレットがあったから、お詫びの意味も兼ねてプゥ~レゼントしちゃったり。

そしたら上機嫌で許してくれて、朝から嬉しそうにしちゃっててさぁ。

喜んでくれて良かったです。女の子の笑顔は何よりの清涼剤ですしお寿司。

と、そんなこんな思い返してる内に、ギルドにとうちゃ~く、と。

 

「ミ~ラちゃ~ん。ギルドに着いたよん?」

 

「~~♪」

 

「ありゃ?ミィ~ラちゃ~ん?」

 

「~、っえ?……ッわ、悪い……ちょっと、ボーッとしてた」

 

後ろを振りぬいて呼び掛けたら、ミラちゃんってばやっと気付いたって顔でバイクから飛び降りちゃった。

ぬふふ、恥ずかしそうな顔しちゃってるから、お兄さんにはバレバレよん?

 

「いや~、そんなに気に入ってもらえたなら、俺も買った甲斐があったってもんさー」

 

「う、うるせぇ……ん、んで?ユーキは今日はどーすんだ?も、もう仕事は決まってんのかよ?」

 

「今日はっていうか~、こーれから近所のレェストランの魔導コンロが壊れちゃったらしいからぁ、そ~の修理に行かなくちゃいけないのよ」

 

昨日、ギルドに帰った時にマスターから明日の朝一でしてくれって言われてるって説明されてたので、このまま行くつもりだったり。

まぁ修理系の依頼って、今の所俺くらいしかフェアリーテイルで出来る人居ないからねぇ。

え?オイオイそんな事は無いだろうって?他の皆さんはもっぱら壊す専門です(笑)

 

「そ、そっか……修理、か」

 

それを伝えると、目の前のミラちゃんが明らかにしょぼ~んとした顔をしてしまう。

心なしか彼女のPony(無駄に発音良い)テールまで沈んでるよーな?

 

「も~しかして~、一緒に仕事行きたかったりしちゃったりしちゃってた~?」

 

「はぁッ!?ん、んんんな訳無えだろ!?べ、別にアタシは何も……ッ!!」

 

「んふ♪ま~、ま~た暇な時に一緒に行ってあげちゃうからさ。今日は勘弁してちょ」

 

「わ、こ、こら……んぅ……」

 

「こ~ゆ~のは嫌い~?」

 

「……わ、分かっててやってんだろ……?」

 

「にょほほ。ど~かな~?」

 

「うー……うーうー!!」

 

こら、そのうーうー言うのを止めなさ(ry

優しくミラちゃんの頭を撫で撫ですると、ミラちゃんは若干納得のいかなそうな顔で睨んでくる。

ま~それもぉ、ちょっと子供が拗ねた感じなので怖くは無いんだけどねー。

ほっぺたの色も真っ赤っ赤だしー。

そんな風に可愛くむくれるミラちゃんだったけど、俺をキッと睨みつつ手を跳ね除けてギルドで走っていってしまった。

しかし入口の前で振り返ると、直ぐに俺を睨み付け――。

 

「……べーっだ」

 

と、ちょっとだけ舌を出したアッカンベーをしてくるではないですか。

その様子に驚いてたら、あっちゅー間にギルドへとその姿を消してしまう。

ん~……ツンデレ萌え、ご馳走様です。

 

じゃ、良いものも見れたしぃ~、お~仕事してきますかぁ~。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

帰り道なう。

 

レストランの魔導コンロの修理を終えたので店を後にし、再びギルドに帰ってきた。

邪魔にならないようにバイクをギルドの端に止めて入り口に向かう。

 

「ん~。そ~ろそろランチの気分だけど~……なぁ~に食べましょ~かね~?」

 

思ったより簡単な仕事だったから、そん~なにお腹空いてないんだよねぇ。

パンを適当に何個かで済ませちゃおっかな?

と、そんな風な事を頭の片隅で考えながらギルドの入り口を目指し――。

 

「ふんふ~……んん~?(おんやぁ?……な~んかみょ~な魔力の感じがするよーな?)」

 

その途中、丁度ギルドの入り口の近くで妙な魔力の反応を感じて訝しむ。

かなり強力な魔力反応が4つ……5つ?なんか5つの内1つは他より少し小さくて、残りの1つは他よりかなり小さい感じだった。

でも、最初の1つは普通の魔道士よりはか~な~り高い水準だね。

しかも何故か、もう1つ不可解な事がある。

 

「ふ~む?(この魔力の大きさは知らないけどさぁ……魔力の感じは知ってるよーな?……変な感じじゃな~い?)」

 

5つの魔力反応の内、3つには何やら覚えがある様な気がしてしまう。

ともあれ、その魔力の集団はギルドの入り口近くから感じられるので、無視する訳にもいかない。

しょーがないねぇ……トラブルに突っ込むのはアレだけどぉ……まっ、行ってみますかぁ。

まっ、どうにかなるでしょって事で、そこまで深刻に考えずに歩みを再開。

曲がり角を曲がってギルドの正面に向かい――。

 

「うおらぁあああ!!」

 

「「ギャーー!?」」

 

「あ~らら……どーいう事なの?」

 

エルザちゃんとナツ君、グレイ君がステゴロしてる場面に遭遇しちゃいました。

っていうかぶっちゃけ、ナツ君とグレイ君の蹂躙ショ~だね~。

勿論蹂躙”される側”だけど。

いや、それは毎度恒例のイベントなんだけどさぁ。

 

その側に隠れてる魔力反応が”3人と一緒”なのはどーゆー事なの?

