No.737886

真・恋姫無双 ~今度こそ君と共に~ 第4話

今回は冥琳の記憶が蘇りますが、最後はやはりこうなってしまいました。

では第4話どうぞ。

2014-11-18 00:12:00 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:8245   閲覧ユーザー数:6070

「……どうも気分が良くないな…。それにしても朝方のあの流れ星は何だったのだろうか……」

 

冥琳は朝起きてから気分がすぐれなかったが、昨晩酒を飲んだ影響で頭痛を起こしていたものだと思っていた。

 

その影響か冥琳の表情が冴えず、本来なら流れ星の事を調べに行きたかったが、頭痛が酷い為、屋敷に籠っていたのであった。

 

そんな中、上機嫌な声でこの家の主が帰ってきた。

 

「ただいま~~冥琳」

 

「ああ……雪蓮か、今まで何処に…」

 

不機嫌そうな声を出しながら冥琳が雪蓮の方を向くと一刀に腕を組んでいるご機嫌な雪蓮の姿を見た。

 

「雪蓮……腕を組んでいるその誰男は誰なのだ……」

 

「さっきそこで拾ってきた『天の御遣い』。それとこれから、一刀が私たちの主なるのよ♪」

 

冥琳の静かな怒りをサラッと躱して、突然爆弾発言を投げつける雪蓮。

 

「ふざけるな、雪蓮!何、勝手なことを、否、訳の分からん話をするな!」

 

冥琳はさっきまで苦しんでいた頭痛も忘れ、雪蓮の発言に激怒する。

 

「雪蓮……行き成り理由も説明しないで、俺が主になると言っても納得する訳ないだろうに…」

 

「あら、冥琳なら分かってくれと思ったけど、この様子じゃ無理みたいね」

 

一刀は呆れて雪蓮に軽く抗議するが、雪蓮はそれを気にもせず流していた。

 

「何、雪蓮!お前は第一、正体も分からない男に、真名まで許したのか!?」

「ふふふ~ん、思い出せないって不幸よね~♪」

「いや、ここは勝ち誇るところじゃないから…」

 

って雪蓮!ここで更に俺の身体を抱き締めたら、冥琳のこめかみに青筋が立っているって!!

 

冥琳の怒りを余所に雪蓮は何故か勝ち誇った顔をして、一刀の身体を抱き締める。

 

「雪蓮、これじゃ話が進まないから、何とかしてくれよ」

 

一刀はこれ以上、冥琳を怒らせたくなかったので、雪蓮に助けを求めると雪蓮も流石にこれ以上冥琳を怒らせては拙いと判断して一刀の紹介をすることにした。

 

「仕方ないわね、一刀。冥琳、まず紹介するわ。こちらは北郷一刀、さっき流れ星に乗ってきた噂の『天の御遣い』よ」

 

「何だと!雪蓮、さっきの流れ星を見たのか!?」

 

「直接は見ていないわ。でも流れ星が落ちた方向に行ったら、そこには一刀と賊が争っていたけどその賊を簡単に捻り上げ、そしてそれを見ていた私と勝負して私にも勝ったの」

 

「雪蓮に勝っただと…もしやさっき主と言ったのは…」

 

「そう、一刀が勝てば私を好きしてもいい。そして私が勝てば命か若しくはそれ相当な物貰う事を約束して勝負したわ。それで一刀が勝って、私が一刀を主と認めたの」

 

雪蓮の話を聞くと冥琳は、一刀に対し興味が出てきた。

「そうか、雪蓮に勝ったと言うことはそれなり評価をしないといけないな。取り敢えず先に私の名前を言っておこう。私の名は周瑜、字は公瑾だ」

 

「それでだ雪蓮に勝った武の実力は認める。しかしながら智となればどうかな、噂では『流星が黒天を切り裂き、天より御遣いが舞い降りる。御遣いは天の智武を以って世に太平を導かんとす』と言われている。だからその智を私に見せて欲しい、それが証明できれば私の真名を預け、そして主と認めようではないか」

 

「でも冥琳、どうやって証明させるのよ?」

 

雪蓮は、この場を冥琳の気が済むようにさせようと言うのと同時にこの一刀がどれ位の知恵者なのかという興味もあることから助け舟を出さずに静観することにした。

 

一刀も冥琳の意図が分かっていたので、反対もせずに受ける事にした。

 

「何、簡単な事だ。これから私たちが勢力を伸ばすにはどういう方針をすればいいのか、聞きたいだけだ」

 

