No.800487

艦隊 真・恋姫無双 75話目

いたさん

桂花の件、続きです。

2015-09-05 18:37:27 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1339   閲覧ユーザー数:1157

【 誅殺…… の件 】

 

〖 洛陽 都城内 練兵場 にて 〗

 

華琳「───その者の名を答えよ! 桂花!!」

 

珍しく声を荒げ(あららげ)答えを追及する華琳。 普段は如何なる時も冷静に対応する彼女だが……腹心の軍師の態度に、次第に苛立ちと焦りを感じた!

 

自分に逆らう事ばかり行う桂花へ、次第に───憎しみを募らせる!

 

桂花「………………………せん!」

 

華琳「何? ───聞こえないわ!」

 

桂花「─── 言いたくなんてぇ……ありませんっ!!」

 

華琳「───桂花ぁっ!!」

 

顔を朱に染める華琳に、桂花の辛辣な言葉が、止めとばかりに突き刺さる!

 

桂花「 ただ言えるのは……! 私の前の主が……華琳さまの様子を御覧になれば! きっと……哀しい顔をなされ、華琳さまに冷たく言い放つでしょう!!」

 

☆★☆

 

『………つまらない女ね。 その器で、よく覇王を名乗れるものだわ!』

 

☆★☆

 

華琳「───ふ、ふざけないでぇ! そんな者が、いったい何処に居るっていうのよ!? ならば、答えてみせなさい! 私が直に確かめてあげるわ!!」

 

桂花「もう──これ以上申す事など……ありません。 どうぞ、速やかに裁きを……! 」

 

華琳「──そ、そこまで覚悟を決めたのなら、待たせるなど覇王としての名折れ! いいわ、望み通り──この地で屍を晒しなさいぃ!!」

 

華琳は、剣を頭上高く上げて桂花の首に狙いを定める! 兵士用の剣とはいえ手入れは良く施され、刃に錆など浮かばず……傾く陽光に反射して輝く!

 

自分の命を絶とうとする剣、憤怒の表情を見せて、自分を罰しようとする華琳の姿を……じっと見つめ、桂花は一筋の涙を溢す。

 

―――

 

思い起こすは、前の世で……華琳が最後の力で、桂花の手を両手で握りしめる事。 長い年月を経て、二人とも互いに年を重ねたが……一刀を忘れた日はなかった。 ──── 最後の最後まで……諦める事なく信じていたのだ。

 

――

 

華琳『桂花……私が先に逝く事……赦して欲しい。 本当は……一刀の最後を見届けた……私が……残るべき──ゴホッ! ゴホッ!!』

 

桂花『華琳さま! 私が代わりに伝えます! 私が華琳さまの代わりに……叩いてやります! 何でこんなに……帰りが遅くなったのかと!!』

 

華琳『…………桂花らしいわね。 だけど……赦してあげて。 一刀だって……事情があったのよ。 此方に………戻れない理由が………ゴホッゴホッゴホッッ!!』

 

桂花『華琳さまぁ───っ!!』

 

華琳『……桂花、貴女が……一刀に出会えたら………お願い! 会えなかった皆の分を含めて……言葉を掛けてあげて……! お帰りって………』

 

桂花『か、華琳さま! 嫌です、華琳さまも一緒に──! 華琳さまぁ!!』

 

――

 

涙で視界がぼやけるが──桂花にはハッキリと見えるのだ。

 

今の華琳は、前の世界で願いを桂花に託した……華琳の若き姿と瓜二つ。 しかし、精神的円熟さが……まだ足りていない。

 

自分の才気に呑み込まれ、理想に酔い、敵対する者を全て斬り捨てるような……気迫を漂わせる『発展途上の覇王』

 

一刀の力を見て呟いた……華琳が語る言葉に………一刀に対する危うい『依存』が………垣間見えたのだ!

 

だからこその諫言! だからこその──忠告!

 

『今から他力本願で、大陸の平和を目指して何になる!? 』

 

現に一刀を失った前の華琳は、一代にして大陸を平和を築き上げ、魏を盟主にする連合国家を現出させ、長くの間、大陸の民達に人生を謳歌させたのだ!