 

しーかも見つからないよーに入り口の向かいに置いてある木箱の影に隠れてるみたいだし。

……とりあえず、目の前の猛るお嬢ちゃんを止めますかー。

 

「はいはぁ~い。そ~こまでよぉ~ん」

 

「らっしゃああ、ってユ、ユーキ!?」

 

「うっすうっす。あ~い変わらずやる事が豪快だねぇ~エルザちゃん」

 

「ッ!?そ、そんな事は無いぞ!?」

 

ポイッ

 

「あべし!?」

 

俺が止めに入ると、エルザちゃんは担いでいたナツ君を地面に放り投げてしまう。

うんうん、女の子だもんね~?頬を赤くしながら恥ずかしそうに誤魔化したのはポイントた~かいよ?

でも君、今ナツ君をバックブリ~カ~しよ~としてなかった?しかもアルゼンチン。

そ~の途中で顔面から投げられたナツ君、ご愁傷様。

俺の登場で木箱の後ろに隠れてる魔力の持ち主達が動揺したのを感じ取りながら、それは態度に出さない。

 

「で、どーしちゃったの?まーたお気にのケーキ、台無しにされちゃったのかな~?」

 

確か前はそれで、2人をボッコボコにしてからキャメルクラッチを掛けてたのを覚えてますけど?

そう聞くと、エルザちゃんは少しアタフタしながら身振り手振りをし始める。

 

「い、いや。これはその――」

 

「う、うぅ……い、今だ!!」

 

「あ!?こらグレイ――」

 

「う……おぉおおおお!!俺は逃げねぇぞぉ、ユーキィイイ!!」

 

「およ?」

 

と、エルザちゃんの意識が外れた隙を突いてグレイ君が逃走。

そしてグレイ君を止めようとエルザちゃんが声をあげた所でナツ君が復活し……。

 

「隙ありぃ!!火竜の鉤づ――」

 

「てりゃ☆」

 

「めぇえええええええええええええええ!?」

 

「「ナツーーーーー!?」」

 

何故か俺に奇襲を掛けようとしてきたので、ビンタ一発でお空の彼方へ吹っ飛ばす。

っていうか隙なんてあ~りませんって。

飛んでいっちゃったナツ君に、逃亡するグレイ君とエルザちゃんが悲鳴をあげるが、ナツ君はもうお空の向こう。

多分川の方まで飛んでったんじゃないかなー?

 

「まったくも~。相変わらずいきなりだねぇ」

 

「や、やり過ぎじゃないか?確かにケーキを食べられたと思って、私も怒っていたが――」

 

「ほえ?思ってって事はー、ナツ君は犯人じゃなかったの?」

 

「そ、それは……これから聞く所だったというか……」

 

「ふんふん?まっ、お~兄さんに話してみなさいって」

 

どーにも話を聞いてみると、確かにエルザちゃんが大切に取っていたケーキは無くなっていたらしい。

けれども、それが2人の仕業かは分からなかったそうな。

で、早い話が体に聞いてみようってな感じで、乗り気だった2人を叩きのめしていたとか。

んも~、エルザちゃんってホント体育会系だ~よね~。

 

「まぁとりあえずー、ケーキならあーとで俺が作ってあげるからさぁ。ちゃっちゃとなーか直りしちゃいなよぅ」

 

「う……ユーキのケーキか……」

 

「ありゃ?あんまり乗り気じゃなーい?ダイジョブダイジョブ!!ちゃーんと美味しいの作るからさー!!」

 

「べ、別にユーキの腕を疑ってる訳じゃないぞ?寧ろユーキの料理は凄く美味しいとさえ思ってる……只、偶にとんでもないのがあったりするから、少し、その……警戒してしまうというか……」

 

ここに来て今までのネタ食が災いとなった模様。なんてこったい。

これからは細心の注意を払って俺の作った物ってバレない様にせねば(使命感)

 

「んまっ、まーかせておきなっさーい。ちょーどさっきの依頼で大粒のドライマンゴーとマンゴージュース貰ってきたしぃ、果肉たっぷりのマングォ~ケ~キを作ってあげちゃうよん」

 

「ほ、本当か!?絶対だぞ!?」

 

「モチモチ」

 

「約束!!や、破るなよ!!」

 

エルザちゃんの念押しに笑顔で親指を立てたサインで返すと、エルザちゃんは嬉しそうな顔でグレイ君の駆けて行った方向へ走り出す。

ナツ君も方角的には同じ向きに飛ばしたし、多分向こうで合流してるでしょ。

勢い良く走るエルザちゃんを見送っていたら、エルザちゃんは急に俺の方に振り返った。

 

「そ、それと!!一緒に食べるんだからな!!良いな!!」

 

また頬を赤く染めながらそんな事を言うだけ言って、エルザちゃんは返事も聞かずに更に倍の速度で走っていく。

いや、す~ごく可愛いんだけどさぁ、別にそれぐらい言わなくても良いと思うんだけどねぇ――。

 

 

 

「ほっ」

 

 

 