現在、侠となっている雪蓮の元には領土という物は無く、あるのは手下約200名くらいであった。つまり金も領土も無い状態で一刀がどういう答えを出すのかと。

 

そして冥琳が現状を説明した上、一刀は出した答えは

 

「土地が無いのであれば、珍しい物を作ってお金に稼げばいい。それも皆に使われる物が良く、それが安価で品が良ければ民に豊かになり、そして俺たちの評判が上がる」

 

「ふむ…。金を稼いでそれから人を集める、それは分かる。口で言うのは簡単だが、そう都合できるものなのか」

 

当然、冥琳は疑問の声を上げる。

 

「そこでだ。俺が持っている天の知識を使って、そういった物を作り、商人や民に売って行く」

 

「うむ…天の物か、どのような物か分からぬが、面白い物が多く出てきそうだな」

 

「最初は皆、珍しい物だと見たさに買ったりするだろう?それが実用的で使いやすい物となれば、後はこちらが何もせずとも自然に買ってくれるようになる。そしてそれを多く売ると金も集まる」

 

「ふむ…そこで人を集めた後はどうする」

 

「集めた後は、只管それを蓄え時期を待つ」

 

「時期を待つだと…何のだ?」

 

冥琳は一刀が言わんとしていることが分かっていたが、これを敢えて聞く。

 

「漢が崩壊する道、そして新たな乱世の始まりと言っていいかな」

 

「大胆な発言だな…。場所が悪ければ首が飛んでもおかしくないぞ」

 

冥琳はある程度予想していたものの、一刀の大胆な発言に呆れかえる。

 

「しかし俺は周瑜さんが告げ口みたいな事をしないと思っているよ」

 

「偉く買い被られた物だが…そんな無粋な事をする気は全くないがな。今の話を聞いて、寧ろもっと話をしたいと思っているのも事実だ」

 

「それにまだまだ面白い事が聞けそうだ。これを上手に使えれば、あの高祖の様に皇帝までに成れるかもしれぬ」

 

冥琳は一刀を認めた形であるが、当の一刀はそれよりも自分の思いを冥琳に告げる。

 

「別に俺は偉くはなりたくないんだけどね。俺自身はそれよりも大切な人を守りたいんだよな…」

 

「大切な人を?」

 

「ああ、俺はかつて大切な人たちを結果的に守る事ができずにその人たちの死を見守る事しかできなかった。その人たちは死が迫る中、皆に心配かけまいと必死であんな悲しい笑顔をさせて死なせてしまった……そんな大切な人たちを二度とそんな辛い笑顔をさせたくないんだ」

 

「一刀……」

 

「………」

 

泣きそうになるのを堪える一刀を見て、記憶が戻っている雪蓮はかつての自分の死が一刀の心を痛めているのではないかと心配し、冥琳は何か考えているようであった。

 

「一つ聞いてもいいか?」

 

「何?」

 

「幾ら雪蓮がこういう性格だからと言って、初対面の男にここまで馴れ馴れしくするのは珍しい。まるで旧来の友人の様にだ。そして大切な人たちを守るという話をした時、どうして私の顔を見て辛そうな顔をしているのだ」

 

「ごめん…何か感情が高ぶってしまった」

 

冥琳からそう指摘されると一刀は謝罪した。だが冥琳は首を横に振り

 

「別に攻めている訳ではないのだ。今・・・不思議な既視感を感じているんだ。最初は思い出せなかったが、そして声を聞いてから、今まで忘れていた、何か封印されていた記憶というか、懐かしい感情が急に頭の中から溢れ出てきたかのようにだ」

 

「旧来の友人のような感覚をお前から感じるのは確かだ。否、お前や北郷殿というより、北郷と呼んだ方がしっくりくる」

 

「えっ…」

 

「冥琳、貴女記憶が…」

 

一刀と雪蓮は冥琳が真名を呼んでいない状態で記憶が戻ったのではないかと思ったが冥琳はこれを否定した。

 

「否、完全に戻った訳ではない。雪蓮、お前が『さっき思い出せないって不幸よね』と言ったのはこの事だったのだな」

 

「ええ、その通りよ」

 

「絶対に忘れちゃいけない事だと、心から思えるのに、どうして記憶に無いのか。それが思い出せないというのが凄く悔しくて寂しいものだな…」

 

まだ記憶が完全に戻りきれていない冥琳の寂しそうな表情を見て、雪蓮もこれ以上このような冥琳を見るのも忍びないと感じ取り。

 

