No.734258

義輝記 星霜の章 その三十壱

いたさん

義輝記の続編です。 宜しければ読んで下さい。

2014-11-01 13:43:01 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1764   閲覧ユーザー数:1617

【  あの三姉妹との既視感 の件 】

 

〖 司州 河南尹 鶏洛山付近 にて 〗

 

家久「みんな~! 集合!!」

 

東州兵『はぃーーーーっ!!!』

 

義久「皆さん、益州の地で私達に力を貸してくれて、ありがとうございます~! 家久と義弘の一番上の姉にあたる……島津義久と申しま~すぅ!」

 

東州兵「おおおぉぉーーーーーーー!!」

 

『いえちゃんのお姉様だ!』『胸が大きいが若いぞぉ!!』『俺の嫁に~!』と声が挙がるが………義弘がギロリと睨むと、急に静かになった。

 

義久「うふふふっ、声援感謝します~。 皆さんを急にお呼びだてした理由、御説明しなければいけせませんね~!」 

 

東州兵は……ピタリと静かになり、義久の話に耳を傾けた。

 

義久「実は……今から彼処に私達が攻める事になっているんですぅ……! 正直……私達も~生きて帰れるのか、分からない状態で……くすん(+_;)」

 

東州兵『止めてぇー!!』

 

東州兵『死んじゃ駄目だ!』

 

義久「ごめんなさいね~! 私達も軍務を担う将だから……逃亡なんて出来ないのぉ! それに、逃げたら……貴方達に迷惑を掛けてしまうもの!」

 

東州兵『義久さぁん! 優しい!!』

 

東州兵『俺の嫁に来てぇぇぇ!!』

 

義久「もし………勝手なお願いだけど……私達と戦って守ってくれるような、頼もしい殿方はいらっしゃらないかしらぁ?」

 

東州兵『………………!』

 

歳久「………無理でしょう。 そのような殿方が居れば……私達の心も……傾くかもしれませんが………?」

 

家久「いえちゃんね……お兄さん達の頼もしい姿……見たかったけどな……」

 

義弘「無理よ! 無理! こんな軟弱な奴ら、協力求めても無駄なだけ!!」

 

ゴゴゴゴゴゴオォォォ───────!!

 

東州兵『俺達が付いて行きますぅ! いや、是非! お供に!!』

 

東州兵『地の果てだろうが天の国だろうが……付いて行くぜ!!』

 

義弘「付いてくるなぁ!! 大体……あんな所にアンタ達が出向けば、足手纏いになって、全滅する可能もあるのよぉ!? 考え直しなさい!!」

 

東州兵『ヤ、ヤベェ──! あの……ひろちゃんが……遂に、俺達の事を心配してくれているぜ! とうとうデレたぞ!! 皆ぁ、喜べぇぇぇ!!』

 

東州兵『うおぉぉぉ──────!!』

 

義弘「ほ、ほんの少し心配したぐらいでぇ………喜ぶなぁぁあぁ!!」

 

義久はニッコリと満面の笑みを浮かべ、礼を述べる。

 

義久「それではぁ宜しくお願いますねぇ─────!!」

 

東州兵『はいぃぃぃ──────ッ!!!』

 

 

◆◇◆

 

【 甲越同舟 の件 】

 

〖 司州 河南尹 鶏洛山付近 にて 〗

 

謙信「行くぞぉ!! 『左旋回』車懸りの陣!!」

 

信玄「行きます!! 『右旋回』車懸りの陣!!」

 

ーーー

 

約五百騎の騎馬隊が先陣を切り、傀儡兵が集まる場所に突っ込んで行く! 

 

その陣の真ん中には……武田の勇将『山縣昌景』が指揮して、鳥丸兵達に武田流の騎馬攻めを、身体を張って手本を見せていた。

 

昌景「先陣を務める事は武の誉れよ! 命を惜しむのも結構じゃが……若い娘御達に己の武を披露するのも……モテる将兵たる条件! 現に──我らの軍師殿はモテモテじゃからのぅ!! はーっははははっ!!」

 

▼▽▼  ▼▽▼  ▼▽▼  

 

武田騎馬戦術……乗崩(のりくずし) 

 

密集状態からの突撃。 本来は戦いの中盤以降に繰り広げられる総攻撃。

 

しかし、今回は騎馬隊が殆どである事、短時間で包囲を崩したい為、此方を実行! 他にも……威力偵察の『乗り込み』、先制突撃の『乗切』がある。

 

▲△▲  ▲△▲  ▲△▲

 

傀儡兵達に乱れが生じたのを機に、昌景は部隊に引き上げの命令を出す!