軽い掛け声で魔力を循環させ、下半身を強化する。

そのまま地面を蹴って自分が出せる最高速に加速した。

換装魔法を使用し、ソウル=イーターモデルの鎌を展開。

 

 

 

世界がスローで見える中、呼吸を整え――。

 

 

 

「何の用かは知ーらないけどさぁ~……こんな所で何してーんの?」

 

『『『『『ッ!!?』』』』』

 

「おっと。動いちゃや~よ?」

 

 

 

物陰に隠れてた奴等の背後に音を出さずに回りこむ。

更に大鎌を木箱の前に隠れていた3人の首を一度に斬れる様に添えるのも忘れない。

そしてもう片手で換装魔法を使用し、デス・ザ・キッドのパートナーであるトンプソン姉妹の変身する銃を一丁喚び出す。

デス・ザ・キッドと同じ様に上下反対で構え、木箱の隣の天幕に隠れていた4人目に照準を合わせる。

 

「頭から真~っ赤なお花咲かせておっ死ぬか、首と体が永遠にお別れしたくなかったら、動かない事だねー」

 

『『『『……』』』』

 

「ん~。正直な子は、お兄さん好きでぇすよん……で?き~み達、何でエルザちゃん達を見ぃてたのかな~?」

 

ウチのギルドの家族にちょっかい出すなら容赦しないけど?と言いつつ、彼等の些細な動きも見逃さない。

俺の言葉に返事は返さないけど、唾を飲み込む音は聞こえてきた。

これで4人は動きを封じたんだけど、一番弱い魔力の持ち主が見えない。

目の前には桜色の頭と黒色、そして見事な緋色の頭髪の男……女?……おんやぁ?

 

「……なーんか、すっごい見覚えのある後ろ姿のよーな……?」

 

特に桜色と緋色の頭髪って……あんれぇ?

おかしいなと思った俺は鎌と銃を外し、彼等から少し距離を取る。

一応鎌は柄の方を地面に突き刺しておく。

これなら即座に対応出来るだろう。

すると彼等は大きく息を吐きながら立ち上がり、こちらへと振り返った。

 

……っていうか――。

 

「……まさか、気付かれていた上に背後に回られるとは……さすがだな、”ユーキ”」

 

「ア、アタシ、今確実に「あ、死んだ」って思っちゃったんだけど!?この時から”ユーキ”ってこんなに強かったの!?」

 

「オイラ、”ユーキ”って昔から強かったのかなー?ってぐらいしか思ってなかったよ!!寧ろ想像以上に怖かったよ!!」

 

「まぁ、もっと前から”ユーキ”は”ギルド”で5本の指に入る強さだったからな。この時から”アイツら”と並んでる時点で強えのは分かりきってた事だけどよ」

 

「くっそー!!今から勝負しやがれ”ユーキ”ィイイイ!!」

 

「ファッ!!?」

 

もんーのすっごく俺の知り合いに似てらっしゃるんですけどー!?

 

5人、というか4人と一匹の青い猫(?)という奇妙奇天烈な軍団。

その青い猫(?)と金髪のナイズバディちゃんは記憶に無い。

しかし残り3人はついさっきまで彼処でドンチャン騒ぎしてた3人に良く似てる。

というか、あの3人を成長させたらこんな風になるっていう方がしっくりくるくらいだ。

更に俺のファーストネームを知ってて、すごーく親しげに呼んでくるじゃございませんか。

 

そして、彼等の腕や体に刻まれた、見慣れた紋章。

 

「……フェアリーテイルの紋章?」

 

本来、ギルドに属する者しか背負う事の出来ない家族の証だ。

しかも俺の把握してるギルドのメンバーに、こんなそっくりさんグループは絶対に居ない。

 

極めつけは、あの子達と全く同じ場所に同じ色の紋章があるという事実。

 

「……もーしかして……”未来”のナツ君とグレイ君、エルザちゃんだったり~……しちゃう?」

 

もしかしてって前置きはしたけど、ほぼ俺の中では間違い無いと思ってるのよねぇ。

寧ろここまで要素が揃ってて実はモノマネでーす、とか言われても笑えないって。

変身魔法でも、本人をここまで成長させた姿を妄想するのは無理でしょー。

それならまだ”時間移動出来る魔法”があるって方がしっくりくるし。

後、特徴的な所もよーく似てるんだよねぇ。

グレイ君の未来の姿っぽい彼なんかー、何時の間にか上半身素っ裸だし。

んで、ナツ君っぽい彼は口から炎を吐いてます。

それに魔力の見える俺から見れば、かーれらの魔力が一番の証拠になってるんだよねー。

すると、俺の言葉を聞いた5人の内、エルザちゃん?っぽい女の子が満面の笑みで抱きついてきた。

 

……………………抱きついてきた?

………………。

…………。

……ファッ!?

 

「う、うぅ……ッ!!年下のユーキ、年下のユーキ……ッ!!こ、これは中々……ッ!!フン、フン……ッ!!」

 

「ちょ!?エ、エルザ!?何か顔真っ赤なんですけどー!?」

 

「ハァハァ……ッ!!こ、これは、ミラに自慢出来る……ッ!!あぁ、凛々しさと幼さが共存した男の子なユーキも……ッ!!フン、フン、フン……ッ!!」

 

「鼻息荒!?」

 

何やら興奮した表情で俺を抱きしめるエルザちゃんっぽい人。

俺の頭を抱えてる所為で、彼女の豊満な胸がお顔にぼよんぼよん当たってます。至福です。

そして鼻息がとぉっても荒いです。

このまま物陰に引きずりこまれそうです。コワイ!!ジッサイコワイ!!

