No.760041

真・恋姫†無双 裏√SG 第29話

桐生キラさん

こんにちは
Second Generations咲夜視点
汜水関戦闘前

追記: 忘れてました。外道注意!(笑)

2015-02-22 13:00:01 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1437   閲覧ユーザー数:1263

 

 

 

 

 

零士「それにしても、歩いて洛陽ってなると、こんなにも遠いんだね」

 

洛陽までの道中、零士がそんな事を呟いていた。

 

許昌を出発した二日目の昼時、私達は途中休憩を挟みつつも確実に洛陽に近づいていた。

この調子で行けば、程なくして汜水関に辿り着くだろう

 

雪蓮「これでもまだマシよ。私の時なんて、呉からずっと歩いてきたのよ?洛陽って結構北にあるから遠過ぎるのよね」

 

詠「それに比べたら、許昌はどの都市から見ても洛陽と比較的近い位置にあるからいいわよね」

 

雪蓮と詠の言葉を聞き、許昌住まいで改めて良かったと思った。

正直、ずっと歩くだけと言うのは面倒臭い。バイクや車に慣れてしまった弊害だろう

 

華雄「む、この辺は…皆、もうすぐ汜水関だ。気を引き締めろよ」

 

華雄の言葉を聞き、私は前方に目を凝らす。

確かに、三里程先に両脇の崖に挟まれた拠点が視えた。

その天辺には…あれは愛紗か

 

咲夜「愛紗がいるな。初戦は五虎将か?」

 

秋蘭「みたいだな。星と紫苑の姿も確認した」

 

弓兵である秋蘭も確認出来たようで、私の言葉に同意するように続いた

 

霞「どんだけ目ええねん」

 

悠里「ホントですよね。あたしはまだ見えないですよ」

 

目の良さだけは自信があるからな

 

流琉「それにしても、いきなり五虎将はキツイですね」

 

音々音「翠は負傷しているから、恐らくはいないと思いますぞ」

 

月「じゃあ、愛紗さん、星さん、紫苑さん、鈴々さんも来るかな?」

 

詠「後は軍師が最低でも一人ね。候補は冥琳、朱里、雛里、風だけど…」

 

五虎将だけならまだしも、軍師の面々がなかなかに厄介だ。

呉の大都督、伏龍鳳雛、そして不思議系女子…三国が誇る頭脳を出し抜くのは、骨が折れそうだ

 

咲夜「初戦は誰が来るかな?」

 

あぁ、こうして頭を使うのは久しぶりだ。

思考がトロけるまで相手の何手先を読み、策を練り、罠に嵌める。

こういう事を考えるのは、いつになっても愉しいな

 

咲夜「確か以前、汜水関は半日で落ちたんだったな。なら、私達はその半分で落とすぞ!」

 

私の言葉に、全員が強く頷いてみせた

 

 

 

 

私達は汜水関の前までやって来た。

門は固く閉ざされており、壁に設置された連弩砲がこちらを向いている。

そして門の上には、なんとも暗い表情をした愛紗、鈴々、星、紫苑がいた

 

愛紗「止まれ!ここから先は、徐福の命により通す訳にはいかない!」

 

愛紗が他の三人より一歩前に出て、この場の代表であるかのように言った。

 

その言葉が、表面上取り繕って言っている事くらいはわかる。

なにせ愛紗は、恐らく自分でも気付いていない程、怒りを表していたのだから

 

確信した。

やはりこいつらは、人質を盾に取られている。

となると、他の連中も同様に立ちはだかるだろう。

 

なんて、無様だ

 

私は前に出る了承を得る為、皆に目を合わせ、頷いた。皆、微笑んでくれた

 

咲夜「来てやったぜ、このクソ野郎共!!」

 

腹の底から叫んでやった。

自分が今、どんな顔をしているのかもわからない。

だが、きっと笑みが張り付いているに違いない。

私は心底、こいつらをぶちのめしたいと考えている

 

愛紗「司馬懿殿、悪いがお引き取り願おう。ここは、貴公の様な者が来て良い場ではない」

 

