No.799244

IS〜英雄束ねし者〜 7話『招かれざる襲撃者』

龍牙さん

この作品はpixivにも連載しております。

2015-08-30 05:30:37 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1416   閲覧ユーザー数:1370

 

「はぁ!」

 

 真紅のボディーに不死鳥の炎の翼を思わせるバックパックに、両手に炎を思わせる二振りの剣『ハイパーカレトヴルッフ』を構えた四季のもう一機の専用機『ウイングガンダムゼロ炎』がまた一機、妙なISを切り裂く。

 どの機体も“頭部以外”の全てのパーツが色も形状も違う……腕、足、体と適当にパーツを繋ぎ合わせて作られたようなフランケンシュタインの様なイメージを持っている。

 何より四季が驚愕したのは全身装甲で有る事、生命反応のない無人機である事と同時に……漆黒の頭部に獅子の鬣の様な金色のブレードホーンにデュアルアイ。そのISはガンダム達にそっくりな顔立ちなのだ。便宜上その敵の事はガンダムタイプの頭部と混ぜ合わせた体から便宜上『シャッフルガンダム』と呼称する。

 

(一体なんだって言うんだ、こいつ等?)

 

 クラス対抗戦の際に現れた正体不明の無人機の“二種の”IS。片方は一機だけだが、シャッフルガンダムは複数存在しており、屋上で昼寝していた四季が外に現れたシャッフルガンダムに対処していると言う訳だ。

 

「ラスト! ゼータ師匠直伝、波動剣!」

 

 四季の放つ飛ぶ斬撃が最後のシャッフルガンダムを撃墜する。同時にハイパーカレトヴルッフの柄からバッテリーが射出される。『零落白夜』のデータを元に作りあげられたハイパーカレトヴルッフに搭載された改良型のバリアー無効能力。バッテリーでSEの代用させるで本体のSEの消費をゼロにする事で欠点を一部補った試作型だ。

 追加パッケージで完全な欠点回収を可能にする予定らしいが、ウイングゼロ炎は剣の形状的に扱いにくい。

 

「二刀流は得意じゃないんだよな……」

 

 バックパックの一部がハイパーカレトヴルッフなので1つだけだとバランスが悪くなるのが欠点だったりする。

 

(……念の為にDEMの方に救援の連絡を入れておくか……)

 

 騎士ガンダム達や武者頑駄無達を初めとする他のガンダム達は難しくてもコマンドガンダムが指揮するG-アームズならば可能だろうと考える。幸いにもIS学園は周囲を海に囲まれている……海戦部隊ならば気付かれずに待機していられる事だろう。

 飽く迄彼等の戦力を表に出すのは避けたいところだが、飽く迄最悪の事態を避ける為に備えておく。

 

「まったく……なんでこうなった?」

 

 現状に思わずそう呟いてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 物語は僅かに遡る。

 

 あれから結局鈴の機嫌は直らなかったらしい。一応、四季と話した事でガス抜きは出来た様子だが、それでも色々と思うところは有ったのだろう。自分から一夏に会いに行く事もなく、たまに廊下や食堂で会っても避けられる始末らしい。

 

 事の顛末を詩乃にも話したところ……一夏に対して怒っていた。それだけでなく、何時の間にか詩乃から彼女の友人一同にまで今回の一件が知れ渡ってしまった。それについては心から謝罪しようとも思う。

 

 あまり良い事ではないが、一夏にとってクラス対抗戦に向けての特訓のラストスパートと言える時期だからだ。同時に四季にとってもウイングゼロ炎の最終調整の為に一夏と鈴には悪いが、それほど協力していられない。

 そんなわけでセシリアには一夏の特訓に協力してくれる様に頼んだのだが……

 

「お任せください四季さん! わたくしの様に優秀かつエレガントで華麗にしてパーフェクトな人間がIS操縦を教えて差し上げれば、それはもう見る見る内に成長を遂げて……。ああ、でも、四季さんの様に……」

 