っていうか金髪の子が今エルザって呼んだから、ガチで未来の人っぽいんだけど。

 

「うぉおおおおお!!昔とは違うんだ!!いくぞユーキィイイ!!」

 

「ちょちょちょ!?この状況を更にややこしくしに来るかねーフツー!?」

 

と、今度はエルザちゃんに抱きしめられてる状態の俺に向かって炎を拳に纏ったナツ君?が強襲。

清々しい位に不意打ちだよもー!!

ええい!!成長しても騒がしい事この上ないってーばさぁー!!

 

「ちょーっと静かにしててねー!!」

 

ズガン!!

 

「ぱぴゅ!?」

 

とりあえず円滑なお話をする為に迫り来るナツ君?を迎撃。

飛びかかってきた所を38魂径の魔力弾で額を撃ち抜いて黙らせる。

無駄な体力使わせないで欲しいねーもー。

その一発で地面に倒れたナツ君?を確認してから、今度は俺の胸に頬ずりしてるエルザちゃん?に目を向ける。

何時の間に移動したんでしょーか?

 

「とーりあえずね?色々とお話聞かせて貰いたいんだけど――」

 

「ぐ、ぐ……な、なんのこれしきぃいいい!!」

 

ピキッ。

 

「ビー!!クゥワァイエェット!!」

 

ズドン!!

 

「――こぱ」

 

しかし、尚もしつこく挑もうとしてくるお馬鹿さんに、今度は男の聖域に向けての直接銃撃を食らわす。

それでやっと静まってくれたらしく、ナツ君?は泡を吹きつつ内股で地面に沈んだ。

 

「おま!?そこ一番やっちゃいけねえ所だろ!?」

 

「ナツが泡吹いて倒れたー!?」

 

「躊躇なく撃ちにいったわね……」

 

沈んだナツ君?に駆け寄る青猫っぽい生き物と、ナツ君?と同じ場所を抑えて青ざめるグレイ君?

え?男として撃っちゃいけないって?

そーいう事はねーえ?俺から言わせてもらえばぁ……。

 

「勝てばよかろうなのだぁぁぁ」

 

「ひでぇ」

 

「あーこのはっちゃっけっぷり、間違いなくユーキだわ……」

 

「あい。剽軽としながら相手の急所を的確に狙うエグさとか、ユーキらしさが滲み出てるよねぇ」

 

ナイスバディの美女に抱きつかれながら片手をあげる俺に冷や汗流しながら顔を引き攣らせるグレイ君と金髪ちゃん。

っていうか猫ちゃんのコメントが中々に黒い件について。

所でそろそろみーなさんがどなたなのか、教えて頂けませんことー?

そう質問すると、エルザちゃん?が咳払いしながら、かーなーり名残惜しそうに俺から離れる。

 

「コ、コホン。すまない、少し取り乱してしまって――」

 

「少しなのかな?」

 

「ん?何か言ったかハッピー?」

 

「何でもありません」

 

取り繕おうとしたエルザちゃん?にハッピーって呼ばれた青い猫が突っ込み入れたら、次の瞬間には喉元に剣が出てました。

あー、こーの魔力の感じ、せーちょ-してるけど間違いなくエルザちゃんだねぇ。

でーも換装の速さは今とは比べ物にならないってー事は……魔法の腕もグングン上がってると見ましたよ。

そんなコントの一部始終をジーっと見てたら、エルザちゃんはハッと気付いて咳払いしながら武器を仕舞う。

でも頬の赤みが抜けてない所とかエルザちゃんマジエルザちゃん(意味不)

 

「ん、んん……すまんが、私達の事は余り答える事は出来ないんだ。ユーキにはもうばれてるんだが、私達が余り過去に干渉すると……」

 

「あー、タ~イムパラドックスってやつだねぇ~」

 

過去で何かをする事で、未来が変わってしまう危険性と言われてる事だ。

確かにそーゆう事情があるなら、彼等には余り干渉しないほーが良さそうかな。

 

「おっけ~。そーゆー事なら、君達の事は伏せておくよん」

 

「すまない。まさか未来から来てまでお前に迷惑を掛けてしまうとは……」

 

「ノープロノープロ。確かに、過去に干渉し過ぎるのはマズイだろうしね……それにぃ~、君もエルザちゃんなら分かるでしょ?」

 

しょぼくれた顔で頭を下げるエルザちゃんに微笑みながら、俺はDEATHと書かれたジャケットを捲る。

そこには、俺が”彼等”の仲間である証が刻まれている。

 

「同じギルドの紋章を背負う者は、みぃ~んな仲間、家族だよん。未来だろーと過去だろーと、家族を助けるのは当たり前の事じゃ~ん?」

 

「……そうだったな」

 