咲夜「接客がなってねーぞ、愛紗!どんな客でももてなさなきゃ、客商売失格だぞ!」

 

私の言葉に、愛紗はピクリと眉間にしわを寄せた

 

愛紗「武人であれば手厚くもてなすが、貴公らは料理人だろう?何故ここへ来た?」

 

きっと、努めて冷静に言おうとしたに違いないが、愛紗の声音には多少の苛立ちも含まれていた

 

咲夜「お前達が不甲斐ないからに決まってんだろ?なんだこの体たらくは?お前達が居ながらなんてザマだ?それでも五虎将か?男1人守れねぇで何が英雄だ?あぁ?しかも、その男と引き換えに国までやるなんて、馬鹿にも程があるだろ。北郷一刀優先で、私達は二の次か?それがお前達が目指した平和か?徐福の命令に従う事が、お前達武人の忠義なのか?ハッ!だとしたら、三流も良いところだな。退け愛紗!弱者は家に帰ってクソして寝てろ!」

 

愛紗「貴様ァ!!?」

 

星「落ち着け愛紗!」

 

あいつ、ホントに精神面が脆いな。

これくらいで簡単に怒るなよ。普段は振り回す側の星がなだめちゃってる程だぞ

 

悠里「これは酷い」

 

雪蓮「まさに外道」

 

凪「流石としか言いようがありませんね」

 

秋蘭「精神的に追い詰める事が、咲夜の特技だからな」

 

おい、母親勢。ずいぶんな言いようじゃないか

 

霞「見てみ、かつての華雄がおるで!」

 

華雄「こうして客観的に見て振り返ると、霞には本当に迷惑を掛けたな」

 

恋「愛紗、顔真っ赤っかだね」

 

音々音「愛紗の悪癖は、あの挑発の弱さですからな」

 

元董卓組は楽しそうに昔を思い出しているな

 

流琉「私では、咲夜さんみたいに挑発できないんですけど、詠さんや月さんはどうですか?」

 

月「私もちょっと無理かなぁ。ああいう酷い言葉が咄嗟に思い浮かばなくて」

 

詠「僕も、今となっては無理ね。全盛期でも、文官が武人を挑発しても、所詮弱者の遠吠え、とか思われて乗ってこないでしょうし」

 

華佗「ということは、あれは咲夜だからできる芸当か」

 

零士「頭も良くて前線で戦える人程、嫌な人も居ないだろうね」

 

お前達、褒めてくれてるんだよな…?

 

 

 

 

星「悪かったな、お前達。愛紗はその、アレなんだ。ちょっと可哀想な子なんだ」

 

愛紗が引っ込んだと思ったら、今度は星が前に出てきた。

 

さて、星か。あいつはかなり冷静だ。ちょっとやそっとの事じゃまず動じない。どうやって引きずり降ろすか…

 

零士「僕に任せてくれないかい?」

 

今度は零士が前に出た。策があるらしい

 

私は頼むと言ってから代わった。

すると零士は荷物の中から小さな壺を取り出して前に出た。

 

零士「やぁ星ちゃん。ずいぶん状況が悪いみたいだね」

 

星「まぁな。最悪と言ってもいい。先程の咲夜の言葉にも、全く反論できんよ」

 

やはり、あの程度の言葉じゃ星は乗ってこないか。冷静な奴ほど面倒な者はいないな

 

零士「そこ、通りたいんだけど、ダメかな?」

 

星「何用でかな?」

 

零士「徐福に会いに」

 

星「出来んな。我々はここを死守せねばならん。何人も通す訳にはいかん。だから、後は我々に任せて下がってもらおう」

 

我々に任せて…と言うことは、洛陽側でも何らかの行動はしているようだな

 

零士「ふむ、どうしてもダメかい?」

 

星「あぁ、どうしてもだ」

 

星の言葉を聞き、零士はため息を一つ吐き、手にしていた壺を掲げた

 

零士「星ちゃん、これが何かわかるかい?」

 

