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真・恋姫†無双 異伝「空と命と夢の狭間に」第五十一話


 お待たせしました!

 それでは今回は拠点第四部の一回目です。

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2014-08-30 22:20:34 投稿 / 全15ページ    総閲覧数:6544   閲覧ユーザー数:4652

 

「何回言わせれば分かるのよ、このボケマネージャー!!ちぃが頼んだのはこれじゃ無い

 

 って言ってるでしょう!?」

 

「はっ、本気であれがお前に合う思うてるんか?悪い事言わんからこっちにしとけ。お前

 

 が言ってたあれはどちらか言うと天和向きのもんや、いい加減背伸びするんはやめとい

 

 た方がええで」

 

「な、なんですってぇ~~~、何時何処でちぃが背伸びしたって言うのよ!?」

 

「ワイが覚えてるだけでも八回はあるけどな~、その内人和にたしなめられて変えたんが

 

 三回、天和に言われて変えたんが二回、ワイの意見で変えたんが三回…」

 

「ああ、うるさい、うるさい!男のくせにいちいち細かい事をネチネチと…そんなんだか

 

 ら何時も一刀のオマケみたいな事言われるのよ!」

 

「何やてぇ~~~!聞き捨てならん事を!」

 

「何よ~、やる気!」

 

 及川と地和は今日も変わらず口喧嘩を続けていた。本人達はあくまでも未来に向けての

 

 話し合いだと言い張っているが。

 

 ちなみに天和と人和はもはや欠片も気にする様子も見せずに淡々と食事をしていたりす

 

 る…実際、二人の口喧嘩に割って入った所で解決しないのが分かっているから放ってい

 

 るだけだという話でもあるのだが。

 

 そして二人の口喧嘩はそれから半刻ばかり続いていたのであった。

 

 

 

「ちぃ姉さん、何時までむくれてるのよ。さっきのは及川さんが提案した方でいくって決

 

 めたんでしょう?自分で決めたんだったらもう文句は無しにしてよね」

 

「…ああ、もう分かっているわよ!及川だってちぃの事を考えて言ってくれたんだっての

 

 は分かっているから…でももう少し言い方って物があるんじゃないかと思っただけよ。

 

 あいつったら何時も何時もあんな突っかかるような言い方ばかりするし…」

 

「つまり、ちぃ姉さんは及川さんにもう少し優しくして欲しいわけね」

 

 人和のその一言に地和は少し固まっていたが、

 

「そんなわけ無いでしょう!!だ、誰があんなのに優しさを求めてるっていうのよ!」

 

 慌てて否定していたが…人和には地和の動揺が見えていたので何処吹く風といった顔を

 

 していたのであった。

 

「何や、何の話をしてるんや?」

 

「別にあんたには関係の無い話よ!だからあっち行っててよ!」

 

 地和のその言葉に及川が反応しようとしたその時。

 

「あっ、佑様じゃないですか!」

 

 背後から及川に声がかかる。しかし三姉妹はその呼び方に一様に驚く。何故なら及川の

 

 事をそう呼ぶ者は今までいなかったからだ。及川本人はそれに気にする事も無くそちら

 

 の方に振り向く。

 

「おっ、誰かと思ったら明命やないか。どうしたんや、今日は孫策はんの使いか何かか?」

 

「はい、一刀様への言伝を預かりまして今それをお伝えした所です」

 

(ちなみに一刀達は孫呉の面々からは真名を預かっている。しかし及川に預けたのは明命

 

 だけだったりもするのだが)

 

 

 

「へぇ、でもそれだけや無いんやろ?」

 

「はい、佑様発案の『猫喫茶』は最高ですぅ~。さすがは佑様、眼の付け所が違います」

 

 明命はそう言って眼を輝かせていた。

 

 それから二人はしばらく楽しそうに話をしていたのだが…。

 

「…あれ、誰よ。あんなに馴れ馴れしく及川に話しかけて…」

 

 それを見る地和の機嫌はみるみる悪くなっていた。

 

「ちぃ姉さん、あの人は孫呉の周泰将軍よ」

 

「えっ!?あの人が…でも何で及川とあの人があんなに親しく話してるのよ?」

 

「それは私にも…」

 

 人和も困惑の視線を及川の方に向けるが、二人はそれに気付く様子も見せずに話をして

 

 いたのであった。

 

 ・・・・・・・

 

「今度のライブはこないな感じでいきたい思うんやけど、三人はどう思う?」

 