少し驚いた顔をしていたエルザちゃんだが、俺の言葉に微笑みながら応えた。

それに隣の金髪の子も同じ様に笑ってる。

フェアリーテイルが掲げる信条。

それは彼女達が居た未来でもぜぇ~ったいに変わってないだろうねぇ。

気軽に確信を持って言える程の不文律。

それがあるから、俺達はフェアリーテイルの紋章を背負って、笑っていられるんだから。

 

「そんじゃ、俺はこっちのエルザちゃんの為にケーキを拵えなきゃいけないから~も~どるとしますわん。バァハハ~イ♪」

 

「……ああ……また、未来で」

 

「またね、ユーキ」

 

柔らかく微笑んだエルザちゃんと金髪ちゃんに手を振って、俺はギルドの中に入る。

いや~、不思議な事もあるもんだねぇ……過去に行ける魔法、か。

さすがに今は昔に戻りたいとは思わないしぃ、別に良いんだけどね~。

相変わらず騒がしいギルドの喧騒を聞きながら、俺は厨房に入ってケーキ作りを始める。

エルザちゃんがナツ君達を連れて帰ってくるまでに、サクッと作っておかなくちゃねぇ。

そういえば、話してる最中にナツ君とグレイ君と青猫ちゃんがどっか行ったけど、気付いてたのかしらん?

 

エルザちゃんと話してた最中の事を思い返しながら、俺はケーキを作り上げていくのだった。

 

そんなこんなでサクサクサク~っとドライマンゴーを混ぜたパウンドケーキを作り、冷蔵庫にIN。

いや~良い仕事しました。

あ~とはエルザちゃん達が帰ってくるのを待つだけだねぇ。

器具の後片付けをして厨房から出る。

 

「む?おおユーキ。そこに居ったか」

 

「ん~?どったのマスター?」

 

と、カウンターに座っていたマスターが俺に声を掛けてきた。

どーやら俺を探してたらしく、カウンターの上から手招きで呼んでくる。

 

「いやーすまん。飛び入りなんじゃが修理の依頼が来ておってのぉ。急で悪いが、ちと行ってきてくれんか?」

 

「ありゃりゃ。今度はな~に?」

 

「荷馬車の修理じゃ。場所はここから西へ数ブロック先なんじゃが、何でも明日には使わなくちゃいかんみたいでのぅ。他のギルドに回しとる暇が無いんじゃよ」

 

「ふ~ん?まぁ、しょーゆー事なら、お任せあれだよ~ん」

 

本当にすまなそうに拝み手をするマスターにグッドサインで返してエプロンを脱ぐ。

このギルドでまともに修理出来るのって俺ぐらいだから、しょ~がないのだ。

マスターもフェアリーテイルに来た依頼を受けもせずに落としたら信頼に影響でちゃうから、こーやって頼んできてるんだし。

それぐらいには答えないと、こっちも申し訳ないよねぇ。

 

「そうか。すまんのぉ」

 

「そ~いうのは言いっこ無~し~。只、工具を取りに行ってる暇はなさそ~だから、ギルドの借りるね~」

 

「うむ。好きに使っとくれい」

 

「あいあ~い。じゃ、行ってきまーっす」

 

歩きながら背後に居るマスターに手を振って、俺はギルドを出る。

大分日が傾いてきてるし、さっさと終わらせますか。

それに~エルザちゃんとの約束は一緒に食べる、だったし~、早めに戻らないとね~。

鼻歌を歌いながらギルドの扉を潜って外に出る時に”バニー姿の金髪ちゃん”と擦れ違いながら、俺は歩みを進める。

 

「……ありゃ?」

 

な~んかおかしな所がなかったかしらん?

首を傾げてギルドの入口を振り返るが、既に入口は閉まっていて中の様子は窺えない。

……気の所為でしょ、多分。

一瞬で痴女に早代わりした金髪ちゃんなんて居なかったと思い直し、俺は依頼のあった場所に向かうのだった。

 

 

さて、そんなこんなでサクッと馬車を修理して鼻歌交じり依頼を達成。

 

日も暮れていた事もあって、俺は足早にギルドに戻りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   んで、帰ってきたらギルドが半壊してました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………ふむ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ど う い う こ と な の?

 

 

な、何を言ってるのか分からないだろうが俺にも分か(ry

思わずポルっちゃうくらいの急展開に脳みそが追いつかず、俺はボーゼンとギルドを見上げてしまう。

え?何?な~んでギルドの窓のあちこちから煙出てんの?

しかも今も続いてるドッタンバッタンガチャンっていう破壊音はな~に~さ~?

ギルドの入口前に居る俺の耳にも聞こえる破壊音の数々。

なーんかその合間合間に知ってるよーな声が聴こえるんだけど、ナンデダロウナー?

