No.76575

真・恋姫†無双魏√EDアナザー 外史の統一者2-5

sionさん

前回の末あたりから黄巾編に突入していますのでそのお話の続きです。
そして董卓軍に新たな人物が!
そんなところで、楽しんでいただければ幸いです。それではどうぞ。

2009-05-31 18:35:33 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:81587   閲覧ユーザー数:48113

月・詠・霞・華雄・一刀の五人は一室で少し重い空気を発していた。

 

「なんなのよ!ここ最近賊が出すぎじゃない?それも小規模のものが散発するならともかく軒並み5000人以上の規模ってどういうことなのよ!しかも今度は3万人規模って・・・」

 

そう、詠は苛立ちをあらわにする。

 

「まぁそうやねぇ・・・一刀が使えるようになったちゅうても結局ウチと華雄のどちらかについていく形やから結局二人で交代に出ずっぱりやしね。まぁそのぶん一刀の隊はもっと大変やと思うけど、なんせ毎回うち等についてきてるからなぁ」

 

「ん、それはまぁいい経験になっているからね、俺の部隊は基本的に経験不足だからそれを補うために今場数を踏むのは悪いことじゃないと思うし・・・それと今の賊のことについてなんだけど一個思い当たることがあるんだけどいいかな?」

 

そう一刀は切り出した。

 

「なに?くだらないことならひっぱたくわよ?」

 

「・・・賊は皆黄色い布を身に付けている・・・これは俺の知っている歴史の中で黄巾の乱って呼ばれているもので、一種の信仰による暴走なんだ・・・大元を絶てればいいんだけれどその大元がどこにいるかも分らない。そしてこれの首謀者は張角というのを筆頭に張宝、張梁の3人・・・そして・・・この事態はそろそろ朝廷を動かすと思う。だから実質この賊騒動はあと少し続くわけだけど・・・俺が話せるのはこんなものかな?」

 

この一刀の話を聞いて沈黙が場を支配した、それを破ったのは。

 

「つまりこの騒動はあと少しで終わるから私達はそのあと少しを上手く捌けばいいということ?それともその3人のうち誰かを殺すか捕らえればいいということ?」

 

詠が軍師としての顔になって

 

「いや、この事件そのものがその3人に対する信仰の暴走なんだ、3人全て抑えるならともかく一人だけだと逆に痛い目を見ることになると思う、殺した場合はだけど。生け捕りに出来た場合はある程度話し合いも出来ると思うよ。」

 

何かを決めるように

 

「そう・・・霞、華雄!貴方達の部隊は今どれくらい動ける!」

 

希代の名軍師の一人、賈詡として

 

「ウチの部隊は騎兵2000歩兵3000の5000やな」

 

「私のほうは歩兵で5000、騎兵は500で5500だ」

 

采配を振るいその結果を頭で思い浮かべる

 

「一刀!あんたの部隊は?」

 

「ん、ここ最近襲われた邑からも人が来てくれたり黄巾の残党が降伏してきたりで人数は増えたけど・・・まともに戦場に出ることが出来るのは歩兵3000だね。あと1000人くらいはまだ訓練段階かな。」

 

「そう・・・合計の此方の戦力は13500ね・・・」

 

そういうと詠は黙り込み、何かを思案するかのように目を伏せた。

 

 

そこに一人の兵が駆け込んできた。

 

「軍議中失礼いたします!」

 

「賊か!?」

 

華雄が俊敏に反応を示すが。

 

「いえ、天の御使い様と董卓様にお会いしたいという旅のものが」

 

「旅の?名は聞いているのですか?」

 

「っは!趙子龍と名乗っております!」

 

「!趙子龍だって!?」

 

その一刀の声に視線が集中する。

 

「知っているの?一刀」

 

「あぁ・・・俺が知っている趙子龍なら会わないわけにはいかない・・・」

 

「そんなにすごい人なのね?・・・いいわ皆でいきましょう。・・・けど月は少しだけ待っててね?信用できる人かどうかも分らないから」

 

「うん・・・いってらっしゃい、詠ちゃん」

 

こうして4人は謁見の間へと向かった、趙子龍という人物に会うために

 

 

謁見の間には白い衣服を纏った一人の女性が待っていた。

 

