No.756528

仮面ライダー剣×ゴッドイーター 〜掴み取る運命〜 第1話

D.C.D.さん

お待たせしました。第1話です。
基本的なストーリーは原作GEと同じですが、展開の順序やセリフ、設定が違ったりします。
今回、仮面ライダーは登場しません。3話くらいから出す予定です。

2015-02-06 19:28:53 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:1169   閲覧ユーザー数:1164

 

 

 

 

 

 

 

新入りの世話。

 

それは第一部隊隊長の『雨宮 リンドウ』にとっては当たり前のこととなっていた。

 

リンドウの率いる第一部隊は、極東支部内の全部隊の中で最も生還率が高い。

 

その理由は、やはりリンドウの指揮力にあり、新米ゴッドイーターが戦場慣れするまでは、よくリンドウの元に預けられるのだ。

 

リンドウはとある荒れたビル街、通称『贖罪の街』に来ていた。

 

高台に停めたジープに身を預け、フェンリルから配給された煙草を吸う。

 

 

 

リンドウ

「ん…来たか」

 

 

 

初々しい顔をした2人の新米隊員が、緊張した様子でやってきた。

 

遠慮がちに、彼等の乗ってきたジープはリンドウより離れた場所に停めてある。

 

 

 

リンドウ

「あー、そんなに畏るな。気楽に行こうぜ?」

 

 

 

リンドウは柔らかな態度で言ったのだが、やはり彼等の緊張はほぐれない。

 

 

 

リンドウ

「ま、いいや。とりあえず、アラガミ討伐にあたって、俺からの注意事項がある。いわゆる、隊長からの命令ってやつだな」

 

 

 

 

リンドウの言葉に、2人はより一層姿勢を正した。

 

 

 

リンドウ

「まぁ、あれだ。とにかく死なないように頑張れ」

 

 

 

リンドウの簡潔すぎる一言に、彼等は開いた口が塞がらなくなった。

 

 

 

 

リンドウ

「いいか、死なないことだけを考えろ。それ以外は優先するな」

 

 

 

 

リンドウは時計を確認し、ミッション開始時間になったことに気づく。

 

 

 

リンドウ

「時間だ。行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十真は適合試験の後、エントランスで待機するよう指示された。

 

エントランスのソファーに向かうと、既に適合試験を終えた青年が座っていた。

 

その証に、青年はフェンリルの社員証を嬉しそうに眺めていた。先程、十真にも支給された物だ。

 

十真は軽く頭を下げ、青年の横に座り込んだ。

 

 

 

青年

「ガム食べる?」

 

 

 

まるで親しい友人に話しかけるように声をかけ、青年はガムを噛みながらポケットに手を伸ばす。

 

 

 

青年

「あ、今食べてるのが最後みたい。ゴメンゴメン」

 

十真

「あ、あぁ。別にいいけど…」

 

青年

「俺、『藤木 コウタ』。君は?」

 

十真

「俺は、斬峰 十真」

 

コウタ

「あ、もしかして、適合試験終わったばっか?」

 

十真

「あぁ、うん」

 

コウタ

「俺はダイヤのカテゴリー10なんだけど、十真は?」

 

十真

「(もう呼び捨てかよ)」

 

 

 

 

ゴッドイーターとは、『CHANGE』のラウズカードとの融合によって超人的力を得てアラガミと戦う。

 

また、『CHANGE』のラウズカードの数字によって引き出せる力も変わってくる。

 

コウタのカテゴリー10ならば、そこそこいい方だろう。

 

 

 

十真

「えっと…俺はスペードのAだ」

 

コウタ

「……………へ?」

 

十真

「所謂、新型ってやつだな」

 

 

 

コウタの表情が固まる。

 

無理もない。カテゴリーAとの融合はつい最近まで不可能とまで言われていたのだ。

 

現在はカテゴリーAとの融合を可能とした新型ラウザーシステム、通称

『ライダーシステム』が開発され、世界中で適合者を探している。

 

それでも、その数は数人しかいない。その内の一人がここにいるのだ。

 

 

 

コウタ

「ま、マジか…」

 

十真

「ははは…」

 

コウタ

「で、でも、俺の方が先に試験終わったし、一瞬でも俺の方が先輩ってことで」

 

