No.77113

真・恋姫†無双魏√EDアナザー 外史の統一者2-7

sionさん

昨日の月編に続き今度はアンケート結果
詠2票千影1票他0票でこの二人の√です。
それでは楽しんでいただければ幸いです。

2009-06-03 23:36:49 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:72031   閲覧ユーザー数:42465

拠点√詠編-2 天に至る杯

 

 

「今夜仕事が終わったら僕の部屋に来て」

 

そう昼間に政務をこなしている時に詠に呼ばれた一刀は詠の部屋の前まで来ていた。

 

・ ・・何かまずったのか?大きな失敗をした覚えは無いんだがなぁ

 

そんな風に考えながら目の前の扉を軽く二回ほど叩く、その音に対して中から

 

「一刀?入っていいわよ」

 

そう呼ばれて部屋の中へと足を踏み入れた。

 

「それで、詠?何か用事なのかな。最近失敗は無かったと思うんだけど」

 

「第一声が説教の心配なわけ!?・・・安心していいわよ、一刀はよくやってくれていると思ってるし、ここの文官は基本的に皆信頼しているけど、それでも絶対に月を裏切らない文官だしね、一刀は。今日はそんなんじゃなくてね・・・天の国だっけ?一刀がいた世界の事を聞きたくて呼んだのよ」

 

そう呆れた風に言われてしまう。

 

「俺のいた国のことか、答えられる範囲のことでなら構わないよ?」

 

「ん、ありがと。お礼代わりに酒の席の話にさせてあげるわ。そこに座って待ってなさい」

 

その言葉に甘えて席に座ると、徳利一本を片手に、杯一つを片手にと、持った詠が戻ってきた。

 

「そこそこいいお酒なのは保障するわ・・・僕はあまり飲まないけどね」

 

そう言って笑みを浮かべ

 

「さぁ、貴方の世界を聞かせて頂戴?」

 

「聞かせてといわれてもな・・・」

 

杯に酒を一杯注いでもらいそれで口を湿らせてから

 

「漠然としてまとめ切れないからな・・・詠が質問をしてそれに俺が答えるという形式じゃダメかな?」

 

「そうね、そのほうが僕も知りたいことを絞れそうだしそれでいいわ。・・・随分前に警邏の設備や区画整備の時に聞いた程度だったし・・・そうね、まずは政治関連ってどうなっているの?」

 

そんなまじめな問いに対して一刀は自分の持っている知識で受け答えをしていく。

 

法整備に関しての法律、学校のこと、どのようなものが売れていたか、農耕はどうなっていたか、

 

自分が知りえる限界の答えしか出せないことを少し歯がゆく思いながらも答えていった。そうする

 

といつの間にか徳利の中の酒も残りわずかとなりそろそろ終わりかと思ったそんなときに。

 

「そう、やっぱり天の国はかなり進んでいるのね。あ、僕も一口貰うわよ?」

 

そう言って詠が始めてお酒に口を付けてから

 

 

「・・・あんたはその天の世界で思い人とかいたの・・・?」

 

そんな風なとっぴも無いことを聞いてきた。

 

「えっと?」

 

当然の如く言葉に詰まって狼狽

 

「だ・か・ら!一刀は天の国に好きになった人がいたのかって聞いてるの!・・・かっ勘違いしないでよね!これは酒の席だからこういった下世話な話もしてみてもいいかなって思っただけなんだから。」

 

そんな風に赤くなったのは酒の所為なのか違うのか。

 

「天の世界で俺は誰とも付き合ってなかったし好き会ってもいなかったよ」

 

その貴重な様にお礼を言うように一刀も笑みを浮かべて、それをちょっと意地悪に歪めて

 

「だから安心していいよ、詠?」

 

そう言ってみた。

 

「っな!だから別に僕があんたをどうこうじゃなくって!あぁもう!いいわ。一刀に天の世界の忘れ人はいないってことね!」

 

(そう、[天の世界]に忘れ人なんていない。それがいるのは・・・)そんな風に彼女の、寂しがり

 

屋の覇王の姿がまぶたの裏に浮かび慌てて振り払う。

 

「・・・?まぁ今日は色々聞けたしそれでいいわ。お酒も無くなったみたいだしね?ありがとう一刀。」

 

その笑みはどこか嬉しそうな笑みで

 

「どういたしまして、ところで詠?夜、男と自分の部屋で二人っきりなんて状況だけど・・・そこらへんはどう考えてるのかな?」

 

そう意地悪く聞いてしまう

 

「っはぁ!?一刀が襲ってくるなんて馬鹿な真似したら声を出してそこらへんにいるはずの人に捕まえてもらうわよ!・・・それとも冷たい牢の中がいいかしら?」

 

とびっきりの笑顔をもらった。

 

「それは嫌だな、それじゃあ詠また明日の朝議で、おやすみ」

 

おやすみ、っと一刀の後姿に声をかけてからほぅっと一息ついて。

 

「今はまだダメなんだから、・・・一刀・・・」

 

そう一人ごちて真っ赤な顔で寝台の上で足をぱたつかせる軍師がいたのは、また別のお話。

 

 

拠点√千影編-2 その武は誰のために

 

 

日差しが高くなり影が最も小さくなり、刺すような日差しが一組の男女に突き刺さっていた。

 

そこに響くのは鉄と鉄がぶつかるような金属音、それと男女の声、その男女は。

 

「相手の力を受ける戦い方ではないのだろう!?ならば弾こうとせずに流せ!」

 

そう言って踏み込み威力溢れる戦斧を振るう女、華雄と

 

「そうはいっても!っと・・・大分手加減してくれているのは分かるんだけ・・・っど!