「貴女が趙子龍?」

 

「はい、貴女が董卓・・・という感じではなさそうですな、そちらの珍しい衣服を纏っているのが天の御使い様ですかな?」

 

「あぁ、そんな風に世間じゃ言われているね・・・けど俺はその呼び方あまり好きじゃないからなぁ、俺の名前は北郷一刀だ、字も真名もない、北郷でも一刀でも好きな風で呼んでくれていいよ」

 

ここで一刀はすこし意地の悪い笑顔を浮かべて

 

「そうですか私は『よろしくね、趙雲さん』!・・・何故私の名を?私はまだ趙子龍としか名乗っていない筈でしたが?それにまだ名が売れているほうとは思っていませんし」

 

「趙雲さん、その答えは単純ですよ、ここでいう天の知識としてあなたの名前を知っていた。貴女は俺のいた場所では名を残すほどの勇将ですから」

 

はじめて外史に来た時に一刀を助けてくれた少女を、今度は道を共にするために。

 

そして、一刀のこの世界での目的を果たすために

 

「ふむ・・・ならばそういうことにしておきましょう。ところで北郷殿は何故この董卓殿の元へ降りなさったのですかな?」

 

「天命といえばそれまででしょうね、実際俺がどこに下りるかなんていうのは分らなかったんです。たまたまこの地に降り、月とそこにいる詠に拾われた。その恩を果たすために俺はここに残っている。それだけです」

 

「ほぅ?つまり貴方は降り立ったところの主に救われればどんなものの下にでもついたということでしょうかな?」

 

 

「それはありませんね。俺は確かに恩を果たすためにここに残ってはいますが、俺はここの主である月のためにここにいるのですから。」

 

この問いかけ一種の儀式

 

「ふむ、貴方がそこまでいう董卓殿はさぞや素晴らしいお人なのでしょうな・・・しかし一つ貴方に問いたい、貴方は管輅の占いで大陸統一の起因といわれている・・・その貴方が目指す統一とはなにか!・・・もし虚言などを弄すことがあるならば、我が宝剣がその頸を跳ね飛ばしましょうぞ・・・さぁ答えを」

 

一刀の頸に趙雲の宝剣があてられる

 

「貴様!『いいんだ華雄!』・・・だが!」

 

「いいんだよ・・・千影、少し見ててくれ俺は大丈夫だから・・・それと詠、月を呼んできてくれないか?」

 

「けど・・・『頼む・・・』・・・はぁそんな顔して頼まれたら連れてこないわけにいかないじゃない・・・誰かある!」

 

「っは!」

 

「月を読んできて頂戴、軍議室にいるから」

 

そう詠が命じると兵は返事を一つ残し消えていった。ほどなくして月が、董卓が玉座に着いた。

 

「・・・貴女が董卓殿か・・・」

 

「はい、はじめまして趙子龍さん・・・しかしなぜ一刀さんの頸に刃が当てられているのでしょうか・・・」

 

「ん、俺がいいといったんだ・・・ところでだ趙雲、俺の統一の目指す場所だったな?」

 

「・・・えぇ、お答えいただけますかな?」

 

「あぁ、俺の目指したい大陸はね・・・月、董卓みたいな優しい子が泣くことを・・悲しみで泣くことを少なくしたいんだ。出来ればずっと笑顔でいて欲しいくらいにね。民衆が安心して暮らしていけるだけの世界を、飢餓や重税、圧政で苦しまない世界にしたいんだ。

「・・・その世界のために戦争を起こしてでも?戦争は悲しみを生む・・・それゆえに貴方のその意見はただの理想にしか聞こえないのですが?そしてその理想を叶える方法は・・・貴方が言うところの戦争の力だ・・・矛盾していませんかな?」

 

そう、しかしこの問いもただの儀式、もう二人の間で答えは出ている。

 

「そうだね、ただの理想かもしれない。けどさ趙雲?その理想すらもてない奴よりかは何倍もましだと思わないか?それにね・・・確かに力を振るうことになると思う、その振るう力に正義があるかなんていわれればそれは偽物なのかもしれない。けどさ、俺はこう思うんだ。自分の振るう力を正しいといえない奴は、そんな勇気も持てない奴は。人の上に立つ資格なんかないって、だから俺は俺が振るう力を、月の元で為そうとしていることを正しいとそう断言する。」