十真

「え、あ、おう…」

 

コウタ

「というわけで、よろしく!」

 

 

 

コウタは笑顔で右手を差し出してきた。

 

十真はその手を受け取り、強く握手を交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女性

「立て」

 

コウタ

「へ?」

 

 

 

 

しばらくソファーで待っていると、白いスーツに身を包んだ女性がやってきた。

 

片手に書類を挟んだボードを持っており、ただ声をかけたわけではなさそうだ。

 

 

 

女性

「立てと言っている。立たんか!」

 

十真・コウタ

「は、はいっ!」

 

 

 

2人は慌てて立ち上がり、ピシッと姿勢を正す。

 

 

 

 

女性

「私の名前は『雨宮 ツバキ』。暫くの間、お前たちの教官を務める。今後、何かと顔をあわせることになると思うが、よろしく頼む」

 

 

 

ツバキは男らしさを感じさせるほどハキハキとした物言いで告げた。

 

 

 

 

ツバキ

「これからの予定を手短に伝える。まずはこの後、サカキ博士のメディカルチェックを受けてから、訓練場で戦闘訓練をする。それからーー」

 

 

 

 

忙しそうだな、と十真は心の中で呟きつつ、ここからが本番だと自分に言い聞かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リンドウ

「新入りぃ?またですか?今日2人も預かったばっかですよ?」

 

 

 

リンドウは、疲れたといったような顔で軽く訴えた。

 

 

 

ツバキ

「まぁそう言うな、リンドウ」

 

 

 

ここは極東支部内のエレベーターの中。今はリンドウとツバキしか乗っていない。

 

 

 

ツバキ

「今預けている2人は、いずれ他の部隊に配属させるが、今度の2人はそのまま第一部隊に残す」

 

リンドウ

「おーおー、ウチの部隊も賑やかになりますねぇ」

 

ツバキ

「内1人は、例の新型だ」

 

 

 

ポケットの中の煙草に伸ばしたリンドウの手が、ピタリと止まった。

 

 

 

リンドウ

「これまた急ですな。もっと早く教えてくれたっていいのに」

 

ツバキ

「適合試験を無事に通るかどうかわからなかったからな」

 

リンドウ

「ま、貴重な卵を割らないようにしますよ」

 

ツバキ

「そうしてくれ。あ、それとリンドウ」

 

リンドウ

「はい?」

 

ツバキ

「室内で煙草を吸うな。常識だぞ」

 

リンドウ

「へいへい…」

 

 

 

残念そうな顔をして、リンドウは煙草とライターをポケットにしまった。

 

 

 

リンドウ

「わかりましたよ、姉上」

 

ツバキ

「リンドウ!ここでは姉上と呼ぶな!」

 

 

 

怒っている、というよりは気恥ずかしそうにツバキは言った。

 

その表情に、リンドウは頰をかきながら苦笑した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十真

「ここか…?」

 

 

 

ツバキに言われた通りに、サカキ博士のいるラボラトリに来た。

 

メディカルチェックは一人ずつ行うらしく、先に十真が済ませることとなった。

 

なんとなく緊張しつつ、扉の横に取り付けられたパネルに出来たての社員証をかざす。

 

認証音が鳴り、扉のロックが解除された。

 

 

 

十真

「失礼します」

 

 

 

ノックをして声をかけると、入りたまえ、という返事が聞こえた。

 

言葉の割には軽い声だったな、と思いつつ、扉を開ける。

 

十真を出迎えたのは1人の男だった。

 

 

 

「やぁ、早かったね。予想より706秒も早い」

 

十真

「(こ、細けぇな…)」

 

 

 

 

ルーペや眼鏡を幾つもぶら下げた白髪の男性がコンピュータのキーボードを叩きながら、にこやかな顔で十真に話しかけた。

 

表情がにこやか過ぎて、前が見えているのだろうか、と言いたくなるくらい目が線になっている。

 

それでもその男性は、目の前にあるキーボードをリズムよく叩き続けている。

 

 

 

サカキ

「君が斬峰君だね?私は『ペイラー・榊』。ここフェンリル極東支部のしがない研究者さ。今後、何かと会うことになると思うけど、よろしく頼むよ」

 