 

昌景「武田の軍勢に戻るぞぉ!! まだ、儂等の活躍は続くのだ! こんな場所で死ぬなぞ無駄死にじゃ! 格好いい所は……まだまだ見せれるからのう! ただ、戻る先を間違えないよう注意せよ!!」

 

昌景が武田の軍勢に戻る頃、第二陣が怒涛の勢いで包囲網の崩れた先を、更に崩しにかかる! 

 

その後ろには、第三陣がゆっくりと馬を進めていた。 第二陣の様子を見て、攻める場所を確認する為か、撤退の様子を見定める為か……?

 

どちらにしても、先頭の者が手を挙げると……速度を上げて突っ込んで行く!

 

傀儡兵達も、その攻撃を阻もうと動くが……騎馬突撃の破壊力が余りに大きく、態勢を立て直すのに猶予が欲しい! 

 

しかし、そんな猶予を与えるような指揮官達ではない! 

 

その間を更に短くする為、交代を早くしてきた。

 

ーーー

 

謙信「第四陣! 先陣の隊が撤退した後に攻撃するのだ! そうしなければ、分厚い包囲網に穴を開けるのは無理だぞ! …………貴方達の活躍で、大陸の未来が決まるのだ! どうか、心して構えて欲しい!!」

 

ーーー

 

信玄「第五陣! 景虎の隊が退いた後に、反撃の暇(いとま)を与えてず蹴散らすのですよ! 反撃されれば、陣形の運用に支障を来し、他の者が被害を被ります! 自分達の奮戦が味方を救う! よく考えて実行なさい!!」

 

ーーー

 

謙信「第六陣──準備を整えよ! 奮迅した第五陣の活躍を凌駕する働き──期待しているぞ!!」

 

ーーー

 

信玄「第七陣──よく状況を把握して攻めなさい! 貴方達が次に攻めるのは、敵が崩れて右往左往している場所を狙うのです! 第六陣の戦い振りを無駄にしてはなりません!!」

 

▼▽▼  ▼▽▼  ▼▽▼  

 

雨滴車懸りの陣( 別名 竜虎双輪陣 )

 

二つの部隊が交互に騎馬突撃を繰り返し、包囲網に穴を開ける! 

 

先に突撃した者達は、新手の味方とすぐに入れ替わらるため、攻撃後に所属する陣営に戻り、再度出撃する事になる。 

 

謙信が得意とする車懸かりを信玄に、信玄が武田流の騎馬戦術を謙信にと伝え合い、このような戦術が生まれたのだ。

 

両陣営の名将による卓越した采配で、敵陣営は徐々に崩されていく! 

 

▲△▲  ▲△▲  ▲△▲

 

両将の傍には、村上義清、武田信廉が脇を固め、妨害する者を防ぐため動いていた!

 

信廉「姉上の邪魔をする不届き者は、タダで済ましせんよ! それ相応の報いを受けて貰います!!」

 

義清「兄者の危機だと云うに邪魔立てしおって───! お主等如き、何百何千と来ようが、この義清が打ち取ってくれん!!!」

 

武田、上杉連合(兵は鳥丸兵)二十万が……怒涛の攻撃で攻めかかった。

 

 

◆◇◆

 

【 騎馬?鉄砲隊 の件 】

 

〖 司州 河南尹 鶏洛山付近 にて 〗

 

 

政宗「やっと……私達の出番だな! 正直……待ちくたびれた!!」

 

成美「にひひひっ! 『攻撃の合図はまだなのかぁ! 早くしないと颯馬の身が!!?』って心配していたのは誰かなぁ~~?」

 

景綱「……余計な事をほざくと、竜の逆鱗を触る事になるぞ………?」

 

政宗「…………成美は留守番で任せよう! うん、決めた! 仮にも軍の大将に、そのような態度を示す馬鹿娘は……置いていくのに限る!!」

 

成美「ええぇぇぇ───!! やだ! やだぁ! やだあぁぁぁ!!!」

 

