No.796381

真・恋姫無双 覇王伝 第二十四話

ZSANさん

孫家攻略戦②

2015-08-15 16:58:48 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3188   閲覧ユーザー数:2718

~一刀視点~

兵糧集積場での戦闘後、小休止を取り本隊との合流に向かった

本隊は攻城兵器を運搬している為、進軍が遅い

此方は純粋に騎馬のみなので進軍速度は速い

うまく行けば本隊が戦闘に入る前に追い付けるかもしれない

「北郷様、そろそろ小休止を取らないと馬が持ちません」

副官の役目をしてくれている疾風が進言してくれた

「そうだな

 全軍止まれー!

 此処で小休止とする」

全ての隊員が下馬し、休憩に入る

一応周囲への警戒は解いていないが

 

「北郷様、何か急ぐ理由でも有るのでしょうか?

 失礼ながら、焦っているように見受けられます」

疾風の質問に対して

「いや、急ぐ理由は無いんだ

 ただ何となく急いだ方が良いような、気が急くような

 変な感じがするんだ」

我ながらまともな答えになって無い

「しかし、今回は攻城戦なので騎馬隊の必要性は低い筈です

 それに攻城戦は日数がかかります

 もし孫家が野戦を仕掛けて来たとしても数で有利な我等が『鳳凰』を必要とするほど苦戦するでしょうか?

 それなのに急いだ方が良いと何故思われるのですか?」

疾風の指摘は尤もだ

「その通りなんだけど・・・

 まあ、早く合流しても悪いことは無いだろう

 隊員や馬の疲労は気を配るよ

 疾風も遠慮なく進言してくれ」

「御意」

逸る気を抑えながら本隊と合流すべく進軍する

~北郷軍本隊~

北郷軍は夜営した翌日、進軍を開始した

伏兵が横撃を掛けるに適した丘陵が左右にあるが何も起こらない

(何故?)

伏兵の情報を得ていた静里は疑問に思いながらも前進するしかなかった

正面に軍は視認できるが動きは無い

すると地面に水路否、水が通っていないので溝が掘られていた

その溝はかなり長く迂回するには手間が掛かる

しかし人が飛び越えるには苦の無い幅だった 深さも大した事は無い それが3本

静里は攻城兵器対策かとも思ったがそもそも向こうが籠城戦を仕掛けていないのであり得ない

(一体何を考えているんです 周公瑾)

溝を飛び越え更に軍を進める

その時、孫家の陣営から大きな銅鑼の音が響き渡る

 

「突き進めー!」

左右の斜め後ろから伏兵が突き進んで来る

「来ましたか!

 華雄さんと凪さんの部隊は迎撃に

 その他は正面の敵本隊を叩きます」

静里が指示を出し、華雄、凪はそれぞれ1万の兵を率いて迎撃に向かう

そしてその他の部隊は正面の部隊へ進軍する

 

「むっ?

 数が多いな・・・ 5千程度では無いぞ 1万程ではないか?」

迎撃に出た華雄は昨夜の軍議で報告を受けていた5千の倍に相当する兵を視認した

それはもう一方の迎撃部隊を指揮する凪も同様だった

これが冥琳の策の1

伏兵を昨夜の内に敵に確認させておけば今朝になってから数をわざわざ確認には出ない

既に兵を伏している所に増援を送れば発見される可能性が有る以上そんな事はしないとの思い込みを利用された

だから日が昇る直前に増援を送っていた そしてそれは発見されずに合流できた

そして正面に視認する軍勢の数が昨日と同じならばその意識は更に薄まる

冥琳は正面の軍勢に多量の偽兵、案山子に鎧を付けたような物を紛れさせていた

その為正面の兵は昨日と同じく2万に見え、伏兵への増援を気付かれないようにした

 

「お前達も合肥で同じ事をしただろう

 それを使わせてもらった」

自陣で冥琳はニヤリと笑っていた

伏兵の数が昨日の報告の倍と云う報せは直ぐに静里に届けられた

「数は五分五分ですが向こうの方が勢いが有ります

 このままでは・・・

 星さん、迎撃部隊の援護に向かってください!」

静里の指示で星が動こうとしたその時

「火矢を放てー!」

孫家の陣営より火矢が放たれた

その火矢は北郷軍の上を超えて行く

(何を?)

静里が疑問に思った瞬間、後方に火の壁が現れた

これが冥琳の策の2

伏兵が多ければ軍を2つに分けて援護に向かわせる

それを防ぐ為先程の溝には油を染み込ませた藁が敷き詰めてあった

それに火矢で引火させれば溝の数である3枚の火の壁が出来上がる

勿論、勢いを付けて飛び越せ無い事も無いが火の壁は3枚

これを飛び越して行けと一般兵に云うのは酷だろう 火を全く恐れなければ別だが・・・

「くっ!

 こうなれば一気に正面の敵本陣を攻め落とします」

ここで孫家が旗を上げた

そして正面の軍に掲げられた旗は「周」のみ

「孫」の旗は華雄の部隊と激突しようとしていた

 

「正面に居るのが本隊 伏兵を指揮するのはは配下の将

 だれがそんな事を決めた?