 顔を真っ赤にしてそれはもう心の底から嬉しそうに四季の頼みを快く引き受けてくれたのだが……何故か後半から四季に対する賞賛になりつつあった。

 初恋からデレ100%の上に僅かな情報と直感で四季=思い出の初恋の相手と薄々気付いている様子のセシリアさん……恋する乙女の目は標的に対してスナイパー並みの正確さを持っているのだろうか。

 

 それはそうと、一夏の白式には射撃武器が一切なく『雪片弐型』だけが唯一の武器となっている。これは秋八の黒式にも言える事だが|初期装備《プリセット》だけで戦う事を強いられる。通常ISには初期装備だけでは不十分で|後付装備《イコライザ》と言う物があるが、一夏と秋八のISは拡張性が0である。

 それに対して四季のHi-νガンダム・ヴレイブはビームライフルにハイパーバズーカ、そしてまだ使っていない一対の複合武装が後付装備に当たる。初期装備がフィン・ファンネル六機にビームサーベルとブレードが二つに頭部のバルカンと結構豊富なのに更に後付装備が豊富に装備できている。それだけでもISの常識を知っている者からすれば驚きの品だ。

 更に補足しておくと一般販売されている量産型νは初期装備のフィン・ファンネルは操作性を高めた有線武装の『インコム』と換装が可能だ。

 

(お互いに切欠が無いんだろうけどな……。今日のクラス対抗戦でガス抜きが出来ればいいんだけどな……)

 

 内心で今日の試合で一夏と鈴が戦えれば、それが一番良いだろうと思う。十分にクラス代表決定戦で雪片と零落白夜の特色……武器の持つ長所と欠点は理解しただろうから、それなりに戦う事が出来るだろう。

 

 剣一本でも武器を豊富に持つ者に負ける訳は無い……それは騎士ガンダムや武者頑駄無がコマンドガンダムと互角に戦っている事からも明らかだ。

 

「まっ、試合には興味ないし適当な所で昼寝でもしてるか……」

 

 昨日はセシリアの事を詩乃に話したら機嫌の悪くなった彼女を宥めるのに夜遅くまで掛かったので、思いっきり眠いのだ。

 セシリアが己に好意を持っているのは理解しているが、どうも別の誰かの面影の先に更に自分を見ていると言う……訳の分からない状況だと思う。……しかも薄々気付いていそうだし。

 

 で、四季は四季でまだ怒りの冷め遣らぬ鈴から一夏に対する不満を聞かされていた。

 

「だったら……殴ればいいと思うぞ」

 

「えっと……」

 

「思いっきり喧嘩して殴り合えばすっきりするだろう。序でに言いたい事も言えばいい」

 

 思いっきり物騒な言葉にちょっと戸惑う鈴だが、ぶっちゃけ、詩乃さんやら彼女の友人一同やらも一発殴られろと言っている。

 

「その後で仲直りする……其処からまた一から織斑一夏と凰鈴音の関係を始めればいい」

 

 四季にだって詩乃と喧嘩した事だってある。殆ど怒りが冷めた後に悪いと思った方が謝っているが……彼女の場合、怒りのやり場が無いのだろう。いっそ忘れててくれた方がまだ良かった。

 ……大勢の前でプロポーズだったのかと聞いた一夏の行動は、半ば公開処刑に掛ける様な物だろうと思うし。

 

「丁度今日はクラス対抗戦だし」

 

「よしっ! ありがと、そうよね! 一夏ボコボコにして、その後絶対仲直りしてやる!」

 

 そう言って彼女はアリーナへ向かおうとするが、

 

「アンタいい奴よね。一夏よりもてるんじゃない?」

 

「とりあえず……他の誰かには秘密だけど、恋人なら居るぞ。少なくても、泣いている女の子を放って置いたらあいつに本気で怒られる」

 

 鈴の言葉に不敵な笑みを浮かべながらそう答える。

 

「そりゃ残念ね。一夏に会わなかったら好きになってそうだったのに」

 

「ありがとう、最高の褒め言葉として受け取っておく。序でにさっきのは体験談って所だから、参考になると思うぜ」

 

 そう言って走り去っていく彼女の恋を内心で応援する。……デザートのフリーパスは惜しいが、彼女と対戦した場合は彼女を応援しようとも思う。

 