 

しかし、華琳の耳には………入らなかった。 その溢れる才気、数多くの実績が華琳を後押し、短期で大陸を平和に導けれないかと、華琳を焦らせる!

 

短期で効率が良い策を採用し、長期で取り組み、結果を出るのが大分掛かる物は、あまり採用しなかった華琳の性癖が、ここで現れたのだ。

 

自分の一命を持って、覇王たる者を示したつもりが──この結果。

 

無論──桂花も覚悟を決めて、諫言を行った………つもりだったのだが。

 

桂花「(──── さようなら、華琳さま。 ………できれば、貴女と共に……一刀の帰還を喜びたかった!!)」

 

───つい、口に出した想い!

 

そして…………桂花の最後の呟きは、誰にも伝わらず誰も知らず、桂花の命と共に消える事に───

 

 

─────『ダメなのです!!』

 

─────『ちょっちぃ、待ちや!?』

 

─────『止めろぉ!!』

 

 

だが───周辺より華琳の行為を止めようと、声が飛ぶ!

 

華琳「─────!」

 

しかし、華琳は無視して───桂花の首に降り下ろす!

 

 

 

 

───『ま、間に合ってぇえええっ!』

 

───『むっ!? 何としても防ぐぞぉ! 霞!!』

 

───『言われんでも分かるわぁ! ウチの神速を……舐めんなぁあああ!』

 

 

 

◆◇◆

 

【 救う者たち の件 】

 

〖 洛陽 都城内 練兵場 にて 〗

 

─────!!?

 

華琳「な、何を──っ!?」

 

桂花「………あ、貴女達っ!?」

 

 

 

??「………………………!?」

 

??「……………間一髪だな! 失礼、貴女の御身体に──大事はないか?」

 

??「…………コクッ」

 

??「─── 全く……無茶しよるわぁ! ウチじゃなかったら………ほんまに危ないとこだったでぇ!? 」

 

 

 

華琳が降り下ろされる剣を『様々な方法で遮ろうとした者』が居たのだ!

 

怒りで華琳の剣は、何時もの数倍の早さと威力を内包するが、目の前に居る二人の武人は、その攻撃を完全に遮った!

 

しかも、二人の身体が桂花を完全に隠し……これ以上の追撃を阻む!!

 

華琳「私の邪魔をする不届き者は──誰なの!? 名を名乗りなさい!!」

 

剣を元に戻し、二人を睨み付ける華琳。

 

??「あのなぁ……人に名を訪ねる時は、己の名を名乗るが礼儀っちゅうもんやんでぇ!? 分かってんのか自分『──止めておけ、霞! 』──華雄?」

 

華雄「 この聞く耳を持たぬ将に、何を言っても分からないのさ! それにな? お前の事は、遥か西涼に居ようが噂で聞き及んでいるからな! わざわざ私に名前を名乗らなくても──よく知っているのだ!」

 

華琳の非難に反論しようとする霞。 だが、華雄が剣を収め、片手で霞を押し留める。 それと同時に……華雄が言う。

 

華琳に『覇王 曹孟徳』の名を西涼で聞いたと………

 

それは、華琳の狙い通り、着実に成功を収めている証拠でもある。 しかし、そんな事など……全くおくびにも出さず、淡々と華琳は答える。

 

華琳「ふん、別に驚きなどしないわ! 私は、自分の矜持を常に貫き、世に示しなから行動していたのよ? 我が名が──遥か遠い……西涼の地まで聞こえている事、寧ろ当然の行為! これが、今世の覇王を名乗る『曹孟徳』─── 」

 

華雄「──だか、流石に噂だけあって、かなりの尾鰭が付いていたようだな? 実際に会う人物が……こんな矮小な奴とは思わなかったぞ? 曹孟徳よ!」

 

華琳「──なんですって!?」

 

華雄の言葉は、誉め言葉ではなく──愚弄!

