No.807832

【サイバ】奸雄集結外伝~スーパーマッチョメーカー~【交流】

淫魔が幼子を誘惑せし時、奸雄、天向かいてヒンズースクワットす。

7月頃以来いささかカオスというものを考察しておりまして…カオスとは何ぞや…。
…すみませんでした(土下座)

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2015-10-13 03:41:26 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:848   閲覧ユーザー数:803

「…よーく眠ってるわね…フフフ」

 

とある深夜のノパルス・ハイメリアの自室、深い眠りにつく彼の傍に立ち夢魔マリー・ローズはつぶやいた。

 

彼女は次の獲物の捜索の為の散歩中ノパルスの姿を確認、気まぐれから彼の部屋に立ち寄ったのだった。

 

(お母さん似なのかしら。ちょっと女の子っぽい顔してるわね)

まじまじとノパルスを見つめながら思考をめぐらす。ふと、彼の使う枕に首をかしげる。

(?…変わった枕ね。六角形なんて)

 

(それにしても無邪気な寝顔ねぇ…)

 ふと、マリーの脳裏に不穏な思案がよぎる。

 

 「…少しからかってみようかしら」

 舌なめずりをしながら笑みを浮かべる。

 

 (…流石にこんな子供を相手にしたら色々まずいけど…まあ、色目を見せたらどんな反応するくらいなら問題ないわよね…それにこの子の夢がどんなものかも見てみたいしね)

 

 

 「…さあ、貴方の夢をみせて頂戴」

 微笑みながら言葉を掛けると、マリーはノパルスの夢の中に入って行った…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…え…なにこれ…?」

 

 目の前に広がる光景にマリーは唖然とした。

 

 曇り空に一本の草木もなく岩肌が剥き出しになった、灼熱の大地か核戦争後のウェイストランドかを思わせる荒野。だが彼女をさらに驚かせたのは、傍らにある谷間。2km程の幅に深さ800mはあろう切り立った絶壁の峡谷、それが長く長く地平線向こうまで続いていた。彼女はそんな谷の頂上にいたのだ。

 「これって悪夢?いや、あの子の表情からそんな風には見えなかった様な…ん?」

 ややうろたえながら辺りを見回すと、ようやく直立する半龍の子の姿を見つける。しかし、彼は何かしているのかマリーに気づく様子はなかった。

 

  カチカチカチカチ

 

 「?…何の音?」

 ノパルスの方から何かを叩くような音がする。恐る恐る背後から忍び寄り覗いてみると…。

 

  カチカチカチカチ

 

 古ぼけた金属のボックスに設置された、丸いクッキーの様なボタンを何も言わず連打していたのだった。

 「な…何やってるの…?」

 訳がわからずマリーは混乱しそうになっていた。ノパルスは彼女に気づく様子もなく唯々黙々とボタンを連打し続けている。

 

 …ゴゴゴ…

 「ん?何の音?」

 突然、小さいが地鳴りの様な音が響いてきた。すると、ノパルスの手が止まる。

 「…来た」

 少年がそうつぶやくと谷間の地平線の先を見上げる。

 「へ?」

 つられるようにマリーも見上げる。音は徐々に大きくなる。

 

「…な、なにあれ!?」

 マリーは瞠目した。地平線から谷間に大量の何かかが流れてくるのを見えたのだ。

 「土石流?…いや、あれは…」

 水ではない。何か固形物のような。

 「土…違う!あれって…クッキー!?」

 流れて来たのはクッキーだった。普通の、チョコレート、クルミ、その他さまざまなクッキーが大量になだれ込んで来たのだ。クッキーはたちまち谷間を覆い川を作り、水位も頂上近くまで上がっていったのだった。

 

 「…一体何がどうなってるのぉ…?」

 深い峡谷にクッキーの川?マリーは混乱のあまり頭を抱えていた。

 

 …ブォォォ…

 突然バイクかトラックのエンジンの爆音が響く。

 「今度は何よ!?」

 ほとんど悲鳴に近い叫びをあげながら音の方を向く。

 

 「ヒャッハァーッ!!新鮮なクッキーだァァーーーーーーッ!!」

 「粉々に砕いておやつにしてやるぜェーーーーーーッ!!」

 「イエー!!イエー!!」

 「俺を見ろォッ!!」

 「Witnessed!!」

 