 仮に決まっていたら兵法においてはそれを覆すのも有りだろう」

冥琳は北郷軍を見据えたまま、そう呟く

これが冥琳の策の3

正面は偽兵を大量に紛れ込ました囮

本当の本隊は伏兵となっていた

「此方の武官の質と数は北郷軍には劣りません

 ですから炎蓮様と雪蓮は敵の右から襲う伏兵の指揮を

 祭殿と粋怜殿は左から襲う伏兵の指揮をお願いします

 そして伏兵を迎撃する部隊の指揮官を討ち取って下さい

 指揮官を討ち取れば統率を無くした軍は容易く打ち破れます

 その後に勢いづいた2つの伏兵部隊で敵の本隊を叩きます

 その時点で数はまだ向こうの方が上でしょうが、勢いがそれを覆してくれます」

冥琳の献策が実行に移され、北郷軍に襲い掛かっていた

炎蓮、雪蓮の部隊が華雄の部隊と激突する

(華雄は・・・ あいつか!)

炎蓮は戦闘の中、華雄を見つけた

「雪蓮、部隊の指揮は任せたよ!」

そう言って、自らは華雄に向かう

「母様、年を考えて無理しないでよ」

「雪蓮!お前 後で折檻だからな!」

雪蓮は軽口を叩きながら炎蓮を見送る

 

「孫堅ー! どこだー!」

華雄は孫堅を探しながら大暴れしている そこへ

「ここだよ」

炎蓮が現れる

「そこかー!」

華雄は猛然と向かって来るが

「遅い!」

華雄が攻撃を仕掛ける前に斬撃を放つ

華雄は咄嗟に防ぐが機先を制され

「そら、そら、そら!」

炎蓮の連撃に防戦一方となる

「くっそー!」

「遅い!」

何とか一撃を繰り出すも躱され逆に脇腹を斬られる

深手では無いが華雄の心理に十分な傷は与えた

「華雄、アンタは攻撃が遅くて単調なんだよ

 だから私は簡単に機先を制することが出来たしアンタの攻撃を躱せた

 そんなでかい獲物で速く変幻自在の攻撃を繰り出すことは出来っこない

 攻撃で大事なのは威力よりも速さと読まれない技だよ」

その言葉が華雄から冷静な判断を奪って行く

「黙れー!」

”ザシュ!”炎蓮の一撃が華雄の肩口に決まった

「こんな単純な挑発に乗ってくれるとはね

 あんたに冷静な判断能力があればもっと手古摺っただろうにね」

その炎蓮の冷静な言葉が華雄が聞いた最後の言葉だった

「敵将、華雄 討ち取ったりー!」

炎蓮が高らかに宣言する

この一方で冥琳の誤算が2つ起こっていた

「くそっ!

 我等2人を相手にしているというのに!」

粋怜が苦々しい表情で呟く

凪が粋怜、祭の二人の猛攻を防ぎきっていた

凪は一刀に師事して、自らの我流の武を洗練させた

それが凪に一段高い武を身に付けさせることになった

しかしそれだけなら孫家の2人の宿将を同時に相手に出来る程では無い

凪の武器で有る手甲は間合いが短いので攻撃は不利だが防御には有利

しかもその手甲は軽く頑丈な北郷家家伝の『白虎』

更に凪は2人を同時に相手にして勝つことは難しいと判断し”勝つ”のではなく”負けない”戦法を取っていた

防御に有利な武術と武具を持ち、防御に徹する これでは圧倒的な実力差が無いと討ち取るのは難しい

それが迎撃部隊の将を討ち取ると云う冥琳の策を食い止めていた

「守ってばかりで攻めて来んか!」

焦れた祭が挑発するが

「私に今出来るのはこの部隊を壊滅させない事

 だから貴方達に討ち取られない最善手を取るまでです!」

凪が答えるが

「将としては合格だが、武人としてはどうかな?」

「私の武は我が主『北郷一刀』様の為にあります

 あの方の大望のお役に立つことが私の天命!

 あの方の為なら私の武人としての誇りなどいつでも捨てます」

粋怜の挑発を凪ははねのける

「これ程の武人にここまで言わせるとはね・・・

 『北郷一刀』に私も興味が湧いたよ」

 

凪が祭、粋怜を抑えているのが冥琳の誤算の一つ目

もう一つの誤算それは『鳳凰』が本隊に居なかった事

「『鳳凰』突撃ー!

 孫家の本隊を蹴散らせー!」

『鳳凰が』孫家の本隊に突撃を敢行した

 

~あとがき~

 

これが冥琳の策の全貌でした

 

兵糧集積場の戦闘から今回の戦いまで2日程の間が有ります

だから最後に『鳳凰』が間に合いました

 

華雄がまた死にました

華雄ファンの方、本当に申し訳ありません

話しが暗くなり、そんな話は嫌いだと云う方にも申し訳ありません

更に他にも死ぬ予定のキャラが敵味方問わずにいるんですよね(オイコラ)

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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