 

それを知り、華琳の柳眉が逆立つが、華雄は微笑を浮かべ対応。

 

不満顔だった霞も……華雄の対応に驚く様子を見せて、納得の表情を浮かべた! これをやりたかったのかと。

 

霞「ほうぅ──? 『華雄』にしては、おもろい事いうやん! んじゃ、ウチらは……礼儀知らずの名を受けたくないから、さっさと名乗りをあげるでぇ! ウチの名は『張文遠』! 天水太守『董仲穎』配下──張文遠や!」

 

華雄「同じく──華雄!」

 

華琳「董仲穎……聞いた事も無い田舎太守のようね? そのような太守の陪臣如き、私の臣に対する裁きへ行う越権行為こそ、礼節にかなってないわ!」

 

霞「そうもないでぇ……あんさんの臣下に対して、けじめ取るんはええねんけどな? その前に御遣いはん方が見てはるのに、この場所を血でぇ汚して……どないする? それこそ、ウチらに説教する価値もあらへん!」

 

華琳「───何をほざくつもり!? 私は、この国の法と秩序に従い臣下を裁く! 天の御遣いと言えども、この国の法に従うの理の筈よ! 私達には、その権利と義務がある。 ………そうよね、桂花? 貴女が言い出した事象よ!!」

 

桂花「………………はい。 その通りです、華琳さま!」

 

華雄と霞が、華琳の手より桂花を守るため、慣れぬ答弁を繰り返してきた。

 

されど、華琳は答弁の対象を桂花に変え、桂花自身に罪を裁く資格を認めさせた。 こうなれば、二人が幾ら弁護しようにも……曹操軍内の問題。

 

二人は、他の諸侯の臣、つまり部外者の為……これ以上は無理だった。

 

「「 ……………… 」」

 

華琳「これで理解したでしょう? 理解したのなら──そこを退きなさい! 貴女達の後ろに隠れている者を成敗させて貰うわ!!」

 

華雄「──良いだろう! では、退いてやる! 霞、ユックリと動くぞ?」

 

霞「………………………………」

 

霞と華雄は、立ち塞がっていた場所から、緩慢な動作で動いた。

 

二人の行動に満足そうな顔で、剣を振り上げ、歩を踏み込ませた華琳。

 

だが───そこには!?

 

華琳「あ、貴女は──!!」

 

華琳の驚く様子を見ながら、華雄は──静かに言い放つ!

 

華雄「…………迂闊だったな、曹孟徳。 貴様の罪、これで決まったぞ!」

 

華琳「………なっ! ────何でぇ!?!?」

 

電「────させないのです!」

 

そこに居たのは、桂花……………を庇い、両手を広げながら守り立つ、第六駆逐隊『電』が居たからだった!

 

 

◆◇◆

 

【 電の本気 の件 】

 

〖 洛陽 都城内 練兵場 にて 〗

 

霞「幾らアンタはんでも、その方の意向……背く事なんて出来へんでぇ?」

 

華雄「──やれやれ……その前に御遣い様まで手を掛けようとは! 我等より上に立つ貴様とはいえ、その行為は重罪だぞ!!」

 

華琳「───!? な、なんで……なんで貴女が!?」

 

『してやったり』という顔をする霞、わざとらしくしかめっ面して睨み付ける華雄。 そして……剣を慌てて降ろす華琳!

 

そこには、北郷一刀の仲間──第六駆逐隊の一隻『電』が居たのだ。

 

―――

 

霞と華雄が、桂花を助けに向かった理由とは、月から頼まれたから。

 

董仲穎──『真名 月』にとって、華琳と桂花は……ある意味、自分達と同じ存在。 それが裁きとして、惨劇が始まるのを見て入れなかったのだ。

 

自分達の立場を弁える(わきまえる)華雄と霞だが、敬愛する君主の命令一下、急ぎ救援に駆け付けた。

 

始めは駆け足で行けば間に合うと踏んでいたが、状況が変わる。

 

華雄たちより一足先に滑り込み、桂花の前に身体を曝け出す御遣いの姿を確認した。 小さい身体を両手で広げ、桂花を完全に庇う体勢でいるのだ!