 数日後、三姉妹と及川は次の舞台についての会議をしていた。何時もなら此処で地和が

 

 及川の意見に文句を言って口喧嘩の応酬が始まるのだが、この日の地和は憮然とした顔

 

 でそっぽを向いているだけであった。

 

「…和、地和!」

 

「な、何よ!?」

 

「『何よ』やあらへん!お前、今ワイが言った事聞いとったんか!?」

 

「……………」

 

「ワイの意見に文句があるいうんは構へん、口論なんか何時でも受けてたったる、だけど

 

 人の話を聞かへんいうんは論外や!!」

 

 

 

 及川が珍しく声を荒げた事に人和と天和は驚きの表情を見せていたが、

 

「…ふん、あんたの口からそんな台詞が出るなんてね。そういえば何時ぞやだったか何処

 

 かの女に現を抜かしてて人の話をまともに聞かなかった奴もいたわよね」

 

 地和は不機嫌そうにそう言ってまたそっぽを向いてしまう。

 

「お前…今此処でそれを持ち出すか!」

 

「何よ、別にあんたがどうとか言ってないでしょ!それとも何、あんたの中じゃまだ引き

 

 ずってるってわけ?はっ、未練たらたらね」

 

「何やと、こら!ワイに文句があるならはっきり言わんかい!!」

 

「ああ、うるさい、うるさい!!あんたなんか知らない、猫とでも戯れてれば良いのよ!」

 

 地和はそう言ったまま部屋を飛び出して行ってしまう。

 

「何やっていうんや地和の奴…猫ってどういう事や?」

 

 及川のその呟きに天和も人和も答えられなかったのであった。

 

 ・・・・・・・

 

「…という事がありまして。それ以来二人とも全く口を聞こうとしないんです。このまま

 

 じゃライブの成功どころの話じゃなくなってしまいます」

 

「それで俺が何とか出来ないかと?」

 

 俺のその言葉に人和は弱々しく頷く。

 

 確かにこのままじゃ具合が悪い…地和は三人の中でもムードメーカーなボジションだし

 

 そんな状況で楽しく歌を歌えって言うのも無理がある。しかし…。

 

「地和は及川の何が気に入らないんだ?及川自身の事を嫌っているという風には感じない

 

 んだけど?」

 

 

 

「…それが私にもさっぱり何が何だか。ちぃ姉さんが及川さんの事を嫌っているわけでは

 

 ないのは私も分かるのですが」

 

 人和も分からないんじゃ探りようが無いな…本人に聞くしかないのだろうか?俺がそう

 

 思っていると、

 

「あっ、そういえば…」

 

 人和が何かを思い出したような声を出す。

 

「やはり何かあったのか?」

 

「多分なんですけど…この間街を歩いていた時に周泰様とお会いしまして」

 

 …何で此処で明命が?おそらくこの前に雪蓮の遣いで来た時なのだろうけど。

 

「周泰様が及川さんの事を真名で呼んでいたんです」

 

 真名?…ああ、下の名前か。そういえば明命だけは及川をそう呼んでいたな。孫呉の中

 

 じゃ唯一及川に真名を預けていたし。

 

「それで及川さんと周泰様が親しくお話しているのを見ている内に、ちぃ姉さんの機嫌が

 

 悪くなっていったように…やっぱりそれですかね?」

 

 えっ、それってまさか…それじゃ地和が及川に?何時も口喧嘩ばかりしているのはそう

 

 いう感情の裏返しとかか?

 

「なぁ人和、もしそれが原因だとして、どうやったら解決すると思う?」

 

「難しいですね…多分、ちぃ姉さんに聞いても否定するでしょうし」

 

 ですよねー。それは及川も一緒だろうしな…。

 

 

 

「しかし次のライブまでそんなに時間は無かったよな…それにこういうのは放っておくと

 

 余計にねじれかねないし、早い事手を打つ必要があるだろう」

 

「となると、少々というよりかなり強引な手を使う…という事ですか?」

 

「本当はもう少し穏便に解決したい所ではあるけれどね」

 

 俺の言葉に人和は仕方ないといった表情で頷いていた。

 

 ・・・・・・・

 

「何や、かずピー?何処へ行こうっていうんや?」

 

「まあいいから、黙ってついてくれば分かる」

 

 数日後、俺は及川を連れてある場所へ向かっていた。

 

「着いたぞ、此処だ」

 

「あれ?此処って…確か新しく開業するっちゅう娯楽施設やなかったか?」

 

「ああ、そうだ。そこに一つアトラクション的な物を追加したから及川の意見も聞いてみ

 

 たいと思ってね」

 

「かずピーの肝煎りで作ったんやったら別にワイの意見なんかいらんちゃうんか?」

 

「こういうのは、色々な意見を聞いた方が良い物が出来るのは及川だって分かるだろう?