 

……ちょろ~っとだけ、覗いちゃいま――。

 

「「うぉらぁあああああああああああああああッ!!」」

 

入り口から覗いて一発目。

腹から気合の入りまくった雄叫びを上げてぶつかり合う緋と銀をハケーン。

2人が拳を合わせる度に衝撃波が周りの人やテーブルを吹き飛ばす。

拳を合わせた体勢から相手の手を握り潰さんばかりに握りしめて睨み合う2人。

……ってゆーかミラちゃんとエルザちゃん何してんのさー。

 

「ぐぬぬ……ッ!!……よくも……」

 

おろ?エルザちゃんが何か言いそ――。

 

「――よくも、ユーキが作ってくれたケーキを食べたなミラァアアアアアッ!!」

 

ずっこけますた。

 

「ああ゛ん!?るっせぇなぁ!!沢山あんだから良いだろうが!!一切れ食ったぐらいでガタガタ言うんじゃねぇ!!」

 

「あれはユーキが私の!!私の為に作ってくれたケーキだぞ!!後でユーキと一緒に食べるつもりだったのに……ッ!!」

 

「(ピクッ)……へえぇ?ユーキが、お前の為に、ねぇ?……すっごく美味かったなぁ♪マンゴーの甘みが全体にギュウッと詰まっててよぉ――」

 

「(ブチッ!!)――楽しみにしてたのに……食べる前に味を言うなぁああああああ!!」

 

おぉう!?エルザちゃんの体から魔力が迸ってるぅー!?

エルザちゃんから魔力が溢れたのを皮切りに2人は組んでいた手を解いて距離を取る。

っていうかミラちゃんの額にも青筋が浮いちゃってるジャマイカ。

俺が出てた30分弱の間に何があってこんなイベントが起きてんのよー?

 

「くそ、折角昨日はユーキと2人っきりで仕事に行けて、2人で昼食も楽しんだというのに……良い気分に水を差しおって!!」

 

「(ブチッ!!)はあ゛ん!?2人っきりで仕事だぁ!?オメェ何様だっつーんだよコラァ!!」

 

「こちらの台詞だ!!」

 

「ぬぬぬ……ッ!?」

 

「ぐぐぐ……ッ!?」

 

な~んとも不毛な言い合いなんだけど、やってるのは災害レベルの喧嘩なのでー、洒落になってませぇん!!

まさかケーキ食べただ何だでこんな喧嘩になるとは……もちょっと作った方が良かったかしらん?

ギルドの入り口に隠れながら思案していると、不意に視界の先でミラちゃんがニヤリング。

 

「……ちなみに、アタシは昨日アイツにこのブレスをプレゼントされたぜ?」

 

「なッ!?」

 

「へへっ……アタシは別に欲しく無かったんだけどよぉ、アイツがどーしてもって言うからさぁ♪いやー参った参った」

 

あれ?そこはかとなく事実が歪められてるよーな?

得意気に俺がプレゼントしたブレスを翳すミラちゃんに、俯いてプルプル震えるエルザちゃん。

握る力を込め過ぎてるのか、剣がカタカタ震えてます。避難してるグレイ君もカタカタ震えてます。

っていうかナツ君が居ないよーな?まぁ良いけど。

 

「…………フッ」

 

「あん?何笑ってんだテメー?」

 

と、俯いて震えていたエルザちゃんだが、ふと顔を上げるとミラちゃんみたいに得意げな顔を浮かべるではありませんか。

そのエルザちゃんのリアクションに眉を顰めるミラちゃん。

しかしエルザちゃんはミラちゃんの言葉に何も返さず、換装魔法を使用し――。

 

「フフッ……いやなに、奇遇だと思ってな?私もこの服を一式、ユーキにプレゼントされたからな」

 

「ッ!!?」

 

「私も、別にユーキには頼んでいなかったのだが、私にはこの服が良く似合うと言って、無理矢理渡されたのだ……やれやれ、アイツにも困ったものだ」

 

俺が最初に買ってあげたゴスロリ服と眼帯に身を包んで、( ・´ー・`)どやな顔をしなすった。

おーい、なーんかドンドン事実が曲解されてませんかー?

いや、確かに似合うだろーなーとは思ったけどねぇ?無理矢理渡した覚えは無いんだけどぉなー。

寧ろエルザちゃんの方がすっごく喜んでた記憶が御座います。

 

「――――んの……」

 

と、2人の幼女?いやもう13歳だし……まぁ幼女でいっか(適当)

その2人の何やら分からない自慢話が終わった所で、いきなり吹き荒れる爆裂的な魔力。

その発生源たる彼女はさっきまでのエルザちゃんみたいに俯きながらプルプルと震え――。

 

「こんのお邪魔虫が!!チョーシくれてっとボコボコにすんぞコラァアア!!!」

 

「「ぎゃーーーっす!!?」」

 

「ミ、ミラ怖えぇ……ッ!?」

 

バッと上げた顔に怒りの表情を浮かべながらエルザちゃんを睨みつける。

既にギルドの上位陣にカウントできそうな魔力は、ミラちゃんの魔力だった。

その吹き荒れる威力たるや、ワカバとマカオのコンビが吹っ飛ばされてビールまみれにされる程だ。

グレイ君?カナちゃんやレヴィちゃんと一緒に震えてますが何か?

しかし、今度はエルザちゃんもミラちゃんと遜色ない怒り顔でその膨大な魔力を吹き出す。

 

「ほう……良い機会だ!!どっちが邪魔者か、この際ハッキリさせてやる!!換装ッ!!」

 

と、遂にエルザちゃんの姿が魔法の鎧に包まれて――ってちょ!?

姿が変わっていくエルザちゃんを見て、ミラちゃんも怒り顔で魔法陣を展開――いやいや!?

 

「面白え!!返り討ちにしてやんよ!!――サタンソウルッ!!」

 

瞬間、ミラちゃんの姿が尻尾の生えた露出度の更に高い悪魔的な少女の姿に変わる。

多分アレが完全に悪魔の力を制御した、ミラちゃんのテイクオーバーの姿だと思う。

っていうか、ここでガチのバトルする気なのあの子達!?