 

華琳の剣撃は、既に攻撃を開始している! 怒りで視野狭窄になっているのか、剣先の影に隠れたのか──御遣いの様子に気付いていない様子!

 

驚いた華雄は、全力で阻止すべく加速させ、早さで勝る霞に剣を受けさせて、華琳の剣撃を鈍らせ、華雄が入り完全に防いだのだ。

 

…………ほんの数㌢の差で………電に刃が届かなかった。

 

後は、華琳の前に現れて──現状に続くわけである。

 

ちなみに、華琳が電の事を気付いていない様子だったので、一芝居打ったのは華雄の策である。 『 良将にして名将 』と言われるの伊達ではなかった。

 

―――

 

電の様子は、遠くから見る者からすれば、手を広げて桂花を守る姿に、親鳥が雛を守ろうとする姿へと重なっていたかもしれない。

 

しかし、間近で見た者たちは──のちに口を揃えて、こう形容したと言う。

 

 

 

『もし……泰山が人の姿を借り、目の前に出現すれば……あの御遣いの姿になるのだろう』と。

 

 

 

華琳の攻撃の手が止まった事を確認した電は、悲しげな表情を浮かべ、後ろの桂花を一瞥した後、華琳へと再度向き口を開く!

 

―――

 

電「どうして……なのですか!? どうして……直ぐに命を奪う結論を出してしまうのですかぁ!! 」

 

華琳「お言葉ですが、この者は私の矜持を傷つけました。 そのような者を赦すせば、反乱の種になる恐れがあるからこそ! 」

 

電「わ、私達には、意思を伝える言葉があります。 口で話す事も、文字を書いて相手に伝える事もできるのです! そ、それが……意見が違うと言うだけで、何で仲間である……この人を──殺害しようとするのですか!!?」

 

華琳「話し合いを行えば、相手は私に対して、対等と言う誤った概念を持ってしまい、様々な問題を要求してくるでしょう! しかし、私の相手は、その者ばかりではありません! 他にも手を付けねばならない事が、山程も!!」

 

電「─────!?」

 

―――

 

華琳の言い分に愕然とする電!

 

電が助けたに入った理由は、華琳が桂花を殺害しようとしたところを、偶然目撃したから。 しかも、相手は一刀に逢えた事を号泣して喜び、悩んでいる一刀に喝を入れて後押ししてくれた──恩人にして気にかかる人物!

 

自分と同じ、もしかすると……それ以上に司令官を想う一人の将。

 

『沈んだ敵も、出来れば助けたいのです……』と言う電にとっては、我慢ならない行為だった。 無論、雷も気付けば動いただろう!

 

一緒に居て華琳の様子を見て唖然とする姉たちを尻目に、外した艤装をそのまま置いた状態で駆け付けたのだ!

 

そして、駆け付けて桂花の傍へ寄ったとき、ある呟きが聞こえた。

 

『───できれば、貴女と共に……一刀の帰還を喜びたかった!!』

 

それを聞き、電は……桂花を守り切ると瞬時に誓い、華琳の前に立ちはだかったのだ! この将を、この少女を守り切ると!!

 

そして、今、この場所で知った事実!

 

この少女を誅する理由が──自分の矜持(プライド)を傷付けただけ!

 

あの大戦の際、姉の雷と共に、敵兵を助けた逸話を持つ電にとっては……許しがたい行動! しかも、苦難を共にした仲間に対して、平気に命を奪う考えに到底承諾できない!

 

――

 

電「………貴女にとって、自分の矜持と仲間の命──どちらが大切なのです!? 貴女の為、一所懸命で頑張ってくれた仲間を、そんな矜持を守る為だけで……終わらせていいのですか!?」

 

華琳「───矜持とは、私の生き様! それを不定されれば──私は死んだも同然! これは例え臣下と言えど、赦すわけには参りません!!」

 

――

 

電の真摯な言葉をもっても、華琳の矜持の牙城は些かも微動しない。

 

寧ろ、更に頑固さが加わったように見える!