 

 開業する前にもし何かしら不備があったら直さなきゃいけないんだが、目線を変えた方

 

 がそういうのを発見しやすいと思ってね」

 

「ふふん…まあ、そういう事ならワイに任せとき。バッチリ見分したるさかい」

 

 及川は満更でもないような顔でそう言っていた。よし、これで第一段階は成功だな。

 

 

 

「此処が入口だ、俺は出口で待ってるから感想はそこで聞くから後はよろしく」

 

 そして及川が中へ入っていったのを確認して入口の鍵を閉める。

 

「一刀さん、及川さんは?」

 

 そこに人和が声をかけてくる。

 

「中に入ったよ。そっちは?」

 

「ちぃ姉さんは既に中にいます」

 

「よしよし、これでとりあえずは一段落だな。二人はしばらく出てはこれないだろうし…

 

 確か出口の近くの辺りに茶店も出来ていたし、しばらくそこでお茶でもしようか?」

 

「えっ…あの、お茶って…私と、ですか?」

 

 そう聞いてくる人和の顔がみるみる内に赤くなる。

 

「うん、俺とじゃ何か問題とかあるかな?歌い手としての活動に問題が出るとか?」

 

「い、いえ…その、そういうんじゃなくって、一刀さんが私なんかで良いのかなって…」

 

「人和とならむしろ大歓迎だけど?」

 

「そ、そうですか…なら、喜んで」

 

 人和はそう言って本当に嬉しそうな顔をしていたが…そんなにお茶が飲めるのが嬉しい

 

 なんて、余程喉が渇いていたのだろうか?まあ、人和が喜んでくれているのなら何より

 

 ではあるが。今回の事でも色々協力してもらったしね…及川達が出て来るまで、人和の

 

 好きな物を何でも奢ってあげる事にしようか。

 

 

 

 その頃、及川は…。

 

「何や、此処?一体何のアトラクションなんやろ?」

 

 建物の中でアトラクションの入口を見ながら首をひねっていた。何故ならそこに書かれ

 

 ていたのは『納涼体験の館』であったからだ。

 

「納涼体験って…氷でも部屋に置いてあるんか?それともミストシャワーの体験とかか?」

 

 及川がそう呟いていると、中から…。

 

「キャアーーーーー!!」

 

 女性の叫び声が聞こえてくる。それと同時に及川は中へと入っていった。

 

「何や知らんがか弱い女性のピンチや!そこへワイが颯爽と…そうすれば。ムフフ…」

 

 及川は何故か満面の笑みを浮かべていた。

 

 ・・・・・・・

 

「はぁ…そう思ったワイがバカやった。こんなオチかいな…」

 

「何よ一体!?いきなり暗がりから現れてそんな事言われたってちぃにはまったく分から

 

 ないわよ!そもそも此処は何よ!?何でちぃがこんな目に合わなきゃならないのよ!」

 

 及川が行った先にいたのは地和であり、その眼の前にあったのは精巧に作られた幽霊の

 

 人形であった。及川はそれを一瞥してから、

 

「はぁ…お化け屋敷か、そりゃ納涼といえばそうかもしれんけど…ベタ過ぎやな」

 

 そう言ってため息をつく。

 

「お化け屋敷…何よ、それ?」

 

「こういう作りもんで怖がらせる施設や。それで何か知らんけど涼しゅうなるんやと」

 

 

 

「えっ…何それ?」

 

「ワイらの世界にはこんなんがあったいう話や。とりあえず此処から出るで」

 

 及川はそう言って入口に戻ったのだが…。

 

「あれ?開かへん…どうなっとるんや、これ!?」

 

「どうしたってのよ、早く開けなさいよ!」

 

「あかん…鍵が閉まっとる」

 

「ええっ!?それじゃどうやって外に出るのよ!」

 

「仕方あらへん…あん中を通っていくしか無いわ」

 

「あの中って…あそこに戻るの!?」

 

 そう言った地和の顔がみるみる内に青くなる。

 

「何や、怖いんか?確かに随分と精巧に作られてるみたいやけど、あんな作りもんにビビ

 