星「ん?何を突ぜ…!?そ、それは!?」

 

星は壺を見た瞬間、珍しく慌てた様子になった

 

零士「あぁ、君ならこれが何かわかるよね?星ちゃん、徐福に降伏してから、美味しいものを食べたかい?実はね、偶然にも今ここに、僕と君が共同で作った究極にして至高のメンマがあるんだが…」

 

そう言って零士は壺の蓋を開け、箸でメンマを一つ取り出す。

褐色のメンマに絡んだ、黄金色にも見えるタレが滴り落ちる。

零士はメンマをゆっくりと持ち上げ、そっと口に運んだ

 

零士「ん……うん…素晴らしい。口に入れた瞬間に広がる芳醇な香り。噛めば噛む程、秘伝のたれで染み込んだ深い旨味が溢れ出る。こう言うのを、天にも登る気持ちと言うのだろう。たった一つで、脳がとろけそうになるほどの美味しさだ」

 

零士はメンマを咀嚼し、ゆっくりとそれを飲み込んだ。

その姿を、星はジッと、物欲しそうに眺めていた

 

零士「なぁ、星ちゃん。こっちに来ないかい?今なら、君の子とも言うべき愛すべきメンマがいる。もちろん、この最高のメンマに合う酒も用意してある」

 

零士はさらに荷物から酒を取り出す。それを星が見た瞬間、星は体を前に乗り出した

 

星「っ!?」

 

紫苑「ダメよ星ちゃん!それは罠よ!」

 

しかし、側にいた紫苑が星の動きを止めた。

紫苑が慌てて星を抱き止めたお陰で、星は何とか一歩を踏みとどまったようだ

 

星「ふー!ふー!」

 

何とか落ち着こうと、荒い息をする星。

それを見た零士はフッと笑い、悲しそうな目で星を見た

 

零士「残念だよ、星ちゃん。もし来ないのであれば…」

 

零士は壺の頭を地面にゆっくりと傾ける。

傾けると同時に、少しずつ流れ落ちるタレ。

ポトポトと音を立てて落ちていくメンマ。

そのメンマは、砂を被り、食べられるものではなくなっていく

 

星「や、止めるんだ零士殿!そのメンマに罪はない!」

 

星が慌てて声を上げた。すると零士は、傾けていた壺を一旦元に戻す

 

零士「なら、そこの門を開けてもらおう。正直僕も、これ以上こんな事はしたくない」

 

星「クッ…」

 

星は紫苑や、後ろを見る。

恐らく後ろには軍師が控えているのだろう。紫苑が首を横に振ると、星は涙目になった

 

零士「さぁ!開けるんだ!」

 

涙目の星に、急かすように言う零士。

その言葉でも、星は視線を逸らすだけで、動こうとはしなかった

 

零士「…ふむ、仕方ないな。なら…」

 

零士が肩を竦めた瞬間、零士の手の中にあった壺は、ゆっくりと重力に従い、地面へと堕ちていった

 

 

ガシャーン

 

 

壺が地面に激突すると、壺はその形を砕かせ、中にあったタレとメンマを地面にぶち撒けた。

さらに零士は、その壺の残骸を、メンマと一緒に踏み潰した。

泥だらけになり、踏み潰されてグチャグチャになったメンマが、零士の足元に広がっていた

 

零士「おっと、これは酷い。うっかり落としてしまっ…」

 

星「貴様ァァァァァ!!?」

 

零士の言葉は星の怒声に掻き消される。

星は紫苑を振りほどき、槍を持って地上に降りてきた。

地面に足を着けた瞬間、そこから爆発するように地面を蹴り、こちらに突進して来た

 

紫苑「星ちゃん!?」

 

紫苑は星に振りほどかれ、即座に弓を構えて星を支援しようとする。

 

 

ヒュン

 

 

紫苑「ッ!?」

 

だがその動きは、私の背後で放たれた矢によって止められた

 

秋蘭「お前の相手はこの私だ、黄忠よ。いつしかの借りを返してやろう」

 