 

華雄も霞も……御遣いの説得が効を得なかったと知り、力付くで押さえようと近付く。 桂花も様子を伺い黙っていたが、『自分にこれ以上構わないで』と説得するつもりで動こうとした。

 

★☆☆

 

────だが、電の雰囲気が一変する!

 

説得中の彼女は、御遣いと言う肩書きがなければ、普通の民と同じ雰囲気を持つ少女。 『大人しく恥ずかしがりや』と……彼女の姉達が評する程だ。

 

それが……一騎当千、万夫不当、百戦錬磨の戦人(いくさにん)の顔になり、背中から『魚雷』を取り出し、華琳に向けた!!

 

――

 

『──────!?』

 

電「………じゃあ、質問を変えます。 もし、 貴女の矜持と命、どちらかを──『私が奪うとしたら』───どちらを差し出すつもりなのです!?」

 

華琳「─────!?」ゾクッ!

 

電「命と同然と言うのなら………私がどちらかを奪ってあげます! 命の大切さを、矜持と命を同様に扱う貴女へ ───電の本気を見せてあげるのです!!」

 

────華琳としては、何かを言う……つもりだった。

 

しかし、これでも覇王と自他とも認められつつ存在。 下手な返答は──即ち『死に繋がる』と──感覚的、理知的に覚ってしまう。

 

特に、御遣いが持つ『黒光りする細長い物』は、最大級の危険だと本能が叫ぶ。 間違いなく……華琳の矜持も命も……この地に痕跡さえ残る事などないだろうと。

 

――

 

電「………どちらを差し出すつもりなのです! 曹操さん!!」

 

華琳「あ、あぁ……… それは…………」

 

電「───返事がない。 つまり、両方なのですね? では、申し訳ないですが、横のお二人の方!」

 

急に───自分達に振られ、ようやく返事を返す華雄と霞。

 

――

 

華雄「───何だ?」

 

霞「な、なんや? 何をやらかんすか!?」

 

――

 

電「………私の後ろにいる、曹操さんの臣下を連れて下がって下さい。 私は、曹操さんに……『天の裁き』を与えなければ……なりませんので!」

 

華琳「─────!?!?」ガタガタガタ

 

―――

 

桂花「か、華琳さまぁ! 早く謝罪して下さい!! わ、私が言うのも変ですが、こうでもしないと……華琳さまの御命が!」

 

華琳「───は、覇王が、命が惜しくて命令を撤回したなど、出来ないわ!」

 

華雄「───お前も、早く意地を張ってないで撤回しろ!」

 

―――

 

桂花「 ──お、お願いよ! 華琳さまを赦してあげて!」

 

電「曹操さんが……貴女を誅しなければ、それで赦すのです! しかし、まだ応えてもらっていません! ならば、この魚雷を───っ!!」

 

霞「待てぇ待てぇ! 話せば分かる! 話せば分かるわ!」

 

★★☆

 

結局──華琳は思い止まった。

 

理由は、桂花の今まで忠勤、数々の報奨との引き換えにしての助命。 実に寛大な処置である。

 

────表向きは。

 

本音は、桂花ほどの軍師が、華琳の手許に居ない事を途中で覚ったからである。 原作とは違い、稟や風が居ないから、有能な軍師が居ないのだ。

 

桂花の活躍は、現在、曹操陣営内において、無くてはならないほど、比重を示している。 だから、桂花の亡き後、今後の大陸の覇権を握るのは、無理に近い、というか……絶対に無理!

 

それと、同時に第六駆逐隊の姉たちも集り、電を説得してくれた事も大きい。

 

電の行動に一応の評価を示す姉達なのだが、それ以上に電の行動に怒った。

 

原因は、電の自己犠牲の精神、罪の無い者へ被害が起こる可能性。

 

それを省みない艦娘として、妹に対する説経を行ったのだ。

 

ーーー

 

『守るのは大切、本当に大事な事。 だけど、自分の身体を犠牲にしてまで、相手を守るのは自己満足に過ぎないわ! 助けられた人、残された私達や司令官達は、どうすればいいのよ!?」

 