綱元「自業自得……だけど、抜けられと……やっぱり戦力的に痛いね? 成美には……戦に参加して貰わないと……」

 

景綱「確かにな……。 あの兵力に対抗するには、兵力も欲しいが良き指揮官が必要だ! ここで成美を外すのは……作戦達成が困難になってしまう……。それだと……中の部隊が救える事が難しくなるのだが……」

 

政宗「わっ、分かった! 颯馬の身が危なくなるなら仕方がない! 成美には先陣を命じるから特と働けぇ!!」

 

成美「やったあぁぁあぁぁ!!! 成美が先陣!!!」

 

政宗「但し!! 手柄を立てないと……団子購入は当分禁止だ!」

 

成美「なあぁぁ────────! か、景綱!! 綱元!!」

 

景綱「我等の助けも……ここまでだ。 自業自得と諦めよ、成美!」

 

綱元「これ以上は……無理だよ!」

 

成美「そんなぁ────!! わ、分かった! 手柄を立てれば良いんでしょう! 手柄を立てればぁ───! 政宗の意地悪!!!」

 

ーーーーー  

 

政宗「私達は……このまま攻めればいいのだな?」

 

景綱「そうだ。 しかし、他の軍勢が……効果ある新戦術を持って攻め行っているのに、私達がただ漫然と攻めるのは……伊達家の面目が立たぬ!! そうは思わないか……政宗?」

 

政宗「確かにそうだが……このまま、普通に手柄を立てても、悪くないのではないか? 奇策ばかり行えば、次の正攻法が敵の油断を誘える。 この方が利に適っていると思うが?」

 

景綱「甘い、甘いぞ!? 颯馬の今の立場を考えてみろ! アイツは月様のお気に入りの軍師、いや、この大陸最高峰の策士だ! いくら、政宗が気立てが良くて料理が得意でも、目に止まらなくては、颯馬の嫁にはなれん!!」

 

政宗「こ、小十郎!! お、大きな声で喋るなぁぁあぁぁ!!」

 

景綱「ふふっ……久しぶりに呼んでくれたな。 だが、折角、私が応援してやると言うのだ。 素直に聞いておかないと……後で後悔する事になるぞ?」

 

政宗「わ、私達の隊は鳥丸兵の騎馬隊だ! もし、使用するとすれば、騎馬鉄砲ぐらいしか思いつかない! しかし、この時代の馬には火薬の爆発音には慣れておらぬし、第一……その鉄砲さえも無いのだぞ?」

 

景綱「………相手の常識を逆手に取るのが、軍師たる私の務めだ!」

 

景綱は手に持っていた『品物』を、政宗の目の前に差し出した。

 

景綱「どうだぁ!? これなら問題ないだろう? 使用も簡単、火薬も使わない、音も殆どしない! ────実に理想的な兵器だ!」

 

政宗「─────────☆☆☆!?」

 

景綱「どうした政宗? 余りの出来映えに声も出ないか?」

 

政宗「これで! こんな物でぇ! どうやって戦えと云うのだ!?!?」 

 

景綱「うむうむ……言いたい事はよく分かる。 まぁ……取りあえず使用して見てくれ! 念の為、不測の事態を想定して、全員に弓矢を装備もさせてるし備えもしてある。 だから、安心して使用してくれ!」

 

政宗「し、しかし、これは…………」

 

景綱「奇抜な発想をするお前さえ、そこまで疑う代物だ。 これで成功すれば、颯馬の目は……間違いなく……お前に向けられるぞ? 他の諸軍よりも頭が一つ抜けられる事になる! ……信用出来なければ、無理強いはせん!」

 

政宗「───────!!」

 

★☆☆

 

 

政宗「行くぞ! 騎馬『水』鉄砲隊! 出撃だ!!」

 

 

政宗率いる騎馬隊三万には、背中に弩を背負い、鞍には『竹製の水鉄砲』が括り付けられている。 竹筒に穴を開けて、布を巻き付けて押し込むと、水が発射する簡単な仕掛けである。

 

射程圏距離は、平均二丈(約4㍍)の比較的高性能な品質。 

 

制作者は兵士達各個人の手作りである。 所々に拘りがあるらしく、筒が二つになっていたり、かなり大きめな……それこそ大砲みたいな形状も、チラホラと見える。 勿論、景綱の点検済みである!