紫苑「夏侯淵…」

 

秋蘭は紫苑を牽制するように矢を放つ。紫苑はそれを弾きつつ、星を援護しようとるが…

 

それはもう遅かった

 

星は叫びながら零士に向かってくる。零士は涼しい顔をしながらそれを待ち構えた。

そして星は間合いに入り、その瞬間に槍を振り下ろした

 

 

ガキン

 

 

その槍は、大斧と方天画戟によって止められた

 

恋「残念」

 

華雄「終わりだ」

 

星「ッ!?しまっ!グハッ!」

 

華雄が星の槍を押し返すと同時に、恋の蹴りが星の腹にモロに入る。

星は堪らず腹を抱えながら崩れた

 

そして崩れた瞬間、星の周りを鉄の格子が囲んだ。零士が事前に設置していた罠だろう。

星は檻の中に閉じ込められた

 

紫苑「星ちゃん!?チッ!」

 

紫苑は星が捕まると同時に拠点の中へと引いて行った。

不利かつ星は助からないと判断しての撤退だろう。流石の速さだ

 

秋蘭「む、逃げられたか。だが、まず一人だな」

 

秋蘭は弓を下げ、檻の中にいる星を見やる。

星は檻を壊そうとガンガン蹴っているが、檻は壊れるどころか、その形が変わる事さえ無かった

 

星「東零士ィィィ!!」

 

星の表情は怒りに満ちていた。これが食べ物の恨みか

 

零士「いやぁ、まさかこんなにも、君が堕ちるとは思わなかったよ」

 

一方の零士は、穏やかな笑みを崩さずに星に語りかけていた

 

星「黙れこの外道!貴様がした事は、万死に値する!楽に死ねると思うなよ!」

 

星は本気の殺意を零士に向けていた。すると零士は、懐から小さな壺を取り出した

 

零士「冷静さを欠いたな趙雲。君の足元を見ろ。それは本当に、君のメンマか?」

 

零士は地面にぶち撒けられたメンマに注意を向ける。星は怒りながらも、それを見ると…

 

星「はぁ!はぁ!………な!?」

 

星がメンマを見た瞬間、星の表情が固まった。それと同時に、大量の汗をかいていた

 

星「ま、まさか…」

 

零士「そのまさかだ。あれは僕が魔術で出した紛い物さ。全く、大変だったよ。僕の魔術で出した食べ物は、何とも言えない味なんだからね。あ、ちなみに本物はこっち。中身を確かめるといい」

 

零士は笑顔で壺を手渡した。星はそれを受け取り、中身を確かめると…

 

星「…クッ、この私が、ハメられた…」

 

星は観念したかの様に膝を着いた

 

零士「あはははは!残念だったね、星ちゃん。君の暴走で、君は仲間を危険に晒すことになるんだ」

 

零士はトドメだと言わんばかりに、星を責めて、笑っていた。

その行為に、星は涙目になっていた

 

咲夜「見ろお前ら、これが本物の外道だ」

 

悠里「確かにこれは酷い」

 

雪蓮「これが人のやる事なのかしら」

 

秋蘭「咲夜以上の人でなしだからな」

 

凪「作戦とは言え、同情せざるを得ませんね」

 

詠「流石の僕でも、ここまではしないわ」

 

流琉「零士さん、一番容赦しませんからね」

 

月「あはは、零士さんらしいですけどね」

 

華雄「酷い言われ様だが、仕方ないな」

 

華佗「そうだな、誰も趙雲を責められないな」

 

恋「零士さいてー」

 

霞「恋にまで言われたら終わりやな」

 

音々音「さっさと死ねです。そして恋殿はねねが面倒をみるです」

 

零士「そこまで言われなきゃいけない!?」

 

この場の、氷華、雷蓮、風香以外の全員が零士を責めると、零士は涙目で反論してきた。

皆、作戦と理解しつつも、言わずにはいられないのだ

 

だが、これで戦力を大幅に下げる事が出来た。開戦前にこの結果は上々だろう

 

 

 


 
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