No.782779

真・恋姫†無双 裏√SG エピローグ

桐生キラさん

Second Generationsも今回で最終回でございます。
今まで付き合ってくれた皆様、本当にありがとうございました!

2015-06-10 17:00:01 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:2595   閲覧ユーザー数:2284

 

 

 

 

 

戦が終わる

 

鈴々「星彩!良かった…良かったよー!」

 

星彩「おかあさん、大丈夫?」

 

あるものは歓喜し…

 

桃香「………」

 

風香「………」

 

あるものは悔やみ…

 

一刀「これからも、よろしくお願いします、みんな」

 

劉協「あぁ、立て直していくさ。何度でも、何度でも…」

 

またあるものは、その決意を新たにした

 

咲夜「終わったな」

 

詠「えぇ。あとは徐福だけね」

 

咲夜「それも心配ねぇよ。ほら、あそこ」

 

そう言って、洛陽の門から咲希が悠々と現れた。その肩には、一人の女が担がれていた

 

詠「お疲れ咲希。それが徐福?」

 

咲希「ありがとうございます。えぇ、これが全ての元凶ですよ。しっかり私が仕留めました」

 

そう言って咲希は徐福の亡骸を地面に棄てた。

随分と荒っぽい扱いだな、なんて思ったが、徐福の死に顔を見て、少し妙に思ってしまった

 

眉間に銃弾が一発。跡から見て咲希の50口径に間違いない。

眉間から覗かせる穴は大きく、随分と風通しが良くなっているが、徐福の表情はそれに反して…

 

 

とても満足気であった

 

 

咲希「……これは、私の推察なんですが…多分徐福は、死にたかったんだと思います。こいつは最後に『ようやく逝ける』と呟いていましたから」

 

私が疑問に思った事を感じ取ったのか、咲希がその答えを教えてくれた

 

詠「……そう」

 

きっと、何百年と生きて、あいつは孤独になってしまったのだろう。

何百年も生きるということは、親しいものに先立たれるということだから。

それを何百年、何百回と繰り返してきた徐福は、いつしか自分も、逝きたいと考えた。

しかし、徐福は自らの術のせいで不老不死を得てしまった。

それは徐福にとって、呪いの様なものだったのだろう。

なにせ、死ねないのだから

 

咲夜「なんにしろ、傍迷惑な奴だな。自殺してぇんなら、こんな面倒事起こすなよな」

 

詠「同感。もう二度とごめんだわ」

 

私も詠も呆れるようにため息を吐く。

するとそこへ…

 

悠里「お、なになにー?ため息ですかー?幸せ逃げちゃいますよー!」

 

流琉「お疲れ様でーす!みなさん、お揃いですよー!」

 

恋「お腹減った」

 

華雄「だな。美味いものをたらふく食べたい気分だ」

 

華佗「じゃあ、怪我人の治療が終わったら、宴会を開かないとな!」

 

雪蓮「えー?私今飲みたーい!」

 

凪「いやいや、事後処理もしっかりしていきましょうよ」

 

秋蘭「はぁ…全くここは、どんな時でも変わらんな」

 

ぞろぞろと、うちの人間が集まってくる。

その表情は、先程まで戦っていたとは思えないほど、いつも通りの笑顔だった

 

咲夜「はぁー!疲れたな!なら、ボチボチ撤収するか!」

 

こうして、私達の戦は、つつがなく幕を閉じていった

 

誰一人欠ける事無く、笑顔で…

 

 

 

 

 

 

「うむ、流石はダーリンだ!今回もしっかり、生き残ったようだな!」

 

「ご主人様もぉ、零士ちゃんもぉ、やっぱりいい男よね!私ますます惚れちゃったわん!でも、いいのかしら、王元姫。あなたの愛しの士希ちゃんに、本当の事を伝えなくって」

 

「ふむ、司馬の呪いのようなものだな。表舞台に立ち過ぎると、我々以外の管理者に目をつけられ、消されかねないという。確かお主がそうさせないために、自ら悪役を演じたのであったな」

 