 まあそれで一夏と恋仲にでもなったら『鈴姉』とでも呼ぼうかと思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

「頑張りなよ、一夏兄さん」

 

「ああ」

 

 一夏、秋八、箒、セシリアの四人がピットに向かって歩いていた。その途中で秋八は一夏に激励の言葉を掛けていた。

 

(まあ、直ぐに無人機の襲撃が有るだろうけどね)

 

 心の中でそんな事を考えながら。

 

 セシリアは四季も誘ったのだが、とうの四季は何時の間にか居なくなっていた。彼女は四季を探しにいきたかったが、一夏の事を四季から頼まれていたので此方に残った訳である。

 

(……一体あんな技何処で覚えたって言うんだ? ボクにも真似する事も出来ないなんて……本当に不愉快な奴だよ、あいつは!?)

 

 そう考えながら心の中の激昂を抑える。

 

(まあ良いか……この先、あいつを始末できるチャンスは有る筈だ……。それに上手くやればこのクラス対抗戦で……)

 

 そう考えて自然と秋八の貌に笑みが浮かぶ。“初めから何が起こるか分かっている”様なことを考えながら、己のIS黒式の待機状態である左籠手に触れる。

 

 四人がヒットの扉を開けると、

 

「待ってたわよ、一夏!」

 

「貴様、どうやってここに!」

 

「ここは関係者以外立ち入り禁止ですわよ!」

 

「アタシは関係者よっ、一夏関係者。だから問題無しね」

 

 何故か鈴が居た。はっきり言って対戦相手な時点で関係者と言っても入ったら問題有りだろう。

 

「だってさ、一夏」

 

「いや、オレに言うなよ」

 

「で、一夏、反省した?」

 

「へ? 何が?」

 

 そう言って一夏に話を振る秋八を置いて鈴は一夏に問いかける。だが、当の一夏は何も感じていない様子だった。……気付いて居ないと言うべきかも知れないが。

 

「な、何がって……」

 

 一夏の言葉に思わず頭を抱えてしまう秋八。

 

「た・か・らっ! あたしを怒らせて申し訳なかったなー、とか! 仲直りしたいなー、とか! 有るでしょうが!」

 

「いや、そう言われても……。鈴が避けてたんじゃ……」

 

「アンタねぇ……。じゃあ何? 女の子が放っておいてって言ったら放っておくわけ!?」

 

「おう。何か変か?」

 

 思いっきり間違っている。

 

「変かって……? ………………………。ああもう! ホント、四季とは大違いね!」

 

 『恋人に怒られる』と言う点は兎も角、放っておけないと言った四季と比べると怒りが余計にこみ上げてくる思いの鈴だったりする。

 

(う、うわぁ……)

 

(ダメだコイツ……)

 

(乙女心をさっぱり理解していませんわ……)

 

 上から秋八、箒、セシリアの順である。四季が居たら『一兄たる由縁だ』と言っていただろう……。

 

「何でそこで四季が出て来るんだよ?」

 

「そんな事どうでも良いから謝りなさいよ!」

 

「だからなんでだよ? 約束は覚えてただろう? 大体四季の推測は、お前だって違うって言ってただろ?」

 

「あっきれた! まだそんな寝言言ってんの? 少しは察しなさいよ!」

 

 確かに覚えていたが肝心の所が大きく間違っている。そりゃもう致命的なレベルで。付け加えると……どう考えても人前で聞くような内容ではない。……特に鈴の様なタイプには、である。

 

 ……四季はコメントしている。『一兄、状況を少しは考えてくれ』と。はっきり言って四季は致命的なレベルの鈍感である一夏とは違い……詩乃の影響なのか好意については比較的敏感である。

 

「あったまきた! どうあっても謝らないって訳ね」

 

 四季のアドバイス通り、思いっきり喧嘩するべきだと決断する鈴。流石に此処で謝る様ならば喧嘩するのは止めようと思っていたが、決断する。『こいつ、絶対にぶん殴る』と。

 

「だから説明してくれりゃ謝るっつーの」

 

「せ、説明したくないからこうして来てるんでしょうが!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「何やってるんだか……」