 

伊達勢で兵士達全員分を用意するなんて……無駄な事は、景綱が許すワケがない。 成美は『作りたい~!』と駄々を捏ねた為、先生役で鳥丸兵に作り方を指導していた。 

 

戦場に出向くには……ちょっと違和感がある装備に『?』と思う政宗だったが……景綱の言葉を思い出し頭を振る!

 

考えてみれば、今も昔も……颯馬を懸想する者が多く集う! 

 

しかも、綺麗所が多いわ、大名家当主が直接媚びにくるわと……争奪戦は熾烈を極め、颯馬を自分の陣営に入れるには、かなり至難の業であった。 

 

その前に足利家が離そうとしないだろう………が。

 

しかも……今回は、三国志の英雄までも参加しているのだ! 更なる激烈化にどうなるか……分からない。  

 

政宗『確かに……ここで梃入れしないと……私の立場が更に危うくなる!! 景綱の策が何処まで役立つか分からないが……頑張ってみよう!!』

 

拳を握りしめ、そう固く誓った政宗は……号令を発し軍を展開した。

 

★★☆

 

傀儡兵が包囲網を形成する場所に来ると、数百の兵が襲いかかる!

 

政宗「総員、下馬して停止! 前列──『水』鉄砲を構え!! 二列目──弩を準備せよ!! 前列が斉射した後、続けて高角度で射るんだ!!」

 

政宗は、采配を上に向けて機会を窺う!

 

傀儡兵「ーーーーーーーーー!!!」

 

敵が近付き………射程圏距離に入る寸前で政宗が、采配を下す!

 

政宗「放てぇぇぇぇぇ───!!」

 

ーーー

 

──────! 

 

ーーーーーー! 

 

一列に並び、それぞれが作成した『水鉄砲』が発射された!!

 

鳥丸兵「おぉっ! 俺のモノ、結構イクじゃねぇか!」

 

鳥丸兵「やったあぁぁあぁぁ! 当たったぞ!!」

 

まるで……微笑ましい子供の授業風景に見える様子だが……実は、ごっつい身体、髭だらけ、迫力満点の大人である鳥丸兵達が、一斉に攻撃?を行う。

 

念の為に、弩を上空に放ち、放物線を描きながらを敵兵を減らし、水鉄砲を持つ者には武器を替えて、白兵戦に備えさせてはいるが。

 

政宗「しかし……これで、あの得体の知れない者共が、攻略出来るのか?」

 

政宗は……余りに戦場に似合わない光景に、一瞬唖然としてしまった。

 

ちなみに……本人達は大真面目! 

 

そのため、工作が成功して喜ぶ子供のように……破顔一笑する者も多数いた。 

 

………中には、どっちが遠くまで飛んだかで、喧嘩する馬鹿者達も出たので、成美が駆けつけて、思いっきり叱り飛ばす一幕も……あったりする!!

 

そんな状況で………何十人かの傀儡兵に、水鉄砲の水が当たり、びしょ濡れになった次第である! 

 

ーーー

 

しかし、攻撃を受けた傀儡兵の様子が、おかしくなっていく!

 

傀儡兵「…………!? ~~~~!! !?!?」

 

傀儡兵「☆#※?★♯!────!!」

 

バタッ! バタッ! と倒れる傀儡兵!

 

他の傀儡兵達は、この様子を見て突撃が出来なくなり……パタリと止んだ。

 

ーーー

 

政宗「な、何だぁ─────!? この威力は!!」

 

景綱「………思った通りだ! 見事に効いてるようだな? 政宗!」ニヤニヤ

 

政宗の後ろから……ドヤ顔の景綱と肩を竦める綱元、目をキラキラさせている成美が……そこに居た。

 

政宗「おっ、おいっ!? これはぁ! どういう事だぁ!?!?」

 

景綱「あぁ……至極簡単な事だ。 私が加持祈祷し、清められた水を使用するように命じたのさ! 政宗も知っているとは思うが……私も八幡神社の巫女だ。 あの者達より得体の知れぬ妖気を感じて……この手を打ったのだ!」

 

政宗「だ、だが! もし、あの兵に効かない場合ぃ! どうするつもりだったんだぁ───ッ!?」

 

景綱「心配無用。 その策が駄目な場合……! 左右後方から各三万、綱元や成美が包囲を仕掛けて加勢するし、私も五万の後陣で備えていた。 政宗だけ残して、私達が高みの見物なんぞ……面白みがに欠けるだろう!」