 っとるんか?はん、何時も『ちぃに怖い物なんか無いわよ』とか言ってるくせに」

 

「なっ!?…ふん、あんな物怖いわけ無いじゃない!バカじゃないの!」

 

 地和はそう言って及川を置いて一人で先に進んでいってしまう。

 

「はぁ…あんな強がり言って大丈夫かいな。ああ、仕方ない、あんなんでも放っておくわ

 

 けにいかんし…まったく、もう」

 

 及川はそう呟きながら地和の後を追っていった。

 

 

 

 その頃、先に進んでいた地和は…。

 

「な、何よ、怖くなんか、怖くなんかないんだから…ちょっと精巧過ぎてるだけで」

 

 何処からどう見てもビビッているようにしか見えない足取りとなっていた。それもその

 

 はず、このお化け屋敷は…。

 

「ふっふっふ、地和もなかなかええ具合にビビッとるなぁ~」

 

「そりゃ、たんぽぽ達の知恵と真桜の技術の結晶だもんねぇ~」

 

「お人形さんにたっぷりと怖いお化粧したから当然なのぉ~」

 

「しっ、三人とも静かに。地和に気付かれるわよ」

 

 一刀の知識を元に、輝里の知恵と蒲公英の悪知恵、そして真桜の技術によって作られ、

 

 沙和によって全ての人形に恐怖感満載のメイクを施されていたからである。

 

「しかし一刀の世界にもなかなかおもろいもんがあるんやなぁ~」

 

「此処なら罠も張り放題だしねぇ~。あっ、今の音は『蟻地獄』に引っかかった音だよ」

 

「蟻地獄?」

 

「足が引きずり込まれそうになる罠だよ。でもそんなに深い穴じゃないから、普通に足を

 

 引き抜けば大丈夫なんだけどね」

 

 蒲公英はそう言っていたのだが…。

 

「な、何よこれ、やだ、このままじゃ砂の中に引きずり込まれ…これって作り物じゃなか

 

 ったの!?」

 

 すっかり恐怖に囚われていた地和は混乱の余りに錯覚に陥ってしまっていたのであった。

 

「誰か、誰か助けて…誰か!」

 

 そう叫んだ瞬間に地和の手を引っ張ったのは及川であった。

 

「大丈夫か?ほれ、良く見てみぃ。そないにこの穴深くないで」

 

 及川がそう言って足を抜き差しするのを見ると同時に、地和はその場にへたり込む。

 

 

 

「お、おい、大丈夫か!?」

 

「分かんない…何だか足に力が入らないよぉ」

 

「…仕方ない、ほれ」

 

 及川はそう言って地和に背中を見せてしゃがみこむ。

 

「な、何よ…?」

 

「ワイが地和を出口まで連れてってやる。だからワイの背中におぶされ」

 

「えっ…えっと、その…」

 

「早ぅせい、それともずっと此処におるんか?」

 

 さすがにそれは嫌だったのか、地和は躊躇いがちに及川におぶさる。

 

「おわっ!?」

 

 それと同時に及川の背中は地和の柔らかい感触を受けて、及川は久々に感じる女の子の

 

 柔らかさに変な声をあげてしまう。

 

「な、何よ…どうしたってのよ?」

 

「な、何でもあらへん、何でもないんや、ええか、ホンマに何にもないんや。ホンマやか

 

 らな!」 

 

 及川は自分に言い聞かせるかのように繰り返しそう言うと、地和をおんぶして歩き出す。

 

「地和」

 

「な、何?」

 

「このままワイがええって言うまで眼ぇつむっとき」

 

「えっ!?どういう事…?」

 

「ええから、たまにはワイの言う事を聞いてくれ」

 

 及川のその言葉に何かしらを感じたのか、地和は素直に眼をつむり及川に身を預ける。

 

 及川はそれを確認すると黙って歩き始める。

 

 

 

「ねぇ、及川…」

 

「何や?」

 

「ええっと、その…あの…」

 

「何や、はっきり言え。そんな言いよどんでる地和なんか地和らしくなくて面白ぅないわ」

 

「…ありがとう」

 

「へっ!?」

 

 普段聞きなれない言葉を聞いた及川は変な聞き返し方をする。その位、普段から地和は

 

 及川に対してそういったお礼的な言葉を言わないのであったが。

 

「…ありがとう、本当は少し怖かったの…一緒にいてくれてありがとう…『佑』」

 