『魚雷なんてモノを使って、他の者に被害を与え得れば、司令官や私達、仲間にも迷惑を掛ける事になる。 無論、電の安否を確認する──第六駆逐隊の私達が精神的に被害が特に酷くなるぞ? 大事な妹を失う喪失感は計り知れないんだ。 だから──よく自重してくれ!」

 

『電が怒る理由も分かるわ。 命を粗末にするのは、私達や司令官にとって、許しがたい行動だから。 だけどね………なんで私を除け者にするのよぉ! 私だって、もっと活躍して司令官に褒められたいのに!! 狡いわよぉ!!』

 

ーーー

 

そんなこんなで、この騒動に区切りがついた。

 

春蘭たちも騒ぎを聞いて駆け付けてきたが、華琳と桂花に上手く丸め込まれ、秋欄には真相を話して謝罪、季衣達には大丈夫だからと労った。

 

西涼側は華雄達が説明、袁術や孫権軍には桂花が説明に赴き、一刀達には第六駆逐隊より報告が入り、その経由で劉辯皇女たちへも話が入る。

 

事情を知った一刀達の取り成しもあるが、現実の状況も未だ油断が出来ないため、この件は不問と相成った。

 

―――

 

自軍に戻り、華琳は直ぐに反芻する。

 

考えていたのは……桂花の事ではない。 あの後、華琳は桂花に謝罪、桂花も許して華琳に謝罪したため、この件は完全に終わった。

 

勿論、桂花の言っていた『元の主』の追求は、時期を見て行うつもりでいるのだが。

 

それよりも、電が別れ際に話した言葉に………考えさせらたのだ。

 

ーーー

 

電『私には………その考えが、皆さんを争いへ巻き込んでいるようにしか見えません! 自分の都合の良い考え、自分の意見へ賛成する人しかいない、そんな場所で、どうして他の人達を幸せにできるのですか!?』

 

華琳『─────!』

 

ーーー

 

華琳「私の覇王としての道………再度改め直さねば。 天の御遣いに寄り添う、あの御遣いは……天の御遣いの使い、即ち『天使』なのかも知れないわね。 この私へ……大事なモノを諭す為に訪れた………」

 

この時代に『天使』などという言葉が、あったのかは知らない。

 

ただ……後に華琳より、その時の礼と『天使』という言葉を出された際『はにゃあーっ?!』という、可愛い声が響き渡ったという。

 

――――――

――――――

 

余談だが、その後……華琳は領土経営に成功した。 電の忠告をよく理解して行動を起こした結果である。

 

その際、自分の今あるのは、あの時の『天使』の御蔭であると感謝し、その当時の姿を石で彫刻し祀ったという。

 

―――それが、どういう経過か分からないが、民間に取り入れられて、日ノ本へ流れ、今も道端で……見掛ける場合がある。

 

通称───『さば地蔵』

 

手に『鯖』を持つと言われる地蔵様である。

 

姿は完全な男性と化しているが、華琳の指示で彫刻した原形(艦船カードの絵)の特長を残していた。

 

一目で分かる───大事そうに魚を抱える姿!

 

後世の人は、まさかこれが武器だと思わず、魚として彫刻したのも無理はない。 長い年月の末、持ち手の位置、魚の頭の左右が逆になっても、仕方がないだろう。

 

しかし、この地蔵様の原形は『暁型 4番艦 駆逐艦 電』の姿だったので、持っているのは鯖ではなく………『魚雷』であったである!

 

ーー―

 

今も、とある山奥に鎮座していらっしゃる地蔵様であるが、その真の理由を知る人は───皆無であると記して置く。

 

 

 

 

ーーーーー

ーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

今回、何とか間に合ったけど、次回はどのくらい遅れるのか、わかりません。

 

気長に待って下さいね、としか言えない現状です。

 

鯖地蔵………大分前に画像だけ見たんです。

 

で、艦娘の画像を見ていたら………誰かに似ている。 あの艦娘に何となく似ているな。 そう思った結果が──今回の小説になりました。

 

検索サイトで探せば、画像は出ますので参照の程を。

 

電ちゃんに似ているかは、見た人の感想にお任せします。

 

 


 
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