 

綱元「私達が、政宗を見捨てると思っていた? 嫌だなぁ……そんな事する訳ないよ! 私達は何時でも……政宗の傍にいるから安心して欲しい。 それに、昔と同じ大泣きされるのは……もう懲り懲りだもんね、景綱?」

 

景綱「うぐっ!」

 

成美「凄おぉぉ──い! 水鉄砲で本当に倒れるのかぁ!? また、成美を騙すのかと思っていたけど……本当だったんだぁぁ!! ああ──っ! でもでもぉ~~政宗の泣くところも……見てみたかったなぁ!!!」

 

政宗「ば、馬鹿! そんな事より水鉄砲の有効性が分かったんだ! このまま攻めよう! 颯馬達に早く加勢しなければ!!」

 

景綱「うむっ! 私の策や政宗の勇猛さを、間近で見て貰わなければ困るからな! ───成美! 左の備えを任せる! 存分に動け!!」

 

成美「言われなくてもぉ!!!」

 

景綱「綱元! 右備えを任せる! …………頼むぞ!!」

 

綱元「くすっ……任されたよ!」

 

景綱「────よし、準備は整った! 政宗! 号令を頼む!!」

 

政宗「分かった! 皆ぁ! 水鉄砲の有効性は分かったと思うが、過信は禁物だ! 中には、効かない敵がいるかも知れない!! 相手の反撃を想定して動いて欲しい!! ───それでは、かかれぇぇ!!」

 

鳥丸兵『ワアアアァァァ───────!!』

 

◆◇◆

 

【 危機!! の件 】

 

〖 司州 河南尹 鶏洛山付近 にて 〗

 

 

霞「………幾ら倒しても敵が減る様子が……全く見えへん! しかしな! あの颯馬軍師の策が動いたんや! 必ず何か逆転の手が起きる筈───!?」

 

董卓兵「董相国は……何処! 敵将の『松永久秀』を討ち取り、その御首級を拝見して頂きたいと……お持ちしました!」

 

霞「ほんまかぁ!? いやぁ──言うてみるもんやな!! よしっ! うちが付いて案内してやるわ! 付いて来いっ!!」

 

董卓兵「はっ!」ニヤッ

 

ーーー

 

警護の兵士が、物々しい警戒体制が敷かれる本営。

 

話を聞いて集まった三好姉弟、足利義輝が、中央に御輿が置かれた場所の左右を固めて、謁見の準備を用意した。

 

御輿より少し離れた場所に、件の董卓兵が布に包んだ御首級を前に置き、片膝を付いて拝謁している。 後ろには、連れてきた霞が……待機。

 

御首級の包む布の中から……紫の長髪がはみ出ていた。 

 

ーーー

 

御輿の中より……月の声が聞こえる。

 

月「数々の謀で……私達を翻弄した『松永久秀』を討ち取った事、古今これなき大手柄! ………陛下も喜ばれると思います!」

 

董卓兵「有り難き……御言葉!」

 

董卓兵士は、更に顔を伏せて……身体を縮こませる! 

 

月「しかし……敵将『松永久秀』は、幾ら弱っていたとは、討ち取るのは至難の業! それを討ち取ったのは……よほどの精強な軍勢でしょうね? 果たして……どこの軍勢なんでしょう?」

 

董卓兵「それは……董相国様の軍勢です!」

 

月「……私の? 私の主な軍勢は、張将軍が率いて『守備』を任せているのですよ? 御遣いの義輝様には、独自の権限を与えていますし、それに従うように兵士には命じているはず!」

 

董卓兵「──────!」

 

月「………それに……顔を確認するなら、よく見知っている御遣いの皆様にお願いするのが確かなはず! ……その御首級、誰のモノなのですか!!」

 

董卓兵?「ちぃ───っ! ここまでかぁ!!」

 

董卓兵は、手前に置いた首を蹴り上げ、御輿にぶつける!!

 

そして、縮こまった体勢より跳躍し、御輿の御簾まで乗り上がり、拳に氣を纏わせ中に攻撃を仕掛ける準備を完了させた!