 

 

「なるほど、それならば最後に・・・もしその力の振るい方・・・違えた場合は如何する!」

 

これが最後

 

「その時は趙雲、君がこの頸を取れ、・・・まぁ頸がはねられるのは嫌だから間違えないつもりだけどね」

 

その答えは笑みを持って告げられ

 

「・・・あいわかった、ならばこの趙子龍の槍を貴方のおそばに置いて頂きたく、きっとお役に立って見せましょうぞ」

 

趙雲も笑みを持ってそれに答えた

 

「あぁ、俺は構わない・・・けれど俺も仕えている身だからね・・・月・詠、聞いてた通りだ、俺は趙雲さんを仲間に加えたいと思う。二人はどうだろうか」

 

「へぅ・・・え、あの。あ・・・私は一刀さんがいいならいいと思います」

 

一刀に見惚れていた月は顔を赤らめ少しどもりながら

 

「ん~まぁ月がいいなら私もいいわよ、役に立ってくれるんでしょう?」

 

その様を見て少しだけ憮然としながら

 

「ありがとう二人とも、華雄と霞も構わないかな?」

 

「ウチは月たちが反対しないなら構わんで?時間ができた時にちょっとやりあおうや趙子龍、面白そうや」

 

霞はそう、にししと笑みを浮かべ

 

「私も構わん、それと・・・私とも暇な時にてあわせを願おう」

 

華雄は不敵に笑った

 

「だそうだ、これからよろしくね趙雲さん」

 

「・・・では、これより董卓様そして北郷様へお仕えいたします、姓を趙、名を雲、字を子龍・・・真名は星といいます。ついこないだまで公孫瓉殿の客将をしておりました。我が槍を預けるに足る主を探す旅をしていましたが、それも今日までのこと。我が真名を預けることを証明とし、万夫不当の働きをおみせしましょうぞ!」

 

「ありがとうございます、星さん。私の真名は月といいます。これからよろしくお願いしますね」

 

「僕は軍師の賈詡だよ、字は文和、真名は詠だ。よろしくね」

 

「ウチは張遼や、真名は霞、これからは霞でええで」

 

「華雄だ・・・真名は千影・・・だがあまり真名で呼ばれるのは好きでなくてな、趙雲のことも真名では呼ばん、代わりに私の真名もなるべく呼ばず華雄でお願いしたい」

 

「わかった、これからよろしく頼む」

 

そう趙雲は頭を下げ、漸く一刀の頸にあてがった刃を下げた。

 

 

「さて・・・全員真名も交換したことだし・・・黄巾だっけ?あいつ等の話に戻りましょう。今回のあいつ等の数は約3万、此方は約1万3千・・・数は倍以上の差があるけれど兵のれん度などは比べるまでもなく私達が上。何とかならないわけじゃないわ。今回あいつらがいる場所は長安へと続く道を押さえる要所でもあるし・・・平原での戦いは避けられないと思うのだけれど・・・今回はちょっと陣形とかを工夫しないといけなくなりそうでね・・・一刀、悪いけれど貴方の部隊に少し無茶をしてもらうわ」

 

「ん?なにをすればいいんだ?」

 

一刀の部隊はまだ攻撃力という点では霞達の部隊に遠く及ばない、しかし

 

「言うのは簡単なのだけれどね・・・貴方の隊に3万の敵軍を正面から受けきって欲しいの、実際3万全てが来るわけではないでしょうから半分と考えて15000・・・出来る?」

 

訓練の相手はほぼ毎回霞や華雄の精兵なのである、必然的に

 

「・・・まぁ守りの戦いなら俺の隊だろうな、流石に1万5千を受けれるかはやってみなくちゃ分らないが、それで?華雄と霞の部隊はどう動くんだ?」

 

「華雄隊は北郷隊の後方から左翼へと抜けて横合いから突撃を、霞隊は・・・ここに小さいけれど丘があるわ、そこで伏兵のように黄巾が突撃してきたら右翼から突撃をして欲しいの、挟撃はもっとも相手の戦力と士気を削げる形の一つだからこれならなんとかいけると思う、それから星には北郷隊の副官となってもらうわ、一刀を助けてあげて」