「ふふ、いいのよ、もう。もともと、私と彼はどう足掻いても結ばれる事はない。それは、私の立場のせいでね。だから私は、影ながら応援する事に決めたの。彼が守ろうとしたものを、守る為にね」

 

「全く、良き漢女になったようだな、王元姫。その一途な愛、しっかりとワシの胸にも響いたぞ!」

 

「素敵!私もいろいろ手伝っちゃうわん!これからも一緒に頑張りましょうね!」

 

「もちろんなんだぞ☆そしていつか、もう一度我が君に会うんだから!」

 

 

 

 

 

 

士希視点

 

 

 

徐福事件から一週間が経った。

 

 

大陸に残された爪痕は大きいものの、着々と傷を癒していこうと、人々は互いに助け合って復興作業に勤しんでいた。

その姿はとても逞しく、この大陸の人間の強さを垣間見た気がした。

 

 

今回のこの事件は、徐福と、そしていわゆる反北郷派と呼ばれる人物達が起こしていた。

徐福が麻薬や力を与え、反北郷派の連中がそれを賊に流したり、証拠を隠滅したりしていたそうだ。

徐福は死に、反北郷派の連中も、友紀が残してくれた書類のお陰で全員検挙。

現在は反北郷派の処遇について慎重に話し合っているそうだ。

ここで安易に殺してしまっても、さらにそこで不満感を募らせる可能性がある分、処刑ではなく終身刑になりそうだが。

 

ちなみに麻薬の製造所も、友紀の書類を元に全て襲撃、これを破壊したそうだ。

各地には賊による衛兵も存在していたらしいが、そのどれもが薬に溺れ、機能していなかったらしい。

ヤクを守っていたやつらが、そのヤクに溺れて自滅するなんて、皮肉な話ではあるが、自業自得だな。

 

麻薬の製造所の襲撃の際には、華佗さんと華雄さんも同行していたらしい。

なんでも、麻薬の成分を解析して、それに有効な治療法を見つける為だとか。

解析は、父さんも手伝った事もあり見事に成功。

現在は大陸各地を回って治療しているのだとか。

 

余談だが、華佗さんと華雄さん、どうやら結婚するらしい。

今すぐではないらしいが、落ち着いたら式を挙げるのだとか。

あの二人ならお似合いだろう。お互いを支え合い、付いていける二人なのだから

 

 

徐福が利用していた梁山泊について。

 

 

彼らはもともと、怪物専門の退治屋をしていたらしく、ある日宋江さんが徐福の討伐に向かったところ、返り討ちにあい、宋江さんを人質に活動を強要されていた。

彼らに罪がないわけではないが、北郷さんが彼らの処遇を考慮し、三国の軍の部隊の一つとして運用するようだ。

梁山泊はこれを快く引き受けた。曰く、罪滅ぼしだとか。

だけど三国側としては、今回の事件で抜けた穴を塞ぐという打算的な考えもあったりするので、胸が痛くなってしまった。

 

 

五胡について。

 

 

今回、徐福の計らいで三国と五胡は再び争う結果になってしまうも、幸運な事に居た沙和さんのお陰で、戦況が泥沼になる前に止まる事が出来た。

これを機に、三国と五胡は和平を結ぶ事を決意。

三国と五胡は五分の盃を交わし、良い関係を築いていくとのことだった。

その中心人物が、なんと北郷さんではなく、今回の影の功労者である沙和さんなのだから、驚きではあるが。

 

 

 

この世界は、再び変わろうとしている

 

皆が団結して困難を乗り越え、より良い世界を作ろうと励んでいる

 

良い事だと、胸を張って言える

 

だから俺は…

 

零士「そうか、やっぱり行くんだね」

 

士希「あぁ。俺の居場所は、ここじゃなくて向こうみたいだから」

 

俺は実家にて、父さんと二人で話し合っている。

俺の今後についてを…

 

零士「そっか。それは寂しくなるね」

 

士希「いやいや、ちゃんと定期的に帰るよ。ここで何かする事が出来ないだけで、生きられない訳じゃないから」

 