2人が魔法を展開した事で、野次馬根性で見ていたギルドメンバーも本気で退避をし始めた。

 

「おい馬鹿やめろぉ!!」

 

「お前らがここで魔法使って暴れたら洒落になんねーだろーが!?」

 

「マスターはどうしたんだよ!?」

 

「あーん!!あーん!!」

 

「めっちゃ男泣きしてるんですけど!?」

 

「毎度の事だけど、ここまで滅茶苦茶になったら修理費とんでもねーもんな……」

 

「つーかこのままあいつらがバトったら、ギルドが吹っ飛ぶぞ!?」

 

「誰でも良いから止めろーーー!!」

 

「「「どうぞどうぞ」」」

 

ヤバーイ、マスターに押し付けよーとか思ってたんだーけーどー、そーのマスターが既に戦意喪失してらっしゃるではないか。

他に誰か、あの2人を止められる勇者は居ないのかー?ダチ○ウ倶楽部はお帰り下さい。

 

「グ、グレイ。あんた行ったら!?ほ、ほら、何時もエルザに向かっていってるし……」

 

「じょじょじょ、冗談じゃねぇ!?今あの中に入ったら何時も以上にヒデー目に合うに決まってるじゃねえか!?」

 

「じ、じゃあナツは!?」

 

「あ、あいつなら河原で喧嘩して倒しちまった!!多分もう家に帰ってる!!」

 

「くそ!!巡り合わせ悪すぎだっつーの!!」

 

なんてこったい。勇者が居なきゃどーしよーも無いじゃなーい。

このままじゃギルドが無くなっちゃうねぇ。

まーったく、まさかケーキ一個の事でここまでの大事になっちゃうとは(元凶)

……しょーがないねぇ。

 

「換装、死神様モ~ド」

 

俺は溜息を吐きながら死神様モードに変身し、扉から身を乗り出す。

既にエルザちゃん達は剣を、拳を構えて互いに突撃している。

 

「「はぁあああああああああ!!」」

 

あの2人があんな魔力を込めた攻撃でぶつけあったら、ギルドがぶっ壊れちゃうでしょう。

ちょ~っと冷静になってもらわないと困るよねぇ。

なので、俺はその2人に死神様モードで一足飛びに近づき――。

 

「しぃにがみチョォ~~~ップ!!」

 

ドゴン×2

 

「「みぎゃ!?」」

 

死神様の代名詞である死神チョップを両手で繰り出して、二人同時に動きを止めた。

すると、さっきまで荒れ狂ってた2人の魔力は鳴りを潜め、2人の姿も元に戻る。

うーむ、やぁ~っぱりこのチョップは偉大だ~よねぇ。

蹲って頭を押さえる2人を見下ろしながら、俺はウンウンと頷く。

この死神チョップ、何でか知らないけど相手の防御無視でどんな時でも炸裂する技なんだよ。

しーかも相手が使ってたり使う所だった魔法とか、全部レジストしちゃうし。

前に依頼で戦った闇ギルドの奴等なんて、防御魔法をすり抜けて炸裂する死神チョップに恐れてたっけ。

何でこんな現象が起こるのかは、まだ死神様の鎧の全貌が分かってないから何とも言えないんだけどねぇ。

う~む?お仕置き(ギャグ)は防御出来ないって事だろうか?恐るべし、死神様。

 

「おお!?ユーキか!?良く帰ってきたなぁオイ!!」

 

「た、助かったぜ!!危うくギルドが無くなる所だったからな。ホント、ナイスタイミングだ!!」

 

「ユーキ!!ありがと~!!」

 

「いや~。じ~つは扉の所でずっとスタンバってたりしちゃってたんだけどねぇ~?」

 

『『『『『じゃあサッサと止めに入れよ!?』』』』』

 

マカオ、ワカバ、カナちゃんの賞賛に照れながらそう返すと、メンバー全員に突っ込まれちゃった。

まぁその辺の野次は無視し~て~っと。

 

「い、痛てて……ユ、ユーキ?」

 

「ぐうぅ……し、死神チョップ……こ、こんなに痛いとは……」

 

「ま~ったく。だ~めでしょ2人とも~。ギ~ルドの中で魔法なんて使っちゃ~さ~」

 

「「ッ!?こいつが!!」」

 

「どっちが~、じゃなくてぇ、こ~こでやったらギルドがぼ~んってなっちゃうよん?」

 

「「う」」

 

静かにそう諭すとさすがに2人も分かってたのか、言葉を詰まらせてしまう。

まぁ、怒っちゃって引くに引けないじょーきょーになっちゃったんだろうけどねぇ。

二人共謝る気は無いらしく、互いに顔を背けてブスッとしてる。

そんな子供っぽい仕草に、俺はついつい2人の頭を撫でてしまう。

 

「魔法無しなら、ここで喧嘩しちゃっても良いけ~どさ~。魔法を使って戦う時は外でやろうね?おに~さんとのヤ・ク・ソ・クよん♡」

 

「……分かったよ」

 

「確かに、私達が浅はかだった」

 

「うんうん。わーかってくれたならおっけぇ~」

 

