No.772098

真・恋姫無双 覇王伝 第二話

ZSANさん

新たな外史の幕が上がる

2015-04-18 23:45:00 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:4556   閲覧ユーザー数:3868

 

~鞘華視点~

「う~ん、ふああ~」

私は、欠伸をしながら起き上がる

なんだか変な夢を見ていたような気がする

どんな夢だったっけ?

更に身体が痛い

私のベッドってこんなに硬かったっけ?

そんな事を考えながら、意識を覚醒させていく

そして完全に覚醒した時、言葉を失った

目の前に広がっているのは見慣れた私の部屋じゃなくて、広大な荒野だった

しかも着ている服はパジャマでは無く、フランチェスカ学園の制服

朝起きたら学園の制服を着て、荒野の真っただ中に居る

これが今の私の状況

「うん、よくある事だね」

そう言ってから、一泊置いて

「そんな訳あるか~!」

自分で現実逃避の言葉を打ち消す

「一体全体、どういう事?」

取り敢えず冷静に考える

そして昨夜の事を思い出した

そうだ、昨夜帰宅する途中、学園の前で盗人らしき人物と一君が格闘戦になった

そして盗人(?)が銅鏡を落した途端、銅鏡が凄い光を放って・・・

それからが思い出せない

でも、その場には一君と巴ちゃんもいた

二人は大丈夫なの?

此処は何処なの?

途方に暮れるがじっとしていても状況は変わらない

周りを見渡すと日本刀が置いてあった

落ちていた、というより置いてあったと云う方がしっくりくる

その日本刀を手に取って見る

「これ、玄武?

 本家の蔵にある筈なのに何で此処に置いてあるの?」

更に周りを見ると学校指定のバッグがあった

中を確認すると、ボールペン、ノート、他は・・・あれ?何でこんな物まで?

まあ、大した物は入っていない

ケータイかスマホでもあれば連絡が出来るかもしれないのに

 

「鞘姉!

 やっぱりさっきの叫び声は鞘姉だったのか!」

後方の林から一君が現れた

~一刀視点~

目が覚めると青い空が視界に飛び込んで来た

何故?天井が普通あるだろ?

慌てて起き上がり、周りを見る

林の中だった

「え~と・・・」

フリーズしたした思考を再起動させて・・・

状況確認

此処は林の中

服は何故かフランチェスカ学園の制服

すぐ脇には家の蔵にある筈の日本刀『朱雀』と手甲『白虎』がある

導き出される結論 よくある事

「そんな訳あるか~!」

と俺の声を代弁するかのような叫び声が聞こえて来た

そうだな、現実逃避している場合じゃない

取り敢えずはあの声のしたところへ行ってみるか

でも、あの声って・・・

 

「鞘姉!

 やっぱりさっきの叫び声は鞘姉だったのか!」

 

鞘姉と合流して話をするが、俺も鞘姉も状況が分からない

ただ昨夜の盗人(?)と格闘した時に銅鏡から光が放たれた後の記憶が無い

多分、意識を失ったのだろうが何故こんな所に・・・がつながらない

「しかし、いつまでもじっとしている訳にも行かないわよね」

鞘姉が立ち上がる

「それは同感だけど、具体的にどうする?」

俺の質問に

「分かんないわよ!

 でも右も左も分からない

 此処が何処だか分からない

 じっとしていても助けは来ない

 それなら動くしかないでしょ!」

確かにそうなんだけど、

「動いてから考えればいいんだよ!」

良くないだろ!

 

そんな時、黒煙が上がっているのが見えた

比較的近くだ!

火事などの煙の勢いだ!

「行ってみよう、鞘姉!」

「うん!」

俺達は煙の方角へ駆け出した

煙の上がっているのは村だった

だが、その街並みはどう見ても現代日本の物では無い

混乱している俺に

「一兄!」

巴が飛びついて来た

無事だったのか、良かった!

「そうだ、再開の喜びにに浸っている場合じゃない

 今の状況を簡単に説明するわ

 今、この村に野盗が押し寄せて来たの

 で、偶然居合わせた義勇軍の人達が防いでいてくれるけど野盗の数が多すぎるの

 このままじゃ突破されるのは時間の問題

 理解して!」

一気にまくしたてる様に巴が説明する

「分かった

 でも、何で火事に?」

「あいつらが火のついた松明を投げ込んで来たのよ!

 一兄、鞘姉、野盗を撤退させる手伝いをして!

 本当はこんな危ない事、頼みたくないけど・・・」

巴が目に涙を溜めている

それだけで、巴の気持ちは痛いほど良く分かる

「任せろ!」

「任せて!」

俺と鞘姉が応える

 

~???視点~

「くそっ、数が多すぎる!」

明らかに此方が劣勢だ

突破されるのも時間の問題だろう

二百人はいた仲間も半分が倒され、残りも負傷している上に疲労が溜まっている

私の武具である手甲もひび割れている

どうすれば・・・

ズルッ

「うわっ」

血だまりに足を滑らして態勢を崩して片膝を付いた

そこに野盗が斬りかかって来る

躱せない!この手甲で防げるか?