 

董卓兵?「俺は左慈! ───董卓よ! 貂蝉より預かった銅鏡!! 俺が破壊させて貰う!! 大人しく差し出せば命を奪わないが、邪魔だてすれば容赦など─────むっ!!」

 

御簾の中より、凶悪な殺気が膨れ上がったと思えば、御簾が盛り上がり──鋭い槍の穂先が急速に突き破り、左慈を目指して突出してきた! 

 

慌てて後方に跳躍して避ければ………一騎当千の将が周りを囲む!

 

??「詠、ねね~! お前達の言った通りだよ~! デカい鼠が引っかかってくれたもんだねぇ!! しかも、かなりの歯応えがある奴だ! 存分に楽しめさせて貰うよぉぉ!!!」

 

御輿の中から、白菊(馬寿成)がユラリと現れる!

 

御輿の後方より、陛下達と月、詠、ねねが現れ……護衛役で恋と翠、蒲公英が前に出て守りを固め、左慈の周りを他の将が包囲して襲撃及び逃走を阻止!!

 

左慈「……………ふんっ! この位で、俺が捕縛されると思われていたら、話にならん! さっきの回答として、受け取らせて貰うぞ!!!」

 

義輝「やれる物なら受けて立とう! わらわ達を侮るでは無い!!」

 

双方より、殺気と闘気が入り混じり一触即発状態となった。

 

その時……左慈が蹴り上げた御首級の布が外れ、首級が現れた。

 

紫の髪をした……『男の顔』が目を閉じて左慈達の方を向く! そして、急に目を見開き、声を挙げた!!

 

??「この周囲にいる将兵の動きを止めよ!! 『縛』!!!」

 

『何ぃ────!!』 

 

『う、動けないっ!!』

 

『な、何やっと!?』

 

慌てふためく洛陽勢! 

 

左慈は、構えていた体勢を元に戻すと……首級に向かい喋り出す。

 

左慈「ふーっははははっ! 于吉の遠隔妖術による金縛りだ! この鎧を得るために殺害した奴の首を、更に再利用してみたが……思いのほか役立ったようだな! 感謝してやるぞ! 于吉!!」

 

于吉『感謝はありがたいですが……遠隔と操作の複合妖術ですから、長くは持ちませんよ? 早く銅鏡だけでも壊して下さい! 銅鏡だけでも壊せば、忌々しい異世界の御遣いが強制的に帰されますから!』

 

左慈「ならば───急いで尚且つ確実に実行しよう!!」

 

左慈は、焦り動かそうとしている将兵達を尻目に、再度跳躍して月の傍まで近付くと、手を翳しながら月の周囲を探る!

 

月「─────!」キッ!

 

左慈「悪く思うな! お前が選んだ運命だったのだ!!」

 

月の胸の辺りに手が動くと、左慈の顔が喜びの表情が浮かぶ!!

 

左慈「見つけたぞぉ───!! 銅鏡は………懐の中か! ならば、俺の拳で銅鏡ごと刺し貫いてやる!! 覚悟するんだなぁぁ─────!!」

 

左慈の右手が、白き光に包み込まれた!

 

ーーー

 

詠「駄目ぇ! 月は助けてぇ!! 私はどうなってもいいからぁ!!!」

 

ねね「月殿ぉ──────!!」

 

恋「──────ッ! ──────ッ!!」

 

翠「くそったれがぁ───────!!」

 

蒲公英「月ぇ──────! 逃げてぇ! 逃げてぇぇ!!」

 

ーーー

 

月『…………おば様、銅鏡を守れなくて……ご免なさい! 天城様……私も……今、貴方の傍に─────!!』

 

月は………辛うじて動く……目蓋を閉じた…………。

 

 

 

ーーーーーーー

ーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

他の作品を投稿したら、思いのほか好評だったようで……ホッとしている作者です。 

 

『艦これ』二次小説を読んで書きたくなったのはいいのですが……原作に全くと云うほど手を付けていないため、他の小説を参考にしたり、紹介文を拝見して、キャラの口調を確認したりと……もう大変。

 

もう書きたくないな……と思う裏腹、頭の中で、次の話が構築されるものですから、振り払うのが難しくて。 どうしようかなと思案しています。

 

艦隊が地上で戦う? 装備は? 何人召喚しようか……などなど。

 

とりあえず、『義輝記』を終わらせて考えようかな……と思っています。

 

言葉足らずで………誤解をさせてしまい申し訳ありません。

 

義輝記は、きっちり完結させますので………。


 
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