 

 改造されたバイクやV8四輪、トラックを駆ったいかにも世紀末なコスチュームのならず者達がこちらに向かってきているではないか。

 

 ならず者達が眼前に迫り思わず伏せるマリー。しかし彼らは自分達に目もくれず通り過ぎ、何故かそのままクッキーの川に突っ込んで流されていった。マシンに乗ったままアクセル全開で飛び込みもの、下りてトペ・コン・ヒーロで飛び込む者、歯に銀のスプレーをかけて飛び込む者、様々なやり方でならず者達は飛び込んで行く。

 「なんなのよもぉ~~~…!?」

 恐る恐る顔を上げるマリーは目を回していた。

 

 「お前には失望したぞ!!」

 不意に背後から野太い男の声がした。

 振り向くと、やたら太い筋肉の男がホッケーマスクに、恐らくは平安末期か鎌倉初期のものと思われる武士の甲冑という奇妙ないでたちで直立していた。

 「お前がこのビックウェーブに乗らぬとは」

 「いや、何言って…キャアアッ!?」

マリーが反論しようとするも、男は突然彼女を担ぎ、クッキーのに川へ走り出した。

 「いざ、クッキーの旅路を共せよ!!」

 「いやああああああああああ!!」

 

 

 「…はぁッ、はぁあ…!!」

 場所は再びノパルスの部屋、マリーが前かがみになって息を切らしていた。 

 クッキーの川に飛び込む直前、どうにかノパルスの夢から脱出したのだが…。

 「あ…あたしが夢に振り回されるなんて…しかもこんな子供の…」

 恐る恐るノパルスの顔を覗き込む。

 

 「…むにゃむにゃ…ビックウェーブなら…仕方ないね…」

 彼はうなされている様子もなく相変わらず無邪気に寝言を呟いていた。

 「…悪夢じゃないの?まるで意味が分からないわ…」

 少年の様子を見て、マリーは頭を抱えながらそうもらした。

 

 「帰ろ…なんだか今日は調子悪いわ…」

 首を横に振りそうつぶやきながら、マリーは部屋から立ち去った…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その夜が明けた午後、ノパルスの姿はイリーナ・アシモフのラボにあった。手には昨晩使っていた、六角形の枕があった。 「お、ノパルス君どうだった?僕が作った、好きな夢を見られる『自在まくら』の効果は」

 アシモフは彼の持つ枕を指しながら尋ねる。彼女はノパルスに新たな発明品のモニターを依頼していたのだが…。

 「…んー、よくわかんない…。クッキーがたくさん食べられる夢をってお願いしたんだけど、思ってたのと 違うような…」

 「…え?」

 

 ノパルスは昨夜の夢の事を説明した。自分が荒野のど真ん中でボタンを連打していた事、そしたら大量のクッキーが流れる大河が現れた事、世紀末のヒャッハーな軍団がその川に飛び込んで行った事、平家の落ち武者かロックンロールのアヤトラかよく分からない格好の人が誰かをかかえて川に飛び込んだこと、等など。

 

 「…とにかくすっごい変な夢だった…ちょっと面白かった気もするけど」

 「(…アヤトラ…?て言うか面白かったのか…)…おっかしーなあ…今度こそ実用に問題はないはずなんだけど…アレが干渉してるのかな?ちょっと中途半端に組み込んだから」

 「?」

 「最近夢の中に入り込んで悪さしてる連中がいるって聞くからさ、その対策に防衛システムみたいなのを作ってくれって頼まれて、渋々ながら作ってその枕にも取り込んで見たんだけど…」

 「(…渋々…?)…夢の中に誰かが入ったらどうなるの?」

 「一応システムは働くけど、夢でかき回して追い出す形を取ってるからどう動くのはその人の夢次第、ってとこかな」

 「…なんだかすごくいい加減…」

 「おいおい、そんな事言うなよ…ところでノパルス君、誰かが夢の中に入り込んだって事はなかったかい?」

 「(…な、なんかすごい目を開いてる…)…ん、んー、わかんない…」

 「(…チィッ…!)そうか…いずれにしてもまだ研究の余地は大いにあるみたいだね」

 

 かくして、枕を返却されたイリーナ再び研究に没頭するのであった…。

 

 

 

 


 
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