そう、俺はここで、何かを残す事は出来ない。

それは、俺の家族を失う可能性のある事だから。

家族が大切な俺にとって、それだけは避けないといけない。

それに、父さんにとって大切なこの世界で生きられないということも、出来れば避けたい。

父さんはここで幸せを掴んだんだ。なら、それを壊しちゃいけない。

 

零士「うん、いつでも帰って来なさい。そうだ、今度君の恋人のはやてちゃんも連れて来るといい。歓迎するよ」

 

士希「あはは、そうさせてもらうよ。あいつも、母さんに会いたがってたみたいだからな」

 

それからしばらくは、他愛のない親子の会話を交わす。

久しぶりにゆっくりと、父さんと話せて、とても有意義に過ごせた。

だけど、残念ながら楽しい時間は続かない。

そろそろ帰らないと、明日の学校、それも新学期の初日から遅刻してしまうことになる

 

士希「じゃあ、そろそろ行くよ。またね、父さん」

 

零士「あぁ、気をつけるんだよ。

……あぁそうだ。一つだけいいかい?」

 

俺が部屋を出ていこうとするところで、父さんに呼び止められる。

その表情はとても優しげで、慈愛に満ち溢れていた

 

士希「どうかした?」

 

零士「いやなに、彼女、友紀ちゃんは元気にしてるのかなって」

 

その問いは、俺を驚かせるには十分だった。

王異は公式で死亡と伝わっている筈なのに。

やっぱり父さんは、侮れないよなぁ

 

俺は、そんな父さんの問いに対して、笑顔で返しておく事にした

 

だってそれは、俺の口から語るべき事ではないからだ

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

 

こんにちは、桐生キラです!

 

真・恋姫†無双 裏√Second Generations、いかがだったでしょうか?

 

やはり、未来設定のオリキャラ多い展開ではあったし、そのオリキャラを深く掘り下げる事も出来なかったので、とっつきにくさがあったと思います。

 

自分でも書いていて、これ恋姫か?なんて思う事もありましたからね(笑)

 

 

 

この作品を書くに当たってのテーマは、「英雄のその後」「英雄の子ども達の日常」そして「英雄が残したもの」です。

 

戦争というものが生み出すもの、またそれによって失うもの。その辺りの描写をしてみたいと思っていました。

 

戦争をやっている最中は、その人物達にとって譲れないものがあって、その為に戦っている。でも、それは当事者のみ知る事で、残された者たちはそれを知らないのです。

 

馬超と王異。この二人の関係も、ある意味似ているのです。

曹操に馬騰を討たれ、復讐しようとしていた馬超。

馬超に親を討たれ、復讐を誓った王異。

因果的な関係の二人ですが、この二人が手を取り合う、理解し合う事は、個人的には避けたかったんですよね。

ていうか、仲良くなれない気がしたので、最後の最後まで理解し合えず、そのまま会う事もない、というエンディングにしました。

これに対してモヤモヤする人もいるかもしれませんが、王異の想い、闇はそれ程までに深いという事なので、安易に仲直りしてしまうと、それこそキャラがブレると思ったんですよね。

 

 

 

個人的にこの作品で、テーマ以外で書きたかったものが二つあります。

 

一つは【晋】VS三国。

この二つの勢力をどうやってぶつけようか考えた末に、徐福を登場させてみました。

徐福という新たな争いの火種を交えて、二つの勢力の間にすれ違いを起こさせる。

そうでもしないと、この二つの勢力が戦う事はほぼ皆無ですからね。

ただまぁ、戦争内容はそんなに詳しく描写はしませんでした。というのも、お互い本気でやってはいませんでしたから。

いくら人質がいるとは言え、目的はどっちも同じなのですから、言ってしまえば茶番な訳なんですよ。どちらかが勝てば良い。いや、勝つ必要すらない。何故ならどちらも時間稼ぎなのだから。

もし本気でやりあっていたのなら、どちらの勢力の主要人物も死んでいた事でしょう。それ程までに、危ない連中ですからね。

 