二人共納得してくれたので、死神モードを解除する。

ギルドの皆も2人のスーパールーキーが矛を収めたのを理解して、大きく息を吐いて安堵した。

 

「んでぇ~、さ~すがに今日はもう遅いから、ケーキは明日食べよっか?」

 

「そ、そうだな、私も今日は疲れたし、ケーキはゆっくり食べたい……お、お前と一緒に」

 

「りょ~かい。それじゃ、今日はゆーっくり休んじゃいなよー」

 

「あぁ……お休み、ユーキ」

 

「う~ん、グッナ~イ」

 

ギルドを後にするエルザちゃんに手を振ってから、俺は横で腕を組んでるミラちゃんに問う。

 

「……さーて、ミラちゃんはどーする?俺はもう帰るつもりだけどー?」

 

「私も帰るよ。エルフマンとリサーナも先に帰ってるからな」

 

「そっか、じゃあ一緒に帰りますかー」

 

「お、おう」

 

と、まぁ本日は仕事をしゅーりょーして、俺達は帰宅する事に。

他の皆に「じゃあなー」とか「おつかれ~」と言われながら、俺達はギルドを後にした。

現在はバイクに乗って2人で帰宅中です。

 

「いやーそーれにしてもびぃっくりしたよ。ミラちゃん、テイクオーバーをあそこまで使える様になってたんだねぇ」

 

「まぁな。エルザには負けてられないからね」

 

バイクで走りながら、背中に抱きついてるミラちゃんと会話する。

実際、今日までミラちゃんの魔法をじっくり見る事って無かったんだよねぇ。

まだマスターに魔法を習い始めて3ヶ月だけど、もうその実力はエルザちゃんとほぼ互角にまでなってる。

成長速度っていう点では、ミラちゃんの方が少しエルザちゃんより上かな?

まぁエルザちゃんみたいに純粋な剣術や体術なんかも鍛えないといけないタイプと違って、ミラちゃんは戦闘魔法が1択だけ。

後は体術を鍛えておけば良いって感じだから、成長速度に違いが出るのは当然なんだけど。

 

「うんうん。切磋琢磨するライバルが居るっていうのは、だ~いじな事だよー?」

 

「ケッ、あいつぐらい直ぐにボコボコにしてやるさ」

 

「にょほほ。まっ、エルザちゃんも独学でべんきょーしながら、俺との特訓もガンガンやってるし、ま~だまだ強くなるよん?」

 

「……おい。今聞き捨てならない事が聞こえたんだけど?エルザと特訓?」

 

「ありゃ?言ってなかったっけ~?エルザちゃんの体術とか換装魔法を教えたのは、俺な~んだ」

 

「んだよ、それ……チッ」

 

俺にも聞こえる舌打ちをしたミラちゃんはそれっきり黙ってしまう。

どうやらエルザちゃんが俺に魔法を教えてもらったのが気に入らないご様子。

まー、ミラちゃんより二年は付き合い先だから、こればっかりはしょーがないんだけどさ。

 

「俺はテイクオーバーに適正は無いからねぇ……体術で良かったら、教えてあげれるけど?」

 

「……それで良いから、アタシにも教えろよ。エルザだけなんて不公平だろーが」

 

「まーっかせなさい。おにーさんが手取り足取り、色々教えてあげようではないか~」

 

「……なら良い…………それと……」

 

「んー?」

 

バイクの音、そして風を切る音を感じながら、お腹に回されたミラちゃんの腕がギュウッと力を増す。

さっきまでよりも俺に密着しつつ、ミラちゃんは言葉を紡いだ。

 

「……今度はアタシにも作れよな……デザート」

 

「あ~りゃりゃ……ま~た可愛いお願いしてくれちゃうんだから~♪」

 

「ッ!?う、うっせぇ!!余計な事言ってねぇで運転に集中しろバ~カ!!」

 

夜の帳を駆け抜けるバイクの上で騒がしくしながら帰宅する俺達。

こ~ゆ~感じのウキウキライフが続けば良いねぇ。

いや、それが俺達フェアリーテイルの魔導士の日常かな。

自分の居るギルドの素晴らしさを噛み締めながら、俺は笑顔で今日を終えるのだった。

 

 

 

余談だけど後日、マスターに笑顔で請求書を渡されました。

 

何でも二人を直ぐに止めなかった罰として弁償はお前がしろやくらぁマジお願いします、との事で。

 

貯金の5分の1が削られる程の額だったのは、目ん玉が飛び出るかと思ったよ。

 

さすがに年下の女の子にたかるのはアレ過ぎるから、払いましたけどね。

 

た~だ~、お仕置きの意味も込めて、二人のジュースをすっさまじく苦い、その名も苦汁に擦り替えてみました。

 

 

 

ケーキ食べてヘヴン状態から、喉を抑えて転げ回る姿は中々アレでしたわん。

 

 

 

さ~て、悪魔たんと鎧騎士たんが目をギラッギラさせてるしぃ、ちょ~っと逃~げてきま~す。

 

 

 

 

 

 

後書き

 

 

日常話って書くのホントーにムツカシイ。

 

他の作者さんとか良くオリジナルで話作れるなーと感心する日々でごわす。

 

あぁ、早く本編に入らないと……。

 

 

 


 
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