 

 

 

自己紹介をしながらも、サカキはせわしなく手を動かしている。

 

 

 

 

サカキ

「見ての通り、まだ準備中なんだ。そこのソファーにでも座ってくれたまえ」

 

十真

「あ、はい」

 

 

 

 

十真はキョロキョロと辺りを見回しながら、ソファーに腰を下ろした。

 

 

 

 

サカキ

「にしても、この極東支部に新型が配属されるなんてねぇ」

 

十真

「新型…ライダーシステムのことですか?」

 

サカキ

「うん」

 

十真

「さっき、同じ新人のやつにも驚かれたんですけど、どうにも実感できなくて」

 

サカキ

「…斬峰君。一つ、言っておきたいことがある」

 

十真

「何ですか?」

 

 

 

 

サカキはキーボードを打つ手を止め、十真の目を見つめた。

 

 

 

 

サカキ

「カテゴリーAのアラガミを封印するのは、並大抵のことじゃない。封印するまでに、多くの犠牲を伴った。あのカードには、封印されたアラガミの力だけじゃなく、多くの命と想いも込められているんだよ」

 

十真

「っ…………」

 

 

 

 

知らなかった。

 

だが、確かに納得はいく。

 

それほどの犠牲を強いてまで造られた力だ。少しでも役に立ちたいし、何より無駄にしたくない。

 

十真の中の決意が、より一層強まる。

 

 

 

 

サカキ

「さて、と…準備完了だ。そこのベッドに横になってくれ」

 

十真

「あ、はい」

 

サカキ

「少しの間、眠くなると思うけど安心してくれ。次気づいた時は自分の部屋だ」

 

十真

「…⁉︎」

 

 

 

ちょっとした健康診断程度かと思っていたが、どうやら本格的に行われるらしい。

 

眠っている間に何をされるのかと、逆に不安になってしまったが、ベッドに横たわる内にボーッとしてきた。

 

枕元に何か仕掛けでもあるのだろうか。そんなことを考える意識も薄れていき、やがて十真は深い眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十真

「ここが、俺の部屋…」

 

 

 

目が覚めると、真新しい部屋の中で1人、ベッドに横たわっていた。

 

ここが今日から自分の部屋となる場所か。一人用にしては中々に広い。

 

キッチン、ソファー、ベッド、冷蔵庫、etc……生活に必要なものは大抵揃っている。

 

これも、命をかけて戦う者の特権なのだろうか。

 

 

 

 

十真

「そんな余裕があるなら、外部居住区に回せばいいのに…」

 

 

 

 

アナグラの中では、数百人に及ぶ人間が生活している。

 

だが、アナグラの施設だけでは、極東支部一帯の人間全てを収容することは不可能である。

 

そのため、支部外の荒野に質素な家ーーというより小屋を建てて暮らす人々がいる。この区域のことを外部居住区と呼んでいる。

 

外部居住区はアナグラを中心に、巨大な外壁『対アラガミ装甲壁』に周囲を囲まれている。

 

だがこの外壁は度々破壊され、外部居住区に甚大な被害をもたらす。

 

 

 

 

十真

「…だからこそ、俺が護んなきゃな」

 

 

 

 

十真は部屋の隅に置かれた段ボール箱から、1枚の写真立てを取り出した。

 

幼き頃の十真らしき子供と、彼を囲むように何人もの大人が写っていた。

 

だが、納められたその写真のほとんどは焦げてしまい、中心の十真以外の顔はまともに写っていない。

 

 

 

十真

「全てを…護ってみせる…!」

 

 

 

十真は写真立てを大事そうに飾った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回へ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作者&十真 より…

 

 

 

作者

「本格的に始まりました。第1話です」

 

十真

「なんか、原作GEと同じような違うような」

 

作者

「前書きにもあるけど、基本的には原作GEとストーリーは同じだからな。ま、設定が違ったり、台詞が違ったりするから、そこを楽しんでいただければ」

 

十真

「ま、原作のままだとマズそうだしな」

 

作者

「著作権が云々とか、厄介ごとは嫌いなんで。それではこの辺で…」

 

 

 

 

 

 


 
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