ちなみに、作中で一刀君を人質に取られているのに、ずいぶん皆余裕だよな、なんて思ったかもしれませんが、これも一応理由があって、彼らの中で【晋】が来てくれたと言う事が一つの心の救いになっているのです。

大陸最強の守護者が助けに来てくれた。それだけで勝った気でいます。

なので、華琳とかは状況を愉しむくらいには余裕になっていました。

流石華琳様、図太いよね!(笑)

 

ついでに徐福についてですが、咲希VS徐福を最後までタイマンで戦わせると、最終的には咲希が勝ちます。ただ、その代償として洛陽が地図から消えます(笑)

それだけ徐福は強いし、全力で刀を抜いた状態の咲希はもっと強いって設定にしています。

なので、洛陽を更地にしない為にも、士希を登場させました。

士希の武器、退魔剣ゼウスは、人体を斬れない、使用中は魔力を使えない代わりに、ありとあらゆる異能を斬る為の剣。ラストシーンで徐福を貫いたのに血が流れなかったのは、この剣単体では体に傷をつける事が出来ないからです。元ネタはRAVEの武器の一つ、ルーン・セイブ。

最終戦があっさりしていたのは、徐福が咲希の力を見誤った事と、心の底では死にたいと願っていた事、そして作者的に引っ張り過ぎたかなと思って、あっさり殺しました(笑)

終わってみれば、ラスボスだろうとモブだろうと、あっさりしているものなのです(笑)

 

 

 

さてさて、そろそろあとがきもこれくらいになります。

 

意外と長くなったSecond Generations、毎度毎度読んでくださる方、コメントくださる方、本当にありがとうございました!

こんなモノを残して良いものかとは思いつつも、最後まで書けたのは読んでくださる方がいたからでございます。

 

お陰で地味にこの話で、桐生キラ作品通算200本目になっていました。

自分でも気付かないうちにこんなに書いていたんだなと思い、びっくりしました(笑)

本当に、ありがとうございます!

 

 

環境が変わり、多少忙しくはなりましたが、次回作の構成もある程度ございますので、またその都度、お付き合いしてくださると幸いでございます。

 

それでは最後に、個人的に書きたかったもう一つのシーンを書いて、終わりたいと思います。

 

本当に、ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

ダァン

 

 

 

季節外れの雪が降る空に、乾いた銃声が鳴り響く

 

だが、その弾丸が、私を貫く事はなかった

 

友紀「……おい、どういう事だよ、士希?なんでだ?なんで殺さねぇ!?」

 

私は罪を犯した。

私はこいつらを裏切った。

私は許されない事をした。

だから私は叫んだ。

いくら士希でも、こればっかりは許しちゃいけない。

 

士希「いや、大罪人・王異は、今この瞬間、俺の弾丸に貫かれて死んだ。今俺たちの目の前にいるのは、ただの友紀だ。周りにいるこいつらがその証人だ」

 

そう言って、士希は満足気に銃をしまった。

その様子が、とても腹立たしくて、私は再び声を荒げた

 

友紀「っざけんな!!んな理屈、通る訳ねぇだろ!わかってんだろ、士希?私は罪人だ!もうここに居場所なんてねぇ!だから、だからいっそ、殺してくれよ!もう嫌なんだよ!ここには家族もいない!頼れる奴もいない!苦しいんだよ!こんなところで生きていくなんて、私にはもう、耐えられない…だから殺してくれ!私はもう、死んだ方がマシなんだ!」

 

言い切ると、自分でも気がつかないうちに息が切れていた。

顔を上げる事ができない。

きっと、今の私は泣いているに違いない。

そんな顔をこいつらの前で見せたくない

 

士希「はぁ…言いたい事はそれだけか?」

 

私の叫びに対する士希の答えは、ずいぶんと簡単だった。

それもため息混じりだった

 

友紀「それだけ…だと?お前に、お前に何がわかるんだよ!?ここにいる奴ら全員置いてったくせに!何偉そうに今さら隊長ヅラしてんだ!?ふざけんなよ、士希!」

 

