ちょっとおいでと言われて
姉の傍に行ったら
ぎゅっと抱きしめられて
「大好きだよ」と
小さい呟きが聞こえた
その頃の僕はまだ
何も知らない子どもで
姉の抱えているものなんて
何一つ知らなかったんだ
その日姉は家を出た
いつまで経っても
帰って来ることはなかった
母も父も泣いていた日は
一滴も涙なんて出なかった
何で皆が泣いているのか
僕はわかっていなかったから
全て抱えたまま
世界からいなくなった
そう理解したのは
数年後のこと
「僕も大好きだよ」
僕は言って泣いた
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気付いてあげられなくて、ごめんね。
少年はそっと呟いた。