防御の構えを取る

「凪っ!」

「凪ちゃんっ!」

~一刀視点~

片膝を付いた銀髪の女性を飛び越え、そのまま斬りかかって来た野盗を蹴り飛ばす

「ギリギリセーフ、だな

 動けるか?」

銀髪の女性に声を掛ける

「ありがとうございます

 大丈夫 まだまだ戦えます!」

彼女は力強い声で答える

「よし、ならば協力してくれ

 奴等の真ん中を突破して一気に頭を討ち取る!」

俺と鞘姉に巴が託した策

策と云うには単純極まりない

多数を相手にするなら、相手の頭を叩けば良い

「分かりました」

「鞘姉は此処で奴等を食い止めてくれ!

 行くぞ!」

 

俺と銀髪女性は野盗に突っ込んで行った

武術の経験が無い野盗であっても数が多い

体術だけでは捌ききれずに、刀を抜く

そして斬る・・・ 嫌な感触が手に伝わる

だが躊躇ってはいられない

野盗を斬りながら突き進んで行く

「私が道を作ります

 一気に突破してください

 はああ~『猛虎襲撃!』」

銀髪女性の気弾は敵をなぎ倒して行き、野党の頭までの道が出来た

俺は一気に野盗の頭に接近し、

「くらえっ」

斬撃を放ち、野盗の頭を斬り捨てる

頭を斬り捨てると野盗達は、蜘蛛の子を散らすように逃げて行った

 

「助かったよ」

銀髪女性に声を掛けると彼女は突如、倒れ掛かって来た

慌てて受け止め

「大丈夫か?!」

「大丈夫です

 最後の技で体力と気力を使い果たしてしまっただけです

 少し休めば、回復します」

そう答える彼女を

「仕方ないな」

と言って抱き上げた

「ちょ、な、な、な、何を?!」

「疲れてまともに立ってられないんだろ

 だから、大人しくしていなさい」

「・・・はい」

彼女の顔、真っ赤だけど・・・気にしなくていいか

「あ、あの私の名は楽進と云います

 宜しければ、名を教えて頂けますか?」

え?その名って三国志の武将の名前じゃないか?

でもそれはさて置き、礼儀上答えないとな

「俺は北郷一刀だよ」

そう言って、微笑みかけると彼女は余計に顔を赤くした 何故?(自覚無し)

「それと私の真名は凪です

 預かって頂けますか?」

知らない単語が出て来たな

「真名って何?」

「真名を知らないんですか?

 真名とはその人の魂までも含む神聖な物です

 例え知っていても本人の許可無しに呼べば、首を落されても文句は言えないのです」

物騒な風習だな

「俺に預けて良いの?」

「はい、是非!」

「分かったよ、凪」

 

「あ~、お姫様抱っこなんて~!

 私もして貰ったことないのに~!」

「む~(う、羨ましい)!」

「ほ~、ええもん見せてもろうた」

「凪ちゃん、真っ赤なの~」

皆の所に戻ると様々な事を言われた

 

その日は鎮火と怪我人の治療を終えると、村長の家に俺達は泊めて貰った

そこで巴の話を聞いて驚いた

この世界は三国志の黄巾の乱の頃の中国

つまり、後漢王朝の時代で皇帝は劉宏

巴は3日前にこの世界に来て、この村で保護されていた事

フランチェスカ学園の制服を着ていたので『天の御遣い』と思われていたから

『天の御遣い』とは管略の占いにある救世主の様な存在である事

そしてこの村は建業から北に10里(約4Km)程の場所

 

「信じ難いけど信じない訳にはいかないわよね~」

鞘姉の言葉が全てだった

「そうだな

 まあ、後の事は明日考えよう」

俺はそう言って立ち上がる

「ん?一兄、どこ行くの?」

「何処って部屋に戻るんだけど?

 なんなら一緒に寝るか?」

冗談めかして言うと

「うん!」

「何言ってんの!

 少しは自重しなさい!」

「鞘姉、固いな~

 そうだ!鞘姉が隣の部屋で寝て、一兄が此処で私と寝よう!」

「巴ちゃん!」

そんな言い合いを背中で聞きながら部屋を出た

~鞘華視点~

一君が部屋を出て、およそ10分

そろそろかな

私は立ち上がる

「鞘姉?どうしたの?」

「ちょっと夜風に当たって来るわ

 先に寝てて、良いわよ」

巴ちゃんにそう言って外に出る

見回すと、目当ての人は直ぐに見つかった

「一君」

声を掛けると

「鞘姉」

応えるが反応は鈍い

さっきは無理してたんでしょうね

長い付き合いなんだし、それ位分かるわ

それに一君の事なんだから・・・

 

私は一君の頭を私の胸に引き寄せた

「今、此処には私しか居ないから大丈夫よ」

私がそう云うと

「鞘姉、俺は・・・」

一君は声を殺して泣いた

心ならずとも人を斬った 人を殺した

相手が野盗と云えども、平静ではいられない

でも、私達の前では弱さは見せられない

そう考えていたんでしょ

でもね一君、それじゃ一君の心が潰れちゃうよ

「一君の弱音は私が受け止めてあげるから」

そう言いながら一君の頭を撫で続けてあげた

こうして異世界に来て、始めての夜は更けて行った

~あとがき~

 

今回から本編です

 

最初に凪達と出会いました

話の中から分かるように「大梁義勇軍」は既に結成済みですが、半壊しました

どうなるかは次話以降に

 

鞘華が一刀を慰める場面は、逆パターンを以前書いたので今回はこうしました

鞘華の方が年上で精神的にも上なのでこれもありかな、と

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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