自分でも、自分が言っている事がただの八つ当たりだってわかっている。

だけど、止まらないんだ。

感情が抑えきれないんだ…

 

士希「あぁ、お前の言う通りだ。俺はこいつらを見捨てた。きっと、それを裏切りだと思った奴も、中にはいるだろう」

 

そんな事ない。

士希が部隊を解散して、それを裏切りだなんて思った奴は一人もいない。

むしろ、全員心配していた。士希の事を、心から…

 

士希「なぁ友紀。俺もな、この世界に居場所なんてないと思っていた。俺がいるだけだ、周りを不幸にするものだとばかり思っていた。だけど、それは違ったんだ。この世界にも、少なからず居場所はあった。自分を受け入れてくれる、暖かい場所があった。それが、ここなんだ」

 

そう言って士希は、司馬昭隊全員に注目が行くように振る舞った。

さらに、この場にいる全員が、私を囲んで円になる。

士希の両隣を空けたまま…

 

士希「友紀、お前も居場所がないだなんて思ってるかもしれないけど、それは違う。お前にも居場所がある。遅くなったが、お前を迎えに来た」

 

そう言って、手を差し伸べる士希。その背後には、隣には、絶対に視える筈のない人物が居た

 

優し気に、慈愛に満ちた表情で笑う、父さん、母さん、姉さん。

士希を誇らし気に見ている賈充。

 

絶対にいる筈のない人達が視えた気がして、私は…

 

友紀「…ッ…クッ…士希…ごめん…やっぱり私は…ここで生きるのは辛いよ…思い出が…想いが強過ぎて…それが逆に苦しい…」

 

最後に全員が揃った。

だけど、話す事も触れる事も出来ない。

それが逆に、私をさらに苦しめた。

 

もう嫌だ…もう、こんな世界に居たくない…

 

士希「そうか…なら友紀、俺について来る気はあるか?」

 

友紀「……え?」

 

その問いを、私はずっと待ち続けていたのかもしれない

 

士希「あぁ、ていうか、もともとそのつもりだったんだ。友紀、俺と一緒に来い!俺がお前を救ってやるよ!」

 

士希は再び手を差し伸べてくれた

 

それはまるで、あの日、幼かった私を救ってくれた時の再現のようだった

 

あの日から、士希の隣にいられたらと、どこかで思っていた

 

それは、私が唯一思った、復讐以外の願いでもあった

 

だから私は、士希の誘いに、この手を取った

 

強く、しっかりと

 

友紀「士希!私を連れてって!」

 

士希「あぁ!」

 

 

 

そして世界は、光り輝いた

 

 

 

 

 

 

……………………………………………

 

 

 

………………………

 

 

 

 

 

 

………目が醒める

 

まだ意識はしっかり覚醒しておらず、さらにフカフカの寝台が心地良くて、再び眠りに入ろうとしたが、それは許されなかった

 

「おーい、ユキさーん、起きてますかー?」

 

扉を開けて入ってきたのは、同居人の少女。

 

名前は…

 

「寝てますよー、ルネー」

 

「いやいや、起きてるじゃないですか」

 

そう言って、柔らかい笑みを見せる少女、ルネッサ・マグナスは、部屋のカーテンを開けて、陽の光を取り込んだ

 

「いい天気ですね。さ、早く起きてください。朝ご飯できてますから」

 

「はーい」

 

寝台から降りて、適当な衣類を身につけて部屋を出た

 

 

 

あの日、あの世界の王異は死んだ

 

 

 

そして今、私は士希に連れられ、違う世界へとやって来た

 

 

 

再び名を変え、ユキ・ブレアとして生きていく為に

 

 

 

何のしがらみもなく、後悔も未練もなく、新しい生活を送る為に

 

 

 

そして…

 

 

 

「さ、チャチャッと食べてください。これから管理局の試験があるんですからね」

 

「わかってるよ、ルネ」

 

 

 

 

 

今度は、道を間違えないように

 

 

 

 


 
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