 

 嫌な予感がしてPIYOに学園の監視カメラ……ピットの物をハッキングして映像を此方でも見れる様にして見ていたが……。

 何も分かっていない一夏に頭を抱えたくなる四季だった。

 

「あっ!」

 

 片腕を部分展開して鈴が一夏の目の前の床を殴る。……間違いなく禁句を言われた時の顔をしている鈴に、

 

「うん、一兄の無事を祈ろう……」

 

 思わずそれを見て手を合わせて祈りを捧げる四季だった。四季の見立てでは一夏は鈴には勝てないと見ていた。

 現状、各クラスの代表の中で専用機持ちは鈴を含めて三人……その内一人は一夏達の専用機の開発の影響で放棄された日本代表候補生であり、試合に専用機で出場できるのは鈴と一夏。少なくとも、どれだけ練習しても短時間では埋められない差が有る。

 

 ……それは四季が一度だけ訓練の相手として刃を交えた時の感覚による判断だ。

 

「……全部守りたい……なんて言ってるだけじゃ力にはならない。どんなモノにも柱ってのは必要なんだよ」

 

 何よりも守りたいと思うモノの無い『守りたい』と言う意思では柱の無い建物……形にすら出ない。それが無ければ、その意思は力になり得ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピット……

 

「今の『は』!? 今の『も』よ! いつだってアンタが悪いのよ!」

 

 一夏の言ってしまった『貧乳』と言う|禁句《タブー》に切れた鈴のISを部分展開させた腕が叩き付けられ、合金製の床が酷い有様になってしまっている。

 

「ちょっとは手加減してあげようかと思ったけど、どうやら死にたいらしいわね……。良いわよ、希望通りにしてあげる。全力で叩きのめしてあげる」

 

 壮絶な表情で冷たく言い切って鈴はピットを立去っていった。

 

 尻餅をついている一夏を覗き込む秋八、箒、セシリアの三人……。

 

「特種合金製の床がこの有様か」

 

「パワータイプですわね。それも一夏さん達と同じ近接戦闘タイプ……」

 

 その有様から相手のISを分析するセシリア。

 

「なんて言うか……言っちゃったね、一夏兄さん」

 

「あ、ああ」

 

 余計な事をと言う表情を浮べている秋八と流石に言ってしまったと言う自覚があったのだろう、同意する一夏。

 

(胸の事言っちまうとは参ったな……。勝負がどうであれ、鈴に謝らないといけないな)

 

 そんな事を考えているから秋八が自分から離れている事に気付かない一夏。

 

「一夏さん……女性に体の事を言うのはナンセンスですわ」

 

「うむ、デリカシーが無さ過ぎるぞ」

 

「ISの特訓も良いですけど、一夏さんには四季さんを見習って乙女心の特訓も必要ですわね」

 

「四季を見習ってと言う所以外は同感だ」

 

 箒とセシリアにそう言われている一夏。自分に飛び火しないように秋八は一人底から離れていたりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一夏がアリーナに現れる中、一組の生徒達は口々に今回の試合の勝者がどちらになるかを賭けている。賭けているのはランチのデザート。満場一致で一夏の勝利にかける中、一夏は満員のアリーナの熱気に圧されていた。

 

(全員満席か……こりゃ、みっとも無いところ見せるわけには行かないな)

 

 そんな一夏の頭の中に浮かぶのは箒との試合で始めて見せて……二度目には目の前で見た四季の『回羅旋斬』の光景……。

 自分との試合で使った技は無我夢中で覚えていない。全力以上を出した上で姉と同じ武器を使った上で完膚なきまでに負けた。あんな技が自分も使えれば皆を守れるのに、とも思う。

 

 そんな事を思う一夏と対峙しているのは彼女の専用機である『甲龍』を纏った鈴の姿。それと同時に試合開始のブザーが鳴る。

 試合開始だ。

 

(見てろよ、四季。オレだって強くなってるんだ)

 

 その四季は鈴の勝ちと予想して全然見ていなかったりするが。

 

 

 

 

 

 

 

 

「グ~」

 