「あ、あ、あ、当たり前やんか、なんて言ったって、ワイはお前らのマネージャーなんや

 

 からな!」

 

 いきなり地和に下の名前で呼ばれた及川はそうわたわたしながら返事をするのが精一杯

 

 であった。

 

 そして暗闇で判別しずらい状況ではあるが、二人とも完全に耳まで赤くなっていたので

 

 あった。

 

「うわぁ~、ラブラブなのぉ~」

 

「にししし、何だかんだ言って二人は急接近だよねぇ~」

 

「でも何かウチの方が恥ずかしくなってきたわ…」

 

「良いなぁ…私も一刀さんとあんな風になりたいなぁ」

 

 そしてその様子を四人はじっと見つめていたのであった。

 

 

 

 そして二人が出口で見たのは…。

 

「おい、かずピー!何でそこで人和とお茶しとんねん!!ワイらが此処に来るまでどんな

 

 に苦労したと…」

 

「そうよ!ちぃと佑が中にいる間ずっとそんな事してたわけ!?」

 

 出口近くにある茶店に二人でいる一刀と人和の姿であったのである。

 

 それを見たと同時に二人は抗議の声をあげたのだが、一刀と人和は何処吹く風とばかり

 

 な態度だった。

 

「おい、何か言わんかい!」

 

「…及川、随分と地和と仲良くなったみたいだな。なあ、人和?」

 

「ええ、ちぃ姉さんったら何時の間に及川さんの事を『佑』って呼ぶようになったわけ?」

 

 そう言われた二人は、

 

「な、なななななな、何言ってるねん!?そないなわけ…」

 

「そうよ、何でちぃが佑と…」

 

 慌てて否定しようとするのだが…。

 

「「そんな格好じゃ説得力無い」」

 

 一刀達に言われて、まだ及川が地和をおぶった状態である事に気付いて慌てて離れたの

 

 だが、二人からの生温い視線が消える事は無かったのであった。

 

「さて、それじゃ俺はこれで…及川、次のライブをしっかりと盛り上げろよ。地和もしっ

 

 かりな」

 

「わ、分かっとるわい!」

 

「わ、分かってるわよ!」

 

「なら無問題。人和、またな」

 

「はい、また」

 

 ちなみに及川と地和はいっぱいいっぱいになっていた為、人和と一刀のやり取りに気付

 

 く事もなかったのであった。

 

 

 

 そしてその頃、天和はというと…。

 

「むにゃむにゃ…お姉ちゃん、もうこんなに焼売食べられないよぉ…及川さん、お茶…」

 

 自室で一日中寝ていたのであった。

 

 ・・・・・・・

 

 そして数日後。

 

「「「みんなぁ、来てくれてありがとう!」」」

 

『ほわぁっ、ほわぁっ、ほわぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!』

 

 無事に三人のライブは開かれ、大盛況の内に終わったのは言うまでもない。そして…。

 

「よし、今日のライブも最高や!」

 

 その舞台の傍らには及川がいたのは言うまでもない事であった。

 

 ・・・・・・・

 

 そしてさらに数日後。

 

「のぉ、一刀?聞きたい事があるんじゃが…納涼体験の館とかいうのがあるのか?」

 

「ああ、あるけど…何でいきなりそんな事を?」

 

 朝議の後で命がそんな事を聞いてくる。

 

「な、何でもそこに男女二人組で入ると仲が深まるとか聞いたのじゃが…本当か?」

 

「そういう効果が出た事もあったらしいとしか知らないけど?」

 

 まあ、及川と地和の仲は多少進展したのかもしれないが。

 

「そうか、そうなのか…ならば、その、今度、二人で…ゴニョゴニョゴニョ…って、何時の

 

 間にか一刀いないし!こりゃ、人の話を聞けぇ~!」

 

 命のその叫びを聞いてくれる者はいなかったのであった。

 

 

                                       続く。 

 

 

 

 

 

 

 

 あとがき的なもの

 

 mokiti1976-2010です。

 

 今回は…及川と地和のお話でした。

 

 二人がこのままフラグを築くのかは…どうしよう?

 

 まあ、とりあえずはこのままで(適当)。

 

 さて、次回は…とりあえず拠点ですが、

 

 誰にしようかな?(オイ

 

 

 それでは次回、第五十二話にてお会いいたしましょう。

 

 

 

 追伸 その後、正式にオープンしたお化け屋敷は大盛況

 

    だったそうです。

 

 

 

 

 


 
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