「一刀、冥琳の真名を呼んで上げなさい」

 

「いいの?」

 

「ええ、このままじゃ蛇の生殺しよ」

 

「ああ、そうだな……。このままだとモヤモヤして気分が悪い。覚悟を決めて呼んで貰おうか。さあ私の真名を呼んでくれ、北郷!」

 

「あぁ…ただいま!冥琳!」

 

覚悟を決めた冥琳が、一刀から真名を呼ばれると自然と冥琳の瞳から一筋の涙が零れた。

 

「……ああ、時すら、巻き戻してみせるとは、本当にとんでもない『天の御遣い』だな…北郷。だが今度こそ、私とも子を成してくれるのだろう?」

 

嬉しさや懐かしさ等、色んな感情が混ざった涙を流しながらも、以前の外史では見た死ぬ間際の様な悲しい笑顔では無く、嬉し泣きしている冥琳がそこにいた。

 

「折角、得られた再度の命だ。今回は幸せを掴まなくてはな。その辺りは雪蓮と相談するとしようか」

 

「ああ、そうだね。でも冥琳も泣き虫になったね」

 

「今日くらい、甘えさせてくれ…北郷。だが、北郷を抱き締めるのは、本当に心が落ち着くな。雪蓮の奔放さに振り回されている日々も、どこか遠くに感じるようだ」

 

「それどういう意味よ!冥琳!!」

 

記憶を思い出した冥琳と一刀がお互い抱き締めていたが、冥琳の一言で雪蓮が怒り出した。

 

だが雪蓮も本気で怒っている訳では無く、こうして三人で再び会える日が来るとは思ってもいなかったので、ただ騒いでいるだけであった。

そして冥琳からも再び生を受けた理由を聞いた一刀は

 

「本当に男冥利に尽きるよ。でも冥琳もいいのか?」

 

冥琳も雪蓮と同じ様に一刀を主君に立て、この乱世を乗り越えて行くと決心したのであった。

 

「ああ、感情としては完全に割り切った訳ではないが、北郷の為に再び命を得たのだ。お前の為にこの命を使わないでどうする」

 

「それは同感ね。これからは一刀の采配を受けて動くね、面白くなってきたわ」

 

「フフフ…それは私も同じだな。これから北郷を王として孵化させていくのだ、これ程面白い事はない」

 

「二人に見捨てられない様に頑張るよ」

 

「あら、そんな一刀を見捨てる真似はしないわよ」

 

「そうだな。弱音を吐こうものなら飴や鞭を使ってでも成し遂げる様させるさ」

 

「さてと、冥琳。今日は野暮な事は言いっこ無しよ」

 

「分かっているさ、雪蓮。今まで寂しかった想いを受けて貰わないとな。それに何れはまた北郷の取り合いになるかもしれないだろう」

 

「えっ?」

 

「どうせ一刀の事よ。知らない間に可愛い女の子をホイホイと引き寄せるのでしょう?そんな私という者がありながらと小娘みたいな事言わないわよ」

 

「ハハハ………」

 

一刀は以前の外史で呉の将を抱いた事を思い出し、乾いた笑いしか上げれなかった。

 

「別に一刀を攻めているわけじゃないわ。どうせなら、相思相愛の関係でお互い問題なければ、皆を愛してみせなさい。その上で、私や冥琳を第一に置きなさい」

 

「はぁ!?何かそれおかしくないか?」

 

「何を今更。呉の将を10人近くの女の愛情を真正面から受け止め、応えてみせていた北郷が既に規格外だ。今度は『呉』という国の縛りが無いのだ、そうなれば正直どうなるか分からん」

 

「ただお前の事だ、慕ってくる女性を見捨てる真似はできないだろう。もし言い寄られて慣れない冷血な男を演じてみせるよりも、その都度悩みながらも、少しずつ着地点を探るやり方を提案する方が北郷らしい。それに今度はそれが勢力拡大の武器の一つなるかもしれないからな」

 

雪蓮と冥琳の発言に対し、一刀は疑問の声を上げるが、二人は自分たちを第一に置く事で

一刀の種馬化を容認したのであった。

 

そしてその日は、三人は色んな意味で思う存分語りあったのであった……。

 

あとがき

 

今回は一刀のハーレム化についてどうしょうかと思いましたが、やはりこうなってしまいましたww。

 

ただ全員するつもりではないので、その点ご了承下さい。


 
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