 さて、鈴と別れ彼等の様子を覗き見して後、当の四季はこっそり忍び込んだ屋上で昼寝していた。

 

 師帰途の試合で無我夢中で仕えた高等技術『|瞬時加速《イグニッション・ブースト》』を自由に使える様になったり、鈴が甲龍の第三世代武装である不可視の弾丸である『衝撃砲』を使ったり、と色々と試合が動いているのも気付かずに眠って入りする。

 

 

―ズドォォォォォン!!!―

 

 

「っ!?」

 

 突然響いてきた衝撃音に飛び起きる四季。

 

「な、なんだ!?」

 

 当然ながら四季とPIYOしか居ないその場に彼の問いに答えてくれる者は居ない。

 

 丁度タイミングは一夏が雪片弐型を構えて|瞬時加速《イグニッション・ブースト》を使って鈴に突撃した時、アリーナの天井を覆う遮断シールドを何かが貫通した時だった。

 

「っ!? あれは……」

 

 四季が空を見上げると昼だというのに月が見えていた。……いや、それは正しく言えば月では無い。

 空に見える『月』から雫の様に何かが落ちてくる。

 

 雫が途切れると同時に空に浮かんでいた『月』は少しずつ小さくなりながら消えていく。……正確には月に戻っていくのだろう。

 四季は知っている。あの『月』の正体を。そして、月より零れ落ちる雫により引き起こされる惨劇を。

 

「落下地点は……|IS学園《ここ》か!?」

 

 四季の叫びと共に雫が弾け大量の影が生まれる。黒い一角獣の様な頭を持ったフランケンシュタインの様な人型のIS達は一斉にIS学園へと降り立つ。1つはアリーナへ、そしてもう1つは……。

 

「来い……ゼロ炎!!!」

 

 今朝受け取ったもう一機の専用機『ウイングカンダムゼロ炎』を身に纏い、黒い頭を持ったIS達と対峙する。その瞬間、頭部が変形し黒いガンダムタイプの頭部が露になり、シャッフルガンダムとしての真の姿を曝す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一夏と鈴の間に最初に現れたのは完全装甲の機体。侵入者は長い腕に四門の砲塔を持ったISだった。

 突然の乱入者に一般生徒達に動揺が広がり始める中、新たに現れたシャッフルガンダムが侵入者の後ろに降り立つ。

 そして、邪魔だとばかりに片腕で侵入者を殴り飛ばす。それによって吹飛ばされる侵入者だが、侵入者は腕の砲塔を向けてビームをシャッフルガンダムへと放つ。

 

「「なっ!?」」

 

 驚愕の声を上げる一夏と鈴。ビーム兵器を装備した侵入者もそうだが、シャッフルガンダムは片腕を曝しただけでビームを霧散させて見せた。そして、それによってシャッフルガンダムも侵入者を敵とみなしたのだろう、其方へと視線を向け頭部が変形しガンダムタイプの頭部を曝す。

 

 そして、

 

『システム起動、トランザム』

 

 蹂躙が始まった。全身が赤く輝いた瞬間、シャッフルガンダムの姿が消え、侵入者が殴り飛ばされる。

 

『ムラマサブラスター展開、ダークネスフィンガー発動』

 

 次の瞬間、アリーナの観客席から悲鳴が上がる。

 

「お、おい……」

 

「う、嘘……」

 

 シャッフルガンダムの腕が侵入者の胸を貫いて貫通していた。ISは人が乗らなければ動かない、そして、あんな状況で人が生きている訳が無い。突然の惨劇に目撃した全員が言葉を失ってしまう。

 

 そして、シャッフルガンダムは侵入者を投げ捨てると無数のビームの刃が添加された剣で投げ捨てた侵入者をバラバラに解体していく。丁寧に付け根から両腕を切断すると、乱暴に頭と体、両足をバラバラに切り裂いていく。そして、己の足元に転がる頭部を踏み砕く。

 

 

『障害排除完了、たーげっとノ殲滅ヲ最優先トスル』

 

 

 金色に輝くシャッフルガンダムと目が合った瞬間、一夏と鈴の背中に冷たい物が奔るのだった。


 
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