 

「御意!」

 

こうして星は一刀の部隊へと配属されることになり、作戦事態もこれで問題はないということで一

 

致、一刀達は天水をその日のうちに出発し、3日の内に黄巾党3万の兵がいるという天水~長安間の

 

道へとたどり着いた。

 

 

「・・・確かに人数は多いけれど、なんか変じゃないか?あいつら」

 

この一刀の意見には回りも概ね同意を示し

 

「あの人数だからね、糧食とかもままならないんじゃないのかしら?」

 

詠はこう結論付けてたのだった。

 

「霞!配置について、一刀、華雄、陣形を組んで!特に一刀!今回の戦いの肝は貴方なんだってことを忘れないようにね!・・・さぁ!あの野良犬たちを叩き潰してあげなさい!」

 

「「「「応!!!」」」」

 

こうして俺たち4人は其々の位置にいこうとした

 

「一刀!ちょっと!」

 

のだが詠に声を掛けられとめられて・・・

 

「・・・いい?絶対に生きて帰ってきなさい!無茶なんかしたら怒るんだからね!」

 

そう一刀の耳元で囁くのだ・・何この可愛い生き物

 

そんな一幕もありつつ、一刀は星とともに陣形を整え

 

「俺の世界で有名な趙子龍の武・・・期待しているよ星」

 

「えぇ、ご期待にこたえてごらんに見せましょう、一刀殿」

 

二人は笑みを称えて会話をする、これを見ていた兵の肩の力が抜けていく

 

「さて・・・北郷隊の皆!これから俺達はあの大群を全て受け止めることになる!正直アレだけの人数だ!みなも恐怖していることだろう!けれど・・・あの中には我等が張遼や華雄・そして新たに陣営に加わった趙雲などの猛将などいない!君達のように訓練を耐え抜いた優秀な兵すらいない!そして謀略をめぐらす賈詡のような軍師も・・・ましてや天の加護を与えている俺だっていないんだ!」

 

ここで一つ区切る、今の発言に兵の中でいい笑いが起こる

 

「・・・ならば大群といえど恐れるに足らず!さぁ皆・・・今日は華雄と張遼の部隊に花を持たせよう!今回の戦いで下がるなとはいわない!下がらなければ死ぬ場合ならば下がれ!しかし逃げることは許さない!・・・下がった味方は隣の味方が助けるけれど・・・逃げたものは助けられないからだ!皆・・・日頃世話になっている両武将のために・・・そして自分のために・・・声を上げよ!敵から守れ!今回の俺達は盾なのだから!・・・全軍構え!敵に備えよ!今から来る敵にここは通れぬことを教えてやろう!」

 

一瞬の静寂の後に

 

「「「「「「「オオオオオオオオォォォォォ」」」」」」」

 

怒号が降りた。士気は十分、練度も前の比ではないならば捌ける・・・そう一刀は確信したが

 

黄巾の3万は詠の予想と反して・・・その全軍をもって突撃をしかけてきたのだった。

 

 

-あとがき-

 

また・・・また後を引くような終わり方をしてしまった・・・orz

 

えっと今回は趙雲が仲間になり、黄巾との開戦までですね。

 

次で黄巾との話は終わる予定です。・・・本体を魏が潰しちゃうので。

 

なので次は戦闘描写(会戦用)に挑戦したいと思います。

 

初めてのSSですのでまだ此方も試行錯誤な状態ですので進みが遅々としているところはご容赦の程

 

をお願いいたします。

 

さて二つ目!前回の話でコメントをくれた方々!ありがとうございます!しかし本編に対してより

 

華雄さんの真名に対してのほうが多かったのはなんでだろうかw

 

えっと、コメント自体は返すことができるかどうかわからないのですけど・・・ちゃんと全部に目

 

を通しています!もし質問や聞きたいことなどあればなんでもどうぞ!本編の伏線などに掛かって

 

こなければ出来る限りに答えたいと思います!じゃんじゃんください(ナニ

 

なぜか?見られているという実感が俺のテンションをだだあがりに・・・・(ッハ!?

 

ゲフンゲフン・・なんでもありませんよ?

 

それでは次で黄巾が終わることを願って・・・次のお話で!

 


 
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