華雄の一撃が重すぎて流しきれないって!」

 

そう言って細身の刀でそれを必死に避け続ける男、一刀の姿だった。

 

「この程度もかわせないなら・・・これで!」

 

そう言って放たれた一撃は

 

「ぐ!」

 

一刀の刀を力ずくでその手から弾き飛ばしていた。

 

「やっぱり、華雄くらいの実力者相手だと一撃入れるとかいう話ですらないなぁ・・・」

 

「そうでもないさ、あれだけかわせるのは正直誇っていいぞ?何しろ今一刀の相手をしていたのは私なのだからな。」

 

そう言って方を落とす一刀に華雄は肩を叩いて笑いかけた。

 

「張遼と趙雲が鍛えているだけはあるな、ということだ。だが・・・この間の一騎打ちの件を許したわけではないんだがな」

 

「それは責めないって!『責めはしないが許しはしていない』・・・そんな」

 

そう言われさらに落ち込む一刀に

 

「・・・武は・・・あのような一騎打ちは私に任せておけばいいんだ。一刀」

 

「それでもさ・・・」

 

まぁ聞けっという前置きの後に続ける

 

「あの時も言ったがお前の戦の才能は個人の武ではなくその冷静さと統率力だ。だから一刀、おまえは私が無理をしないように手綱を取る役目をしてみないか?」

 

そう言われ見上げた華雄の顔はどこか照れくさそうに、だから一刀はあえて

 

「・・・熱くなった華雄が俺なんかの言うこと聞いてくれる気がしないんだよなぁ・・・」

 

煽る

 

「っむ、失敬だな、私は理に適っているのなら一刀、少なくともお前のいうことは聞くぞ。それはこの間までの戦場で私が判断したんだ。お前になら私は手綱を預けられると。」

 

そう言って少し怒ったように告げてくれる。それならと

 

「じゃあ、俺がどうしても華雄に言うことを聞いてもらいたい時は真名で呼びかけるとしよう。それは前も言った「特別」に含めてもいいだろう?」

 

 

「・・・あぁかまわん、戦場でお前が私の真名で頼み込めば私はお前の言葉に必ず耳を傾けよう。約束する」

 

そう言ってくれる華雄の頭に、癖のように染み付いた動きで右腕が到達し

 

「ありがとう、華雄。それなら俺は戦場で安心して戦える」

 

そういいながらクシャクシャと頭を撫でていた

 

「っな!何をしている!これは武人の私に対する挑戦か!」

 

とかいっている華雄を無視して右腕は撫で続ける

 

「い・・・いい加減やめないか?」

 

それでも振り払わないから一刀は撫でるのをやめない。実際華雄が本気で振り払えば一刀に防ぐす

 

べなどないことは二人とも知っているから、だから一刀は撫で続ける。そうすると戦場であれだけ

 

獅子奮迅の活躍を見せる華雄が

 

「うわ・・あ・・・」

 

とわけの分らない言葉を口に出しながら、その顔を真っ赤に染め上げていく。

 

その姿に、普段とのギャップに、一刀は少しくらついて意地悪な心が鎌首をもたげ

 

撫でる手前髪のほうへと回し、髪をかき上げ「可愛いね、華雄」

 

という言葉を載せて、華雄の額に自分の唇をそっと押し当てた。

 

暫くの沈黙、華雄は状況を飲み込もうと必死になっていた

 

(撫でられ?ちが!口付け!?誰が?私にか?何故だ!)

 

そんな風にこんがらがった思考をよそに一刀は華雄の目を覗き込んで笑みを浮かべる。

 

「よろしくね、華雄」

 

改めて言われた、その言葉で思考がまとまってくると

 

「あ・・・う・・・うあぁぁぁぁぁ!」

 

真っ赤になって走り去っていった、しっかりと武器はもったまま。

 

やりすぎたかな?と苦笑を一つ上げた一刀はゆっくりと宮殿へと戻りこれからの政務について思案

 

をはじめていた。

 

一方自室に戻った華雄は

 

「私は猛将華雄・・・戦場にいるべき者・・・私は」

 

そんなことをぶつくさ言っているところに

 

(可愛いね華雄)という言葉が一刀の笑顔とあれの感触付きで思い浮かび。

 

「私は・・・なんなんだ・・・どうすればいい?」

 

その問いに答える声は無く、華雄はその生涯で初めて感じている感情に翻弄されていた。

 

次の朝、無心で斧を振るい続ける真っ赤な顔の華雄がいたとかいないとか

 

 

 

-あとがき-

 

わーい、思った以上にアンケートの答えとか無かったんだぜ!

 

いいもん・・・一人でも望んでくれているなら書くもん(いじけるなキメェ

 

そんなわけで拠点√詠編と千影編をお送りしました。

 

希望してくれたtomato様、だめぱんだ♪さまありがとうございました。

 

こんな感じの拠点でよろしかったでしょうか。

 

次からは本編をまた進めていきます。コメントでも書いてくださっている人が多いように董卓√最大

 

の山場といっても過言ではないであろうこの事件。頑張って納得がいくように書かねば・・・

 

そういえば私事ですが・・・私の作品全体の総閲覧1万を超えていました。見てくれている方、その

 

中でコメや応援・支援などをしてくれている方々。それに報いるためにも頑張らせていただきま

 

す。これからもよろしくお願いします。

 

そういえば前回の拠点√月編でのコメントで・・・まさか怒られたり一刀君を処刑とか言うコメがつ

 

くとは思っていませんでしたwベタベタな展開を意識しているのでそれに対しての突っ込みは予想

 

通りだったのですが。また誤字報告をくれたXOP様修正しました。

 

報告ありがとうございます。

 

それではこんな感じで次のお話で。

 

 


 
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